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2章 気まずい幼なじみ
5話 思い出の味
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「あ、ジャミル……おはよう」
「……おう」
翌朝早くに目が覚めたわたしが厨房に行くと、ジャミルが何かをせっせと作っていた。せいろで何かを蒸している。
「あ……」
ジャミルがせいろを開けると、もわっと蒸気がたちこめる。中には肉まんが3つ入っていた。
「……肉まん」
「……ああ」
「それ……カイルが好きだった」
「ああ」
いつか竜騎士団領に行ったときにおみやげで買った「ドラゴン肉まん」。
竜の顔の形をしていて、外はふわふわ、中にはジューシーな肉がたくさん詰まっている。とてもおいしい。
……ちなみに牛肉。竜の肉はもちろん使ってない。
カイルが特に気に入って、竜騎士団領から帰ってからも、どこかに出かけた時には必ず肉まんを買ってもらっていた。
「食おうぜ」
「……うん」
ジャミルが食堂に肉まんを持って行き、テーブルにつく。
わたしはその向かいに座る。もう1つの肉まんは誰も座ってない席に置かれた――まるで、カイルがそこにいるかのように。
肉まんを一口食べる。外はふわふわ、中のお肉はジューシーで……あの時食べたのと、同じ味。
「すごい、おいしい……」
「やっと……カイルの話したよな」
ジャミルが肉まん片手につぶやく。
「うん……ごめん、やっぱり気まずくて」
「いや、オレも昨日はその……悪かった。あんなもんあそこに置いといちゃダメだったのによ」
「あの黒い剣って何? なんか変な感じするの」
「……3ヶ月くらい前の仕事帰り、道端に落ちてるのを見つけたんだ。変な紫色のオーラみてえのが出てて……。どう考えてもやべえって分かってたのに、気づいたら吸い込まれるように手に取ってた。すぐに捨てたけど、朝起きたら枕元にあった。何回捨てても手元に戻ってきやがる。ミランダ教会の司祭の話じゃあ、"呪いの剣"なんだってよ」
「呪いの、剣……?」
ルカのいた『光の塾』に続いて、また現実感のない話だ。ジャミルがそんなことに巻き込まれていたなんて、にわかには信じがたい。
「……人の心の闇とか、後ろ暗いとこを察知して持ち主を選ぶんだと。へっ、オレは選ばれたってわけだ」
伏し目がちに肉まんを見ながらジャミルが自嘲的に笑ってみせる。
「笑うところじゃないよ……。"後ろ暗い"って、やっぱりカイルのこと?」
「……だろうな」
――カイルのいなくなったあの日。よく晴れた日だった。
ジャミルは友達と遊ぶ約束をしていて、それにカイルがついていきたがった。
ジャミルはそれを鬱陶しく思って、嘘の集合時間を言ってカイルを置き去りにした。
カイルはそれに怒りながらも仕方ないと諦めて、ひとりで湖へ釣りに行った。
――夕方、大雨が降った。
でも、帰ってこない。わたしの両親含む近所の人たちで捜し回ったけど、見つからない。
その日は結局見つからなかった。次の日もその次の日もやっぱり見つからなかった。
そして翌週、湖のほとりでばらばらに散らかった釣り道具と、彼の血で濡れたブーツが片方見つかった――。
ブーツには穴がいくつか空いていた。何か牙を持つ魔物に襲われて脚を噛まれ、そのままぬかるみで足を滑らせて湖に転落した可能性がある として、ギルドで冒険者や傭兵なんかを雇って湖を捜索してもらったけど、やっぱり見つからなかった。
今もまだ、遺体はあがっていない――。
あの日は本当によく晴れていた。
カイルは1人でよくあの湖に釣りに行っていたし、あの辺りに魔物が現れたなんて話は聞いたことがない。
――全部全部、「ただめぐり合わせが悪かっただけ」としか言いようがなかった。
だから誰も彼を責めなかった。だけどジャミルは誰よりも自分を責めて、ふさぎ込むようになってしまった。
やがて彼の両親は、彼がこれ以上自分を責めないように、色々と思い出の残るこの地にいるよりは……と、引っ越すことを決めた。
ジャミルは「弟を置いて引っ越すなんて」と泣いて抵抗したけれど、彼の両親が何日もかけて説得して、最後には受け入れた。
わたしは、カイルがいなくなった時もジャミルが引っ越していく時も、何も言葉をかけることができなかった……。
「あのね……こんなことしか言えないけど、やっぱりジャミルのせいじゃないよ……」
「……」
「わたしあの日、カイルに釣りに誘われたんだけど、断っちゃったんだ」
「……そうだったのか」
「うん。『釣りなんてもう興味ないよ』なんて言っちゃった」
「そうか」
「……ごめん」
「なんで謝るんだよ」
「一緒に釣りに行ってればって思っちゃうよ、やっぱり……。『カイルは今年13歳なのに子供っぽくて、いつまでもお土産屋の赤いスカーフなんか巻いてて、かっこ悪い』なんて思ってた。だから少なくとも、わたしには『ジャミルのせい』なんて言うことできない」
「オレも……同じだ。2歳しか違わねえのにガキ扱いして。オレら年上の集まりについてくんなって、そう思ってた。スカーフ巻いて、いつか竜騎士の人と撮った写真を大事に飾って眺めて。その竜騎士に『君には竜騎士の素質がある』なんて言われたのを本気にして『自分もいつか竜騎士になりたい』なんていつまでも言っててさ。『バカじゃねぇのか恥ずかしい、現実見ろ』ってよ」
「うん……」
年も変わらないのに、自分たちはもう大人になったって勘違いしてた。
子供じみた夢を見て、変わろうとしないカイルにイライラしていた。
どうして、何を根拠にそんな勘違いができたんだろう――。
「アイツは死んだかもしれねえけど、生きてるかもしれねえ。少なくともオレは生きてるって思ってる。けどオヤジもオフクロも、オレが気に病むからってオレの前ではカイルの話はしねえんだ。……なんかそれじゃ、ホントにアイツがいなくなったような……オレがアイツの思い出すら殺したような気がしてよ。だから、こんな剣も手にしちまったし今は1人で暮らしてる」
「そんな……考えすぎだよ。おじさんとおばさんが、寂しがるよ……」
「オレは、オレを許すことができねえ。この剣がそう思う気持ちに反応したんだとしたら、オレは一生取り憑かれたまんまかもしれねえ。コイツを持ってるととにかくイライラムカムカして怒鳴り散らしたり、ひどい時には相手を殺してやりたくなっちまう。……実はグレンのやつにも斬りかかったことがあって」
「え……!?」
「……まあ、返り討ちにあったけど。全部かわされて、一太刀で気絶するほど吹き飛ばされた」
「そ……そんなに強いんだ」
――ジャミルはジャミルで、彼のお父さんに鍛えられて、なかなかの腕だって聞いたことあったけど。
でもグレンさんも、服の上からも分かるくらい筋肉あるし、やっぱり強いんだ……。
「それで、そのグレンさんとどうして一緒にいるの? 襲いかかったりしたのに」
「ああ……実は、呪い解く情報集めとかに協力してもらってて」
「え、そうだったの?」
「手紙の配達とかは、ついでだ。街に立ち寄ったらグレンがギルド行って、オレは教会に行く。そこで司祭に回復魔法かけてもらって、聖水をもらう。……3ヶ月くらいずっとそれやってる」
「そうだったんだ……。グレンさん、『ラクして稼ぎたい』なんて言ってたから、わたしてっきりダメな人かと……」
「や、ダメはダメだけどな」
「そんな!」
思わず強めに突っ込んでしまうと、ジャミルがちょっと笑って肉まんを思い切り頬張った。
「……うめえな。オマエも食えよ。話しこんでたら、ちっと冷めちまった」
「うん」
少し冷めてしまった肉まんを口にする。冷めてもおいしい。
「おいしい~! ドラゴン肉まんの味再現できてる」
「だろ? なにせ天才だしな、オレ」
グレンさんの『天才だな』という言葉を借りてジャミルがおどけてみせる。
「ほんとだね。……竜の肉なんて、よく手に入ったよねぇ」
「ちげぇよ、牛肉だわ」
「知ってる。ふふっ」
「……へっ」
わたし達は5年ぶりに普通に会話をして笑い合った。
空席に置かれた肉まんに目をやる――カイルがこれ食べたらきっと、幸せそうな顔して「うまい!」って言うだろう。
彼がいないことは辛いけど、もしまた会うことができたら、またみんなでこれを食べたい。
いつか、そんな日が来たらいいのに……。
「……おう」
翌朝早くに目が覚めたわたしが厨房に行くと、ジャミルが何かをせっせと作っていた。せいろで何かを蒸している。
「あ……」
ジャミルがせいろを開けると、もわっと蒸気がたちこめる。中には肉まんが3つ入っていた。
「……肉まん」
「……ああ」
「それ……カイルが好きだった」
「ああ」
いつか竜騎士団領に行ったときにおみやげで買った「ドラゴン肉まん」。
竜の顔の形をしていて、外はふわふわ、中にはジューシーな肉がたくさん詰まっている。とてもおいしい。
……ちなみに牛肉。竜の肉はもちろん使ってない。
カイルが特に気に入って、竜騎士団領から帰ってからも、どこかに出かけた時には必ず肉まんを買ってもらっていた。
「食おうぜ」
「……うん」
ジャミルが食堂に肉まんを持って行き、テーブルにつく。
わたしはその向かいに座る。もう1つの肉まんは誰も座ってない席に置かれた――まるで、カイルがそこにいるかのように。
肉まんを一口食べる。外はふわふわ、中のお肉はジューシーで……あの時食べたのと、同じ味。
「すごい、おいしい……」
「やっと……カイルの話したよな」
ジャミルが肉まん片手につぶやく。
「うん……ごめん、やっぱり気まずくて」
「いや、オレも昨日はその……悪かった。あんなもんあそこに置いといちゃダメだったのによ」
「あの黒い剣って何? なんか変な感じするの」
「……3ヶ月くらい前の仕事帰り、道端に落ちてるのを見つけたんだ。変な紫色のオーラみてえのが出てて……。どう考えてもやべえって分かってたのに、気づいたら吸い込まれるように手に取ってた。すぐに捨てたけど、朝起きたら枕元にあった。何回捨てても手元に戻ってきやがる。ミランダ教会の司祭の話じゃあ、"呪いの剣"なんだってよ」
「呪いの、剣……?」
ルカのいた『光の塾』に続いて、また現実感のない話だ。ジャミルがそんなことに巻き込まれていたなんて、にわかには信じがたい。
「……人の心の闇とか、後ろ暗いとこを察知して持ち主を選ぶんだと。へっ、オレは選ばれたってわけだ」
伏し目がちに肉まんを見ながらジャミルが自嘲的に笑ってみせる。
「笑うところじゃないよ……。"後ろ暗い"って、やっぱりカイルのこと?」
「……だろうな」
――カイルのいなくなったあの日。よく晴れた日だった。
ジャミルは友達と遊ぶ約束をしていて、それにカイルがついていきたがった。
ジャミルはそれを鬱陶しく思って、嘘の集合時間を言ってカイルを置き去りにした。
カイルはそれに怒りながらも仕方ないと諦めて、ひとりで湖へ釣りに行った。
――夕方、大雨が降った。
でも、帰ってこない。わたしの両親含む近所の人たちで捜し回ったけど、見つからない。
その日は結局見つからなかった。次の日もその次の日もやっぱり見つからなかった。
そして翌週、湖のほとりでばらばらに散らかった釣り道具と、彼の血で濡れたブーツが片方見つかった――。
ブーツには穴がいくつか空いていた。何か牙を持つ魔物に襲われて脚を噛まれ、そのままぬかるみで足を滑らせて湖に転落した可能性がある として、ギルドで冒険者や傭兵なんかを雇って湖を捜索してもらったけど、やっぱり見つからなかった。
今もまだ、遺体はあがっていない――。
あの日は本当によく晴れていた。
カイルは1人でよくあの湖に釣りに行っていたし、あの辺りに魔物が現れたなんて話は聞いたことがない。
――全部全部、「ただめぐり合わせが悪かっただけ」としか言いようがなかった。
だから誰も彼を責めなかった。だけどジャミルは誰よりも自分を責めて、ふさぎ込むようになってしまった。
やがて彼の両親は、彼がこれ以上自分を責めないように、色々と思い出の残るこの地にいるよりは……と、引っ越すことを決めた。
ジャミルは「弟を置いて引っ越すなんて」と泣いて抵抗したけれど、彼の両親が何日もかけて説得して、最後には受け入れた。
わたしは、カイルがいなくなった時もジャミルが引っ越していく時も、何も言葉をかけることができなかった……。
「あのね……こんなことしか言えないけど、やっぱりジャミルのせいじゃないよ……」
「……」
「わたしあの日、カイルに釣りに誘われたんだけど、断っちゃったんだ」
「……そうだったのか」
「うん。『釣りなんてもう興味ないよ』なんて言っちゃった」
「そうか」
「……ごめん」
「なんで謝るんだよ」
「一緒に釣りに行ってればって思っちゃうよ、やっぱり……。『カイルは今年13歳なのに子供っぽくて、いつまでもお土産屋の赤いスカーフなんか巻いてて、かっこ悪い』なんて思ってた。だから少なくとも、わたしには『ジャミルのせい』なんて言うことできない」
「オレも……同じだ。2歳しか違わねえのにガキ扱いして。オレら年上の集まりについてくんなって、そう思ってた。スカーフ巻いて、いつか竜騎士の人と撮った写真を大事に飾って眺めて。その竜騎士に『君には竜騎士の素質がある』なんて言われたのを本気にして『自分もいつか竜騎士になりたい』なんていつまでも言っててさ。『バカじゃねぇのか恥ずかしい、現実見ろ』ってよ」
「うん……」
年も変わらないのに、自分たちはもう大人になったって勘違いしてた。
子供じみた夢を見て、変わろうとしないカイルにイライラしていた。
どうして、何を根拠にそんな勘違いができたんだろう――。
「アイツは死んだかもしれねえけど、生きてるかもしれねえ。少なくともオレは生きてるって思ってる。けどオヤジもオフクロも、オレが気に病むからってオレの前ではカイルの話はしねえんだ。……なんかそれじゃ、ホントにアイツがいなくなったような……オレがアイツの思い出すら殺したような気がしてよ。だから、こんな剣も手にしちまったし今は1人で暮らしてる」
「そんな……考えすぎだよ。おじさんとおばさんが、寂しがるよ……」
「オレは、オレを許すことができねえ。この剣がそう思う気持ちに反応したんだとしたら、オレは一生取り憑かれたまんまかもしれねえ。コイツを持ってるととにかくイライラムカムカして怒鳴り散らしたり、ひどい時には相手を殺してやりたくなっちまう。……実はグレンのやつにも斬りかかったことがあって」
「え……!?」
「……まあ、返り討ちにあったけど。全部かわされて、一太刀で気絶するほど吹き飛ばされた」
「そ……そんなに強いんだ」
――ジャミルはジャミルで、彼のお父さんに鍛えられて、なかなかの腕だって聞いたことあったけど。
でもグレンさんも、服の上からも分かるくらい筋肉あるし、やっぱり強いんだ……。
「それで、そのグレンさんとどうして一緒にいるの? 襲いかかったりしたのに」
「ああ……実は、呪い解く情報集めとかに協力してもらってて」
「え、そうだったの?」
「手紙の配達とかは、ついでだ。街に立ち寄ったらグレンがギルド行って、オレは教会に行く。そこで司祭に回復魔法かけてもらって、聖水をもらう。……3ヶ月くらいずっとそれやってる」
「そうだったんだ……。グレンさん、『ラクして稼ぎたい』なんて言ってたから、わたしてっきりダメな人かと……」
「や、ダメはダメだけどな」
「そんな!」
思わず強めに突っ込んでしまうと、ジャミルがちょっと笑って肉まんを思い切り頬張った。
「……うめえな。オマエも食えよ。話しこんでたら、ちっと冷めちまった」
「うん」
少し冷めてしまった肉まんを口にする。冷めてもおいしい。
「おいしい~! ドラゴン肉まんの味再現できてる」
「だろ? なにせ天才だしな、オレ」
グレンさんの『天才だな』という言葉を借りてジャミルがおどけてみせる。
「ほんとだね。……竜の肉なんて、よく手に入ったよねぇ」
「ちげぇよ、牛肉だわ」
「知ってる。ふふっ」
「……へっ」
わたし達は5年ぶりに普通に会話をして笑い合った。
空席に置かれた肉まんに目をやる――カイルがこれ食べたらきっと、幸せそうな顔して「うまい!」って言うだろう。
彼がいないことは辛いけど、もしまた会うことができたら、またみんなでこれを食べたい。
いつか、そんな日が来たらいいのに……。
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