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第94話 初外務帰還後
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久々の気怠い朝。一週間以上溜めるの最高です。
両カップル共に顔を合せるのが何だか気恥ずかしい。
蛇肉と野菜の味噌スープと食パンのガッツリ朝食で体調を整え王都へ向かった。
皆の気分も軽く、多少の雨にはもう慣れた。
王都の手前まで飛ぶのだし。
タイラントも雨期に突入したが馬の足も絶好調。お馬も帰れるって解るんだろうな。
トコトコゆっくり王都に無事到着。
北門から城門。馬舎へと巡り返却完了。
お別れの挨拶代わりにバナナを数本ずつ進呈。
「余り果物を与えるのは良くないのですが」
と管理の衛兵さんにお小言を貰ってしまった。
「荷台は入替えても馬は固定にしてよ。次も責任持って面倒見るからさ」
「スターレン様がそう仰るのであれば上に伝えましょう」
「メイザー殿下の方ってどうなってます?」
「あちらも折り返しの帰路に就いたと聞いております」
あっちは順調みたいだな。
後宮に案内され、お茶を頂きながら陛下への報告会。
「ご苦労だった。クワンジアの件を除き初回の任務で良好な成果を上げてくれた事は評価する」
「有り難う御座います。陛下。予てより進言していた次の進路ですが」
「決めたのか」
「はい。グリエル様に内偵した所、南東大陸への突入許可を得られました。なので海外の初手は南に行こうと決めました」
「大陸へは直接入れるのか?」
「いいえ。グリエル様でも内状の把握は出来ていないご様子でしたので無難に南西からとなります」
「ふむ。ならば手始めは商業都市サンタギーナからか。
ロロシュ財団の主な取引先で国交も厚い。彼の国で迷う事も少なかろう。渡航時期は何時頃だ」
「準備期間に約一月掛かる見通しです。出発は10月初旬頃を想定しています」
陛下の了承が得られた所でリュックのご返却。
「今更返されてもな。メイザーに持たせてやりたかったが。もう不要なのか」
「それは申し訳ないです。今回の行き掛けでバタ付いていたもので」
「シュルツに更なる上位版を依頼中です。陛下もご所望でしたらロロシュ卿経由でご依頼下さい」
一瞬固まったが直ぐに持ち直した。
「卿に頼むと弾かれそうだな…。王家の分は要り用が出来た時に頼むとしよう」
暫くは無さそう。
リュックの返却と報告も終わり自宅へ帰宅した。
自宅玄関前にはカーネギが立ち塞がっていた。
「あー長かったぁ。お疲れさんです」
「お疲れ。中でミランダが、夕食を作ってる」
「おぉそれは助かる」
「助かります。肉体的には問題無くても精神的にヘトヘトで…」
後ろからソプランが。
「合鍵はそのまま持っててくれ。明日取りに行くから」
「解った」
キッチンで仕込み途中のミランダの隣に行ったアローマが湯を沸かそうとした所。
「お帰り為さいませ。お疲れ様、アローマ。アイスティーを冷蔵庫で冷やしていますので先にお二人にお風呂にでも入って頂いて」
「只今戻りました。有り難うミランダ」
「只今~」
「只今。ならアローマさん一緒に入りましょうよ。宿舎に戻るのも面倒でしょ」
戸惑うアローマを尻目に男3人は着席してアイスティーを頂いた。
この香りはカレーですな。
ミランダさんは直球で来るか変則で来るか。
鼻を鳴らしているとカーネギが。
「余り期待は、するな。外務はどうだった?」
と突っ込まれた。
道中や首都での出来事をソプランと一緒に語っている内に女子2名とクワンが上がって来た。
交代で入浴。
「あぁ~。我が家の風呂は最高ですなぁ」
「気を遣わなくていいのは楽だぜぇ~。それよか俺たち南には同行すんのか」
「ん~後でも話すけど今の所それは考えてない。2人に舟の運転出来るようにして貰って船だけラフドッグに戻すのとかは頼むと思う」
「…足手纏いか」
「まさかぁ。ないない。南は南東の調査を含めて1年しか猶予が無いから仕方ないけど。東に行く時は同行して欲しいかな」
「悩ましいな…」
色々なケースが考えられるからなぁ。
「強制じゃないよ。その時の状況にも依るし。真面目な話でフィーネも含めて妊娠だって考えないと」
「…うん」
「3組共同時期に授かったら…長期的な考え方に切替えたりとか。男3人だけで東に乗り込むとかさ」
「それはそれで面白そうだな」
嫁さんたちが納得しそうにないのがネックだ。説得に時間が掛かりそう…。
美味しいミランダ特性ビーフカレーを頂きながら。
同席したシュルツを半ば無視して今後の展望希望を赤裸々に語り明かした。恥ずかしがるのは違う、重要なお話をした。
外務固定は飽くまで4人が本筋だが、他のメンバーとの組替えをするなら一度メンバー全員とペアで話し合うべきだと言う流れになり後日改めてとなった。
段落が付いた所で。
「そう言や俺たちの合同式の話はどうなったんだ」
思い出したようにカーネギが。
「ごめん。今思い出した」
代わりにミランダ。
「二週間後ではどうかと四組で話し合いました。
丁度その後にロロシュ様のラフドッグ視察が行われるご予定ですので」
「準備の時間は取れるな。アローマはどう思う」
「私もそれで問題無いかと思います」
シュルツが残念そうに。
「皆さんのドレスのご用意をと言ったのですが。それは各自でご用意するそうで」
「私たちは従者の立場です。そこまでされては他の侍女たちに示しが付きません。お嬢様のご厚意だけ有り難く頂戴します」
「明日からかなり忙しくなるな」
「皆まで言うなし。暫く仕事はしないからこっちは気にせず打ち合わせとかに専念で」
「助かるぜ」
「有り難う」
「ドレス選びとかなら付き合うから声掛けて。私も何時もシュルツ頼みじゃ格好悪いし。偶には外のお店で買い物してみたい」
「私もご一緒します!成長期で手直しも必要になって来ましたので」
「一緒に行こう。アローマさんとミランダさんの分は私が払います。スタンの口座ばっかり減ってるからここは私に出させて」
「お任せします」
「フィーネ様。それではまた」
「問答無用で却下します。どうせあっちの3人分はカメノスさんから支給されるんだから。ロロシュさんからも出させませんし、自腹は許しません」
2人が申し訳なさげな顔で頷いた。
フィーネとアローマからシュルツにお土産のイヤリングが渡され、熊肉は明日以降でとなった。
解散間際にシュルツから。
「新しいバッグが完成しましたので明日見に来て下さい」
「お!それは必ず行くよ」
「楽しみね」
食器類の洗い物を終えたアローマとミランダが退出した後で遅めの晩酌。
焼き熊肉をお摘まみにしてシャンパンで乾杯を。
「無事に帰って来られたな」
「やっと、て感じだね」
「クワァ~」
この一月は何時も以上に長く感じた。来年の課題は持ち上がってしまったが。
目前の課題は。
シュルツにバッグを貰いに行く。
サルベインさんに冷蔵庫を貰いに行く。
武器屋に注文品を取りに行く。
コマネ氏に道具の進捗を伺う。
フローラさんの状況を見に行く序でに買い物。
合コンの打ち合わせに奔走。
ラフドッグとハイネと王都内で各種お買い物。
週1で水没ダンジョン。
来年2月に鮪漁と鰻の蒲焼きの製作。
大鼠産の装備品の検証。
「忙しい~」
「行動範囲が増えた分。宿題も増えたねぇ」
「フェンリル様への献上品が用意出来ても…帝国に入る理由が無いのが問題だ」
「外交も直接関わりないしねぇ。南と北で手分けしたとしても国に入れなければ意味が無いわね」
そこでクワンが。
「近日中にタイラントの東側を網羅するのと、長旅が許されるなら帝国を越えてフェンリル様にお会いして来ようと思いますがどうでしょうか」
「「…」」
帝国を飛び越える。
「悪くはないな…」
「来年の2月以降ならクワンティも略成体に成ってる頃だと思うし…」
「コマネさんに頼んだ道具が完成したらクワンにも転移の指輪が使えるかもな」
「クワ」
「行ける道はあるとしても。救助者さん本人の意志確認もそうだし。帝国で受け入れてくれる人脈作りも大切よ。私たちがフェンリル様と繋がりがあるのも信じて貰えるかどうか疑わしいしね」
「「…」」
「フィーネの言う通りだ。優先は人脈形成か…。
内状をある程度把握してるキャルベスタさんに内々で聞いてみよう」
「うん。起点はそこでいいと思う」
他にも即座に帝国の立て直しをさせた人物も気になる。
キャルベ氏の記憶が頼りだ。
「とりまクワンの成長を見守りつつ。直近の物から順番に片付けて行こう」
「おー」
「クワッ!」
両カップル共に顔を合せるのが何だか気恥ずかしい。
蛇肉と野菜の味噌スープと食パンのガッツリ朝食で体調を整え王都へ向かった。
皆の気分も軽く、多少の雨にはもう慣れた。
王都の手前まで飛ぶのだし。
タイラントも雨期に突入したが馬の足も絶好調。お馬も帰れるって解るんだろうな。
トコトコゆっくり王都に無事到着。
北門から城門。馬舎へと巡り返却完了。
お別れの挨拶代わりにバナナを数本ずつ進呈。
「余り果物を与えるのは良くないのですが」
と管理の衛兵さんにお小言を貰ってしまった。
「荷台は入替えても馬は固定にしてよ。次も責任持って面倒見るからさ」
「スターレン様がそう仰るのであれば上に伝えましょう」
「メイザー殿下の方ってどうなってます?」
「あちらも折り返しの帰路に就いたと聞いております」
あっちは順調みたいだな。
後宮に案内され、お茶を頂きながら陛下への報告会。
「ご苦労だった。クワンジアの件を除き初回の任務で良好な成果を上げてくれた事は評価する」
「有り難う御座います。陛下。予てより進言していた次の進路ですが」
「決めたのか」
「はい。グリエル様に内偵した所、南東大陸への突入許可を得られました。なので海外の初手は南に行こうと決めました」
「大陸へは直接入れるのか?」
「いいえ。グリエル様でも内状の把握は出来ていないご様子でしたので無難に南西からとなります」
「ふむ。ならば手始めは商業都市サンタギーナからか。
ロロシュ財団の主な取引先で国交も厚い。彼の国で迷う事も少なかろう。渡航時期は何時頃だ」
「準備期間に約一月掛かる見通しです。出発は10月初旬頃を想定しています」
陛下の了承が得られた所でリュックのご返却。
「今更返されてもな。メイザーに持たせてやりたかったが。もう不要なのか」
「それは申し訳ないです。今回の行き掛けでバタ付いていたもので」
「シュルツに更なる上位版を依頼中です。陛下もご所望でしたらロロシュ卿経由でご依頼下さい」
一瞬固まったが直ぐに持ち直した。
「卿に頼むと弾かれそうだな…。王家の分は要り用が出来た時に頼むとしよう」
暫くは無さそう。
リュックの返却と報告も終わり自宅へ帰宅した。
自宅玄関前にはカーネギが立ち塞がっていた。
「あー長かったぁ。お疲れさんです」
「お疲れ。中でミランダが、夕食を作ってる」
「おぉそれは助かる」
「助かります。肉体的には問題無くても精神的にヘトヘトで…」
後ろからソプランが。
「合鍵はそのまま持っててくれ。明日取りに行くから」
「解った」
キッチンで仕込み途中のミランダの隣に行ったアローマが湯を沸かそうとした所。
「お帰り為さいませ。お疲れ様、アローマ。アイスティーを冷蔵庫で冷やしていますので先にお二人にお風呂にでも入って頂いて」
「只今戻りました。有り難うミランダ」
「只今~」
「只今。ならアローマさん一緒に入りましょうよ。宿舎に戻るのも面倒でしょ」
戸惑うアローマを尻目に男3人は着席してアイスティーを頂いた。
この香りはカレーですな。
ミランダさんは直球で来るか変則で来るか。
鼻を鳴らしているとカーネギが。
「余り期待は、するな。外務はどうだった?」
と突っ込まれた。
道中や首都での出来事をソプランと一緒に語っている内に女子2名とクワンが上がって来た。
交代で入浴。
「あぁ~。我が家の風呂は最高ですなぁ」
「気を遣わなくていいのは楽だぜぇ~。それよか俺たち南には同行すんのか」
「ん~後でも話すけど今の所それは考えてない。2人に舟の運転出来るようにして貰って船だけラフドッグに戻すのとかは頼むと思う」
「…足手纏いか」
「まさかぁ。ないない。南は南東の調査を含めて1年しか猶予が無いから仕方ないけど。東に行く時は同行して欲しいかな」
「悩ましいな…」
色々なケースが考えられるからなぁ。
「強制じゃないよ。その時の状況にも依るし。真面目な話でフィーネも含めて妊娠だって考えないと」
「…うん」
「3組共同時期に授かったら…長期的な考え方に切替えたりとか。男3人だけで東に乗り込むとかさ」
「それはそれで面白そうだな」
嫁さんたちが納得しそうにないのがネックだ。説得に時間が掛かりそう…。
美味しいミランダ特性ビーフカレーを頂きながら。
同席したシュルツを半ば無視して今後の展望希望を赤裸々に語り明かした。恥ずかしがるのは違う、重要なお話をした。
外務固定は飽くまで4人が本筋だが、他のメンバーとの組替えをするなら一度メンバー全員とペアで話し合うべきだと言う流れになり後日改めてとなった。
段落が付いた所で。
「そう言や俺たちの合同式の話はどうなったんだ」
思い出したようにカーネギが。
「ごめん。今思い出した」
代わりにミランダ。
「二週間後ではどうかと四組で話し合いました。
丁度その後にロロシュ様のラフドッグ視察が行われるご予定ですので」
「準備の時間は取れるな。アローマはどう思う」
「私もそれで問題無いかと思います」
シュルツが残念そうに。
「皆さんのドレスのご用意をと言ったのですが。それは各自でご用意するそうで」
「私たちは従者の立場です。そこまでされては他の侍女たちに示しが付きません。お嬢様のご厚意だけ有り難く頂戴します」
「明日からかなり忙しくなるな」
「皆まで言うなし。暫く仕事はしないからこっちは気にせず打ち合わせとかに専念で」
「助かるぜ」
「有り難う」
「ドレス選びとかなら付き合うから声掛けて。私も何時もシュルツ頼みじゃ格好悪いし。偶には外のお店で買い物してみたい」
「私もご一緒します!成長期で手直しも必要になって来ましたので」
「一緒に行こう。アローマさんとミランダさんの分は私が払います。スタンの口座ばっかり減ってるからここは私に出させて」
「お任せします」
「フィーネ様。それではまた」
「問答無用で却下します。どうせあっちの3人分はカメノスさんから支給されるんだから。ロロシュさんからも出させませんし、自腹は許しません」
2人が申し訳なさげな顔で頷いた。
フィーネとアローマからシュルツにお土産のイヤリングが渡され、熊肉は明日以降でとなった。
解散間際にシュルツから。
「新しいバッグが完成しましたので明日見に来て下さい」
「お!それは必ず行くよ」
「楽しみね」
食器類の洗い物を終えたアローマとミランダが退出した後で遅めの晩酌。
焼き熊肉をお摘まみにしてシャンパンで乾杯を。
「無事に帰って来られたな」
「やっと、て感じだね」
「クワァ~」
この一月は何時も以上に長く感じた。来年の課題は持ち上がってしまったが。
目前の課題は。
シュルツにバッグを貰いに行く。
サルベインさんに冷蔵庫を貰いに行く。
武器屋に注文品を取りに行く。
コマネ氏に道具の進捗を伺う。
フローラさんの状況を見に行く序でに買い物。
合コンの打ち合わせに奔走。
ラフドッグとハイネと王都内で各種お買い物。
週1で水没ダンジョン。
来年2月に鮪漁と鰻の蒲焼きの製作。
大鼠産の装備品の検証。
「忙しい~」
「行動範囲が増えた分。宿題も増えたねぇ」
「フェンリル様への献上品が用意出来ても…帝国に入る理由が無いのが問題だ」
「外交も直接関わりないしねぇ。南と北で手分けしたとしても国に入れなければ意味が無いわね」
そこでクワンが。
「近日中にタイラントの東側を網羅するのと、長旅が許されるなら帝国を越えてフェンリル様にお会いして来ようと思いますがどうでしょうか」
「「…」」
帝国を飛び越える。
「悪くはないな…」
「来年の2月以降ならクワンティも略成体に成ってる頃だと思うし…」
「コマネさんに頼んだ道具が完成したらクワンにも転移の指輪が使えるかもな」
「クワ」
「行ける道はあるとしても。救助者さん本人の意志確認もそうだし。帝国で受け入れてくれる人脈作りも大切よ。私たちがフェンリル様と繋がりがあるのも信じて貰えるかどうか疑わしいしね」
「「…」」
「フィーネの言う通りだ。優先は人脈形成か…。
内状をある程度把握してるキャルベスタさんに内々で聞いてみよう」
「うん。起点はそこでいいと思う」
他にも即座に帝国の立て直しをさせた人物も気になる。
キャルベ氏の記憶が頼りだ。
「とりまクワンの成長を見守りつつ。直近の物から順番に片付けて行こう」
「おー」
「クワッ!」
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