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第297話 平穏な3月4月
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3月9日のダリアの未来視。
アデルの動向に変更無し。新迷宮踏破は10月15日とバッチリ丸見え。
収穫皆無。人的被害甚大。装備や道具の大半ロストで泣きながら撤収。一旦西へ戻って再調整まで。
危険予知の輪と破滅の小石の探知具が完成。
危険予知はダリアに持たせ。探知具は光分析ゴーグルにオメアとクワンの加護を盛り盛りに掛け。ペリーニャの真贋の瞳を最大付与。それを装着して探索コンパスを回した所あっさり発見。
西の教団拠点に3個。ボルトイエガルの城に1個。それ以外には未発見。大した事は無かった。ボルトに行く用事は全く無いので持ち出されたら考察する。
3月12日。新聖女発表。
ノレリムは2月の帰国後に重篤な病が見付かったとして急遽引退。クワンジアへ帰国静養。
グリエル父ちゃんからピエールに感謝状が送られノレリムの待遇改善。それに伴い宮廷治癒師に就任。
スダカーンの事などスッカリ忘れてちゃんとした彼氏にも出会えてウッハウハの幸せ絶頂らしい。良かった。
少しだけ何の病気だったの?と噂に成ったが一時的な婦人病だと女神教団内で流し直ぐに消えた。嘘も方便。
ビエンコは1ヶ月停職処分とペリーニャへの直接謝罪で許された。
「私は二度と帰らぬ訳ではないのです。家族が居る故郷としてでは駄目なのでしょうか」
ペリーニャの涙の前に魂の土下座。
「私如きが大変なご迷惑とご心痛を。二度と邪な考えは持たぬと誓います。ペリーニャ様と教皇様。役職皆とスターレン様の関係者全ての方々にこの命と生涯を賭けて」
「有り難うビエンコ。これからも国と私たちの為に働いて下さい。ご自分の身と家族も大切に」
「ハハッ!!」
ノレリム引退後直ぐにモーランゼアのフラミナが抜擢。
元々選考時の第二候補者で且つ。正王ケイルガードと王妃カテリーヌの第三子。双子の姉の王女様。
宗派と家柄に文句無し。特出する能力も無し。敬虔な信者の象徴として両国満場一致で正式任命された。
下手に能力に拘るから誤解と欲が出るのだとの教訓を活かして。
-------------
三月十六日。ロルーゼから塵屑二匹がパージェント城へ届けられた。
身体があちこち痛いだとかトイレや風呂に入らせろとかギャーギャー喚いてる。
ジョゼとアローマと三人で登城。遠目から二匹を眺め。
「どうするジョゼ。話してみるか?俺はもうどうでも良くなった。クソ下らねえ」
「同意です兄様。あれでは…。話をした所で嫌な思い出が増えるだけ。記憶の欠片も無い。
私の両親は育ててくれた二人と隣家の二人。四人も居た幸せ者です。あれは偽物」
「代わりに隣家訪ねてみるか?」
「…良いのですか?勝手に訪ねても」
「行商としてなら越国は自由だ。解放された今ならな。明日転移して門外でギルドカード見せれば済む。俺とアローマは仮で作ってるしよ」
「はい。普通に本名で。もし止められても冒険者カードが有りますので黙らせます」
「心強いです。では言葉に甘えて明日行きましょう。私の故郷の町へ」
去年隊の皆で散々回ったロルーゼ。ジョゼの故郷ノルムの町も含めて。
陛下とミラン様に話をする気力が失せた。後はお好きにどうぞと告げ早々に退城。
商業ギルドで明日の手続き。マーレ嬢を誘い四人でウィンザートの東部地区。元スラム街を案内した。
「俺の過去なんて薄っぺらいもんだ。物心付いた頃から独りぼっち。嘗ての町の面影なんて欠片も無い。
メレスたちと出会ってなければここで死んでた。飛び出た仲間も今はメレスだけに成った。
毎日毎日魚釣って潜って。市場の塵箱から野菜の端切れや肉盗んで焚き火で焼いて食べる。良い思い出なんざ何一つ無い生活だった」
「兄様…」
「怒りや葛藤を打つける相手も。話を聞いてくれる真面な大人も居ない。寺院や教会の神官や神父や女官。誰も見向きもせず金金。都合良くやり捨てられる女男。
ロルーゼの奴隷商よりも酷い有様だった。逃げ出せた俺たちは運が良い。
国からも見捨てられたこの町を。訪ねてもいないのにたった二週足らずでぶっ壊して綺麗にしてくれた主とお嬢には感謝しか無い。
前世なんて関係ねえ。今の主に貰った仕事で忠義を尽くす。それが俺の全てだ」
「…私は恵まれてたんだね。それなのに馬鹿な男に引っ掛かってドジばかりで。御免為さい」
「良い思い出だけ残してティンダーと仲良くやれよ。下手糞な料理で殺す位なら外で惣菜買え」
「もう大丈夫ですぅ。ちゃんと食べられる物作れるように成ったよ。ミゼッタとリオーナが修正してくれて。本棟の料理長さんとラメル君にも褒められました。
ティンダーさんも美味しい美味しいって泣きながら食べてくれます」
「マジか!?」
こんな短期間で…。
アローマとマーレ嬢も心底驚き。
「じゃあ今度食わせてくれよ。何でもいいから」
「喜んで。事務棟のラメル君のランチに何か加えます。自部屋の冷蔵庫はお隣隊員家族に持って行かれて常に空なので別で食材買わないと…」
「そこまでか」
「兄様のお好きな物って何ですか?」
「あー…。甘ったるくなくて酸っぱくて辛い物なら何でも」
「広いですね…。解りました。今週末十九日のランチに来て下さい」
「おぉ自信満々だな。主にも声掛けて皆で行く」
「「参りましょう」」
「望む所です!」
この日は夕方までウィンザートをブラブラ。夕食代わりに王都のビフライトでティンダーも呼び付け焼肉デートをして解散。
十七は前日の四人でまんま観光。ジョゼの育ての親は俺が生き別れの兄だと告げると驚いた後に大喜びで持て成してくれた。食い切れない程の収穫野菜を貰って帰宅。
そして十九日の事務棟ランチ。
ラメルのメニューに加えられた物は。根菜と煎胡麻たっぷりの金平。揚げ茄子の辛酢味噌和え。
主二人とラメルと嫁二人他も大絶賛。モチ俺も。
「やっぱジョゼは化けると思ってた」
「うんうん。天才と非凡は紙一重て言うし。金平も前にチラッと教えただけなのに完璧に再現出来てる。記憶力も凄いわ」
「どーだ兄様。参ったか」
「ま、参りました」
「ジョゼ。来年オリオンのホテルの厨房立つ気無い?」
「うーんどうでしょう。子供の授かり次第ですかね。ティンダー隊が警備でミゼッタとリオーナもあちらへ行くと言っているので是非私もとは思うのですが」
「あぁそうね。それが有ったな」
「授かり物だからねぇ。断言は難しいか。でも自走車開通させるから引っ越さなくていいし。自由に動ける間だけでもお願い出来ない?」
「そうだったんですか!?てっきり揃って引っ越す物とばかり思ってました。でしたら前向きに。マリーシャ劇団の方は人手が一杯でお役御免状態なので何時でも」
「マッハリアから複数引き抜ければかなり中の人材が揃うな」
「良いですねぇ。良い流れです。態々探して回らなくても向こうから来てくれるこの状況。人が増えればメニューも増える。ラメル君のもちょっと貰えばコースも増やせる。
素晴らしい」
「成功の二文字しか見えないぜ」
主たちの理想だった露天風呂はアワーグラス併設の数組限定旅館の方で叶えるらしい。ホテル最上階の屋上にも作るそうだが自分たちで使うかは微妙だとか。
まあプレオープンの時だけでも。
-------------
3月20日。
スタルフたちフリューゲル家の一斉改信が発表された。
当然物議を醸したが反発は起きよう筈も無く。政治とは関係無い。忌まわしい過去と決別し。兄とその家族との良好な関係を築く為だと王様らしく発表したので直ぐに沈静化した。
3月25日。クワンの南西中央迷宮の調査が終了。
大型魔獣象の巣穴の1つの奥に入口を発見。神域視で大体30層前後。内部が天然宜しく複雑に入り組み。実際は30では済まないと。
途中途中で水没している箇所が多数。どの道ペッツ隊でなければスムーズには進行不能だった。
突入は中央2つ何方かに俺たちが飛び込んだと同時に開始する。
ピーカー君までは過剰なのでこちら側。カタリデが離れたくないと猛反対したのも有って。すっかり恋する乙女。
その流れで今後の方針を策定。
事務棟関係者を一挙に大会議室へ集め俺から。
「シュルツが成人を迎える6月以降。正確には新婚旅行シリーズが終わる8月以降。
この事務棟の支配人と副支配人を遠征に連れて行く。詰り待機班は設けない。
ここの管理は全てセントバさんとエルラダさんに一任。
セントバさんのサポートはモーリアとサイネル。
エルラダさんのサポートはジョゼ、ミゼッタ、リオーナとラメル君の嫁2人。メリリーは学舎の合間に余力有れば兼任お願い。
女性メンバーの懐妊が有ってもこれだけの人数を揃え両邸の侍女衆も借りられるなら問題はまず起きない。
9月以外の長期休みを何処に持って来るかは皆で相談して欲しい。予定表を上の2人何方かから提出を。
ダリアが兼任している内務仕事も手が離れた。
来年後半オリオンが開業すると大半が抜ける。しかしここの警備はぶっちゃけサイネルとクイネとラムネが居れば充分。補填はタツリケ隊も居る。城での選考は二の次。
ロロシュ邸はカーネギとゼファー。
カメノス邸はメメット隊とムンバイ隊が居ます。
セントバさんの代わりにサイネルを格上げ。エルラダさんが一人に成る間は自宅担当侍女衆に入って貰う。
寂しいのでメメットさんとモメットもこちらを兼任。余力時間でアルシェと室内デートし放題。
訓練棟で身体を動かすも良し。
オリオンと繋げる自走車。サイネルとトロイヤの転移で大人数少人数の移動も楽々。
遠征時の戦力過剰なんて知った事か。嫁に寂しい思いなどさせたくないし。俺が辛い!もう嫌だ離れたくない!
何か文句有りますか?ロロシュさんとカメノスさん」
「い、いや…。ここをどうするかは君の自由だ」
「ですな。年中空け放しでもない。タツリケ隊を越える者も早々現われそうにない。オリオンや各地への運搬はこれまで通りだ。何の文句も無い」
「有り難う御座います!もう独断と偏見で西大陸制覇まで突っ走ります!
来客予想のアデルは現在間抜けにもデリアガンザス山脈を横断中で年内は来ない。
一方何故かスリーサウジアに居るヤーチェ隊の10人が年内にここへ遊びに来そうな予感。
ちょいと腕が上がってるみたいなんでタツリケ隊全員で見極めて貰えますか?」
「ほぉ久々に骨の有る奴が来るな。俺たちも多様な模擬戦で経験を積んでいる。デニスとギークも呼んでサイネルとカーネギを一緒に鍛え直すか。
それを越えられるなら合格だ」
「逆にそれは見たいです。その時は帰ります。金は俺持ちでいいんで滞在延長させといて下さい」
「了解だとも」
大きなイベントが出来た。
だが当然あの2人は反対。
「私は嫌よ。会いたくない。西の遠征には入れないで。絶対に嫌」
「私も反対です!気持ち悪い」
「大丈夫だって。タツリケ隊に勝ったからって採用はしないよ。東の本命隊も出てないし。どうしてもと言うなら西以外に当らせる。ウィンキーとかボルトイエガルとかに。
2人に会わせろって当然言うだろうけど俺が責任以て断るし全力ソプランが阻止する」
「任せろ姐さん。マーレ嬢」
「ありがと。落ち着いたわ」
「安心しました…」
「ソプランがもし負けたらアローマとペリーニャ。次は俺でボッコボコにする。他はどの道過剰だからさ」
「うん…」
「お願いします」
ダリアが目を閉じ…頻りに首を捻る。
「ダリア?いやーな予感しかしないけど。見てる?」
「はい…。そのヤーチェ隊が何時来るかを。レイル様やスターレン様を辿って…。なのに…」
「なのに?」
「十月中旬予定の。私たちの身内式当日に…乗り込まれます」
「え?なんで?」
レイルだけでなく女子メンバーが悲鳴。
「止めてよ。冗談でしょ?」
「いえ…。何れだけ日程をズラしても。その当日にお祝いの花束を持って…現われます。丸でお祝い事が解るかのような道具を持っているとしか考えられません」
「嫌!一番嫌!スターレン。何とかして!」
「落ち着けレイル。俺を信じろ。狡賢さなら誰にも負けない!」
「信じる!」
信じられてしまった…。
「手としてはまたしても先手必勝。7月にペカトーレへ紫茸を貰いに行く時。スリーサウジアへ殴り込む。
第2に。クワン!ピーカー君連れて今直ぐ道具を奪い取り罵ってお祝いすら諦めろと伝えてくれ!」
「「了解です!」」
ソラリマを装備したクワンがピーカー君を搭載して消えた。
「どうかなダリア」
「来ません!式より三日後。私たちが拠点へ離脱した後にここへ来ます」
「勝った!」
「良かったぁ…」
タツリケ氏が静かに。
「十月か…。余裕も余裕。サイネル。地獄を見てみないか」
「…と申されますと?」
「簡単だ。魔力を枯渇寸前まで削り落とした状態で。負荷バンドを巻いた上。更に全身に重りを積んだ状態で戦い続ける。気絶しても気付け薬で強制的に起こす。極上の地獄を味わえるぞ?終わった後もな」
「それはちょっと…。スターレン様。濃い目の竜血剤を融通して貰えませんか」
「いいよ。それ遣る時声掛けて」
「はい…。拒否権は無しと」
「頑張って。サイネル様♡」内容を理解してないメリリーが応援。
「う、うん…。死なないように頑張るよ」
話終わりの3分後にクワンが帰還。
テーブルの上にピンク色の腕輪を置き。
「これです。祝いの記念日」
「ヤーチェ隊の皆が泣いてましたね。同情はしますが覗き見は犯罪だと全身に刻み込みました。現地に良い傷薬が有るので死にはしません」
「善良な道具も使い方を誤るとこう成ると言う良い教訓だ。2人共有り難う」
「「楽勝です!」」
ヤーチェ隊の模擬戦は見られなくなったが大満足で今後の方針会議を終えた。
-------------
4月1日。
勇者米?田植え。今年から田んぼを2つに拡張。
モーランゼアで今年の巨峰ワインを購入。一部を開けて試飲で豊作祈願。2本は黒竜様への献上用。
今年も良い味。昨年と一昨年の中間のような味わい。
シュルツも少し飲んでこれなら飲めますと燥いでいた。
4月8日9日に恒例のお花見。
1本ずつ枝を取り。細い杉の切り株を隣に設置し移植接着を施した。来年以降のお楽しみ…と思っていたらレイルとクワンとオメアが一瞬で成長させ満開桜が4本に成ってしまった。
それ以上は止めてとお願いしてまた来年。
4月21日。晩餐会の招待4国の返信が出揃う。
ラザーリア開催時との変更点はアッテンハイムの新聖女フラミナとロルーゼの第一王妃カレリナの参加。新王は忙し過ぎて今は動けず。
自分は全く覚えてないがフラミナとはモーランゼアのハーメリン城での宴会時に会っている模様。久々にお会い出来るのを楽しみにして居りますとの短いファンレターが添えられていた。
「フィーネは覚えてる?」
「全然記憶に無いです。そして嫌な予感がバリバリです」
「流石に断るよ。王女聖女様だよ?幾ら何でも無理無謀。交代したばっかでアッテンハイムでしっかり教育受けてるだろうし」
「信じます…」
フィーネを抱き締め。
「信じて。今後は厳しく行くから。ノレリムの時みたいにビシッと」
「うん♡」
4月27日。招待国の送迎ツアー。
五国会合の続きを行う為に例年よりも前倒し。大きな議題が挙がれば5月2日以降も少し延長戦。
一通り終われば合同国内観光ツアーも少々。
城内に在る歓待用宿舎6棟に割り振り余裕で招待完了。
そして始まる会合からの品評会、晩餐会、大劇場観劇。
今年はどんな演目の衝撃が飛び出すのやら。
アデルの動向に変更無し。新迷宮踏破は10月15日とバッチリ丸見え。
収穫皆無。人的被害甚大。装備や道具の大半ロストで泣きながら撤収。一旦西へ戻って再調整まで。
危険予知の輪と破滅の小石の探知具が完成。
危険予知はダリアに持たせ。探知具は光分析ゴーグルにオメアとクワンの加護を盛り盛りに掛け。ペリーニャの真贋の瞳を最大付与。それを装着して探索コンパスを回した所あっさり発見。
西の教団拠点に3個。ボルトイエガルの城に1個。それ以外には未発見。大した事は無かった。ボルトに行く用事は全く無いので持ち出されたら考察する。
3月12日。新聖女発表。
ノレリムは2月の帰国後に重篤な病が見付かったとして急遽引退。クワンジアへ帰国静養。
グリエル父ちゃんからピエールに感謝状が送られノレリムの待遇改善。それに伴い宮廷治癒師に就任。
スダカーンの事などスッカリ忘れてちゃんとした彼氏にも出会えてウッハウハの幸せ絶頂らしい。良かった。
少しだけ何の病気だったの?と噂に成ったが一時的な婦人病だと女神教団内で流し直ぐに消えた。嘘も方便。
ビエンコは1ヶ月停職処分とペリーニャへの直接謝罪で許された。
「私は二度と帰らぬ訳ではないのです。家族が居る故郷としてでは駄目なのでしょうか」
ペリーニャの涙の前に魂の土下座。
「私如きが大変なご迷惑とご心痛を。二度と邪な考えは持たぬと誓います。ペリーニャ様と教皇様。役職皆とスターレン様の関係者全ての方々にこの命と生涯を賭けて」
「有り難うビエンコ。これからも国と私たちの為に働いて下さい。ご自分の身と家族も大切に」
「ハハッ!!」
ノレリム引退後直ぐにモーランゼアのフラミナが抜擢。
元々選考時の第二候補者で且つ。正王ケイルガードと王妃カテリーヌの第三子。双子の姉の王女様。
宗派と家柄に文句無し。特出する能力も無し。敬虔な信者の象徴として両国満場一致で正式任命された。
下手に能力に拘るから誤解と欲が出るのだとの教訓を活かして。
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三月十六日。ロルーゼから塵屑二匹がパージェント城へ届けられた。
身体があちこち痛いだとかトイレや風呂に入らせろとかギャーギャー喚いてる。
ジョゼとアローマと三人で登城。遠目から二匹を眺め。
「どうするジョゼ。話してみるか?俺はもうどうでも良くなった。クソ下らねえ」
「同意です兄様。あれでは…。話をした所で嫌な思い出が増えるだけ。記憶の欠片も無い。
私の両親は育ててくれた二人と隣家の二人。四人も居た幸せ者です。あれは偽物」
「代わりに隣家訪ねてみるか?」
「…良いのですか?勝手に訪ねても」
「行商としてなら越国は自由だ。解放された今ならな。明日転移して門外でギルドカード見せれば済む。俺とアローマは仮で作ってるしよ」
「はい。普通に本名で。もし止められても冒険者カードが有りますので黙らせます」
「心強いです。では言葉に甘えて明日行きましょう。私の故郷の町へ」
去年隊の皆で散々回ったロルーゼ。ジョゼの故郷ノルムの町も含めて。
陛下とミラン様に話をする気力が失せた。後はお好きにどうぞと告げ早々に退城。
商業ギルドで明日の手続き。マーレ嬢を誘い四人でウィンザートの東部地区。元スラム街を案内した。
「俺の過去なんて薄っぺらいもんだ。物心付いた頃から独りぼっち。嘗ての町の面影なんて欠片も無い。
メレスたちと出会ってなければここで死んでた。飛び出た仲間も今はメレスだけに成った。
毎日毎日魚釣って潜って。市場の塵箱から野菜の端切れや肉盗んで焚き火で焼いて食べる。良い思い出なんざ何一つ無い生活だった」
「兄様…」
「怒りや葛藤を打つける相手も。話を聞いてくれる真面な大人も居ない。寺院や教会の神官や神父や女官。誰も見向きもせず金金。都合良くやり捨てられる女男。
ロルーゼの奴隷商よりも酷い有様だった。逃げ出せた俺たちは運が良い。
国からも見捨てられたこの町を。訪ねてもいないのにたった二週足らずでぶっ壊して綺麗にしてくれた主とお嬢には感謝しか無い。
前世なんて関係ねえ。今の主に貰った仕事で忠義を尽くす。それが俺の全てだ」
「…私は恵まれてたんだね。それなのに馬鹿な男に引っ掛かってドジばかりで。御免為さい」
「良い思い出だけ残してティンダーと仲良くやれよ。下手糞な料理で殺す位なら外で惣菜買え」
「もう大丈夫ですぅ。ちゃんと食べられる物作れるように成ったよ。ミゼッタとリオーナが修正してくれて。本棟の料理長さんとラメル君にも褒められました。
ティンダーさんも美味しい美味しいって泣きながら食べてくれます」
「マジか!?」
こんな短期間で…。
アローマとマーレ嬢も心底驚き。
「じゃあ今度食わせてくれよ。何でもいいから」
「喜んで。事務棟のラメル君のランチに何か加えます。自部屋の冷蔵庫はお隣隊員家族に持って行かれて常に空なので別で食材買わないと…」
「そこまでか」
「兄様のお好きな物って何ですか?」
「あー…。甘ったるくなくて酸っぱくて辛い物なら何でも」
「広いですね…。解りました。今週末十九日のランチに来て下さい」
「おぉ自信満々だな。主にも声掛けて皆で行く」
「「参りましょう」」
「望む所です!」
この日は夕方までウィンザートをブラブラ。夕食代わりに王都のビフライトでティンダーも呼び付け焼肉デートをして解散。
十七は前日の四人でまんま観光。ジョゼの育ての親は俺が生き別れの兄だと告げると驚いた後に大喜びで持て成してくれた。食い切れない程の収穫野菜を貰って帰宅。
そして十九日の事務棟ランチ。
ラメルのメニューに加えられた物は。根菜と煎胡麻たっぷりの金平。揚げ茄子の辛酢味噌和え。
主二人とラメルと嫁二人他も大絶賛。モチ俺も。
「やっぱジョゼは化けると思ってた」
「うんうん。天才と非凡は紙一重て言うし。金平も前にチラッと教えただけなのに完璧に再現出来てる。記憶力も凄いわ」
「どーだ兄様。参ったか」
「ま、参りました」
「ジョゼ。来年オリオンのホテルの厨房立つ気無い?」
「うーんどうでしょう。子供の授かり次第ですかね。ティンダー隊が警備でミゼッタとリオーナもあちらへ行くと言っているので是非私もとは思うのですが」
「あぁそうね。それが有ったな」
「授かり物だからねぇ。断言は難しいか。でも自走車開通させるから引っ越さなくていいし。自由に動ける間だけでもお願い出来ない?」
「そうだったんですか!?てっきり揃って引っ越す物とばかり思ってました。でしたら前向きに。マリーシャ劇団の方は人手が一杯でお役御免状態なので何時でも」
「マッハリアから複数引き抜ければかなり中の人材が揃うな」
「良いですねぇ。良い流れです。態々探して回らなくても向こうから来てくれるこの状況。人が増えればメニューも増える。ラメル君のもちょっと貰えばコースも増やせる。
素晴らしい」
「成功の二文字しか見えないぜ」
主たちの理想だった露天風呂はアワーグラス併設の数組限定旅館の方で叶えるらしい。ホテル最上階の屋上にも作るそうだが自分たちで使うかは微妙だとか。
まあプレオープンの時だけでも。
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3月20日。
スタルフたちフリューゲル家の一斉改信が発表された。
当然物議を醸したが反発は起きよう筈も無く。政治とは関係無い。忌まわしい過去と決別し。兄とその家族との良好な関係を築く為だと王様らしく発表したので直ぐに沈静化した。
3月25日。クワンの南西中央迷宮の調査が終了。
大型魔獣象の巣穴の1つの奥に入口を発見。神域視で大体30層前後。内部が天然宜しく複雑に入り組み。実際は30では済まないと。
途中途中で水没している箇所が多数。どの道ペッツ隊でなければスムーズには進行不能だった。
突入は中央2つ何方かに俺たちが飛び込んだと同時に開始する。
ピーカー君までは過剰なのでこちら側。カタリデが離れたくないと猛反対したのも有って。すっかり恋する乙女。
その流れで今後の方針を策定。
事務棟関係者を一挙に大会議室へ集め俺から。
「シュルツが成人を迎える6月以降。正確には新婚旅行シリーズが終わる8月以降。
この事務棟の支配人と副支配人を遠征に連れて行く。詰り待機班は設けない。
ここの管理は全てセントバさんとエルラダさんに一任。
セントバさんのサポートはモーリアとサイネル。
エルラダさんのサポートはジョゼ、ミゼッタ、リオーナとラメル君の嫁2人。メリリーは学舎の合間に余力有れば兼任お願い。
女性メンバーの懐妊が有ってもこれだけの人数を揃え両邸の侍女衆も借りられるなら問題はまず起きない。
9月以外の長期休みを何処に持って来るかは皆で相談して欲しい。予定表を上の2人何方かから提出を。
ダリアが兼任している内務仕事も手が離れた。
来年後半オリオンが開業すると大半が抜ける。しかしここの警備はぶっちゃけサイネルとクイネとラムネが居れば充分。補填はタツリケ隊も居る。城での選考は二の次。
ロロシュ邸はカーネギとゼファー。
カメノス邸はメメット隊とムンバイ隊が居ます。
セントバさんの代わりにサイネルを格上げ。エルラダさんが一人に成る間は自宅担当侍女衆に入って貰う。
寂しいのでメメットさんとモメットもこちらを兼任。余力時間でアルシェと室内デートし放題。
訓練棟で身体を動かすも良し。
オリオンと繋げる自走車。サイネルとトロイヤの転移で大人数少人数の移動も楽々。
遠征時の戦力過剰なんて知った事か。嫁に寂しい思いなどさせたくないし。俺が辛い!もう嫌だ離れたくない!
何か文句有りますか?ロロシュさんとカメノスさん」
「い、いや…。ここをどうするかは君の自由だ」
「ですな。年中空け放しでもない。タツリケ隊を越える者も早々現われそうにない。オリオンや各地への運搬はこれまで通りだ。何の文句も無い」
「有り難う御座います!もう独断と偏見で西大陸制覇まで突っ走ります!
来客予想のアデルは現在間抜けにもデリアガンザス山脈を横断中で年内は来ない。
一方何故かスリーサウジアに居るヤーチェ隊の10人が年内にここへ遊びに来そうな予感。
ちょいと腕が上がってるみたいなんでタツリケ隊全員で見極めて貰えますか?」
「ほぉ久々に骨の有る奴が来るな。俺たちも多様な模擬戦で経験を積んでいる。デニスとギークも呼んでサイネルとカーネギを一緒に鍛え直すか。
それを越えられるなら合格だ」
「逆にそれは見たいです。その時は帰ります。金は俺持ちでいいんで滞在延長させといて下さい」
「了解だとも」
大きなイベントが出来た。
だが当然あの2人は反対。
「私は嫌よ。会いたくない。西の遠征には入れないで。絶対に嫌」
「私も反対です!気持ち悪い」
「大丈夫だって。タツリケ隊に勝ったからって採用はしないよ。東の本命隊も出てないし。どうしてもと言うなら西以外に当らせる。ウィンキーとかボルトイエガルとかに。
2人に会わせろって当然言うだろうけど俺が責任以て断るし全力ソプランが阻止する」
「任せろ姐さん。マーレ嬢」
「ありがと。落ち着いたわ」
「安心しました…」
「ソプランがもし負けたらアローマとペリーニャ。次は俺でボッコボコにする。他はどの道過剰だからさ」
「うん…」
「お願いします」
ダリアが目を閉じ…頻りに首を捻る。
「ダリア?いやーな予感しかしないけど。見てる?」
「はい…。そのヤーチェ隊が何時来るかを。レイル様やスターレン様を辿って…。なのに…」
「なのに?」
「十月中旬予定の。私たちの身内式当日に…乗り込まれます」
「え?なんで?」
レイルだけでなく女子メンバーが悲鳴。
「止めてよ。冗談でしょ?」
「いえ…。何れだけ日程をズラしても。その当日にお祝いの花束を持って…現われます。丸でお祝い事が解るかのような道具を持っているとしか考えられません」
「嫌!一番嫌!スターレン。何とかして!」
「落ち着けレイル。俺を信じろ。狡賢さなら誰にも負けない!」
「信じる!」
信じられてしまった…。
「手としてはまたしても先手必勝。7月にペカトーレへ紫茸を貰いに行く時。スリーサウジアへ殴り込む。
第2に。クワン!ピーカー君連れて今直ぐ道具を奪い取り罵ってお祝いすら諦めろと伝えてくれ!」
「「了解です!」」
ソラリマを装備したクワンがピーカー君を搭載して消えた。
「どうかなダリア」
「来ません!式より三日後。私たちが拠点へ離脱した後にここへ来ます」
「勝った!」
「良かったぁ…」
タツリケ氏が静かに。
「十月か…。余裕も余裕。サイネル。地獄を見てみないか」
「…と申されますと?」
「簡単だ。魔力を枯渇寸前まで削り落とした状態で。負荷バンドを巻いた上。更に全身に重りを積んだ状態で戦い続ける。気絶しても気付け薬で強制的に起こす。極上の地獄を味わえるぞ?終わった後もな」
「それはちょっと…。スターレン様。濃い目の竜血剤を融通して貰えませんか」
「いいよ。それ遣る時声掛けて」
「はい…。拒否権は無しと」
「頑張って。サイネル様♡」内容を理解してないメリリーが応援。
「う、うん…。死なないように頑張るよ」
話終わりの3分後にクワンが帰還。
テーブルの上にピンク色の腕輪を置き。
「これです。祝いの記念日」
「ヤーチェ隊の皆が泣いてましたね。同情はしますが覗き見は犯罪だと全身に刻み込みました。現地に良い傷薬が有るので死にはしません」
「善良な道具も使い方を誤るとこう成ると言う良い教訓だ。2人共有り難う」
「「楽勝です!」」
ヤーチェ隊の模擬戦は見られなくなったが大満足で今後の方針会議を終えた。
-------------
4月1日。
勇者米?田植え。今年から田んぼを2つに拡張。
モーランゼアで今年の巨峰ワインを購入。一部を開けて試飲で豊作祈願。2本は黒竜様への献上用。
今年も良い味。昨年と一昨年の中間のような味わい。
シュルツも少し飲んでこれなら飲めますと燥いでいた。
4月8日9日に恒例のお花見。
1本ずつ枝を取り。細い杉の切り株を隣に設置し移植接着を施した。来年以降のお楽しみ…と思っていたらレイルとクワンとオメアが一瞬で成長させ満開桜が4本に成ってしまった。
それ以上は止めてとお願いしてまた来年。
4月21日。晩餐会の招待4国の返信が出揃う。
ラザーリア開催時との変更点はアッテンハイムの新聖女フラミナとロルーゼの第一王妃カレリナの参加。新王は忙し過ぎて今は動けず。
自分は全く覚えてないがフラミナとはモーランゼアのハーメリン城での宴会時に会っている模様。久々にお会い出来るのを楽しみにして居りますとの短いファンレターが添えられていた。
「フィーネは覚えてる?」
「全然記憶に無いです。そして嫌な予感がバリバリです」
「流石に断るよ。王女聖女様だよ?幾ら何でも無理無謀。交代したばっかでアッテンハイムでしっかり教育受けてるだろうし」
「信じます…」
フィーネを抱き締め。
「信じて。今後は厳しく行くから。ノレリムの時みたいにビシッと」
「うん♡」
4月27日。招待国の送迎ツアー。
五国会合の続きを行う為に例年よりも前倒し。大きな議題が挙がれば5月2日以降も少し延長戦。
一通り終われば合同国内観光ツアーも少々。
城内に在る歓待用宿舎6棟に割り振り余裕で招待完了。
そして始まる会合からの品評会、晩餐会、大劇場観劇。
今年はどんな演目の衝撃が飛び出すのやら。
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