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第290話 運命の7月。時の女神根絶とピーカーの進化

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7月6日。事務棟のお休みを利用。

サンタギーナのサダハんの強い要望を受理し。陛下とミラン様と護衛隊。我が嫁フル8人を引き連れご挨拶をしてやったんだぜ!

タイラントに残るプレマーレはミゼッタとお買い物ツアー。

玉座の間であろうとヘルメンちも俺たちも立ったまま。

「久しいなサダハ。まさかお前が船酔いに弱いとは笑止。穏やかな南海を越えて来ないとは道理で」
「情け無いですわね」
ミラン様も呆れて溜息。
「ぐっ…。内密でとの約束はどうしたスターレン」
「私からは何も。私からは。フィーネや部下の口まで塞げとは言われなかったもので」
「迂闊だった…。そちらの八人が貴殿の妃か」
俺の後ろの8人を見渡し。
「序列で並んで居りますので個別紹介は省きます。礼節に疎い者も居る為。頭を下げるのは私とフィーネと従者のみでご勘弁を」
4人で一礼。

「うむ。ここでなくても良かったのだがヘルメンが突然来ると聞いたのでな。昼食の席は用意したが貴殿らは自由参加で良い。…出来れば。出来れば!さ」
またしても隣のイプシス様に引っ叩かれた。

後ろを振り返り。
「どうするレイルさん。我慢出来る?外で食べたい?」
「付き合ってあげるわよ。私だけだし」

昼食会+茶会では。これまで表に出なかった第二王妃から第四妃までの娘王女らが初参加。

フラデナ 第二妃カーデナの娘。第二王女。
ネジュレ 第三妃スミレザの娘。第三王女。
ツロミユ 第四妃イザベルの娘。第四王女。
末っ子のツロミユが目出度く満10歳と成り異母姉妹揃って茶会へ初出席の運び。

俺に見せたくなかった訳ではない。

ツロミユが自慢のドリルヘアーを姉王女と嫁らに自慢する姿が可愛かった。言葉遣いはまあ想像通りのツンツン。

ソプランは俺の後方。護衛と従者の並び。アローマはフィーネの後方待機。

お茶会からは男女別テーブルで前回見た光景。
ヘルメンちが加わっただけ。
「サダハ様。見事に女児が並びましたね」
「男児が欲しかったのだがな。聞けばメルシャン姫にも娘が産まれたとか」
「そうだな。三月に。可愛くて堪らん」
「三歳位までだぞ。真に可愛いのは。ニーナの子は楽しみだが会いに来てくれるか解らんし」
「直で育てる訳でも無し。そこまで気に成るなら船で行け。遠くでもないと聞く」

「くっ…。そう言えばスターレンの子は出来ぬのか?」
「私たちは旅が優先。私とソプランは種無し状態に封じています。終わりが多少長引いても皆全然若いので」
「ほぉ道理で」
「前と違って勇者隊と成ってしまってはそれも手か」
「その様に」

「しかし子種だけを抜くとは?」
「それは秘密です。まあ私の背中を見れば一目瞭然」
「私がセーブしてるの。現状が最強だから外れて欲しくなくて相談してね」
嘘に合わせてくれるカタリデ優し。
「「成程…」」

「その分ご機嫌を取るのに一苦労。男の楽しみなんて僅かですよ」
全くの逆ですが!
「流石に八人相手ではな」
「さぞ辛かろう」
「程々に。でも幸せには変わり無く」
何となく綺麗に纏められた。

茶会終盤でドリルヘアーが俺目掛けて突っ込んで来たが途中でフラデナにキャッチ阻止され笑った。
「公式な茶会の席で走り回ってはいけません」
「放してフラデナ姉様。あの女の敵を成敗するの!」
「これは手厳しいな」
「的を射ているから」
「止める術無しだ」
男席にも味方は居なかった。


一旦パージェントへ帰り。モーランゼア訪問の件を協議。
切りが悪いので10日以降でと策定した。反対は無し。

11日で決め打ち。ハーメリン城とエリュライズホテルへお手紙発射。
ホテルの部屋は一応2部屋確保。多分使わないが…。
行ってから変更しますと。


発射後直ぐにペカトーレ訪問。は何時もの4人で。
胃薬と交換で紫茸を納入。

「今年も昨年と同じ場所で同じ量。もっと増えてくれるとどっちも嬉しいんだけどね」
「こればっかは自然に任せるしか。人為的に場所変えて枯れたら大変。風の抜け道に原木の一部を置くとかかなやれて」
「だよなぁ」
と言いつつマホロバは上機嫌。
「今日は機嫌が良さげやね」

「そうなんよ聞いてくれる?」
「何何?」
「サンタギーナのフラデナ王女とお見合い出来る事に成ってさぁ。今月末に」
「お!」
「え…」
小さく悲鳴を上げたのは当然カタリデ。

「ついさっき彼方に伺った所だよ。気さくで妹王女の面倒見が良くて。良い感じの方だったよ。俺たちも会ったのは今日が初めて」
「ほぉほぉ。先を越されたがまあ良し。まさか君を見て頬を朱く染めてたとかは?」
「全く無かった。安心出来そう?フィーネとアローマ」
「うん。全然」
「気配すら感じませんでした」
「おーいいね。希望が持てるよ」
「…」
絶望したのはカタリデ。後で皆で励まそう。

薬の配達は来月中旬でとして契約書を起こして帰宅。




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防音室で早くも傷心中のカタリデ。
「ねえスターレン…」
「何でしょう。結果聞く前に結論出さなくてもいいよ」
「うん…。もしもの時は慰めてくれる?」
「それは勿論特別枠で。一晩でもずっとでも。俺とじゃなくても女子会でも」
「ありがと…」
ピーカー君からのエール。
「マホロバさんの多妻の道も僅かに。希望は捨てずに行きましょう。先は長いので多分今回だけでは終わらないと思います。頑張って下さい」
「厳しい現実。でも元気出たわ。ありがと2人共」

「僕が人間に成れたらカタリデ様をお迎えします。見初める方が見付かっていなければ」
「え!?マジで。優しいぃ。現時点で惚れそう」
「僕の容姿は全く不明でそれでも良ければ」
「全然見た目は拘らないわ…スターレン。駄目かな」

「いやぁこの流れで駄目とは言えないけどさ。もしも…ピーカー君のままだったら辛いよ?それに進化の選択肢に影響が出る。
責めて進化後にしたら?」
「あぁ…そうね。自分の事ばっかだった。反省」
「まだ二択で悩んでますので決意後に」

「それより転移出来るように成った?ピーカー君」
「あ、まだ試してませんでした。悩み過ぎてて」

「移動の感覚は馴染んでるだろうから。こことリビング往復してみ」
「はい!…意外に景色を正確にイメージするのは難しいですね」
「正確じゃなくて良いよ。大事なのは絨毯とかフローリングだとかの着地座面。室内なら家具の配置をざっと。ふんわりでも慣れると飛べる。バッグはそれぞれ形と配色。それは玄関扉を開けるイメージが良いかな。
外なら座面の地面。大きく動かない岩とか。そっちは周りの目印となる家屋の形だとか壁色だとかをざっとでも」
「色々試してみます」
「焦らず頑張って」
カタリデの情熱圧が凄い。

暫く時間を要したが。自宅内リビングとバッグ内の往復転移が成功。
「あ、出来ました。バッグ内とリビング。グーニャさんの目の前と往復」
「「おぉ!」

「まだ…始まりませんね。今の内に答えを絞ります…」
「ふむふむ。手堅い」
「うんうん。賢い」

「決めました。戦闘力の三尾の狐。導き手の鼠と悩みましたが神様がお二人も居てカタリデ様とダリア様も居る。これ以上の導き手は不要ですので」
「「確かに」」

「山脈調査でお役に立てそうですし…。そこしか出番が浮かびませんが鼠より狐の方が見た目的に近そうで。格好良いかなと」
「いいじゃん正直で」
「結局その2択しか無いもんね」
「はい」

その後も何度かお試し。5往復目位で防音室の小テーブルの上に鎮座。した瞬間。それは突然始まった。

ピーカー君が突如輝き出した。神格化の時とは違う優しい淡い光に包まれて。
「あ…来ました」
「「お!ここで!」」

輝きが終息して現われた宣言通りの三尾の狐。
標準サイズは進化前の狼と変わらず。鼻筋が伸びてスッキリ真っ白狐顔。
カタリデも外へ出して2人で狐ピーカー君を観賞。
「おー多分きっと狐の中でもイケメン」
「嫌でも期待しちゃうわ」

「その前にスターレン様。特殊な塊を」
「いけない忘れるとこだった」
慌てて部屋の真ん中にゴツゴツ塊を床置き。

その上にピーカー君がちょこんと乗り。4本脚を開き3本の尻尾で表面を叩いた。直後にスッと消え去る特殊金属の塊。

全身が毛羽立ち白い剣山に成ってみたり。自分の意思で転がる円柱に成ってみたり。最少化して元に戻ってみたりして実用のお試し。
「理想通りです」
「「おー」」
俺は拍手。カタリデは心の中で。

新品画板と絵の具を出して。
「カタリデさんのお覚悟は」
「…出来てます」

ピーカー君の前の床に座り直して。いざサラサラサラ。
「…」
今画板を向いてるのは自分のみ。
「どう…」
「ですか…?」

画板の中には。
純白のタキシードを着熟した銀髪超絶高身長イケメンが。同じく純白のウェディングドレスを着た将来のカタリデを跪いてお迎えに上がる場面。

題名『カタリデを迎えるピーカー』

2人に表を向け。
「負けたぜピーカー君。幸せにな」
「はっ……」
カタリデは聖剣に成って初めてであろう気絶をして文字通り床に倒れた。
「お、お気を確かに!カタリデ様!」

とてもプレマーレには見せられないので何れ来る場面までバッグで封印。3人だけの秘密の絵。


夕食時。皆に新ピーカー君をお披露目。
食べる物は相変わらず岩塩か塩。どうやって栄養を?疑問よりも先に精霊と同系だよねと結論。

俺の膝上から順に飛び回り撫でられる儀式。

途中で我慢出来なく成ったカタリデが。
「私のピーカー君に触らないで!」
「私の?」
俺以外の皆がキョトン顔。
「あ、違うの。私だけ触れないから羨ましいなと。主はスターレンだったわ」
「なーんだ」

プレマーレがそんなカタリデを見て。
「まさか…カタリデ様…」
「な、何の事かしら」
速攻バレてる。

次は俺を睨み。
「今はまだお頼みしませんが。人間化したら必ず描いて頂きます。順番が知りたいので!」
「お、おぉ。いいよ描くよその時に。てっきり人間化したらソプランに絞るのかと」
「俺もそう思ってた」
「もう絞れません。何が起きてもこのままの贅沢を貫き通します」
「「お、おぉ」」
ルールなんざ関係ねえと言わんばかりだ。

興味津々のシュルツ。
「ピーカー君を描いたのですか?」
「描いた。けど皆には見せない。その時が来るまでの大切な本人の思い出だから。答えは数年後に出るさ」
「おぉまた数年後。私は忍耐力ばかりが育ちそうです」
そう言う面も有るのかな。




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7月10日。
何をするかは決まってる。そう未来視です。

明日のモーランゼア出発を控えての前夜に開始。
ダリアが目を閉じ。
「遠征組全員で出発。こちら十五時過ぎ。
あちら八時前に着。何時も使う南外門前。
そこから徒歩移動。人型全員偽装コートでホテルまで特に何も有りませんが…この季節で湿度も高くコートの中は蒸れ蒸れです。

開き直って夏服軽装で突入…多少絡まれますが騒ぎは軽微で国軍の兵に任せれば問題無し。

前回スターレン様とロイド様の御旅行が利いて町民の対応は穏やかです。

十一日ホテルエリュライズ入り。入りと同時に城への登城案内を出しニドレアさんを呼び出し。
誰が何人最上階に居ようとも。毎度の誘惑はご挨拶。
「そんな事ばかり言って。イイテンはどうした」
「え?かなり前に別れましたけど?極普通に浮気してくれたのであっさりと。ですので何も問題無し。テレンス様とのお見合いが順番待ちで」
これ以降は現地にて」
「めっちゃ気に成る」
「いいとこで切るなぁ」

「登城時案内は引き続きニドレアさん。
入城メンバーはスターレン様、フィーネ様、ペリーニャ様の三名。ペッツもホテル内外待機にて。
王城内応接室で両王との面会。双方挨拶後に新作時計の紹介が三品。成人の儀用に拵えた物なのでそのままお持ち帰り下さいとお渡しされます。
王宮内の樹脂板製作工房へご案内。ペリーニャ様がタイラントで拝見しました、と言ってしまうと正王が泣いてしまうので初めて見ました、が正解。
代理王と護衛のみと成り王宮外の時計工房内へ。
過去の遺作展示品の部屋ではない普通の応接室でお茶。
最近のモーランゼア内の動きを伺い。新作時計作りで城下工房に負けそうなのだが…何か策は。
「そこを答えたら面白くないじゃないですか」
代理王は納得。
「ペリーニャは朝が弱いので目覚まし的な鈴とかを」
代理王は大喜び。しかしサメリー工房とモロ被りで大惨事なのでお止めを」
「止めます。寧ろ自分が信じられない…」

「終始雑談談笑で地下を突っ込まなければ終了して帰宿の途。
フィーネ様とペリーニャ様を宿に返すから。個人的に地下区域をもう一度拝見したいと言う直球。
理由はと問われ。指針計以外で撤去したい物が在る。
意味が解らない。
昨年破って消滅させた時空結界の影響で誤作動を起こす逆位相の物です。
やはりアレは君たちが。
女神教が真の意味で独立する為に。ペリーニャ様を迎えた者の責任と自分自身の過去との決別の為に。
解ったと了承を受けられます。何度も見直しましたがこれ以外に正面から入れる問答は有りませんでした。
転移でこっそり奪えば国交断絶確定です」
「犯人俺とフィーネしか居ないもんな」
「部外者で初…だもんね」

「正面から入った場合。地下の扉前で問われます。
昨年暮れ。君がペリーニャ様をお迎えしてから。兄への告げが消えたそうだ。女神様は何処へ行かれたのだ。
過去に遡る交際を申し込まれ。お断りして可逆の歯車を壊したら発狂して行方不明です。深海へと帰ったのかどうかは誰にも解りません。
そうか。御神体すら失ったのか。我らは何の為に進めば良いのだろうかポセラギニウス様。
それは過去に終わった話。自分の足で。
共に歩む皆と一緒に。この指針計を守り。一歩ずつ大地を踏み締めるしか有りません。
何かの信者である前に一人の人間です。それを忘れないように。
代理王様は扉を開き。以降は黙って撤去作業を見守り続けます。以上です」
「正面以外に道は無し、か」
「ペリーニャと一緒に先に宿で待ってるわ」
「ゆっくりと作業の方を」

皆でダリアに拍手を贈り抱き締めて解散。




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11日。エリュライズ着。

ニドレアのあの話の続きから。
「順番待ちでかなり先。恐らく年明け頃と成りそうで。その間にスターレン様に抱いて頂きたいと思う事がそんなに悪い事なのでしょうか」
「へ!?」
何も隠す事無くド直球。

「自分用の上級避妊具は持っています。ここの上層高官貴族の御令嬢ならば誰でもお持ちです。ホテル内なら外に漏れる事は無い。自分の口から漏らす事は有り得ません。
お妃様立ち会いの元なら尚。どうしても駄目ですかフィーネ様」
「ん~駄目よ。外がどうこうじゃなくてスタンさんは凄すぎるの。一晩だけと多寡を括ってしてしまうと貴女きっと普通に戻れないわ。御免為さい」
「そうですか…そんなに。確かに八人ですものね。金輪際夢を口には致しません。ご安心を」
「良く解らんが思い留まってくれて良かった」
どうしてこんな話に成るのだろう。嫁が5人も居る前で。

「テレンス様はスターレン様と何度もお話出来て。城内で失敗を直接許された人物として非常に。非常に人気が高く後追い順の私では無謀。今回お立ち寄りであるなら少しだけ後押しを願っても宜しいでしょうか」
「まあそれ位なら。俺を諦める交換条件みたいな?」
「その様に捉えて頂いて」

「解った。上手く伝えられるかは保障しない。ニドレアは特例だからな。変な噂立ったら外交官として訴えるぞ」
「有り難う御座います。文字通りこの首を飛ばす覚悟故ご心配には及びません。では城の方へ」
面倒だが波風立てないようにする為だ。


未来視通りに事は進み。歯車関連設備は綺麗に撤去。
昼食会へ誘われたので1人で参加。
ロイドには念話で連絡済。

何だかんだで代理王と対面2人切りでの食事。

「気分を悪くするかも知れないが。君に取って時の女神様とは何だったのだろうか」
「さぁ…。嘗て愛した内の1人。と言われても私には記憶が一切無い。例えそれが甦ったとしても今持つ答えは変わりません。
単なる異常なストーカーでした」
その答えに代理王が泣きながら大袈裟に笑った。悲しみを打ち消すかのように無理矢理笑い飛ばした。

「あぁ何処かに居られる女神よ。我らが築き上げた屍は何だったのだ…。全て無意味。馬鹿馬鹿しい!
邪神教団のアデルに伝えて欲しい。このフロイメンが保障する。貴様の愚かな夢は叶わぬ。ポセラギニウス様を敵に回した時点で終わっていたのだと。
それでも止まらないのなら。貴方様の御手で葬ってやって下さい」
「元からその積もりで準備しています。ご心配無く」
「そうでしたか…。私の妻と娘。イイテンの妹。他にも挙げたら切りが無く。全ての恨みで粛正を。我らはここで正常な時を守り続けると誓います」
もう居ないのか…。時を戻せると騙されて。
「宜しくお願いします。全ての敵は我々で」

「今なら解ります。御方様が何故妹とこの世界を見限られたのか。外からでなければ誰も救えなかったと」
成程…。
「きっとそうなのでしょうね」
「これ以上の言葉は慎みます。御方様の天誅を頂戴する訳には参りませんので」
「はい。2年後辺りの品評会で献杯を捧げましょう。礎と成った全ての御霊に」
「うむ。有り難い、お言葉です」
辛い過去はここで終わり。後は前へ進むのみ。


ホテルで皆と合流。南極点から設備を打ち上げ。俺たちは過去と時の女神と決別を果たした。

サヨナラは…何時も呆気ない物だ。

戻って着替えてお買い物。夜は際どい水着ショーに大興奮でそのまま乱戦突入。癒やし合って愛を育み。

翌日はエリュトマイズ氏のご家族とサンメイルさんご家族と夏休みの打ち合わせ。何とか8月下旬で設定出来た。
9月が立て込み過ぎて御免為さいと。

サメリー工房はフィーネ他半数で訪問。レイルたちとオメアニス3人はタメリッカ工房へ。

テレンス君に忘れずニドレアの宣伝。
「スターレン様が…お認めに成った方?」
「まあそだね。この国で何だかんだ付き合い一番長い人だしさ。俺の推薦って言うと色々面倒だから数人後でとかでどうかな」
「それは勿論喜んで。でも前倒しにする理由が…。逆にスターレン様のお名前をお借りして出した方が良い。だーれも文句は言えませんし」
「好きに使ってくれ。都合悪くないなら」

「では遠慮無く。今ご自由の身なら。スターレン様のお手付きは頂けた?」
「はい?当然お断りしたけど?」
「えぇそれは残念です」
他の工房の人もなんで顔。
「残念って?何故に?」
「勇者様のご寵愛をお受け出来る方は滅多に居ない。この国の女性の誰もが憧れるステータスです。お見合いを出来る僕も鼻が高い、と思っていたのですが違うのですね」

「あれ?俺が可笑しいのかな?」
フィーネたちに目線を投げたが皆首を捻る。
そりゃそうだろ!
「この国の風習が凄いのは理解しましたが!我がタイラントでは逆なのでお手付きは致しません。今後も。と言うか嫁さん以外とは何も」
「そうですか。解りました。僕が頑張ります。他の方への興味を失いましたので近々に」
「そうして」

真面目な時計のお話に戻り試作品の話を聞き退店。

お外を散策しながら…。
「こんなて言ったらアレだけど。こんなオープンな国だったっけ?」
「さあ全く存じませんでしたが…。あの道具が流行り出して大きく変わった?のかも」
後ろの面々も首を捻る。
「どっかで。過去が上書きされたとか」
「元々資質が備わっていて開花したのかも知れません」
「一部西の文化が流入して変化した可能性も…」
ロイドの意見にあぁと納得したようなしないような不思議な感覚。前まではそんな事は無かった気がするし。

「ここが異文化交流の窓口と中継起点と成るのなら有り得なくも無しかな」
「将来を見据えて?」
「誰かの置き土産だったりね。この国全体が」
御方様とかの。その方が納得する。
ローションの原料が突然現われたりしたのも。

単に知らなかっただけでしょうと無理矢理飲み込んだ。


夕方。最上階に集まり相談。
「帰った位にグリドットがクワン以外とはお別れに来る。もし早く来ても待機班で対応するから良し。
明日丸々空いたけど何しよか。東部の買い物サッと済ませて午後は地下プールで明後日は帰るだけとか。丸っとプール遊びで明後日買い物して霧雨で飲んで帰るとか?」

「そうねぇ。個人的には後半。ゆっくり買い物飲みで帰りたい。皆は?」
他も全員後半で同意。

特に霧雨亭へ入った事が無い2人の嫁が興味津々で。
フルメンバーで行くのはシュルツが成人してからかなと雑談を交え。


こうして最後の別れの遠征は終わった。
意外にもアデルの妨害は何も無いまま。
感慨も郷愁の念も無くすんなりと…。




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7月16日。
モーランゼア遠征帰り翌日の昼。グリドット来訪。
お出掛けメンバーも呼び戻し。少しリビングで待たせて。

来客着1時間後にフルメンバー勢揃い。
「態々集めなくても」
「態々全員王都に居る時に来て置いて何言ってんだ。最後の最後で聞き逃しが有ったら拙いだろ。神域での情報交換は不可とクワンから聞いたしな」

「まあ確かに。でも今回助言と呼べる物は預かって居りません。純粋に報酬のお届けだけです。ではこちらを」
恒例の白い布を解き。

中身は既に形は整っているように見える薄型の菱形。色は銀色。嵌め合い2枚のセット物。
「我々の世界ではチタン精製が遅れてここまでの形成が困難で順当に純プラチナ製に仕上げました。私ではないので金椅子に座らせても無駄です。
ペースメーカーと一口に言っても。埋込式や首から提げるペンダント型とか。安全で言えば埋込式。将来何方かと再婚を為されて出産となれば断然前者。
諸々踏まえて埋込式をご用意しました。接着は古代樹の樹液で結構。中身をどうすれば良いかはスターレン様とシュルツ様にはお解りでしょうから省きます。
接着剤を使えば何度でもトライ可能なので頑張って仕上げて下さい。
中身の回路構造を転用してチタンで模倣するのは勿論可です。一応それには御方様の加護が掛かってますので別の方に使われても。
エルラダさんに関しては加護が無くとも余裕で百年は生きられます。老衰は防げませんが」

「他ねぇ。近場に必要な人…居たかな」
「パッとは浮かばないね」

「チタンで複製して温存するのも有。寧ろ将来的に必要な該当者が現われる。グリドットの言葉を余さず含めれば」
「あ、それだわ」
「鋭いですね。でもそれが何時かは不明。ここまで言えばお解りでしょう」
「何となく。エルラダさんが再婚した後の子か俺とダリアの子供か」
「あ…遺伝、ですか」
「多分言いたいのはそれだろね」

「ここも我らの世界も臓器移植なんて無理。異世界のような判定機も遺伝子適合を調べる術が全く無いのでは。
当然生後間も無い乳児に埋め込めませんし。ペンダント式を更に改良し。身体の成長を待ってからとか方法は千差万別です」
「解ってるさ。シュルツに預ければ言わなくても改良じゃんじゃん遣っちゃうし。心配してない」
「お任せを!お兄様の強心臓化も視野に入れて」
「そこまでは幾ら何でも過剰だって」
「ペンダント式なら誰でも使える物ですから」
「お任せします」
いったい何を作る気なんだろ。

「前回以上のヒントはもう何も有りませんが。何か質問がお有りなら伺います」
「そやね。もー俺は無いかな。俺の最後の質問を口から出すと御方様激怒するし。他の人で何か有れば」
見渡しても何も無し。
「プレマーレも大丈夫?」
「これ以上は会いたくなるだけなので不可能です」
「そか」

「スタンさんの質問は駄目な物なの?」
「駄目。グリドットが真っ青だから」
「その…ご質問だけはお止めを」
「だろうね。答えは出てるしな」
「…」
無言の返答。

「良し。毎度の蜂蜜と。昨日ストック分で蜂蜜のど飴作ってみたから持てるだけ持ってって」
「おぉそれはお喜びに成る事受合いです」

アローマが買いに走った最新とのど飴を持たせてグリドットとお別れ。最後は軽い握手とハグで締め括り。




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7月21日。
動作確認を終えたチタン製の改良ペースメーカーをエルラダさんの胸へ埋込。
静脈側に残る凸波形が綺麗に消えた。

それから2週間の経過観察。軽い運動にルームランナーを取り入れ。負荷バンドも併用。王宮地下プールを借りての水泳も。体力面が格段に上昇。
健康状態は頗る安定。カメノス医院の天才2人と入念に結果検討会と診察を経て完治と診断。ナノモイ氏へ報告お手紙を忘れずに発送。


城へも報告に本人と主要者数名で上がった。
8月5日昼前。王城特別会議室にて。

何故かメルシャンがメイザーに対してご立腹。
「ねえメイザー。私もプールで皆と泳ぎたい。どうして私は駄目なの?
二人目が授かったらまた自由に泳げなく成るのよ?
御母様もリシャーノまで駄目とは何なの?ねえ」
「「何故です?」」
名前の挙がった2人も詰め寄る。

先延ばしにしたかったリシャーノとの挨拶はあっさり通過させられた。半強制で遭遇。彼女自身は俺を諦める!と婚姻前に堂々と宣言していたらしく。ライザーも王族一同一安心で迎えたと。

「駄目だ。スターレンとソプランの前で水着に成るとは言語道断。二人が居なければ良い」
「お見せする位で何を言うかと思えばそれですか。際どい物で無ければ構いませんわ」
「私は嫌だ!父上とライザーはどうなのですか!」
珍しく憤慨。
「私は別に構わんぞ」
「私もだ。男子禁制にすれば兄上も見られませんが?先日はスターレン側の妃を見たいとか。侍女のアローマまで見たいと言っていたのは誰でしたか…はて」
「ば、馬鹿者!ここでバラすな」

メルシャンの冷めた目と平手打ち。
「嫌らしい想像をしているのはメイザーです。海遊びに慣れているスターレンとソプランなら問題有りませんわ!
貴方を立入禁止にします。御父様のご協力を」
「墓穴を掘ったなメイザー。その時間帯は監視を付けて執務室へ缶詰にする」
「くっ…恨むぞライザー」

「全面的に兄上が悪い。私はウィンザートで散々水着を見慣れているのでね。リシャーノとダリアが仲良く泳ぐ所を純粋な目で見守りたい。
今から仲良く成って置かねば雨期明けにリシャーノを潜水艇に乗せられん。スターレンと接近する場慣れも含めて」
「ライザー様のお心遣いに感謝を。私もそう言う目で見られていたとは…。メイザー様には失望です」
「それは誤解だ!そこまでではない。うつ…いやこれ以上は止めよう。大人しく事務作業に没頭する」
「あぁ私だけではご不満だと。第二妃を考えていると」
「違う!頼むから信じてくれ。そこまで深い意味は無い」
夫婦喧嘩まで始まってしまった。

「まあまあその辺に。主眼はエルラダさんの体力増進が目的です。私共の訓練棟が完成するまでの繋ぎ。あちらが完成すれば妄りにこちらへは立入ません。男は。
明日辺りにラフドッグの新作水着を見に行きます。男女別で店も違うのでご安心。御三人様も御所望であればご案内しますが」
「「「参ります!」」」

「では明日の午前にフィーネが迎えに。男物は多寡が知れてますので適当な短パン型を購入して来ます。エロいメイザー殿下以外の分を」
「「頼む」」
「くぅぅ」
メイザー1人が撃沈。




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8月9日。
ペカトーレへお薬配達。
デレデレのマホロバの隣にはニッコニコのフラデナ姫のお姿が。一目瞭然で成立してた。
聞けばカラードキャメオ迷宮遠征時に何度か会っていたらしく。その時からフラデナ姫がぞっこん。マホロバは当時気付いてなかった。でも今乗り越えラブラブ。
終わり善ければ何とやらで皆で祝福した。
ニーメンにもお相手が確定。首都内の世話焼きおばちゃんからの紹介で成立。

モデロンだけがフリー。今は仕事優先で彼女はまだ良いとの強がりを見せる彼に。
「無理すんなって。仕事の妨げに成らない人を今から探して置かないと。2人が良い例だろ。仕事のストレスなんて何処へやら。胃薬ももう要らない。
来月上旬休暇取れるならタイラント視察に来てくれ。前にも言ったがモデロンは引き抜きたい人材だ。
こっちの任期を円満に終えたら自由なんだろ?」
「それは…マホロバ様のご許可を得ないと」

「俺はいいよ。任期満了までに財務官の後釜育ててくれればね。俺たちもその積もりで準備するし探す。
この国はもう王政でもない。仕事は仕事。プライベートまで制限する権利は無いさ。誰にも。
相手を探してなかったのは何時かタイラントへ行きたいって願望が有ったからだ。それは端から見てた俺たちも皆が理解してる。
視察なんて建前で良いから息抜きと候補者の人探してみて。ひょっとしたらペカトーレまで遊びに来てくれるような足の軽い素敵な人が見付かるかもよ。
運が良ければ転移で運んで貰えるしさ」
「有り難う御座います。では日程が決まり次第手紙で連絡をさせて頂きます」
「おっけ」
将来的な人材確保は大切だ。後は本人たちの自由意志。




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8月11日。
本日は拠点女子会の開催日。と言う事はエルラダ先生の教育実習が行われる日。

実習もこれで4度目。
これまでの教えと学び。実践経験を存分に活かし。
すっかり元気に成った先生を初めて蕩けさせた。もうそうなってしまえば俺たちも止められずトロトロに…。

略徹夜明けの朝食後。
「もう教えられる事は有りません。これ以上は…私が引き返せません。お許し下さい」
涙がサラリと落ちた。それは俺たち2人も。
「本心を晒せば続けたい。皆の許可を取ってでも。しかしそれは無理。ダリアを悲しませる事は出来ません。ミゼッタにも顔向け出来ない。ここで終わりにしましょう」
「大好きに成ってしまった人との別れがこんなにも辛い事だったなんて…。胸が苦しい。でも必要な区切りです。
善き思い出として先生の教えを忘れず。より一層嫁を大切にします」

ハンカチで涙を拭い。明るい笑顔で。
「私が気に成っている方は。メメットさんです」
「あぁ成程」
「確かに。あの人は独り身に戻ってからもずっと外で遊んでません。男として惚れ惚れする程の忍耐力です。
一人の人を生涯想い続けて生きる。想像は出来ても俺には真似出来ない。先生ならきっと上手く行くと思います」

「有り難う。メメットさんに関しては占いに頼らず本心で打つかって行きます。
間に合うかは解りませんが孫よりも早く授かれたなら本望です。叶わぬとしても生涯をお側で終えたいと」
「応援します。余計な事はせずに」
「俺もです。年始辺りで祝杯を挙げられれば幸い。でも二人共お酒弱いですから程々に。寝室まで運んだら自分を抑えられるか自信が無いので」
「それは気を付けませんと。お酒を嗜む時は避妊具を常備して置きますね」

「辛いご冗談を」
「辛いっす」

食後の珈琲は塩っぱい味がした。
先生との卒業式はその塩味の珈琲で乾杯。
有り難う。先生との幸せな逢瀬は一生忘れません。
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