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いざ学校へ!

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 朝食を食べる間に考えているのは、言うまでもなくこの世界のことで、これがよく言われていた異世界転生? なんてことをぼんやり思い、いやいや、でもあれはファンタジーの世界でしょ! なんて1人ツッコミをするけど、実際にこうなってしまった状況下で完全に異世界のことを否定するのは馬鹿らしくなる。

「おまえ、大丈夫か? 朝からぼーっとして、昨日遅くまで起きてたんだろ」

 スープを飲んでいると、赤みがかったやつに話しかけられて

「そ、そんなことないし」

 と返すと

「まあ、偶には夜遅くまで置きたくなるものじゃないでしょうか。でも、ほどほどにしないといけませんよ」

 と、青みがかったやつの冷静な言葉が加わる。

 妹を見てみると、可愛らしい小さな口で、小さくちぎったパンを食べていて、5人はちらちらとその様子を見ている。

 イケメンに見られながらパンを食べる美少女、なんて稀な光景が、今まさに自分の前で繰り広げられていて、まるで自分の前だけに境界線が引かれているような気がして、一瞬だけもやっと霞がかかった。

「ねー、それよりさ、そろそろ時間だよ?」

「んー、たしかに」

「そろそろ行くか」

「そうですねっ、行きましょう」

 と、次々と椅子から立ち上がるみんなに合わせて、私も残りのパンを口の中に放り込んで鞄を持って6人のあとについていった。

 家を出ると広がる緑。

 緑、緑、緑。

 それは森、とかじゃなくて、芝生。

 あと、花が咲いている。

 ピンクや黄色、赤色に青色、いろんな色の花が至るところに咲いていて、見ているとその色鮮やかさに心が浮いてきて、空気を思い切り吸うと、草の匂いとか花の甘い匂いとか、気持ちのいい空気が入ってきた。

「はー、いい香り」

「そうだな! 確かにいい香りだ!」

 水色がかった髪のやつも同じように空気を吸っていて、息を吐き終わると私の方に顔を向けて「朝は清々しいな!」と、心を瞬時に鷲掴みする、それこそ爽やかな笑顔を向けてきた。

 どくん、と心臓が鳴った。

 ち、違うし。

 これは、顔があまりにもイケメンすぎるからだし。

 横顔を見ると、憎らしいほどに整っている。

 狼狽えながら歩いていると、目の前に巨大な建物が現れて、門のところには『パリス学園』とあった。

「じゃあ、私はあっちだから行きますね。お姉ちゃん、ぼーっとしすぎちゃだめだよ?」

「じゃあな!」

「頑張れよ」

「また夜に」

「じゃあね~」

 と、1人1人、まるでそれが儀式かのように言い合えると、妹はさっさと門の中へと入って行ってしまった。


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