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第294話 デリアガンザス大山脈地質調査
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11月に入り。連日のプール遊びでは王族3人娘が際どい水着に戻ったが平常心を保てるようにまで俺たち男は成長した。
見慣れたと言っても良い。
3人のポロリも拝めた。有り難い限りで。
泳力向上で動きが激しく成れば当然そう成りますよと。
反省したのかその次からは安全水着に固定化された。
キスのお強請りも無くなりやっと安心。
その代わりフィーネのご奉仕が3人に成ったらしい。
更衣室や城の茶会終わりの私室にて。
11月5日の夜からシュルツも一緒に女子会が開催。
ロープを悪用する事無く。純粋に愛を育めるように成長したそうでホッと胸を撫でた。
エルラダ先生を自宅へ招いたが何事も無く。起こさずに夕食を共にお喋りして解散。過去は過去。善き思い出。
メメットさんが実は甘えん坊だと聞き爆笑した。
翌週12日の夜から秘密の宴。
改めてアローマと嫁2人に謝罪と精一杯の愛を注いだ。
「私たちしか愛さない。そうお答え頂きたいのです。直接来られた方をお断りするのは殿方のお役目。
その面で同性に横槍を入れられると憎悪に変わる。それが女心と言う物です。セティ様。ソプラン」
「はい…。深く反省して居ります。激甘だったと。厳しく行かなきゃいけないのに。有り難う。目が覚めたよ」
「俺は厳しめだと思ってたが…。根本から改める」
「宜しくお願い致します」
まだまだ俺たちは発展途上。
15日にデリアガンザス山脈の地質調査に向けての打ち合わせ。
クワンのクワンジア側の調査報告では全然上辺を掘ってるだけで東西に走る地下空洞まで到達する気配は無し。
地図を描き起こして1年は余裕だと皆で判断。
11月16日午前にアッテンハイムの教皇邸へ。
フィーネとペリーニャと3人でグリエル父ちゃんに挨拶へお伺い。
「お父さん。最近山登りに目覚めたんでデリアガンザスの調査をしたいんですが良いですか?」
「お…。その呼び方は止めてくれないか。話の前に」
「じゃあ父ちゃん。ちょっとハイキングしても良いよね」
フランクに。
「お父さんに戻せ!調査は構わんが…深い渓谷ばかりで山に入るのも一苦労だぞ」
「ロープが有るので余裕です。適度な登山口が見付かればそこから」
「成程。まあ良いか。護衛も不要だしな」
あっさり許可取得。
話終わりにペリーニャが。
「新聖女の公募はどうなりました?連れ戻されるのではないかと毎日不安で」
「そんな事はせん。戻そうと思ってもスターレンから奪える訳が無い。
公募はノレリムと言う治癒術に長けたクワンジア出身の冒険者に内定した。他に有力な人物も居なくて満場一致で本決まり。年明けに発表する流れだ」
「「「おぉ~」」」
知ってました。
お土産を置いて帰り掛けに反抗期を過ぎて一段と生意気に成ったグラハム君をペリーニャが転がし。存分に泣かして退出。
ゼノン隊の面々やモーツァレラ卿の屋敷を訪ねてお見舞いに寄ったりも。元気そうで良かった。
俺たちは初訪問の振りをして。過去を失っても人は前へ進めると知れた。
ノレリムとは来年の会合で新聖女として会う事に成りそうな予感。ゼノン隊が護衛なら冷かすのも悪くない。
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ダリアの未来視では調査段階で異常は起こらず気楽なハイキング模様。
ビッグベアの空刃を素手で弾き返し戯れ遊び森を南下。
大きな渓谷を3つ越え。安全地帯を見付けコテージで野営しつつ7千m級の尾根を讃えた山嶺を見上げる麓の平野部で。
そこから西に直進。クワンジアの国境壁の南端が10km圏内に差し掛かった所から山脈に向かって南下。
地表に魔物の類は居ない。普通の獣や野鳥や昆虫が棲まう大自然が広がる樹海。
「あ!」
「何か見付けた?」
周囲を散策していたフィーネと後ろのメンバーが集まる。
「見付けた。茸の宝庫」
「おぉ!目的違うけど嬉しい誤算♡」
ここはアッテンハイム領内。俺たちは教皇の家族。詰り採り捲っても問題無し。
冒険者も来ない場所と来ればもうやるのは茸狩り。
目的なんてどうでも良い。鑑定具を駆使して皆で採って採って採り放題。
松茸、えのき茸、椎茸、舞茸、ぶな占地、エリンギ。
滑子に木耳。食用茸が略全部。
新種では松茸を凌駕する香茸。滋養強壮効果の高い薬茸。
紫茸は無かったが来年の7月に期待大。
近場の開けた場所に幾つか目印を設置。
動物たちのご飯にも成るので撮り尽くさずに3割程度。
それでも有り余ってお土産も確保。直ぐ様BBQ&豚バラ肉と山菜茸の鍋パを緊急開催。
新種2品は網焼きでも鍋でも合う独特な味わいで酒が進む進む。
薬茸の効果で男女問わず一晩中凄い事に。
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我も忘れて交わり続けた2日後18日の昼過ぎ。
「えー皆様。2日間寝てないのに全然眠くない。正直下の愚息が最高潮のまま」
「今言わないでスタンさん…」
女子全員が下腹部を押えながら何かに耐えている。
腹痛ではない何かを。
全員何時ものバスローブ姿で。
「苦しいですがこれ以上調査をせずに滞在していると。帰ってからまた待機班に怒られます。いや寧ろダリアが激怒しているかも。
どうかねソプラン君。収まりそうかね」
「かなりヤバいが仕方ねえ。普通に外の涼しい風当ってりゃ収まると思う」
レイルが悲鳴。
「駄目よスターレン…。二人のが欲しくて堪らないの。もう一泊。もう一泊だけお願い」
何て甘い誘惑だ!
「苦しい…。あぁ無理。もう駄目。理性が有る内に全ての薬茸を仕分けてバッグの中に入れて仕舞おう」
「お、おぉ賛成だ。ズボンの中に納まり切らねえわ」
全員立ち上がって一旦料理類のお片付けから延長戦が始まった。と言うか止められなかった。
19日の昼過ぎ。
「えーやっとこさ心が静まり。昨晩はグッスリ眠れました。下も平常に戻って一安心」
「私も。物凄いスッキリ感。昨日出発しなくて正解。多分真面に歩けなかったもん」
皆が大きく頷いた。
「ここで得られた薬茸は勝手ながら秘匿。誰かが見付けるまで放置とします。
バッグの中の物は次の秘密の宴まで温存。自宅でも食べられません。恐らくですが新種の香茸との相乗効果で爆発的に性能が上がっている模様。食べ方も良ーく考えて次回に備えましょう」
「はい。仕事もせず自宅に籠るなんて出来ません。シュルツが成人してないのに…」
「後7ヶ月。本人よりも俺たちの方が辛く成って来ましたが今一度気持ちを引き締め直し。掃除風呂着替えてお外に出ます」
「はい!」
副隊長の気合いのお返事で皆一斉に動き出した。
約1時間で北側山嶺麓に到着。まだ麓でもかなり涼しい。
身体は芯からポッカポカで風邪知らず。
分散して本格調査を開始。
自分とペッツだけコテージ内に残り双眼鏡で地下マップを作成。
「グーニャ。山嶺方面から魔物の気配するか?」
「んーーー。正直上ばかりで地下からは何も感じないニャ」
「そか。クワン最近角馬や天馬に挨拶しに行った?」
「昨日の宴中に行きました。え!?地下に迷宮?そんなの在るのかな?と口々に。最年長の天馬も知らないと。山脈全域上から掠いましたが洞窟らしい縦穴横穴は何も見えずです。ここも季節が関係している気がしますね」
「今じゃないのかなぁ。中央全部夏場狙い。ここなら中腹よりも下側。それとも山脈は違う…とか。うーむ」
地下を双眼鏡で奥まで覗いても。
「双眼鏡で確かにクワンジア側に繋がる東西空洞は点在してる。でも繋がってない。水脈も有るから地下深くで繋がってそうな気も」
「北側じゃないかもですニャ。中部から南側。南海から回り込めば穴掘り関係無いのでは?」
「おーそれ盲点。そっか海からか。だったら何時でも行けるし国とか関係無しに潜れるな」
グーニャを膝に乗せ撫で回し。
「また潮の満ち引きが有るかも知れない。こっち側の調査とハイキング終わったらスタフィー号でラフドッグから回り込もう。クワンは適当に沿岸部覗いてみて。楽しみ減るからまだいいぞ」
「了解!」
クワンは抱っこして背中と首を撫で撫で。
夕方全員外から戻った所でグーニャの考察をお話。
「あー成程ねぇ。鉱脈とは関係無いのかぁ」
地下マップも広げて。
「こっち側の地下空洞にはそれっぽい物も魔物も全然見えないから可能性はかなり高い」
「スタフィー号入手した頃にスタンさんも言ってたもんね。海側の方が登り易いかもって」
「うんうん。明日見付けてくれた2箇所ハイキングしてラフドッグへと参りましょうか」
「賛成。他の人は?もう少しこっち側じっくり見た方が良いよとか」
ソプランが難しい顔で。
「何か有るって感じはしねえが調べるだけ調べてもいい気がする。小型コテージ置いて半々で両側からとかよ。
もしかしたら北側から南部まで抜けられそうな洞窟在るかも知れねえし。上から見えてない物が」
「それも有りかな…。行ったり来たりする手間考えると。とりま明日散策しながら夜に相談しよう」
「そうね。まだ全然焦る時間じゃないわ」
20日の昼間は徹底ハイキング。
西ルートは行き止まりぽい谷間。
東ルートは小山を越えて中部方面へ抜けられそう。
「どっちも脈有りかも。と言うか普通にハイキングとして面白そう」
「北と南に分けるよりもここで2手に分かれて調査の方が良くない?ソプランの言う通り」
「そうすっか。こっちを切り捨てるには早いよな」
結論を急いで得する事は何も無い。
全員の総意で北側調査で決定。何なら飛べるし。
21日班分け別行動。
例の物に接近したら非常に拙いので西ルートは自分とブラン装備のペリーニャとロイドとグーニャ。東は残り全員。
フィーネから借りた腕輪ライトを装着した上で谷底や岩陰や水溜りや小川を重点探索。
片眼鏡でも特別反応無し。
「なあカタリデ。放射線て識別出来たりは」
「無茶言うな。Xだろうがγだろうが無理よ。光源異常が局所で溜まってたりすれば見えるかも」
「無理かぁ。ガイガーカウンター作ってみるかな」
「ベルの最終巻に載ってなかったんじゃ?」
「組み合わせれば似た様な物は作れそう。さっき言ってくれた光源異常関係の鑑定具として」
「あーそれなら脈有りかもね。地下だけに」
後ろの2人とグーニャには理解不能。
「お二人が何を話されているのか」
「さっぱり理解不能です」
「難しいですニャ。何か感じるまで寝ますニャン」
そう言ってロイドの胸の谷間に潜った。
ここが谷間だけに。なんちて。
感じられるかも疑わしいが異常を感じたら即座にブランを展開しようと話しているとピーカー君が提案。
「エラルズで使ったゴーグルを改造しても良いですか?」
「お?作れそう?」
「ダーリンのお試し?」
「遣ってみないと解りません。金属加工も可能と成ったのでマウデリンチップをもう一枚。追加で僕の無属性を付与してみたらと浮かびました」
「「「「「おぉ~」」」」」
人型とカタリデとグーニャが驚嘆。
バッグから外に出て。大きめの岩の上でグラサンゴーグルにマウデリンチップを載せ。向き合うピーカー君をその場の皆で見守った。
考察時間は数分。ふむふむと頷き。鬣から白銀の触手を出して目の前の2つの追加工を開始。
作業時間は約3分。施工品の形のベースは何も変わらないがグラス部の濃い黒が薄灰色に戻された。
「試着してみて下さい。スターレン様」
「おけ。なんか緊張するな」
恐る恐る装着。
「おぉ!」
それは理想としていたゴーグル版ガイガーカウンターそのもので。
「見える…。光の成分が数値化されて」
「うっそ。凄いよダーリン。キス出来ないのが辛い!」
「光栄です。それは何時かの楽しみに。僕もカタリデ様を抱き締められないのが辛いです」
「うん…。ごめん。欲張り過ぎたわ。気長に気長に」
今は辛い幸せな未来を想い合う。
俺たちも胸が痛んだ。無関心のグーニャ以外は…。
「追加工の目的は光の分析と解析。そして遮断。スターレン様がご心配されていた身体に害を為す自然照射光。
まずそれを装着者の周囲から遮断する領域を展開。
その領域まで達した光を分析し解析。数値化する仕組みを目指しました」
「凄い…。防御までこれ1つ。シュルツと同じく天才だったわピーカー君…」
「馴染み深い赤外線や紫外線。鉱泉水が僅かに放つラジウム線。そちらに近しい物ではないかと考え付与しました」
「正解です。見たいのはまんまそっち側」
「無属性領域であれば。懸念されている兵器の素材であったとしてもスターレン様の認識内には置かれず。その存在自体をこの世界から抹消する事も可能かと」
「…もう言葉も無いっす。有り難う」
ピーカー君を抱え上げ。カタリデの分まで撫で回して皆で讃えた。
「それが実用出来たなら。見付けるのが困難な破滅の小石を探索コンパスで発見出来る糸口に成るのではと考えます。例えばペリーニャ様の真贋の瞳を駆使して」
「あぁ…。やっと私だけの出番が…」
ペリーニャもピーカー君を抱き締めて頬擦り。
そこまで先を読んで…。カタリデの前に俺がキスしたい。
それは止めましょう。フウが泣いてしまいます。
遣りません。冗談で御座います。
「他にも転用出来そうだな。帰ったらシュルツとも相談してみよう。多方面に」
「はい!」
改めて谷間周辺を探索。結果異常成分は検出されず。代わりに中部方面へ抜けられる獣道が見付かった。
その日の夕方。探索を終えた報告会。
夕食は10月に収穫されたロロシュ邸内の勇者米?に山菜と茸(薬茸除き)のかき揚げを載せた山菜丼で舌鼓。
大満足した所で調査結果報告。
ピーカー君が改造したゴーグルの性能と今後の展望を説明した上で西ルートの奥に獣道が発見されたと。
東ルートはソプランから。
「そっち凄えな。こっちの収穫は多くはない。東の奥地には切立った岩壁。ざっと五百m。そこを無理矢理乗り越えた先に天然野草が生い茂ったゾーン。小さな湖と小川。更に南に滝と急流川が形成されてた。そこを辿れば中部方面の山に打つかる。
まんま見晴しの良い観光地の箱庭だな」
「あぁいいな。俺も見たい」
「明日も延長して皆で行こうよ。野草の中にモロヘイヤとか小松菜とかほうれん草とかも見えたし。…紫色の薔薇も群生してたの」
東班の女性陣がほんのり朱く。西班の2人にも伝染。
「スタンさんに鑑定して欲しいなぁ…なんて」
「あぁそっちね。解った。この際とことんこっち側の調査をしよう。景色を楽しみながらのハイキング」
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11月22日。朝から東ルートを調査観光。
早速箱庭園の野草地帯をスルーし。女子立っての希望で薔薇園へ直行。
小規模の湖の畔。その一角の開けた場所。そこから見渡せる山々の景色も絶景で。
「ファフにも見せたいな。ここ」
隣のロイドが。
「きっと喜びますね。真冬に移る前にでも」
多分枯れてしまうだろうと。
紫の天然薔薇を一輪摘み詳しく触診鑑定。
パープルローズ亜種。
世界の何処かに在るダークローズ亜種との高い相乗効果が見込める。オイルの粘度、保湿、持続性上昇。殺菌性に優れ女性同士の気分を高揚させ不変の愛を育める。
当然異性間でも安全使用可能。何処まででも溶けてしまうが良いさ。
「…」
女性陣が無言で抱き合い喜びを体現。
「まだ続きが有るな」
世界の何処かに在るピンクローズ亜種と3種掛け合わせると世にも珍しい彩色を示す可能性有。オイルの相乗効果はダークローズが起点で2種間のみに適応する。
「おぉピンクローズ見付ければ完全ブルー行けるかも。紫に黒にピンクでそう成るかは解らんけど」
「まだピンクが在るんだね」
「モーランゼア。アッテンハイム。大陸西部に集中。世界の何処かと言いながら中央大陸ぽいな。内陸小国群だとかさ」
「有りそう。中回ったのなんて極一部だけだし」
「だな。クワン。ウンチしたくない?」
「今丁度したい感じです」
「おーそら大変だ。皆で手分けして種の採取!」
「はい!」
女子がノリノリであっと言う間に完了。
「じゃあロイドとクワンで一緒に拠点に植えて来る。ちょっとここで待ってて」
「はーい。行ってらっしゃい」
畑違いに植え込み作業を終えて戻ると薔薇園の近くにシートを広げプチお茶会が開かれていた。
その輪の中には待機班3人の姿まで。
「お、もう連れて来たんだ」
「呼んじゃった。事務棟の昼休憩だったから」
ファフがニッコニコ。
「蒼薔薇の可能性が有るのですね」
「まだ解んないけどね。全然違う色かも知れないし。でも珍しい色なのは確か」
「楽しみです。非常に」
序でにお茶とクッキーを頬張りながら3人に進捗報告。
シュルツが食い付いたのはゴーグル。
「これで防御と解析を…。ピーカー君。私の予備品で同じ追加工をお願いします。帰って眺めたいので」
「直ぐに。スターレン様。チップをお一つ」
「はいよ」
その場で追加工を施し。暫く皆で景色を眺め3人は撤収。
「さてと。拠点の採取と抽出はファフに任せて。こっちはこっちのお仕事を」
「お野菜少し頂いてこの先へと参りましょう。女子会と秘密の宴は調査完了後までお預けです」
今月分はもう開催しちゃったからな。
22日の日暮れまで滝川下りで中部方面の登山口を発見。
23日は西ルートの先。その奥地にも登山口が1つ。
同じ山の東西真裏であると判明。西側は緩やかな下り。東は登りと両極端。
昨日の班分けで俺たちは西。ソプランたちは東と決定。
24日にアタック開始。
西は鍾乳洞洞窟トンネル。東は山間林間外周コース。
詰り…中部山の南側の同じ場所に出て合流を果たした。
「なーんだ。1周グルッと繋がってたのか」
「みたいね。林間は途中に上に登れる道が在ったけど。そっちの地下は」
「特に無し。空洞も異常成分も。在ったのは豊富で太い地下水脈だけ。そこに繋がる湖が1箇所。グーニャには潜らせてない」
「そっか。明日そこをグーニャとクワンティで潜ってみる。ゴーグルとライト貸して。慎重に進むから信じて」
「信じましょう。水の中なら安定してる筈だし。水温変化と飲み込まないように注意な」
「うん」
その他の人員は林間から上に山登りが決定。
25日。登山班は3千m付近の平場に到達。
丈夫な樫の木の群生地が在ったので少し拝借。
潜水班は中部地下水脈を全て探索。それらしい物も反応も皆無だったと。
「水脈の合流地点から南部に抜ける穴が1本だけ海水が混じってた。2百km圏内の道幅は充分。南海に繋がるルートね」
「うーん…。中部で何も無しか。上からもフィーネの位置は確認出来た。水脈外でも何も見えず。南海岸まで陸で約7百。水脈は複雑化。
フィーネたちを危険物に接近させたくない。過保護だろうと何と言われても俺は嫌だ」
「微妙ね。探索を続けたい気持ちは有る。でもゴーグルが有っても不安が拭い切れない。今回は正直に逃げます。
お願い皆、スタンさんの傍に居させて」
「うん。やっぱ駄目だ。これ以上は行かせない。レイル的には不満?」
「いいわよ一々確認取らなくて。私もフィーネが心配。クワンティがもしも侵食されたら私とファフの将来が危うく成るし。グーニャは根本から再構築が利くから良いけど」
「魔素核が有れば平気ニャン」
「有り難うレイル」
反対者は当然居ない。
「明日ここの山頂から南部の景色眺めて北部調査を切り上げよう。水脈が南海に繋がってる情報が得られただけで充分な収穫だ」
26日。登頂。
途中5千m付近までは徒歩散策登山。コテージ内で高山に身体を慣してから自分の飛翔で62百の頂上へ飛び乗った。
卑怯で結構。夕暮れ前に飛び雲海の隙間から下界を見下ろし夕日を堪能。
雲海下の天候が悪く景色はそこそこ。四方を確認。
南東部の最標高7千越えに在る天馬の里へ手を振り撤収。
僅かに視線を感じたので多分こちらを見て居たと思う。
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11月28日。ラフドッグ。
27日は一旦自宅へ帰って一時解散。それぞれ食材などのお買い物や所用。
俺はシュルツと個別デート。
夕食で待機班とエルラダさんにアッテンハイム土産の山菜茸鍋(薬茸除く)を振舞った。
28日の朝に軽く結果と今後の方針を擦り合わせてラフドッグへ。
更に追加で買い物をしてスタフィー号へと乗り込んだ。
そこから3日間。山脈南沿岸を掠い。山脈中央部真南。フィーネが発見した海水が僅かに混じる水路から真っ直ぐ南の沿岸地。
船上の食堂にて。
「可笑しい。地下水脈が掠めるこの地点。山中から地下に掛けて30層を越える巨大迷宮と魔物。異常な変異種は居ない。
けど飛翔して乗り込んでも。時間を区切っても入口らしい物が皆無。何か勘違いしてるのか…」
「沿岸全域岩壁。真上に続く山。中腹まで氷は張ってない。やっぱりクワンティの見た目通りに季節じゃない?
中腹以上の領域の氷が溶ける時期に再チャレンジ。毎日潜ってるけど海面下に開口部は無し。水路と繋がる一本道はとても狭いわ」
「時期か…。来年夏場が少し忙しいな」
皆が悩む中。ソプランが冷静に。
「結論を急ぎ過ぎだ。お前らしくねえ。まず懸念材料見付かってねえんだろ?ゴーグル越しに双眼鏡で覗いても」
「うん。それに関してはまだ」
「なら一週間はこの沿岸で粘るべきだ。たったの三日で何が解る。潮の満ち引きよりも一定時間制限で入口が見付かるかも知れねえしよ」
「あー夜間か。出港してから普通に寝てた」
「確かに深夜帯は潜ってないや。グッスリ」
「四半日以上丸残りじゃねえか」
「「はい…」」
12月7日。昼前の船上。
「皆様お疲れ様です。この1週間は愛の営みを控え。夜間調査を続けた所…。ソプランの指摘の通りに。
深夜零時から2時の間だけ。新迷宮裏手。山を北側に回り込んだ中段の岩場。海面下の水脈連結部横上方に内部への入口が3日置きに開く事が判明。
丁度迷宮を挟んで南北地上1層目に繋がっています。迷宮内で合流出来るのは10層目。そこまでは二重迷宮構造と成ってます。
想定する危険物は未だ見えず。隔離されているのか迷宮主の体内か存在しないのか。は解りませんが道具と装備を2組分揃え。来年1月にアタック開始。会合予定の2月を除いて継続アタック。
これまでの最速ごり押しは厳禁。進行スピードを南北で合わせます。
今一度ソプランに拍手を」
皆の拍手で讃えた。
「ではフィーネさん」
「はい。年越しまでと移行の予定をば。来週末12日夜から14日まで女子会。
21日以降年明け10日まで事務棟を運休長期休暇。21日から最長4日間秘密の宴。
26日から年越し準備とスタンさんへの誕生月祝いのフルコースを女子全員で考案と作成。案出しには自宅担当侍女衆も加わりますので。不満が爆発する前にスタンさんからご褒美をお願いします」
「了解です」
最近全くしてないからな。頼める事が少なくて。
「年明け迷宮へのアタックは16から30までを想定。そこまで男子2名は通常ローテとスタンさんはシュルツとの個別デートを組み込みます。
エルラダさんに愛を注ぐなら年内までとして下さい」
「「え…」」
バレて…た。
「営みの技術が急上昇したのとダリアの避妊具がエルラダさんに渡った時からもろバレです。
こちらの10人は了承済。ですが今後は懐妊の可能性が出て来るので鑑定とフウにしっかりと確認して貰ってからにしてね」
「もうしないよずっと。ダリアも内心では葛藤してる」
「それは区切って卒業を誓い合った。メメットさんとの仲をぶっ壊す訳には行かん」
「有り難う。良かった引き返してくれて」
これ以上はお互いに無理だ。踏み込んだら戻れない。
「無いとは思いますがもしもメメットさんと破局した場合は皆で相談しましょう。本音で。
2月後半以降は迷宮再チャレンジ。内部の異物除去と再出現などの懸念が消せればアッテンハイム聖都のギルドに登録します。
3月以降で中央大陸の他2つの調査を開始予定です。
南西はクワンティ主催で。グーニャとダメス。シュピナードとナーディにも活躍の場を設けます。と言うかその時点で過剰で無敵。
その5名で討伐出来ない強敵がゴロゴロ居ては堪ったもんじゃ無い」
「仰る通りで」
「西に行く前に絶望するぜ」
「来年6月。シュルツが成人を迎えて以降の話は帰ってから会議室でしましょう」
「はい」
お昼は自宅で食べ。午後の会議室にフルメンバーとエルラダさんも。
フィーネから調査結果と来年6月までの行動予定を報告後に以降の話。
「いよいよ待ちに待ったシュルツの成人。愛の誓い含めて6月1日から7日に大切な初夜と2人切りの時間。
8日から14日で何処へでも新婚旅行。15日から順にファフ、レイル、オメアとの愛の誓いを1日置きで。
その後にプレマーレのソプランアローマ家に同居開始と特措法適用を然り気無く発令の流れ。ソプラン家の新婚旅行はご自由に。こっちと行き先の町が被らないように。2人切りならアローマを我らの自宅に引き取ります。
世間の評価なんて糞食らえ。徹底無視で私たちは自由に突き進みます」
反対意見無し。
「同じく15から21の間でシュルツとピーカー君合作で自宅の増築。その時点で将来の子供部屋も想定し4階まで構築して貰います。
フウとピーカー君の新婚部屋は宿舎北棟。ソプラン家の隣の現在ファフとオメアが使っている部屋に割り当てし空き部屋の確保とします。都内が嫌だなと言う場合はマッサラのレイル家の跡地を流用します」
「そこまで決めてくれてたの?どうしよダーリン」
「悩みますね。六月までにじっくり相談しましょう」
「うん♡」
「親友ですもの。それ位当然。身近に居て欲しいし」
レイルも温情。
「何なら今使ってる家譲るわよ。ピーカー君が改築してくれた家だし。表札書き換えて。不可なら新しいの取りに行って。子供部屋には困らないわ」
「優しぃ。益々悩むわぁ」
「有り難う御座いますレイル様。それも踏まえて相談を」
「何方も保留しても良いしゆっくりね。話を戻します。
6月22から28にファフとの新婚旅行。
7月8から14までレイルとの新婚旅行。
1週ずつ空けて22から28でオメアとの新婚旅行。
間の半分はスタンさんの休息日とします。
8月以降で両家10人の挙式用ドレスを作成。
両家合同で。10月󠄃の黒竜様へのご挨拶が終わった後の来年内開催を目指します。
場所はもうカメノス邸の大宴会場しか有り得ないので男子2人で事前の申し込みを忘れずに。
ローレン御父様の方と被らないようにするのと。移住者等々のケアも忘れず。再来年のオリオン開業に備えましょう」
「何だかんだ忙しいな来年も」
「だな。俺らは正装で済むが…。マーレ嬢どうする?二人切りの方が良いか?」
「ん~。三人で。アローマを寂しがらせるのは駄目。その方がきっと楽しくて幸せ」
「有り難う御座います…」
「じゃあ決まりだな」
「アデルの対応は随時ダリアの未来視で先手打ち。セントバさんとミゼッタを起点に読めば外す事は先ず無いと考えています」
「はい。現時点で西から戻り。二人の移民と改信の情報を得るのが来年三月十日と出ています。二月頃に三月以降を読みます」
「そこまでに新迷宮を終わらせましょう。破滅の小石の探知道具の開発はシュルツとピーカー君。スタンさんとペリーニャで頑張って」
「「「「はい」」」」
「自宅嫁が8人と成ってから。流石に毎晩8人対応は厳しく精神的な病気を発症させてしまう元なので。8人で組合せを相談しつつ多分4分割にすると思います」
「助かります」
ベッドの大きさ的にも厳しい。
「6月以降の秘密の宴は新婚旅行シリーズが終わった後で考えます。
6月までの女子会は頻度を下げて月一ペースで。シュルツは隔月参加ペースにて。月連続ですが来週の会には連れて行きます」
「嬉しいです!新作のアレが楽しみで」
「皆も同じ気持ちよ。その他何も無ければ報告会を終わりますが」
フィーネがグルリと見渡すとエルラダさんが挙手。
「どうされました?エルラダさん」
「こちらには全く関係無いのですが…。
メメットさんがその。先程話の中でも出た男性特有の病気を発症されてしまったらしく…」
「あらま」
「これまで辛抱に辛抱を重ねられて居られた所為だと。カメノス製薬の専用秘薬を飲んでも効果が薄く…。何か無いでしょうかスターレン様とソプランさん」
「そこまでっすか」
「アレが効かないのは相当重症だな」
「メメットさんて年内の出張は?」
「年明け下旬までは遠距離は有りません。今はトルティーヤ運輸も有るので隣町へ不定期で行く程度です」
秘蔵の薬茸を取出し。
「この前の鍋パーティーには入れませんでしたがこれを。香茸を組み合わせると男女共に凄い事に成りました。ホントに3日間起ち放しの疼き放しで」
「俺も含めて。副作用無しで四日目の朝にはスッキリ元通りで疲れも残らずです」
「まあ素敵な茸♡」
その笑顔のフェロモンがヤバいんです!
「これと香茸を細切れにしてハンバーグを作りましょう。今日休みのラメル君たちの分も作って焼いて貰えば極上品が出来ます。
俺たちは秘密の宴まで食べません。女子は女子会前に」
「普通に絶対美味いな。隣で抜いた奴も作ろうぜ。夕食用に。急激に腹減って来た」
「同感」
女子一同も大きく頷いた。
その日の夕食はハンバーグ丼祭。エルラダさんはお土産を持って特急でメメット家へ走ったとさ。
各方面の吉報が早まりそう。
翌8日に城へも報告を上げ(薔薇と茸は伏せ)てデリアガンザス山脈迷宮の初期調査を完了した。
見慣れたと言っても良い。
3人のポロリも拝めた。有り難い限りで。
泳力向上で動きが激しく成れば当然そう成りますよと。
反省したのかその次からは安全水着に固定化された。
キスのお強請りも無くなりやっと安心。
その代わりフィーネのご奉仕が3人に成ったらしい。
更衣室や城の茶会終わりの私室にて。
11月5日の夜からシュルツも一緒に女子会が開催。
ロープを悪用する事無く。純粋に愛を育めるように成長したそうでホッと胸を撫でた。
エルラダ先生を自宅へ招いたが何事も無く。起こさずに夕食を共にお喋りして解散。過去は過去。善き思い出。
メメットさんが実は甘えん坊だと聞き爆笑した。
翌週12日の夜から秘密の宴。
改めてアローマと嫁2人に謝罪と精一杯の愛を注いだ。
「私たちしか愛さない。そうお答え頂きたいのです。直接来られた方をお断りするのは殿方のお役目。
その面で同性に横槍を入れられると憎悪に変わる。それが女心と言う物です。セティ様。ソプラン」
「はい…。深く反省して居ります。激甘だったと。厳しく行かなきゃいけないのに。有り難う。目が覚めたよ」
「俺は厳しめだと思ってたが…。根本から改める」
「宜しくお願い致します」
まだまだ俺たちは発展途上。
15日にデリアガンザス山脈の地質調査に向けての打ち合わせ。
クワンのクワンジア側の調査報告では全然上辺を掘ってるだけで東西に走る地下空洞まで到達する気配は無し。
地図を描き起こして1年は余裕だと皆で判断。
11月16日午前にアッテンハイムの教皇邸へ。
フィーネとペリーニャと3人でグリエル父ちゃんに挨拶へお伺い。
「お父さん。最近山登りに目覚めたんでデリアガンザスの調査をしたいんですが良いですか?」
「お…。その呼び方は止めてくれないか。話の前に」
「じゃあ父ちゃん。ちょっとハイキングしても良いよね」
フランクに。
「お父さんに戻せ!調査は構わんが…深い渓谷ばかりで山に入るのも一苦労だぞ」
「ロープが有るので余裕です。適度な登山口が見付かればそこから」
「成程。まあ良いか。護衛も不要だしな」
あっさり許可取得。
話終わりにペリーニャが。
「新聖女の公募はどうなりました?連れ戻されるのではないかと毎日不安で」
「そんな事はせん。戻そうと思ってもスターレンから奪える訳が無い。
公募はノレリムと言う治癒術に長けたクワンジア出身の冒険者に内定した。他に有力な人物も居なくて満場一致で本決まり。年明けに発表する流れだ」
「「「おぉ~」」」
知ってました。
お土産を置いて帰り掛けに反抗期を過ぎて一段と生意気に成ったグラハム君をペリーニャが転がし。存分に泣かして退出。
ゼノン隊の面々やモーツァレラ卿の屋敷を訪ねてお見舞いに寄ったりも。元気そうで良かった。
俺たちは初訪問の振りをして。過去を失っても人は前へ進めると知れた。
ノレリムとは来年の会合で新聖女として会う事に成りそうな予感。ゼノン隊が護衛なら冷かすのも悪くない。
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ダリアの未来視では調査段階で異常は起こらず気楽なハイキング模様。
ビッグベアの空刃を素手で弾き返し戯れ遊び森を南下。
大きな渓谷を3つ越え。安全地帯を見付けコテージで野営しつつ7千m級の尾根を讃えた山嶺を見上げる麓の平野部で。
そこから西に直進。クワンジアの国境壁の南端が10km圏内に差し掛かった所から山脈に向かって南下。
地表に魔物の類は居ない。普通の獣や野鳥や昆虫が棲まう大自然が広がる樹海。
「あ!」
「何か見付けた?」
周囲を散策していたフィーネと後ろのメンバーが集まる。
「見付けた。茸の宝庫」
「おぉ!目的違うけど嬉しい誤算♡」
ここはアッテンハイム領内。俺たちは教皇の家族。詰り採り捲っても問題無し。
冒険者も来ない場所と来ればもうやるのは茸狩り。
目的なんてどうでも良い。鑑定具を駆使して皆で採って採って採り放題。
松茸、えのき茸、椎茸、舞茸、ぶな占地、エリンギ。
滑子に木耳。食用茸が略全部。
新種では松茸を凌駕する香茸。滋養強壮効果の高い薬茸。
紫茸は無かったが来年の7月に期待大。
近場の開けた場所に幾つか目印を設置。
動物たちのご飯にも成るので撮り尽くさずに3割程度。
それでも有り余ってお土産も確保。直ぐ様BBQ&豚バラ肉と山菜茸の鍋パを緊急開催。
新種2品は網焼きでも鍋でも合う独特な味わいで酒が進む進む。
薬茸の効果で男女問わず一晩中凄い事に。
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我も忘れて交わり続けた2日後18日の昼過ぎ。
「えー皆様。2日間寝てないのに全然眠くない。正直下の愚息が最高潮のまま」
「今言わないでスタンさん…」
女子全員が下腹部を押えながら何かに耐えている。
腹痛ではない何かを。
全員何時ものバスローブ姿で。
「苦しいですがこれ以上調査をせずに滞在していると。帰ってからまた待機班に怒られます。いや寧ろダリアが激怒しているかも。
どうかねソプラン君。収まりそうかね」
「かなりヤバいが仕方ねえ。普通に外の涼しい風当ってりゃ収まると思う」
レイルが悲鳴。
「駄目よスターレン…。二人のが欲しくて堪らないの。もう一泊。もう一泊だけお願い」
何て甘い誘惑だ!
「苦しい…。あぁ無理。もう駄目。理性が有る内に全ての薬茸を仕分けてバッグの中に入れて仕舞おう」
「お、おぉ賛成だ。ズボンの中に納まり切らねえわ」
全員立ち上がって一旦料理類のお片付けから延長戦が始まった。と言うか止められなかった。
19日の昼過ぎ。
「えーやっとこさ心が静まり。昨晩はグッスリ眠れました。下も平常に戻って一安心」
「私も。物凄いスッキリ感。昨日出発しなくて正解。多分真面に歩けなかったもん」
皆が大きく頷いた。
「ここで得られた薬茸は勝手ながら秘匿。誰かが見付けるまで放置とします。
バッグの中の物は次の秘密の宴まで温存。自宅でも食べられません。恐らくですが新種の香茸との相乗効果で爆発的に性能が上がっている模様。食べ方も良ーく考えて次回に備えましょう」
「はい。仕事もせず自宅に籠るなんて出来ません。シュルツが成人してないのに…」
「後7ヶ月。本人よりも俺たちの方が辛く成って来ましたが今一度気持ちを引き締め直し。掃除風呂着替えてお外に出ます」
「はい!」
副隊長の気合いのお返事で皆一斉に動き出した。
約1時間で北側山嶺麓に到着。まだ麓でもかなり涼しい。
身体は芯からポッカポカで風邪知らず。
分散して本格調査を開始。
自分とペッツだけコテージ内に残り双眼鏡で地下マップを作成。
「グーニャ。山嶺方面から魔物の気配するか?」
「んーーー。正直上ばかりで地下からは何も感じないニャ」
「そか。クワン最近角馬や天馬に挨拶しに行った?」
「昨日の宴中に行きました。え!?地下に迷宮?そんなの在るのかな?と口々に。最年長の天馬も知らないと。山脈全域上から掠いましたが洞窟らしい縦穴横穴は何も見えずです。ここも季節が関係している気がしますね」
「今じゃないのかなぁ。中央全部夏場狙い。ここなら中腹よりも下側。それとも山脈は違う…とか。うーむ」
地下を双眼鏡で奥まで覗いても。
「双眼鏡で確かにクワンジア側に繋がる東西空洞は点在してる。でも繋がってない。水脈も有るから地下深くで繋がってそうな気も」
「北側じゃないかもですニャ。中部から南側。南海から回り込めば穴掘り関係無いのでは?」
「おーそれ盲点。そっか海からか。だったら何時でも行けるし国とか関係無しに潜れるな」
グーニャを膝に乗せ撫で回し。
「また潮の満ち引きが有るかも知れない。こっち側の調査とハイキング終わったらスタフィー号でラフドッグから回り込もう。クワンは適当に沿岸部覗いてみて。楽しみ減るからまだいいぞ」
「了解!」
クワンは抱っこして背中と首を撫で撫で。
夕方全員外から戻った所でグーニャの考察をお話。
「あー成程ねぇ。鉱脈とは関係無いのかぁ」
地下マップも広げて。
「こっち側の地下空洞にはそれっぽい物も魔物も全然見えないから可能性はかなり高い」
「スタフィー号入手した頃にスタンさんも言ってたもんね。海側の方が登り易いかもって」
「うんうん。明日見付けてくれた2箇所ハイキングしてラフドッグへと参りましょうか」
「賛成。他の人は?もう少しこっち側じっくり見た方が良いよとか」
ソプランが難しい顔で。
「何か有るって感じはしねえが調べるだけ調べてもいい気がする。小型コテージ置いて半々で両側からとかよ。
もしかしたら北側から南部まで抜けられそうな洞窟在るかも知れねえし。上から見えてない物が」
「それも有りかな…。行ったり来たりする手間考えると。とりま明日散策しながら夜に相談しよう」
「そうね。まだ全然焦る時間じゃないわ」
20日の昼間は徹底ハイキング。
西ルートは行き止まりぽい谷間。
東ルートは小山を越えて中部方面へ抜けられそう。
「どっちも脈有りかも。と言うか普通にハイキングとして面白そう」
「北と南に分けるよりもここで2手に分かれて調査の方が良くない?ソプランの言う通り」
「そうすっか。こっちを切り捨てるには早いよな」
結論を急いで得する事は何も無い。
全員の総意で北側調査で決定。何なら飛べるし。
21日班分け別行動。
例の物に接近したら非常に拙いので西ルートは自分とブラン装備のペリーニャとロイドとグーニャ。東は残り全員。
フィーネから借りた腕輪ライトを装着した上で谷底や岩陰や水溜りや小川を重点探索。
片眼鏡でも特別反応無し。
「なあカタリデ。放射線て識別出来たりは」
「無茶言うな。Xだろうがγだろうが無理よ。光源異常が局所で溜まってたりすれば見えるかも」
「無理かぁ。ガイガーカウンター作ってみるかな」
「ベルの最終巻に載ってなかったんじゃ?」
「組み合わせれば似た様な物は作れそう。さっき言ってくれた光源異常関係の鑑定具として」
「あーそれなら脈有りかもね。地下だけに」
後ろの2人とグーニャには理解不能。
「お二人が何を話されているのか」
「さっぱり理解不能です」
「難しいですニャ。何か感じるまで寝ますニャン」
そう言ってロイドの胸の谷間に潜った。
ここが谷間だけに。なんちて。
感じられるかも疑わしいが異常を感じたら即座にブランを展開しようと話しているとピーカー君が提案。
「エラルズで使ったゴーグルを改造しても良いですか?」
「お?作れそう?」
「ダーリンのお試し?」
「遣ってみないと解りません。金属加工も可能と成ったのでマウデリンチップをもう一枚。追加で僕の無属性を付与してみたらと浮かびました」
「「「「「おぉ~」」」」」
人型とカタリデとグーニャが驚嘆。
バッグから外に出て。大きめの岩の上でグラサンゴーグルにマウデリンチップを載せ。向き合うピーカー君をその場の皆で見守った。
考察時間は数分。ふむふむと頷き。鬣から白銀の触手を出して目の前の2つの追加工を開始。
作業時間は約3分。施工品の形のベースは何も変わらないがグラス部の濃い黒が薄灰色に戻された。
「試着してみて下さい。スターレン様」
「おけ。なんか緊張するな」
恐る恐る装着。
「おぉ!」
それは理想としていたゴーグル版ガイガーカウンターそのもので。
「見える…。光の成分が数値化されて」
「うっそ。凄いよダーリン。キス出来ないのが辛い!」
「光栄です。それは何時かの楽しみに。僕もカタリデ様を抱き締められないのが辛いです」
「うん…。ごめん。欲張り過ぎたわ。気長に気長に」
今は辛い幸せな未来を想い合う。
俺たちも胸が痛んだ。無関心のグーニャ以外は…。
「追加工の目的は光の分析と解析。そして遮断。スターレン様がご心配されていた身体に害を為す自然照射光。
まずそれを装着者の周囲から遮断する領域を展開。
その領域まで達した光を分析し解析。数値化する仕組みを目指しました」
「凄い…。防御までこれ1つ。シュルツと同じく天才だったわピーカー君…」
「馴染み深い赤外線や紫外線。鉱泉水が僅かに放つラジウム線。そちらに近しい物ではないかと考え付与しました」
「正解です。見たいのはまんまそっち側」
「無属性領域であれば。懸念されている兵器の素材であったとしてもスターレン様の認識内には置かれず。その存在自体をこの世界から抹消する事も可能かと」
「…もう言葉も無いっす。有り難う」
ピーカー君を抱え上げ。カタリデの分まで撫で回して皆で讃えた。
「それが実用出来たなら。見付けるのが困難な破滅の小石を探索コンパスで発見出来る糸口に成るのではと考えます。例えばペリーニャ様の真贋の瞳を駆使して」
「あぁ…。やっと私だけの出番が…」
ペリーニャもピーカー君を抱き締めて頬擦り。
そこまで先を読んで…。カタリデの前に俺がキスしたい。
それは止めましょう。フウが泣いてしまいます。
遣りません。冗談で御座います。
「他にも転用出来そうだな。帰ったらシュルツとも相談してみよう。多方面に」
「はい!」
改めて谷間周辺を探索。結果異常成分は検出されず。代わりに中部方面へ抜けられる獣道が見付かった。
その日の夕方。探索を終えた報告会。
夕食は10月に収穫されたロロシュ邸内の勇者米?に山菜と茸(薬茸除き)のかき揚げを載せた山菜丼で舌鼓。
大満足した所で調査結果報告。
ピーカー君が改造したゴーグルの性能と今後の展望を説明した上で西ルートの奥に獣道が発見されたと。
東ルートはソプランから。
「そっち凄えな。こっちの収穫は多くはない。東の奥地には切立った岩壁。ざっと五百m。そこを無理矢理乗り越えた先に天然野草が生い茂ったゾーン。小さな湖と小川。更に南に滝と急流川が形成されてた。そこを辿れば中部方面の山に打つかる。
まんま見晴しの良い観光地の箱庭だな」
「あぁいいな。俺も見たい」
「明日も延長して皆で行こうよ。野草の中にモロヘイヤとか小松菜とかほうれん草とかも見えたし。…紫色の薔薇も群生してたの」
東班の女性陣がほんのり朱く。西班の2人にも伝染。
「スタンさんに鑑定して欲しいなぁ…なんて」
「あぁそっちね。解った。この際とことんこっち側の調査をしよう。景色を楽しみながらのハイキング」
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11月22日。朝から東ルートを調査観光。
早速箱庭園の野草地帯をスルーし。女子立っての希望で薔薇園へ直行。
小規模の湖の畔。その一角の開けた場所。そこから見渡せる山々の景色も絶景で。
「ファフにも見せたいな。ここ」
隣のロイドが。
「きっと喜びますね。真冬に移る前にでも」
多分枯れてしまうだろうと。
紫の天然薔薇を一輪摘み詳しく触診鑑定。
パープルローズ亜種。
世界の何処かに在るダークローズ亜種との高い相乗効果が見込める。オイルの粘度、保湿、持続性上昇。殺菌性に優れ女性同士の気分を高揚させ不変の愛を育める。
当然異性間でも安全使用可能。何処まででも溶けてしまうが良いさ。
「…」
女性陣が無言で抱き合い喜びを体現。
「まだ続きが有るな」
世界の何処かに在るピンクローズ亜種と3種掛け合わせると世にも珍しい彩色を示す可能性有。オイルの相乗効果はダークローズが起点で2種間のみに適応する。
「おぉピンクローズ見付ければ完全ブルー行けるかも。紫に黒にピンクでそう成るかは解らんけど」
「まだピンクが在るんだね」
「モーランゼア。アッテンハイム。大陸西部に集中。世界の何処かと言いながら中央大陸ぽいな。内陸小国群だとかさ」
「有りそう。中回ったのなんて極一部だけだし」
「だな。クワン。ウンチしたくない?」
「今丁度したい感じです」
「おーそら大変だ。皆で手分けして種の採取!」
「はい!」
女子がノリノリであっと言う間に完了。
「じゃあロイドとクワンで一緒に拠点に植えて来る。ちょっとここで待ってて」
「はーい。行ってらっしゃい」
畑違いに植え込み作業を終えて戻ると薔薇園の近くにシートを広げプチお茶会が開かれていた。
その輪の中には待機班3人の姿まで。
「お、もう連れて来たんだ」
「呼んじゃった。事務棟の昼休憩だったから」
ファフがニッコニコ。
「蒼薔薇の可能性が有るのですね」
「まだ解んないけどね。全然違う色かも知れないし。でも珍しい色なのは確か」
「楽しみです。非常に」
序でにお茶とクッキーを頬張りながら3人に進捗報告。
シュルツが食い付いたのはゴーグル。
「これで防御と解析を…。ピーカー君。私の予備品で同じ追加工をお願いします。帰って眺めたいので」
「直ぐに。スターレン様。チップをお一つ」
「はいよ」
その場で追加工を施し。暫く皆で景色を眺め3人は撤収。
「さてと。拠点の採取と抽出はファフに任せて。こっちはこっちのお仕事を」
「お野菜少し頂いてこの先へと参りましょう。女子会と秘密の宴は調査完了後までお預けです」
今月分はもう開催しちゃったからな。
22日の日暮れまで滝川下りで中部方面の登山口を発見。
23日は西ルートの先。その奥地にも登山口が1つ。
同じ山の東西真裏であると判明。西側は緩やかな下り。東は登りと両極端。
昨日の班分けで俺たちは西。ソプランたちは東と決定。
24日にアタック開始。
西は鍾乳洞洞窟トンネル。東は山間林間外周コース。
詰り…中部山の南側の同じ場所に出て合流を果たした。
「なーんだ。1周グルッと繋がってたのか」
「みたいね。林間は途中に上に登れる道が在ったけど。そっちの地下は」
「特に無し。空洞も異常成分も。在ったのは豊富で太い地下水脈だけ。そこに繋がる湖が1箇所。グーニャには潜らせてない」
「そっか。明日そこをグーニャとクワンティで潜ってみる。ゴーグルとライト貸して。慎重に進むから信じて」
「信じましょう。水の中なら安定してる筈だし。水温変化と飲み込まないように注意な」
「うん」
その他の人員は林間から上に山登りが決定。
25日。登山班は3千m付近の平場に到達。
丈夫な樫の木の群生地が在ったので少し拝借。
潜水班は中部地下水脈を全て探索。それらしい物も反応も皆無だったと。
「水脈の合流地点から南部に抜ける穴が1本だけ海水が混じってた。2百km圏内の道幅は充分。南海に繋がるルートね」
「うーん…。中部で何も無しか。上からもフィーネの位置は確認出来た。水脈外でも何も見えず。南海岸まで陸で約7百。水脈は複雑化。
フィーネたちを危険物に接近させたくない。過保護だろうと何と言われても俺は嫌だ」
「微妙ね。探索を続けたい気持ちは有る。でもゴーグルが有っても不安が拭い切れない。今回は正直に逃げます。
お願い皆、スタンさんの傍に居させて」
「うん。やっぱ駄目だ。これ以上は行かせない。レイル的には不満?」
「いいわよ一々確認取らなくて。私もフィーネが心配。クワンティがもしも侵食されたら私とファフの将来が危うく成るし。グーニャは根本から再構築が利くから良いけど」
「魔素核が有れば平気ニャン」
「有り難うレイル」
反対者は当然居ない。
「明日ここの山頂から南部の景色眺めて北部調査を切り上げよう。水脈が南海に繋がってる情報が得られただけで充分な収穫だ」
26日。登頂。
途中5千m付近までは徒歩散策登山。コテージ内で高山に身体を慣してから自分の飛翔で62百の頂上へ飛び乗った。
卑怯で結構。夕暮れ前に飛び雲海の隙間から下界を見下ろし夕日を堪能。
雲海下の天候が悪く景色はそこそこ。四方を確認。
南東部の最標高7千越えに在る天馬の里へ手を振り撤収。
僅かに視線を感じたので多分こちらを見て居たと思う。
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11月28日。ラフドッグ。
27日は一旦自宅へ帰って一時解散。それぞれ食材などのお買い物や所用。
俺はシュルツと個別デート。
夕食で待機班とエルラダさんにアッテンハイム土産の山菜茸鍋(薬茸除く)を振舞った。
28日の朝に軽く結果と今後の方針を擦り合わせてラフドッグへ。
更に追加で買い物をしてスタフィー号へと乗り込んだ。
そこから3日間。山脈南沿岸を掠い。山脈中央部真南。フィーネが発見した海水が僅かに混じる水路から真っ直ぐ南の沿岸地。
船上の食堂にて。
「可笑しい。地下水脈が掠めるこの地点。山中から地下に掛けて30層を越える巨大迷宮と魔物。異常な変異種は居ない。
けど飛翔して乗り込んでも。時間を区切っても入口らしい物が皆無。何か勘違いしてるのか…」
「沿岸全域岩壁。真上に続く山。中腹まで氷は張ってない。やっぱりクワンティの見た目通りに季節じゃない?
中腹以上の領域の氷が溶ける時期に再チャレンジ。毎日潜ってるけど海面下に開口部は無し。水路と繋がる一本道はとても狭いわ」
「時期か…。来年夏場が少し忙しいな」
皆が悩む中。ソプランが冷静に。
「結論を急ぎ過ぎだ。お前らしくねえ。まず懸念材料見付かってねえんだろ?ゴーグル越しに双眼鏡で覗いても」
「うん。それに関してはまだ」
「なら一週間はこの沿岸で粘るべきだ。たったの三日で何が解る。潮の満ち引きよりも一定時間制限で入口が見付かるかも知れねえしよ」
「あー夜間か。出港してから普通に寝てた」
「確かに深夜帯は潜ってないや。グッスリ」
「四半日以上丸残りじゃねえか」
「「はい…」」
12月7日。昼前の船上。
「皆様お疲れ様です。この1週間は愛の営みを控え。夜間調査を続けた所…。ソプランの指摘の通りに。
深夜零時から2時の間だけ。新迷宮裏手。山を北側に回り込んだ中段の岩場。海面下の水脈連結部横上方に内部への入口が3日置きに開く事が判明。
丁度迷宮を挟んで南北地上1層目に繋がっています。迷宮内で合流出来るのは10層目。そこまでは二重迷宮構造と成ってます。
想定する危険物は未だ見えず。隔離されているのか迷宮主の体内か存在しないのか。は解りませんが道具と装備を2組分揃え。来年1月にアタック開始。会合予定の2月を除いて継続アタック。
これまでの最速ごり押しは厳禁。進行スピードを南北で合わせます。
今一度ソプランに拍手を」
皆の拍手で讃えた。
「ではフィーネさん」
「はい。年越しまでと移行の予定をば。来週末12日夜から14日まで女子会。
21日以降年明け10日まで事務棟を運休長期休暇。21日から最長4日間秘密の宴。
26日から年越し準備とスタンさんへの誕生月祝いのフルコースを女子全員で考案と作成。案出しには自宅担当侍女衆も加わりますので。不満が爆発する前にスタンさんからご褒美をお願いします」
「了解です」
最近全くしてないからな。頼める事が少なくて。
「年明け迷宮へのアタックは16から30までを想定。そこまで男子2名は通常ローテとスタンさんはシュルツとの個別デートを組み込みます。
エルラダさんに愛を注ぐなら年内までとして下さい」
「「え…」」
バレて…た。
「営みの技術が急上昇したのとダリアの避妊具がエルラダさんに渡った時からもろバレです。
こちらの10人は了承済。ですが今後は懐妊の可能性が出て来るので鑑定とフウにしっかりと確認して貰ってからにしてね」
「もうしないよずっと。ダリアも内心では葛藤してる」
「それは区切って卒業を誓い合った。メメットさんとの仲をぶっ壊す訳には行かん」
「有り難う。良かった引き返してくれて」
これ以上はお互いに無理だ。踏み込んだら戻れない。
「無いとは思いますがもしもメメットさんと破局した場合は皆で相談しましょう。本音で。
2月後半以降は迷宮再チャレンジ。内部の異物除去と再出現などの懸念が消せればアッテンハイム聖都のギルドに登録します。
3月以降で中央大陸の他2つの調査を開始予定です。
南西はクワンティ主催で。グーニャとダメス。シュピナードとナーディにも活躍の場を設けます。と言うかその時点で過剰で無敵。
その5名で討伐出来ない強敵がゴロゴロ居ては堪ったもんじゃ無い」
「仰る通りで」
「西に行く前に絶望するぜ」
「来年6月。シュルツが成人を迎えて以降の話は帰ってから会議室でしましょう」
「はい」
お昼は自宅で食べ。午後の会議室にフルメンバーとエルラダさんも。
フィーネから調査結果と来年6月までの行動予定を報告後に以降の話。
「いよいよ待ちに待ったシュルツの成人。愛の誓い含めて6月1日から7日に大切な初夜と2人切りの時間。
8日から14日で何処へでも新婚旅行。15日から順にファフ、レイル、オメアとの愛の誓いを1日置きで。
その後にプレマーレのソプランアローマ家に同居開始と特措法適用を然り気無く発令の流れ。ソプラン家の新婚旅行はご自由に。こっちと行き先の町が被らないように。2人切りならアローマを我らの自宅に引き取ります。
世間の評価なんて糞食らえ。徹底無視で私たちは自由に突き進みます」
反対意見無し。
「同じく15から21の間でシュルツとピーカー君合作で自宅の増築。その時点で将来の子供部屋も想定し4階まで構築して貰います。
フウとピーカー君の新婚部屋は宿舎北棟。ソプラン家の隣の現在ファフとオメアが使っている部屋に割り当てし空き部屋の確保とします。都内が嫌だなと言う場合はマッサラのレイル家の跡地を流用します」
「そこまで決めてくれてたの?どうしよダーリン」
「悩みますね。六月までにじっくり相談しましょう」
「うん♡」
「親友ですもの。それ位当然。身近に居て欲しいし」
レイルも温情。
「何なら今使ってる家譲るわよ。ピーカー君が改築してくれた家だし。表札書き換えて。不可なら新しいの取りに行って。子供部屋には困らないわ」
「優しぃ。益々悩むわぁ」
「有り難う御座いますレイル様。それも踏まえて相談を」
「何方も保留しても良いしゆっくりね。話を戻します。
6月22から28にファフとの新婚旅行。
7月8から14までレイルとの新婚旅行。
1週ずつ空けて22から28でオメアとの新婚旅行。
間の半分はスタンさんの休息日とします。
8月以降で両家10人の挙式用ドレスを作成。
両家合同で。10月󠄃の黒竜様へのご挨拶が終わった後の来年内開催を目指します。
場所はもうカメノス邸の大宴会場しか有り得ないので男子2人で事前の申し込みを忘れずに。
ローレン御父様の方と被らないようにするのと。移住者等々のケアも忘れず。再来年のオリオン開業に備えましょう」
「何だかんだ忙しいな来年も」
「だな。俺らは正装で済むが…。マーレ嬢どうする?二人切りの方が良いか?」
「ん~。三人で。アローマを寂しがらせるのは駄目。その方がきっと楽しくて幸せ」
「有り難う御座います…」
「じゃあ決まりだな」
「アデルの対応は随時ダリアの未来視で先手打ち。セントバさんとミゼッタを起点に読めば外す事は先ず無いと考えています」
「はい。現時点で西から戻り。二人の移民と改信の情報を得るのが来年三月十日と出ています。二月頃に三月以降を読みます」
「そこまでに新迷宮を終わらせましょう。破滅の小石の探知道具の開発はシュルツとピーカー君。スタンさんとペリーニャで頑張って」
「「「「はい」」」」
「自宅嫁が8人と成ってから。流石に毎晩8人対応は厳しく精神的な病気を発症させてしまう元なので。8人で組合せを相談しつつ多分4分割にすると思います」
「助かります」
ベッドの大きさ的にも厳しい。
「6月以降の秘密の宴は新婚旅行シリーズが終わった後で考えます。
6月までの女子会は頻度を下げて月一ペースで。シュルツは隔月参加ペースにて。月連続ですが来週の会には連れて行きます」
「嬉しいです!新作のアレが楽しみで」
「皆も同じ気持ちよ。その他何も無ければ報告会を終わりますが」
フィーネがグルリと見渡すとエルラダさんが挙手。
「どうされました?エルラダさん」
「こちらには全く関係無いのですが…。
メメットさんがその。先程話の中でも出た男性特有の病気を発症されてしまったらしく…」
「あらま」
「これまで辛抱に辛抱を重ねられて居られた所為だと。カメノス製薬の専用秘薬を飲んでも効果が薄く…。何か無いでしょうかスターレン様とソプランさん」
「そこまでっすか」
「アレが効かないのは相当重症だな」
「メメットさんて年内の出張は?」
「年明け下旬までは遠距離は有りません。今はトルティーヤ運輸も有るので隣町へ不定期で行く程度です」
秘蔵の薬茸を取出し。
「この前の鍋パーティーには入れませんでしたがこれを。香茸を組み合わせると男女共に凄い事に成りました。ホントに3日間起ち放しの疼き放しで」
「俺も含めて。副作用無しで四日目の朝にはスッキリ元通りで疲れも残らずです」
「まあ素敵な茸♡」
その笑顔のフェロモンがヤバいんです!
「これと香茸を細切れにしてハンバーグを作りましょう。今日休みのラメル君たちの分も作って焼いて貰えば極上品が出来ます。
俺たちは秘密の宴まで食べません。女子は女子会前に」
「普通に絶対美味いな。隣で抜いた奴も作ろうぜ。夕食用に。急激に腹減って来た」
「同感」
女子一同も大きく頷いた。
その日の夕食はハンバーグ丼祭。エルラダさんはお土産を持って特急でメメット家へ走ったとさ。
各方面の吉報が早まりそう。
翌8日に城へも報告を上げ(薔薇と茸は伏せ)てデリアガンザス山脈迷宮の初期調査を完了した。
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