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第109話 残務整理、そして迷宮01

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荷物の整理をして。今回もドライヤーとお酒を頂戴。

チェックアウト後に礼拝堂に寄り、市場でお買い物。
また来てよ。また来ます。何時も交わす挨拶がこれまでで一番切なかった。

必ずまた来るんだと強く望み。フィーネと手を強く握り合い財団宿舎に向かった。

先に王都へ帰宅しまーすと挨拶しに来た。…積もりが?
こっちも帰り支度で忙しくしていた。

シュルツが俺たちを見付けて駆け寄って。
「スターレン様。お姉様。こちらももう直ぐ支度終わりですので少々お待ちを」

「忙しいならロロシュさんに先帰るって伝えといて欲しいんだけど」
「待ってた方がいいの?」

「ご無体な。私たちも転移で連れて行って下さい。御爺様の指示ですので」
「ん?そうなの?まあいいならいいけど」
「適当にご近所フラフラしてるから。慌てなくていいのよ」

宿舎内の事務室に居たロロシュ氏とゴーギャンさんにもご挨拶。
「ゴーギャンさん俺らも帰宅します。来月初め頃にまた船使わせて下さい」
「後1週間位しかないので大幅な改造はしなくていいですよ」

「丁度良かった。その船の件を今総師と相談していた所なんです」

「君らの船に名前まで付けてしまったら乗り捨てられんだろ。来月出発なら中型商船の運搬船が何便も出る。君らはそれに乗れ」
名前付けたら捨てちゃ駄目なんてルールがあったんだ。
捨てないけどね。

「お二人のクルーザーよりは速度は落ちますが安定性は比較になりません。来月は是非そちらを使って頂いて。
クルーザーの更なる飛躍を目指します」
まだ何か付けるの?
「サンタギーナに約束がある訳じゃないんで数日のズレは許容内です。便乗出来るならそうさせて貰います」
「ゆったりした船旅なら何の文句は無いです」
ソプランたちの訓練が生かせないが。それは次回に持ち越しかな。

ロロシュ氏に向き直り。
「船の手配はお願いします。誰を同行させるかは決まってませんが最大でも俺ら含めて6名です。

それはいいんですが。転移で帰るんですか?」

「帰ったその足でコマネの所に行くのだろ」
ああ、それで。
「初期の打診に行くだけですよ。仕事外の個人的なお話もあって」

「主導権を握るのはこのわしだ!初手を見過ごせば大事に至る。君らに奪われた最後の花道。残りの人生を温泉事業に費やしてやろう。個人的な方はちゃんと席を外してやるから同席させろ」
めちゃめちゃやる気じゃん。ピレリの話飛んでないか頗る不安だが。
「解りましたから。そう興奮しなくても」
「待ちますから落着いて。血圧上げないで下さい。ほら深呼吸深呼吸。フゥーハァー」
フィーネに促され。
「フーハー…。老人扱いをするな!!」
どうすりゃいいのさ。

それ以上刺激してはいけないので宿舎の外に出た。

アローマに連絡。
「転移でロロシュさんたちも帰るって。話は聞いてる?」
「今朝方お嬢様よりお伺いしました。こちらの受け入れ準備は整っております」
「そか。中庭辺りに飛んでくから空けといてね」
「承知しました」


居ても居辛く、メドーニャさんのお家に上がり込みお茶を頂きながら世間話を。

「ピレリの件。何から何まで申し訳ないねぇ」
「まあまあ。思いの外ライザー殿下の説得が上手く行ったんで」
「お気に為さらず。ピレリさんのお尻に火を着けて逃げられなくしただけですよ」

あらまあ悪い御人と笑い合った。

準備OKの呼び出しがあり、別れ際に寒天ゼリーを沢山お土産に頂いた。

親戚のおばちゃんみたいだ。



馬車毎運んで1発終了。ロロシュ商団御一行様を引き連れ数日振りの我が家へと帰宅した。

昼食は本棟にお呼ばれし、昼過ぎにゼファーさんが連行して来たコマネ氏とヒエリンドを交え温泉事業計画素案立案の話まで一気に行ってしまった…。

流れが早い!


コマネ氏だけを残し、本棟の接客室を借りた。

お茶も自分たちで運び入れ、3人とクワン以外は人払い。
「いやはや恐れ入った。仕事の話をとは言ったが。まさかあれ程大規模な計画への参入話だとはな」
「ロロシュさんが俄然やる気になっちゃったんで。もう身を任せるしかないっす」
「お仕事としては文句無いですよね」

「勿論だとも。これだけ大きな話なら裏など簡単に隠せる。
大変に動き易くなった」

南東の地図を広げて早速本題へ。

「既に内陸に入り込めるようには成りましたが。越国の申請をしていないんで。中で身動きが取れないんです」
「通行手形のような物か。何処かに潜り込める伝手とか無いですかね」

コマネ氏口を開いて固まった。
「…早い…。そ、そうか。君たちは転移道具を持っていたんだな。それは置いておこう。少し考えたい」
腕組みして目を閉じた。
「因みに鳩は暫く使えないですよ。家の子が対空防壁突き破って相手の道具を壊したぽいんで」
「逆に今飛ばすと断然怪しまれますね。はい」

「…あれを、破壊した。益々難しくなったな」
そしてまた考え始めた。

待つ事数分。コマネ氏が書く物を要求。
万年筆を渡すと地図に○と✕を1つずつ書き込んだ。

「○印が大陸中央部を占めるレンブラント公国。目的地となる首都フィオグラ。✕印がティレンズと言う小さな町だ。

そのティレンズに私の古い友人が居る。
男の名はマタドル・カカッティ。その男宛の紹介状を書き起こす。特殊な暗号を使うから無理に解読するのは控えて欲しい。

ティレンズに入る為の通行証を作成するのに四日待ってくれ。四日後の朝。仕事の話をする体で私邸の本邸へ来てくれるだけでいい」

「了解です。そのマタドルさんは信用出来る人ですか?」

「物静かでよく何を考えているのか解らない、と言われてしまう無表情な男だが信用は出来る。少なくとも君たちと会った事は黙殺してくれる。

もしもマタドルが協力を断ったら、あちらの状況と時期が悪いと諦め正規のルートを別で探ってくれないか」

「断られるのはしゃーないっすね。相手にしているのは強大な組織なんで」

「助かる。私自身はどうなっても構わんが。数少ない友人まで無駄死にさせるのは忍びない。

そちらは良しとして。首都フィオグラに闇商の本部が在る訳だが。表向きは…商業ギルドの総本部として成り立っている」

「「は?」」今度はこっちが驚かされた。

「詰まる所、表も裏も本部が同じ場所。世界中で活動している全ての商人たちの情報や動向は筒抜けだ。君たちや私も含めてな。只、鳩での情報交換が潰れているなら今が好機とも言える」

「「…」」今でしょ!

「南大陸東西両方。君たちの行動は常に監視されていると想定した方が無難だ。最大限の注意を払え」

難易度が急上昇。雲まで破りそう。
「はい…。失敗したらごめん」
「ここまで喋ってしまったら私は死んだも同然。ジェシカを自由にして潔く散るさ。今の君たちなら闇と全面戦争をしても楽勝だろう」手を出して挑むなら速攻か。

タイミングを慎重に見極めないと。

隣のフィーネが質問を投げた。
「コマネンティさんは。闇商と女神教の新興派の繋がりに付いてご存じですか?」

「ご存じも何も。その新興派の教祖、ローレライ大司教本人が闇商本部の現所長だ」

「「ハァァ!!??」」2人して絶叫してしまった。
「ク……」

「表は表で別人が座っている。二つの組織の相互監視を担う人物でそちらは潰して貰っては困る。ギルド全体が傾いてしまうからな」

ハードルがロケットに連れられて大気圏外に出た…。

「ローレライは数年前から何かを探すと言い出し南東大陸を全く離れようとしない。強力な魔道具を幾つも大陸各地の迷宮から掘り起こし、自らの手で闇に流し続けた。
その功績が認められ所長の座に就いた訳だ。

いったい何を考え求めているのやら。私もそこまでは解らないが」

「あ、ありがと…。超絶難易度が高いのは解った」
「コマネンティさんに呪いを掛けた魔道具は何処に在るんですか?最悪それだけでも破壊して盛大に暴れて来ます」

「表の商業ギルド本部の裏手。そこに不自然に地下三層を抱える邸宅が存在する。その最下層。中身は阻害されて見えずとも。建物の構造自体は隠せない。
安置されているのは碌でも無い物ばかりだ。全てを残らず抹消してくれて構わない」

塵一つ残さず掃除してやるぜ。問答無用で道具を壊すのは得意です!

「私は手紙を渡したら。逃亡する準備をしながら君たちからの吉報を待侘びるとしよう。無駄な足掻きだがな」

「最低限。道具破壊だけは達成します。必ず」
「高みの見物してて下さい」

「期待している。他力本願で済まない…」

お茶を一口飲み直し。
「後1つ。コマネさんって。ロルーゼのクインケ・シャシャと言う男爵を知ってます?」

「クインケ…。何処かで耳にしたような…。迷惑の詫びとして調べてみよう」
「軍部も本格的に調べ始めています。余計な嫌疑を被らないように注意して下さい」
「ああ。了解した」

そっちは解らなくても大丈夫と加えてコマネ氏を帰した。




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自宅リビングテーブルに2人して額を預けた。
冷たいテーブルの表面が気持ち良い。

「どうやって説得しろっての…女神様…」
「もうダメ。何も浮かばない…」

お茶を運んでくれたアローマが。
「お行儀が悪いですよ。お二人共」

「お茶ありがと。暫く放っておいて…」
「アローマさん。夕食も何かお願い出来る?気力が、足りません」

「賜りました。そうですね…。以前に教えて頂いたすき焼きは如何でしょう」

「「いいね!」」
美味しいお肉一杯食べて今だけ全てを忘れてしまおう。

「では。ミランダ。お風呂と麦飯の準備を。プリタと食材を買い出しに行って参ります」
明日の朝食の準備をしてくれていたミランダがキッチンから顔を出した。
「はい。お風呂は直ぐにご用意しますね」

「フィーネさん。白滝の代わりにフカヒレ入れちゃおか」
「それは名案ですねぇ。スタンさん」



すき焼きウマウマ。お肉に生卵を潜らせて。濃い目の甘醤油が良い塩梅。麦飯を同時に頬張って。

「色々あるけど。ライザー殿下の案件があって南への出発が数日遅れます」
「ウィンザートから帰還中だもんね」

「それからアローマさんの指摘通り。南西での偽装工作が重要な鍵になりそうなんでソプランと一緒に南へ同行して欲しいです」
「御免なさい」

「言わんこっちゃねえ。中身知らなくても明らかに焦り過ぎだ。東の件もカメノス氏の情報収集が終わってから。あっちのメンバーを軸に動いてくれるってよ」
「氏長女のアルシェ様は現在ロルーゼの王都に居るらしく。クインケとの直接取引は無いそうですがある程度の情報は安全に集められると仰って頂けました」

ロルーゼ王都ベルエイガか。懐かしいな。

ベルさんの実子かも疑わしい息子に代替わりしたのに王都名の改変は行われずそのまま残されている。
純粋な畏敬の念ならいいが。ベルさんがその点にも全く触れなかったのが気になると言えば気になる。

注目する必要は無いって事だと受け取ってしまった。

カーネギも。
「ソプランたちが、居ない間の連絡も。俺とミランダであっちと取り合う」
「ご心配無く」

「このご自宅は残った私が中心に。本棟と連携し管理致します故。ドーンと大船に乗ったお積りでお任せ下さい」
とプリタが胸を張った。


申し伝え事項として南への渡航手段は財団の船に便乗してクルーザーはラフドッグに置いて行くと伝えた。

今回お預けを食らった3人は「いいなぁ」と呟いていた。
すんません。

「船の心配が減っただけでも御の字じゃねえか」
「主を置いて船の返却を命じられても長距離航行は不安でしたから。内心安堵して居ります」
2人居れば充分かと考えてたが確かに経験不足は否めない。無理をさせる所だったな。


予告で南のダンジョン攻略はタイラント滞在中にも時間を設けて進めると加えた。

「その迷宮の難易度は高いのか?」
「まだ上層だから何とも。今の所は全く苦戦してない」
「大体20層あって昨日で4層は降りられたわ」

「結構深いんだな。まあ人手が要るなら言ってくれ。俺かカーネギどっちかは行けるようにしとく。
偶に進行条件に最低人員が加わるトラップも在るらしいからな」
「そんな条件付きがあるんだ」
「あの迷宮に関してはそれは無さげ。逆に入場制限掛けてる位だからさ」


明日は陛下に報告事案があるから行かないと伝えて夕食会を解散した。




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お中元を渡しに陛下の下へ。

控え室から後宮に入ると…ライザー以外の王族勢揃い。

ミラン様は困り顔。ヘルメンちは超不機嫌。
「…座れ」
素直に従い席に着くなり怒鳴られた。
「ライザーがシュルツ嬢との婚約を破棄すると手紙を寄越しおった。お前の仕業だとな!!」

あいつ気が早いなぁ。
「いやぁ喧嘩に成らずに済んで助かりました。ライザー殿下の器も中々どうして大きいですね」
「ですね。ではないわ!説明せよ」

「本人2人が居ないのに私から言うのも何ですが」
シュルツが想いを寄せる男性が財団内で突然現われ、ライザー殿下の子を設けるのは死んでも嫌だと直訴。
殿下も理解を示し、間を取り持った一端の責任が俺たちにもあると考え。新たな候補者を用意してみると約束。
「殿下が王都に帰着後。その候補者と引き合わせようかと思い陛下とミラン様のご許可を頂きたいかなと」

「本日は別件にてお伺いしましたが。既に伝わっているのでしたら話は早い。そちらを進めさせて頂いても宜しいでしょうか?」

「別件…も気になるが。先に、その候補者は誰なのだ」

「ノイツェ殿の部下のニーダです。陛下には英雄ベルエイガの一件でご説明し。ミラン様とメルシャン様とも面識が有り。ガードナーデ家へ養子縁組もされる。
殿下も存じていましたし。来年8月が成人。条件としては決して悪くはないと思います」
「本人とノイツェ殿の同意を得てから陛下にお知らせしようと考えて居りました」

「あの娘か。先日ノイツェからニーダがロルーゼの小物貴族に付き纏われている可能性があり、調査中だと報告が上がったが」
「詳細は不明。当方でも平民の伝手を頼り情報収集中。何れにしろ彼女は被害者。一時期英雄の魂の欠片を宿していたからと言ってロルーゼ王家の縁者とは限りません」

「その点は報告を待つとする」
隣のミラン様が胸を撫でた。
「善かったですわ。一時はどうなる事かと」

「先ずは顔合わせからだ。この件、私に任せて貰っても構わぬが」

「いえいえ。初期までは取り持つと殿下とお約束した以上は遣りますよ」
「開催場所は城内の一室をお借りしたいのですが」

「ならばこの後宮で」
「その様な重圧を与えて。ニーダ嬢に逃げられてしまいますよ」

「む…。では王宮の宴室を開けるか」
「それが善いですわ」


場が落着いた所で。
「で。二人揃って別件とは何だ」

「そちらはフィーネから」
「はい。海底に沈められた古代都市アルカンレディアの踏破が完了致しました故。ご報告と共に遺跡最下層にて入手しました武装や道具類を手土産に持参致しました。
それなりの点数が有りますので広間にでも広げたいかと」

「…お、終わったのか?もう既に。調査隊を送る事も出来たのだぞ。端から独り占めをする気だったのか」
随分な言葉をフィーネが一言で捻じ伏せた。
「推定2000m以上の深海でしたよ?潜れます?」

「ぐぅ……。衛兵!キャルベスタとノイツェを大至急広間に呼び立てよ!」
「ハッ!」



2人で床に展示物を並べた。

「異常な物や欲しい物は抜きました。シュルツの眼鏡でも確認し呪いの類も一切検知されませんでした。どうぞ安心してお納め下さい」

セットで約50騎分の武装。振り分け次第で倍は行ける。

ノイちゃんが眼鏡の奥で目を丸くしていた。
「これは確かに…。素晴らしい!
この様な外装の紋様はどの国の物産にも無い」
キャルも震えながら見た事無いを連呼していた。

「道具の類は都市が沈む直前に持ち出されたのか非常に少なく。進呈出来るのはこの戦渦の眼帯のみです」

フィーネが陛下に眼帯を手渡した。
「こ、これは!良いのか?自分たちで使うのでは」
「私たちは聖剣の効果で道具類の攻撃は通じず無効化されます。持っていても宝の持ち腐れ。
将来国が危機に瀕した時等。是非お役立てを」

メルシャン様が残念そうに。
「女性向けの装飾品の類は無さそうですね。古代人も程度が知れますわ」

「デザインはゴツゴツして残念ですが。中にはとても軽量な短剣もあります。護身用にでも後で陛下にお強請りしてみては」
「そう致します…」見渡すものの今一と言った表情。

上機嫌になった陛下も何れでも良いぞと気前良く。
「そう言えば神へ一撃を加えたと言われる槍は持っておるのか。それとノイツェが見たと言うスターレンの剣も見せよ。今直ぐ見せよ」
この欲しがりめ。

仕方なく溜息を吐きながら、それぞれ剣と槍を床に並べて見せた。

類を見ない洗練された厳ついデザインに、周りの皆が悲鳴を上げた。

「それらは俺たちの専用武具になってます。触れても構いませんが持ち上げようとはしないで下さい」
「腰が砕けますよ」

脅してやると陛下の伸ばし掛けた手が寸前で止まった。
止めて正解だったな。


臨時で行われた古代武装品評会も終わり。ノイちゃんと一緒に執務室へ。

今度は何だと何時もの遣り取り。

室詰めのニーダとライラを交えて、好きな人が出来たシュルツに振られてぼっちに戻ったライザー君とお食事してみない?と軽い感じで
「軽い!娘に迎えて間も無く殿下に紹介する?本気なのか君は」

「本気です。殿下本人も乗り気でウィンザート切り上げて戻って来てますし」
「先程、陛下とミラン様のご許可も頂いちゃいました。順序が逆でごめんねニーダ」

「私が…、ライザー様と…」

「まずは王宮で食事してお話するだけさ」
「相性が悪ければ勿論お断りしてもいいのよ」

ライラが頭を抱える。
「だけって…」

「食事は受けて欲しいな。俺たちを助けると思って」
「一度だけ。ね、お願い」

「お食事、は構いませんが。不敬罪で罰せられるとか…」
「無い無い。俺がさせない」
「強引に迫られたりしたら私たちに言って」

「解りました。お受けします。でもドレスを一着も持っていなくて」

咳払いのノイちゃん。
「今日帰ったら大至急用意させる。本人同士の意思が前向きなら外野が騒ぎ立てても邪魔なだけだ。
しかし…もう少し父親気分をだな」
「それはマリカさんと頑張って貰って」
「う…」

「スタン。直球過ぎ」

「まあまあ。ノイちゃん紳士だから押しが弱そうだもん。ガンガン背中押してくよ。これからも」
「心底から余計なお世話だ」


頬を朱に染めたニーダを尻目にフィーネが問う。
「使い終わったクリスタルキーはどうします?陛下はもう要らないと仰いましたし。家宝であるなら返却しますが」

「それはバインカレの宝であって家宝でも何でもない。陛下が良いと言うなら君が記念に持っていてくれ。
何もかも終わったと伝えたら満足してポックリと逝ってしまいそうだ。それでは罰にならない」
母親に対して厳しいねぇ。それだけ酷かったんだろうな。

「では遠慮無く。私に取っても思い出の品なので」
オブジェとしてインテリアに加えても良し。

「お邪魔しました。殿下の帰着は早ければ…多分早いんで後5日位だと思います。それまでに準備宜しく」


話が一気に終わったねと。遅めの昼食を従者用食堂で取り帰宅。

思い付きで材料を買いに走り、裏庭の焼き台横に中型の石窯を設営した。しかし自作ピザのお試しは明日の楽しみに取っておき。当日夜はトワイライトでガッツリお食事。




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朝からトマトソースのシーフードピザと焼き芋を焼いて
スフィンスラーへレッツゴー。

標準的な武装で行ける所まで。完全はずっと先だと思う。

只でさえ過剰。中盤までで殺られる俺たちじゃないぜ。

続きは5層から。試練の迷宮と冠するダンジョンを通常の物だと嘗め腐っていた俺の予想は、見事に裏切られた。

5層の魔物はキレイラ。半人半獣の姿。
身の丈は軒並み2m以上。下半身は布の腰巻きを着けた人間の足。上半身は虎。

粗末な槍や棍棒で襲い来る敵を強引に薙ぎ倒し突き進んだ。ドロップは風魔石。

回避しながら各個撃破を繰り返し下階段を見付けた。
1つだけ発見した宝箱は空。
階層主は長い棍棒と魔石を出した。

6層へと続く階段の途中で休憩。
「ねえスタン。急に敵が強くなった気がしない?」
「気の所為じゃないな。嫌な予感がする。このダンジョンは段階的に敵が強くなってくんじゃなくて…。俺たちの装備品のレベルに合わせて来てる気がする」

「…じゃあ。序盤から完全武装で行くと、それに合わせて来るの?」
「多分。終盤まで今の武装で行った方がいいと思う。
クワンはこれまで通り。ガードルを改造出来る余地は最後まで取っておく」
「クワッ」

「俺とフィーネは全身鎧と竜人化を温存。鞭と円月輪は上で出したが極力控えよう」
「解ったわ」

「煉獄剣は怖くて出せない。このままハルバードとロープの併用で行くよ」
「2人共盾出すべきじゃなかったね」
後悔先に立たず。

「試練なのに楽しようとした罰かもな」
「クワァ…」

心を入替え挑んだ6層。メインの魔物はキマイラ。
合成魔獣で多種多様の獣の首が組み合わさっていた。
虎、狼、熊、象が多い。そこに上のキレイラも加わって列を為していた。

主要装備は長槍と木製盾。

「やっぱりだ。上層から出したフィーネの槍に対抗して来てる!正面からじゃなく側面攻撃メインで。
象の皮膚は硬い。他の箇所を狙え」

返事もそこそこに俺たちは3方向に分散して駆逐した。

フィーネは幻影スキルまで控え、俊敏性だけで撃破。
俺は盾を仕舞い、ロープを重ねた障壁で対処した。
様子を見ながら出して行くべきだった…。

ドロップは上位風魔石。

フィーネの通常の突きとクワンの目潰し、俺が槍をロープで抑え込んで倒した階層主も魔石しか出さなかった。

2つの宝箱も空。
「渋いなぁ」
「上の中身入りの宝箱は予告?忠告かな」
「クワ」

試練。確かにこれは試練だ。先が思い遣られる。


昼休憩を挟んで降りた7層。敵はオーガ。
焦茶色の硬質な肌をした3m級の大鬼。2本角まで生やしていた。

黒光りする金属製の長棍棒を振り回して来た。

振り抜きが速く、太い脚から来る突進力も合わさって3枚重ねのロープでも受け止め切れなかった。

吹き飛び壁にめり込んだがまだ無傷。致命傷には程遠い。
「スタン!」
「大丈夫だ。まだ防御性能が上回ってる。前見ろ!」
直ぐに向き直ったフィーネは冷静に降り掛かる棍棒を弾き返していた。

心を乱してる暇は無い。ゆとりと余裕を持って。

脅威なのは突進力。相手が突っ込んで来てくれるなら。

俺はロープを凸型のスパイクシールドに形状変更して正面から串刺しにして行った。

ドロップは地魔石。5m級の主は武装の棍棒を出した。

1つの宝箱は又も空。世知辛い。


休憩を挟み、8層の魔物を確認。
7層のオーガに加え、ロンオーガ。体格はオーガ同等。
ドス黒い皮膚で棍棒とタワーシールドを装備。

数体倒した所で上階段に引き返して自宅へ帰還した。



本日最後に出たのは上位地魔石。それを眺めながらリビングでお茶をした。

「中々しんどいダンジョンだな」
「宝箱も期待出来ない。実入りが少ないとモチベーションが上がらないね」
「クワァ」

「目的はお宝じゃないって強がりたいけど」
「箱は必ず開けます!」
俺たちは冒険者でもあるからな。

「限界来るまで装備も人員も増やさないのはモチ。これから先は連携とダメージ管理も考えてかないとな」
「ダメージ管理?」

「やせ我慢ではなくて。ちょっと骨が1本折れた位で取り乱さない。努めて冷静に。誰かが怪我をしたら集合して敵との距離を取って即時撤退。
迷宮に挑む冒険者の常識やね」
「苦手だわぁ」

「不利だと判断したら撤退して作戦練り直す。限られた武器で工夫する。無理して死んだら元も子もないし。迷宮に於いて逃げるのは何ら恥でもないし、誰も笑わない」
「おぉ。お耳が痛いです」

「今は各自転移道具持ってるから。集まれない。引き離されて孤立する。強敵に囲まれて分断される。そんな時は容赦無く階段まで飛ぶ。クワンは俺かフィーネの所へ。それが駄目だったら外のアローマかシュルツのとこに転移」
「クワッ」

「下層では倒し辛い敵も出るだろ。雑魚は無理して倒さず階層主と周辺の取り巻きだけ倒して下階段に飛び込んじゃおう」
「時間を掛けるだけ無駄ね。あそこの雑魚は魔石しか出さないし」

「そうそう。欲張らずに先へ進んで。どうしても気になるなぁって階があったら、暇になった時にやり直すとか」
「ふむふむ」

後の注意点は扉で仕切られたボス部屋とかかな。
それはその時に考えるか。

「反省会はこんな所で。今夜は天麩羅の気分なんですが如何でしょう」
「良いですねぇ。明日の分まで揚げて。お弁当は天丼弁当とかにしない?」
「クワッ!」

仲良く風呂で疲れを落として、ササッと揚げ揚げで気分も上々。




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盾に隠れる恥ずかしがり屋のロンオーガ。よいしょよいしょと壁をこじ開け撃破。

俺のロープは少しの隙間があれば殺れんです!
フィーネの取立屋ノックに、クワンの頭上禿げ促進キャンペーンが加われば怖いもん無しですわ。

主のドロップは大盾。どう言う原理かは解らんが。ちゃんと人間が扱えるサイズに変更されるのは嬉しい。


9層。
異世界と言えば外せない。やっぱり居ましたこの方。
ミノタウロスさんの登場です。

ロンオーガの壁の後ろで、長ったらしい斧をぶん回し、壁や地面の畑作りに余念が無い彼ら。

立派な角を2本も生やしてフンフンと鼻息荒く。
ここはオイラの土地だ!不法侵入は許さねえと謂わんばかりにいきり立つ灰色肌の猛者。

フィーネが転移の無駄撃ちで魔力を消費し、鞭でしばき倒し、簡易従属で仲間割れを誘発。

その場から離れ。お茶をしながら体育座りで待つ。

ドロップは地魔石。主からは分厚い鞣し皮と銀色の角が1本ご提供された。

我が儘言ってすんませんでしたと。


どうぞお通り下さいと降りた10層。

現われたのはパペット。呪いの木偶人形。
木材や金属片や謎の肉片が幾つも繋ぎ合わせられ、宙吊り状態でカタカタと音を鳴らして襲って来た。

「対応早いな。鞭の従属に対抗しやがった」
「あんなの簡単よ。だって大元で操ってる階層主倒せばいいだけだもん」
な・る・ほ・ど!

そうと解れば雑魚には構わず大きな主まで一目散。
貴様らは盾だ!と重ねられた人形の壁毎フィーネが一撃で貫いた。

全機消滅1発終了。ドロップは貴重な上位雷魔石と呪いの藁人形…。藁の要素が何処にあったんだ!

「人形は後で呪いを強制解除しよう。雷の上位魔石は凄くいい。前々から欲しいと思ってた」
「気持ち悪いから今直ぐ解除しよ。ね、お願い」
と懇願されたのでその場で彫像とクリアで浄化した。

名前:導師の願い(古代兵器)
性能:1日に1度だけ所有者の
   身体・精神的ダメージを残らず肩代わりする
   砕けた後に自動復元(収納推奨)
特徴:貴方の借金までは背負えません

「「いいね」」

「これから余裕があったらその場でやるか」
「そうしましょう」

取り敢えず人形はクワンの収納に入れた。

上の9層では発見出来なかった宝箱には肘と膝当てが入っていた。

何方も高い防御性能だけでなく、俊敏性UPと可動域上昇効果が付与されていた。

但し、無茶すると関節骨が砕けて腱が切れる。
常用するかは微妙…。


昼の天丼弁当をゆっくりと味わい、降りた11層。

そこには全身真っ青なお肌をした不健康な一つ目巨人。
サイクロプスさんが棘付きの棍棒を持ち仁王立ち。整列して行儀良く並んでいた。

一斉に眼孔を開き、鋭いガンを飛ばして何をするのかと身構えていたら…。

敵全体で眼球から電撃を打ち放って来た。この迷宮初の魔法攻撃。

嬉しさは一入に先頭のフィーネの後ろにクワンを抱えて飛び込んだ。

夥しい電撃は余さず倍返しと成り、一瞬で主までショートで焼き切れ消え去った。

「哀れだな…」
「クワ」

「相手の戦力も確認しないで魔法打つ方が悪いのよ。ごり押しばかりじゃ駄目って教訓。勉強になるわ。
暫く帯電してると思うから私の傍から離れないでね」
言われる迄も無く一生付いて行きます。

ドロップは勿論雷魔石が大量に。主が居た場所には一つ目の角膜と名の付いた薄皮が反物状で落ちていた。

素材として使えば服飾品に電撃耐性が付けられる。クワンのガードルを改造するのに使えるな。

発見した宝箱からは。

名前:雷神のタクト(古代兵器)
特徴:自身近辺に避雷した雷を任意の場所に落とせる

素晴らしいお宝を手に入れた。


短い休憩を挟み12層。

気色悪い巨眼を中央に携えた真っ黒なゲジゲジ。デビルアイさんが沢山中空を漂っていた。

「多分即死か石化魔法打って来る。目を直視するなよ」

この層もフィーネを先頭に練り歩いた。

何が起きているかは不明瞭だが。進む度にドサリドサリと大きな音が前方から聞こえて来る。

背後を取られないように壁際を移動。

層内もかなり広くなって歩き易い。身を隠す場所は少ないけれど。

未確認だが恐らく主と思われるドロップ品は。こちらも初めて見る闇魔の魔石。外観は焼き芋に使う黒曜石にも似ていた。

素材にしても呪いの魔道具作成時にしか使えなさそ。

暫く見て回ったが宝箱は無かった。


確認にだけ降りた13層にはヒィペノス。一角サイの化物が居た。

恐竜と言う概念が有るかは知らないが。ゴツゴツ無骨な硬そうな皮膚をしていた。

表面を削ったり、目を突いたり、首筋の柔い箇所を狙えば倒せるのを確認してから帰った。
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