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第194話 ロイドの偽名と南西大陸の話
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朝食後に3人で偽名検討会。
周りには侍女衆が居るがこれだけは他の意見を入れずに俺たち夫婦2人で決める事にした。
「俺は、ロイダナ。俺が付けたあだ名に近い感じで」
「私は、カルフィナ。実名と私の要素を足して」
「ロイダナとカルフィナですか。何方も捨て難いですね」
「ロディとかも考えたけど。どんどん男の子ぽくなるから」
「それはちょっと…」
フィーネがまた悩み出した。
「ロイダナ…。周りにはロイドで通ってるしね。実名呼びは私だけ。そっちの方が良いかなぁ」
再び俺が提案。
「ちょいと長いけど。ロディカルフィナ、なんてどう?」
「繋げただけだけど。ロディカでもルフィナでも女性寄りの良い名前だね。私はそれで賛成」
「ロディカルフィナ…。良いですね。引っ掛かりも感じませんし。長めの方が他の方と被り難いので」
あっさり議決。
フィーネのお出掛け前に3人で商業ギルドに向かった。
こちらもあっさり15分で審査が通った。
「今まで何を悩んでいたんだろう」
「きっと無駄じゃなかった。そうしよう」
「これが私の身分証…」
暫し自分の新カードを眺めて。きっちり専用口座も開設。
俺とフィーネで金貨2千ずつ振込。
異常残高は特に無し。現金で金貨銀貨銅貨百枚ずつ引き出しも出来た。
ホクホクのロイドを隣の冒険者ギルドへ連れ。
無事に初級登録、カードも発行。
「プレの方もレイルに名前付けて貰えば通りそうだな」
「そっちは早めに試しましょう」
作りさえすれば何処かの浅い迷宮を2人で踏破させて中級に上げて置けば対策は完璧。
フィーネとギルド前で別れ2人で帰宅。
お茶をしながら朝の収穫結果を眺めたりボーッと。
ふと対面のロイドさんが。
「名前と言うのは…」
「うん?」
「名前も共通言語と同じで。本人と複数人。例えば世界に広く影響力を持つ二人のような人物が認識して口にすれば一挙に広まる物なのではないでしょうか」
「おぉ。確かに有りそう。だから水竜様はあいつの名前をフィーネに認識させるな、て忠告したのかも。ペリーニャは保護する意味で」
「1つ繋がりましたね」
「俺とフィーネが良く混ぜる和製英語も。俺たちが口にしてると周りに認知されて外国でも通じるようになってた。
大部分文明レベルに合ってないのに変だなぁ、てずっと疑問だったんだ」
言語体系の謎が1つ解明された。
「プレドラの改名も難しくはなさそうですね」
「それに期待しよう。ソラリマ。レイルにプレドラの改名案考えるように伝えて」
『御意。……即決でプレマーレ、だそうだ』
「はっや」
即断即決の女。
「近々こっち呼ぶから夕食何食べたい?」
『…今日行くフォンデュが美味しかったらそこへ』
絶対言うと思った。
「チーズケーキ気に入ったなら多分美味しいと思う筈」
『ラメルにケーキを頼むのも忘れるな』
「自分で伝えろよ」
『最近念話をすると。甘えて挫けそうになるから控えて欲しいと言われた。らしい』
「強い子だなぁ。ラメル君は。俺絶対無理」
「強がりな甘えん坊ですものね」
「悪かったな」
事実フィーネに先立たれたら。俺は無気力廃人になれる自信が有る。
こないだソウルブリッジを繋ぎ直してからその想いがより強くなった気がする。
愛か、絆か、馴れ合いか、執着か。将又全部なのか。
「フィーネと夫婦喧嘩して嫌われたら…。俺寂しくて兎みたいに死んじゃいそう」
「馬鹿ですね。浮気しなければ良いのです。至って単純明快ですよ」
「馬鹿言うなし(号泣)」
男って単純馬鹿。俺は浮気心が有る側の人間です。
ペッツたちはフィーネの方に飛んでった。
侍女3人も本棟側の仕事や工房に籠るシュルツに付き添いで居ない。
「何だか最初に戻った気がするな」
「不思議なものですね」
「昼は何が食べたいですか?未来の御母様」
「気が早いですよ。それに私は側室愛人狙いですので」
何だこの許容値の無限大さは!!
「前世で生きた世界ではそれが当たり前でしたから。フィーネは元日本人。それを甦らせたのは貴方」
「物凄い納得!」
複雑でも何でも無かったっす。
「お昼は簡単にうどんでも。午後からお暇でしたら何時か二人で作っていた半平や馬鈴薯コロッケを教えて頂けません?」
「大変良いですね。ラフドッグで魚と芋買って明日用とロイドの夕食用に作って進ぜよう」
「お買い物ご一緒しますわ。母として」
「どっちやねん!」
浮気心は何処へやら。母性に甘えていただけらしい。
---------------
本日16時に早くも集まった飲み会メンバーは。
ソプラン、自宅を追い出されたトーム、奥さんが揃ってご懐妊中のヒレッツ、ケッペラ、メレス
の現旧メメット隊の5名。
奥さん一筋の真面目なカーネギは宿舎でのんびり休暇。
「何か懐かしいメンバーだなぁ」
ソプランが。
「懐かしいし。このメンバーでここに集まるのも飲みに行くのも初めてだよな。
隊長は脂っこい物は受付ねえでパス。
モーラスは薬研究で忙しい。
ゴンザはライラの許可が下りなかった」
あらまぁ。
トームは半分不貞腐れて。
「俺は背中押されて家から叩き出されたからな。もうこっちか隣に泊めて貰うわ」
ヒレッツ、ケッペラ、メレスは。
「俺は、へぇ行くんだ。私放って行くんだ。へぇてなもんよ」
「ちょっと飲みに出るだけなのによぉ。なんであんな白い眼で見るんだか」
「配達や出張と同じだと強引に出て来た」
「それぞれ有るもんだね。独身時代が懐かしいって。浮気は許さんぞ。なんでって俺が出来ないからな!自動的に相手が殺されちゃう…」
「叫ぶんじゃねえよ。アローマがこっち睨んでるだろ」
キッチンでお茶淹れ中のアローマがムスッとしていた。
「冗談冗談。空腹でお酒も何だし。リゼルオイルでさっき揚げたコロッケ食べよう。1人1個まで」
ブート胚酢漬けリゼル木の実をポリポリしながら紅茶でコロッケを頂く午後。
お隣組が。
「今は見たくもねえけど」
「食べると美味いんだよなぁ」
「幾ら食べても飽きないナッツは初めてだよな」
「内陸で拾って来た俺たちを褒め給え。商品や薬が売れれば給料だって上がるんだから」
「へいへい」
「感謝感謝」
メレスは手を止めて。
「しかし何だな。…ラフドッグでも思ったが普通にロイド様が近くに座ってると思うと。不思議な気分だ」
「白昼夢じゃなかったんだと再認識する」
言ったトーム他3人もウンウン。
「お邪魔でしたかしら。コロッケは私も手伝ったので食べたいのですが」
「いえいえ。全然迷惑とかではないですよ。翼が出てなければお嬢に負けず劣らずの美女ってだけですから」
ヒレッツに戻って。
「ユーランスに言い付けるぞ。俺も同じだ」
メレスの奥さんへ。
「お答えが難しいですが。一応お礼を」
俺が5人に質問。
「主にトームに聞きたいんだけど。属性弓の情報知らないかな。今まで何処でも見たこと無くてさ。闇の呪い掛かってるのは有るけど」
「属性弓か…。全没収されたエドガントの家に有った遺品の中に有った気もするな。何属性かは忘れたが」
「あぁ。じゃあ今城か。次行ったら聞いてみよ」
「まあ大概珍品扱いだけどな。前にも言ったかもだが魔力馬鹿食いするし。遠距離だと途中で消えるし」
「最近南東の迷宮で雷属性が付与された半無限矢筒拾ってさぁ。それに対応する属性付きの弓が有ればいいって話なんだけど。
一般的にはそうなのか」
「半無限…?」
テーブルの上に雷矢の矢筒を取り出して説明。
「はぁ。属性弓と矢筒を結べば飛ばした矢が戻る?弓師の夢装備じゃねえか。城に言ったら国宝にされるぞ」
メレスが手を挙げ。
「今のお嬢なら武装に魔石合成出来るんじゃないのか」
「今まで魔石を直でやった事あんま無くて。折角の武器や防具の性能が落ちたら嫌じゃん」
「まあそうか」
「城に有るのが玩具だったらベース探すかぁ。の前に専門家に聞いてみるか」
バザー参加者はあぁと納得。
それから日没まで。俺やソプラン、時々ロイドとアローマで各地の冒険話や訪れた国について話をして過ごした。
ルーナのお披露目は刺激が強すぎるので内緒。
---------------
ハーベストのチーズフォンデュは真に想像通りの美味しさで白ワインベースにピザ用チーズ数種を溶かした物。
着ける具材は蒸し野菜、南瓜、馬鈴薯、自分たちはお馴染みの燻製品、茹で解凍した剥き海老、堅焼きパン。
現メメット隊メンバーの旅先での小話やロルーゼへの遠征話を聞いて盛り上がった。
先細フォークで突き刺し巻き巻きパクパク。赤白ワインでハッピーに。
乳製品を好まないソプランさえも満足げ。
追加の食材と鍋を頼んだ時にケルキーさんを呼んだ。
「男臭くて御免。でも評価は最高。白ワインとチーズの割合も完璧。チーズの種類もね。
強いて言えばミニトマトが有ると嬉しいかも。今度連れて来る人の中にトマト好きな人が居るから」
「ご感想痛み入ります。ミニトマトでしたか。済みません失念して居りました。確かにピザにも合いますからね。
次回までには必ずご用意を」
「今日は中堅ばっかだけど。子供や未成年用のフォンデュは有るの?」
「はい…」
背にした扉から離れ小声で。
「ワインではなく牛乳を使った濃厚フォンデュが」
「あ!それ忘れてた」
子供でも余裕だった。
「スターレン様になら取られても本望です」
「取らない取らない。明後日の夜は空いてる?」
「一週間は空けておりますので何時でも、何度でもお越し下さい」
「じゃあ明後日の夜予約で。変更有ったら明日のランチの時に連絡させます」
「畏まりました」
テーブルの下で事後確認…フィーネは速攻でOK。
話を聞いていたメレスが。
「なあ。明日とか空いてるなら俺たちで使っていいか?嫁さん連中連れて来ないと怒り買う」
「ああそうだね。絶対人気出るから今の内だ。3人は明日で。トーム家もこの席ならゆっくり出来るし。3日後以降で。後で給仕さんに伝えて」
ヒレッツも。
「助かるぜ。リゼルのお陰で配達も谷間だったしよ。これなら酒精も殆ど飛んでるし」
「悪阻が来てない今の内にご機嫌取らんとな」
3組共同じ時期なんだ。
「家も家族四人水入らずで使わせて貰うぜ」
大変良い土産話が出来た所で追加が台車でやって来た。
---------------
お腹も満たされ性欲は収まるのか。それには個人差が有ります。
自分若いんで!
ソファーには限度が有るので1人に1人ずつの女の子が付いた。
ジェシカグループよりはやや若手の現指名率トップ6。
善く善く考えるとこれ位の人数が丁度良かった。
俺の隣にはフーリアと言う名の現No.1の子。
他は高密着でイチャイチャ。ええなぁ…。
ここだけ適度な距離感。
「あのー。スターレン様」
「どしたの?緊張してる?」
「かなり。…先輩たちや店長にも注意されたんですが。何処までが許されるのでしょう。奥様に」
「あぁ…。多分肩が触れ合って手を握る辺りかな。俺が平常心を保てば大丈夫。お胸やお尻をくっ付けると。
直ぐ目の前に現われて俺はビンタ。フーリエはデコピンで気絶。他の5組も巻き添い。奥さんたちに全バラし」
「き、気を付けます。ちょっと失礼」
フーリエが立ち上がって一喝。
「みんな。過度な接触は控えて。スターレン様が興奮されてしまったらフィーネ様が飛んで来られるわ」
女性陣がシュンと密着度が大人しくなった。
「これで一安心。ですか?」
「良いと思います」
お酒が進んで肩も密着。満員電車レベル。
「不躾な質問ですけど。どうして女神教から水竜教へ改信されたのですか?」
「来る途中で嫁さん見付けて。一目惚れして口説き落としたからその責任。みたいな感じ」
大筋間違ってない。
「ご信仰が要因ではなかったのですね。かく言う私も水竜教では有りますが。はぁ、残念。意味はお察しを」
察しましょう。
「何となく解った」
「私もジェシカ先輩と同じくコマンネンティ財団の所属なんですが。…近々ヒエリンドと結婚するんです」
何と!彼女の勇気に称賛を!
「それは一応御目出度う」
「普段は真面目で気さくな醜男なんですがねぇ。お酒なんて飲まなきゃいいのに…。でも先日スターレン様が置いて行かれた種や木の実を食べて劇的に改善したんです。
私たちの体調も含めて」
「良かった。効果が有って」
「良かった…んでしょうかねぇ。以前から口説かれてはいたんです。でもそれはお酒の上での戯れ事。
けれどあの日は木の実を食べて普段通りに。真面目な顔で酔い任せではない本心だと。
ここでも下でも玄関先でも。何度も何度も頭を地に擦って結婚してくれと懇願されたんですよ」
何やってんだい。まあ必死さは伝わる。
「何とも言えないっす」
「もう同情十割で愛情なんて欠片も有りません。彼のお財布と結婚してやります」
割り切りじゃなくて振り切っちゃった。
「散財しない程度に働かせてやりますとも」
「が、頑張って」
「卒業後は財団の方でお顔を合わせると思いますので宜しくお願いします」
「宜しく」
「総師に直接お聞き頂ければ良いですが。何か今お聞きになりたい情報は有りますでしょうか。スターレン様になら口頭でのお許しが出ています」
ここで聞けるとは思ってなかった。
「ちょっと属性が付与された弓探してるんだけど。何か知らないかな。知らなければコマネさんに問い合わせでも」
「少々お待ちを」
俺の左手の甲に右手を添えて。足を組んで黙祷。でなく検索中。
この店のNo.1になる人って同じ系統なのかしら。
記憶力が良いと言う意味で。
暫し右手でシャンパンを飲みながら小物を摘まみながら他の組の様子をチラ見。
皆さん大人な飲み方に切り替わってる。平和だ。
フィーネが来るの一言で微酔いが飛んだとも言える。
「出ました」
「え?出たの?」
「極々偶に。触れている方が探している物が脳裏に浮かぶ事が有るんです。明確なスキルではないそうですが」
「へぇ。凄いね」
探索スキルに近い能力だ。
「この力が総師に気に入られて拾われたような物で。スターレン様がご依頼された案件も幾つかお手伝いした事も有ります」
この人も影の功労者だったのか。色々な人に支えられて勝利を掴んで来たんだなと実感。
「有り難う。何のお礼も出来ないけど」
ヒエリンドを引き取って貰ったし。
「いいえ。お役に立てたならこれ幸い。
まず弓と聞いて真っ先に浮かぶのは南西大陸です。あの大陸は昔から海賊と争い。海上戦を繰り返していた所から弓が発達。それを色濃く継ぐのは北東部のギリングスと南部のスリーサウジアの二つ」
残念。2つ共入ってない国だ。
「南部は原住民が住み。現在でも狩猟が盛ん。北東は未だに海賊が近海諸島を牛耳っています。
今浮かんだのはサンタギーナ最東部の港町。武器屋と言うよりは雑貨屋に近い物が見えました」
「凄え。マジで」語彙力最少。
「恐らくギリングスで作られた物が流出したのだと。店の場所は南の内陸側です。ご参考に成りましたでしょうか」
「めちゃくちゃ成りました」
東端ならカーラケルト。行ってはいないがクワンなら飛べる。無くならない内に早めに行きたいな。
明日は朝からローレライの所に行くから早めに終われば帰りに行こう。
「国内周辺に有るかどうかは総師に確認してみます。それは後にお便りで」
「解った。直接聞く手間が省けたよ」
「ではご褒美を頂きます」
「何を?」
と聞く前に俺の飲みかけグラスに口を付けた。
あらやだ間接キッス。
「直接は頂けませんので。キスの代わりに…」
暫く2人で目の前を凝視。
誰も飛んで来なかったのでセーフらしい。
新しいボトルやシャンパンを入れ。至って平和に世間話やちょいウィンザート事業の話をしてお開きに。
23時を回り、帰宅を嫌がるトームを自宅前まで強制送還して寝た子を起こさぬ様にそっとフィーネを引き取った。
小声でトームを叱責するレーラさんに手を振りながら。
周りには侍女衆が居るがこれだけは他の意見を入れずに俺たち夫婦2人で決める事にした。
「俺は、ロイダナ。俺が付けたあだ名に近い感じで」
「私は、カルフィナ。実名と私の要素を足して」
「ロイダナとカルフィナですか。何方も捨て難いですね」
「ロディとかも考えたけど。どんどん男の子ぽくなるから」
「それはちょっと…」
フィーネがまた悩み出した。
「ロイダナ…。周りにはロイドで通ってるしね。実名呼びは私だけ。そっちの方が良いかなぁ」
再び俺が提案。
「ちょいと長いけど。ロディカルフィナ、なんてどう?」
「繋げただけだけど。ロディカでもルフィナでも女性寄りの良い名前だね。私はそれで賛成」
「ロディカルフィナ…。良いですね。引っ掛かりも感じませんし。長めの方が他の方と被り難いので」
あっさり議決。
フィーネのお出掛け前に3人で商業ギルドに向かった。
こちらもあっさり15分で審査が通った。
「今まで何を悩んでいたんだろう」
「きっと無駄じゃなかった。そうしよう」
「これが私の身分証…」
暫し自分の新カードを眺めて。きっちり専用口座も開設。
俺とフィーネで金貨2千ずつ振込。
異常残高は特に無し。現金で金貨銀貨銅貨百枚ずつ引き出しも出来た。
ホクホクのロイドを隣の冒険者ギルドへ連れ。
無事に初級登録、カードも発行。
「プレの方もレイルに名前付けて貰えば通りそうだな」
「そっちは早めに試しましょう」
作りさえすれば何処かの浅い迷宮を2人で踏破させて中級に上げて置けば対策は完璧。
フィーネとギルド前で別れ2人で帰宅。
お茶をしながら朝の収穫結果を眺めたりボーッと。
ふと対面のロイドさんが。
「名前と言うのは…」
「うん?」
「名前も共通言語と同じで。本人と複数人。例えば世界に広く影響力を持つ二人のような人物が認識して口にすれば一挙に広まる物なのではないでしょうか」
「おぉ。確かに有りそう。だから水竜様はあいつの名前をフィーネに認識させるな、て忠告したのかも。ペリーニャは保護する意味で」
「1つ繋がりましたね」
「俺とフィーネが良く混ぜる和製英語も。俺たちが口にしてると周りに認知されて外国でも通じるようになってた。
大部分文明レベルに合ってないのに変だなぁ、てずっと疑問だったんだ」
言語体系の謎が1つ解明された。
「プレドラの改名も難しくはなさそうですね」
「それに期待しよう。ソラリマ。レイルにプレドラの改名案考えるように伝えて」
『御意。……即決でプレマーレ、だそうだ』
「はっや」
即断即決の女。
「近々こっち呼ぶから夕食何食べたい?」
『…今日行くフォンデュが美味しかったらそこへ』
絶対言うと思った。
「チーズケーキ気に入ったなら多分美味しいと思う筈」
『ラメルにケーキを頼むのも忘れるな』
「自分で伝えろよ」
『最近念話をすると。甘えて挫けそうになるから控えて欲しいと言われた。らしい』
「強い子だなぁ。ラメル君は。俺絶対無理」
「強がりな甘えん坊ですものね」
「悪かったな」
事実フィーネに先立たれたら。俺は無気力廃人になれる自信が有る。
こないだソウルブリッジを繋ぎ直してからその想いがより強くなった気がする。
愛か、絆か、馴れ合いか、執着か。将又全部なのか。
「フィーネと夫婦喧嘩して嫌われたら…。俺寂しくて兎みたいに死んじゃいそう」
「馬鹿ですね。浮気しなければ良いのです。至って単純明快ですよ」
「馬鹿言うなし(号泣)」
男って単純馬鹿。俺は浮気心が有る側の人間です。
ペッツたちはフィーネの方に飛んでった。
侍女3人も本棟側の仕事や工房に籠るシュルツに付き添いで居ない。
「何だか最初に戻った気がするな」
「不思議なものですね」
「昼は何が食べたいですか?未来の御母様」
「気が早いですよ。それに私は側室愛人狙いですので」
何だこの許容値の無限大さは!!
「前世で生きた世界ではそれが当たり前でしたから。フィーネは元日本人。それを甦らせたのは貴方」
「物凄い納得!」
複雑でも何でも無かったっす。
「お昼は簡単にうどんでも。午後からお暇でしたら何時か二人で作っていた半平や馬鈴薯コロッケを教えて頂けません?」
「大変良いですね。ラフドッグで魚と芋買って明日用とロイドの夕食用に作って進ぜよう」
「お買い物ご一緒しますわ。母として」
「どっちやねん!」
浮気心は何処へやら。母性に甘えていただけらしい。
---------------
本日16時に早くも集まった飲み会メンバーは。
ソプラン、自宅を追い出されたトーム、奥さんが揃ってご懐妊中のヒレッツ、ケッペラ、メレス
の現旧メメット隊の5名。
奥さん一筋の真面目なカーネギは宿舎でのんびり休暇。
「何か懐かしいメンバーだなぁ」
ソプランが。
「懐かしいし。このメンバーでここに集まるのも飲みに行くのも初めてだよな。
隊長は脂っこい物は受付ねえでパス。
モーラスは薬研究で忙しい。
ゴンザはライラの許可が下りなかった」
あらまぁ。
トームは半分不貞腐れて。
「俺は背中押されて家から叩き出されたからな。もうこっちか隣に泊めて貰うわ」
ヒレッツ、ケッペラ、メレスは。
「俺は、へぇ行くんだ。私放って行くんだ。へぇてなもんよ」
「ちょっと飲みに出るだけなのによぉ。なんであんな白い眼で見るんだか」
「配達や出張と同じだと強引に出て来た」
「それぞれ有るもんだね。独身時代が懐かしいって。浮気は許さんぞ。なんでって俺が出来ないからな!自動的に相手が殺されちゃう…」
「叫ぶんじゃねえよ。アローマがこっち睨んでるだろ」
キッチンでお茶淹れ中のアローマがムスッとしていた。
「冗談冗談。空腹でお酒も何だし。リゼルオイルでさっき揚げたコロッケ食べよう。1人1個まで」
ブート胚酢漬けリゼル木の実をポリポリしながら紅茶でコロッケを頂く午後。
お隣組が。
「今は見たくもねえけど」
「食べると美味いんだよなぁ」
「幾ら食べても飽きないナッツは初めてだよな」
「内陸で拾って来た俺たちを褒め給え。商品や薬が売れれば給料だって上がるんだから」
「へいへい」
「感謝感謝」
メレスは手を止めて。
「しかし何だな。…ラフドッグでも思ったが普通にロイド様が近くに座ってると思うと。不思議な気分だ」
「白昼夢じゃなかったんだと再認識する」
言ったトーム他3人もウンウン。
「お邪魔でしたかしら。コロッケは私も手伝ったので食べたいのですが」
「いえいえ。全然迷惑とかではないですよ。翼が出てなければお嬢に負けず劣らずの美女ってだけですから」
ヒレッツに戻って。
「ユーランスに言い付けるぞ。俺も同じだ」
メレスの奥さんへ。
「お答えが難しいですが。一応お礼を」
俺が5人に質問。
「主にトームに聞きたいんだけど。属性弓の情報知らないかな。今まで何処でも見たこと無くてさ。闇の呪い掛かってるのは有るけど」
「属性弓か…。全没収されたエドガントの家に有った遺品の中に有った気もするな。何属性かは忘れたが」
「あぁ。じゃあ今城か。次行ったら聞いてみよ」
「まあ大概珍品扱いだけどな。前にも言ったかもだが魔力馬鹿食いするし。遠距離だと途中で消えるし」
「最近南東の迷宮で雷属性が付与された半無限矢筒拾ってさぁ。それに対応する属性付きの弓が有ればいいって話なんだけど。
一般的にはそうなのか」
「半無限…?」
テーブルの上に雷矢の矢筒を取り出して説明。
「はぁ。属性弓と矢筒を結べば飛ばした矢が戻る?弓師の夢装備じゃねえか。城に言ったら国宝にされるぞ」
メレスが手を挙げ。
「今のお嬢なら武装に魔石合成出来るんじゃないのか」
「今まで魔石を直でやった事あんま無くて。折角の武器や防具の性能が落ちたら嫌じゃん」
「まあそうか」
「城に有るのが玩具だったらベース探すかぁ。の前に専門家に聞いてみるか」
バザー参加者はあぁと納得。
それから日没まで。俺やソプラン、時々ロイドとアローマで各地の冒険話や訪れた国について話をして過ごした。
ルーナのお披露目は刺激が強すぎるので内緒。
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ハーベストのチーズフォンデュは真に想像通りの美味しさで白ワインベースにピザ用チーズ数種を溶かした物。
着ける具材は蒸し野菜、南瓜、馬鈴薯、自分たちはお馴染みの燻製品、茹で解凍した剥き海老、堅焼きパン。
現メメット隊メンバーの旅先での小話やロルーゼへの遠征話を聞いて盛り上がった。
先細フォークで突き刺し巻き巻きパクパク。赤白ワインでハッピーに。
乳製品を好まないソプランさえも満足げ。
追加の食材と鍋を頼んだ時にケルキーさんを呼んだ。
「男臭くて御免。でも評価は最高。白ワインとチーズの割合も完璧。チーズの種類もね。
強いて言えばミニトマトが有ると嬉しいかも。今度連れて来る人の中にトマト好きな人が居るから」
「ご感想痛み入ります。ミニトマトでしたか。済みません失念して居りました。確かにピザにも合いますからね。
次回までには必ずご用意を」
「今日は中堅ばっかだけど。子供や未成年用のフォンデュは有るの?」
「はい…」
背にした扉から離れ小声で。
「ワインではなく牛乳を使った濃厚フォンデュが」
「あ!それ忘れてた」
子供でも余裕だった。
「スターレン様になら取られても本望です」
「取らない取らない。明後日の夜は空いてる?」
「一週間は空けておりますので何時でも、何度でもお越し下さい」
「じゃあ明後日の夜予約で。変更有ったら明日のランチの時に連絡させます」
「畏まりました」
テーブルの下で事後確認…フィーネは速攻でOK。
話を聞いていたメレスが。
「なあ。明日とか空いてるなら俺たちで使っていいか?嫁さん連中連れて来ないと怒り買う」
「ああそうだね。絶対人気出るから今の内だ。3人は明日で。トーム家もこの席ならゆっくり出来るし。3日後以降で。後で給仕さんに伝えて」
ヒレッツも。
「助かるぜ。リゼルのお陰で配達も谷間だったしよ。これなら酒精も殆ど飛んでるし」
「悪阻が来てない今の内にご機嫌取らんとな」
3組共同じ時期なんだ。
「家も家族四人水入らずで使わせて貰うぜ」
大変良い土産話が出来た所で追加が台車でやって来た。
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お腹も満たされ性欲は収まるのか。それには個人差が有ります。
自分若いんで!
ソファーには限度が有るので1人に1人ずつの女の子が付いた。
ジェシカグループよりはやや若手の現指名率トップ6。
善く善く考えるとこれ位の人数が丁度良かった。
俺の隣にはフーリアと言う名の現No.1の子。
他は高密着でイチャイチャ。ええなぁ…。
ここだけ適度な距離感。
「あのー。スターレン様」
「どしたの?緊張してる?」
「かなり。…先輩たちや店長にも注意されたんですが。何処までが許されるのでしょう。奥様に」
「あぁ…。多分肩が触れ合って手を握る辺りかな。俺が平常心を保てば大丈夫。お胸やお尻をくっ付けると。
直ぐ目の前に現われて俺はビンタ。フーリエはデコピンで気絶。他の5組も巻き添い。奥さんたちに全バラし」
「き、気を付けます。ちょっと失礼」
フーリエが立ち上がって一喝。
「みんな。過度な接触は控えて。スターレン様が興奮されてしまったらフィーネ様が飛んで来られるわ」
女性陣がシュンと密着度が大人しくなった。
「これで一安心。ですか?」
「良いと思います」
お酒が進んで肩も密着。満員電車レベル。
「不躾な質問ですけど。どうして女神教から水竜教へ改信されたのですか?」
「来る途中で嫁さん見付けて。一目惚れして口説き落としたからその責任。みたいな感じ」
大筋間違ってない。
「ご信仰が要因ではなかったのですね。かく言う私も水竜教では有りますが。はぁ、残念。意味はお察しを」
察しましょう。
「何となく解った」
「私もジェシカ先輩と同じくコマンネンティ財団の所属なんですが。…近々ヒエリンドと結婚するんです」
何と!彼女の勇気に称賛を!
「それは一応御目出度う」
「普段は真面目で気さくな醜男なんですがねぇ。お酒なんて飲まなきゃいいのに…。でも先日スターレン様が置いて行かれた種や木の実を食べて劇的に改善したんです。
私たちの体調も含めて」
「良かった。効果が有って」
「良かった…んでしょうかねぇ。以前から口説かれてはいたんです。でもそれはお酒の上での戯れ事。
けれどあの日は木の実を食べて普段通りに。真面目な顔で酔い任せではない本心だと。
ここでも下でも玄関先でも。何度も何度も頭を地に擦って結婚してくれと懇願されたんですよ」
何やってんだい。まあ必死さは伝わる。
「何とも言えないっす」
「もう同情十割で愛情なんて欠片も有りません。彼のお財布と結婚してやります」
割り切りじゃなくて振り切っちゃった。
「散財しない程度に働かせてやりますとも」
「が、頑張って」
「卒業後は財団の方でお顔を合わせると思いますので宜しくお願いします」
「宜しく」
「総師に直接お聞き頂ければ良いですが。何か今お聞きになりたい情報は有りますでしょうか。スターレン様になら口頭でのお許しが出ています」
ここで聞けるとは思ってなかった。
「ちょっと属性が付与された弓探してるんだけど。何か知らないかな。知らなければコマネさんに問い合わせでも」
「少々お待ちを」
俺の左手の甲に右手を添えて。足を組んで黙祷。でなく検索中。
この店のNo.1になる人って同じ系統なのかしら。
記憶力が良いと言う意味で。
暫し右手でシャンパンを飲みながら小物を摘まみながら他の組の様子をチラ見。
皆さん大人な飲み方に切り替わってる。平和だ。
フィーネが来るの一言で微酔いが飛んだとも言える。
「出ました」
「え?出たの?」
「極々偶に。触れている方が探している物が脳裏に浮かぶ事が有るんです。明確なスキルではないそうですが」
「へぇ。凄いね」
探索スキルに近い能力だ。
「この力が総師に気に入られて拾われたような物で。スターレン様がご依頼された案件も幾つかお手伝いした事も有ります」
この人も影の功労者だったのか。色々な人に支えられて勝利を掴んで来たんだなと実感。
「有り難う。何のお礼も出来ないけど」
ヒエリンドを引き取って貰ったし。
「いいえ。お役に立てたならこれ幸い。
まず弓と聞いて真っ先に浮かぶのは南西大陸です。あの大陸は昔から海賊と争い。海上戦を繰り返していた所から弓が発達。それを色濃く継ぐのは北東部のギリングスと南部のスリーサウジアの二つ」
残念。2つ共入ってない国だ。
「南部は原住民が住み。現在でも狩猟が盛ん。北東は未だに海賊が近海諸島を牛耳っています。
今浮かんだのはサンタギーナ最東部の港町。武器屋と言うよりは雑貨屋に近い物が見えました」
「凄え。マジで」語彙力最少。
「恐らくギリングスで作られた物が流出したのだと。店の場所は南の内陸側です。ご参考に成りましたでしょうか」
「めちゃくちゃ成りました」
東端ならカーラケルト。行ってはいないがクワンなら飛べる。無くならない内に早めに行きたいな。
明日は朝からローレライの所に行くから早めに終われば帰りに行こう。
「国内周辺に有るかどうかは総師に確認してみます。それは後にお便りで」
「解った。直接聞く手間が省けたよ」
「ではご褒美を頂きます」
「何を?」
と聞く前に俺の飲みかけグラスに口を付けた。
あらやだ間接キッス。
「直接は頂けませんので。キスの代わりに…」
暫く2人で目の前を凝視。
誰も飛んで来なかったのでセーフらしい。
新しいボトルやシャンパンを入れ。至って平和に世間話やちょいウィンザート事業の話をしてお開きに。
23時を回り、帰宅を嫌がるトームを自宅前まで強制送還して寝た子を起こさぬ様にそっとフィーネを引き取った。
小声でトームを叱責するレーラさんに手を振りながら。
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