白い瞳の猫

木芙蓉

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5章 自分という存在

自分の存在の薄さ

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 僕が紡ぐゼンの物語は僕と出会うところまでやってきた。此処からは実際に僕も見てきた世界が舞台だ。ゼンに僕はどういう存在として映っていたのだろう?周りの誰かの目線から見た世界を想像してみても、僕の存在は底にはなかった。


---草むらの中に1人の男の子だった。
 こんなところで何をしているのだろう?。その子は膝を抱えて座り込んでいる。どうやら一人ぼっちみたい。ボクと一緒だ。寂しそうで、哀しそうな顔をしている。あの子と同じ顔に見えた。
 この子と仲良くなりたいな。友達になりたいな。虐めてきたりしないよね?ちょっと怖いから、様子を見ていた。じっとこの男の子の事見ていたら、どんどん時間が経ってしまった。夜も遅くなってきてとても寒くなってきた。あそこ暖かそう・・・。少年が抱えてる膝と上半身の間に体を擦り付けていった。虐めてきたりしなかった。とても暖かかった。

 そこまで進めて僕は書き綴るのを辞めた。ひょっとしたら最初ゼンの視界に僕は入っていなかったんじゃないだろうか?あまりに寒くて暖を取りに来た先にたまたま僕がいただけじゃないのか。それなのに自分が美化されすぎていないか?次々と疑問、疑念が次々と湧いてきた。だが今は、1日の大半をゼンと過ごすようになっている。仲間と思っていてくれている筈だ。その2つの点がどうしても繋がらなかった。


 なるべくよく思われていたいし、それが無意識に働いていないんじゃないか?そこを疑い始めたら僕は何も想像できなくなってしまった。ゼンとの出会いの場面を一旦白紙に戻した。

 それから僕はその場面を想像しては打ち消し、想像しては打ち消しの繰り返しとなった。気が付けばあっという間に2週間が経とうとしていた。世間では夏休みが終わろうとしていた。

  
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