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始まりの夏
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夕方と夜の狭間の時間の空は、オレンジ色と紺色がグラデーションになっていて、神秘的な雰囲気を醸し出していた。
ヤクモさん、ハトリさん、カイさん、スミレさん、みんながお庭に集まってくる。この前は見るだけだったけれど、今日は実際に花火ができる。
ハトリさんは大きなスイカを持っていて、スミレさんは手にバットを持っていた。
これはもしかしたら……スイカ割り?
「どう? 花火の前にスイカ食べない? うちの近くで買ってきたんだ」
「スイカは、夕食の後の方がいいんじゃないかー?」
「で、夕食はいつ食べるんだ?」
「花火の前かしら?」
「ってことは、今ですかね?」
皆は一斉に、うん、と首を縦に振る。
ということで、花火は一旦置いておいて皆でカイさんの家に向かう。
とは言ってもすぐ目の前で十秒くらいで着いた。
いつも家の中はは2人か3人だから、こうして皆がいるというのがとても新鮮で、家の中が一気に賑やかになる。
「皆で料理しましょうよ、せっかくだし」
「そうだね。カイを中心にやりますか」
「俺料理したことないけど頑張るぜ」
「怪我しないようにな」
「おう」
あらかじめ買ってきておいた食材。魚や肉、後は畑で採れた野菜。それに、色とりどりのフルーツなんかもあって、今日は豪勢な食事になりそうな予感。
ヤクモさんを見ると、不慣れながらも食材を切っていて、ハトリさんとスミレさんは意外にも慣れた手つきで進めていく。
私もカイさんに教わりつつ、皆とお話をしながら料理をしていく。
「楽しいですね」
「ん? まあ、そうだな。たまにはこうして皆で作業するのも悪くはないな」
「はいっ」
数十分後、テーブルの上にたくさんの出来立てほやほやの料理が並ぶ。
食材の大きさはバラバラで、カイさんの料理のように完璧っというわけにはいかないけれど、食欲をそそる匂いが部屋じゅうに充満してお腹が鳴る。
「初めてにしては上出来だな」
「まあ、ヤクモ1人が作ったわけじゃないからねえ」
「それは分かってるよ」
「でも、本当に美味しそうにできましたね」
「そうね。さあ、早く食べましょう。お腹空いちゃったわ」
いただきます、という五重唱が部屋の中に響き渡る。
早速目の前にあるオムライスを口の中に入れると、トマトの酸味と卵の甘さがちょうどよく合っていてすごく美味しい。それに、ライスの方にはバジルを使っていて、その香りが全体に馴染んでいる。
「美味しいっ」
「うん、確かにうまい。このとうもろこしもうまいぞ。ちなみに俺が煮たんだぜ」
「煮ただけな」
「カイさん、それでもいいじゃないですかあ」
「まあ、ヤクモにしちゃ上出来だ」
ヤクモさんはぷうっと頬をふくらましつつ、顔はにやけていてとても誇らしそう。とうもろこしを食べると、今まで食べた中で一番というくらい甘くて、まるでおやつのようだった。
ヤクモさん、ハトリさん、カイさん、スミレさん、みんながお庭に集まってくる。この前は見るだけだったけれど、今日は実際に花火ができる。
ハトリさんは大きなスイカを持っていて、スミレさんは手にバットを持っていた。
これはもしかしたら……スイカ割り?
「どう? 花火の前にスイカ食べない? うちの近くで買ってきたんだ」
「スイカは、夕食の後の方がいいんじゃないかー?」
「で、夕食はいつ食べるんだ?」
「花火の前かしら?」
「ってことは、今ですかね?」
皆は一斉に、うん、と首を縦に振る。
ということで、花火は一旦置いておいて皆でカイさんの家に向かう。
とは言ってもすぐ目の前で十秒くらいで着いた。
いつも家の中はは2人か3人だから、こうして皆がいるというのがとても新鮮で、家の中が一気に賑やかになる。
「皆で料理しましょうよ、せっかくだし」
「そうだね。カイを中心にやりますか」
「俺料理したことないけど頑張るぜ」
「怪我しないようにな」
「おう」
あらかじめ買ってきておいた食材。魚や肉、後は畑で採れた野菜。それに、色とりどりのフルーツなんかもあって、今日は豪勢な食事になりそうな予感。
ヤクモさんを見ると、不慣れながらも食材を切っていて、ハトリさんとスミレさんは意外にも慣れた手つきで進めていく。
私もカイさんに教わりつつ、皆とお話をしながら料理をしていく。
「楽しいですね」
「ん? まあ、そうだな。たまにはこうして皆で作業するのも悪くはないな」
「はいっ」
数十分後、テーブルの上にたくさんの出来立てほやほやの料理が並ぶ。
食材の大きさはバラバラで、カイさんの料理のように完璧っというわけにはいかないけれど、食欲をそそる匂いが部屋じゅうに充満してお腹が鳴る。
「初めてにしては上出来だな」
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「それは分かってるよ」
「でも、本当に美味しそうにできましたね」
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早速目の前にあるオムライスを口の中に入れると、トマトの酸味と卵の甘さがちょうどよく合っていてすごく美味しい。それに、ライスの方にはバジルを使っていて、その香りが全体に馴染んでいる。
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「うん、確かにうまい。このとうもろこしもうまいぞ。ちなみに俺が煮たんだぜ」
「煮ただけな」
「カイさん、それでもいいじゃないですかあ」
「まあ、ヤクモにしちゃ上出来だ」
ヤクモさんはぷうっと頬をふくらましつつ、顔はにやけていてとても誇らしそう。とうもろこしを食べると、今まで食べた中で一番というくらい甘くて、まるでおやつのようだった。
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