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第66話 王宮食事会

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本日は王宮でお食事会にお呼ばれ。

午前中はトレーニングでしっかり汗を流し、昼間にはサルベインの棟で冷蔵庫の調達。

「最近供給はどんな感じですか?」

「漸く王都内が六区以外で七割。ハイネとマッサラが一割前後だな。

ラフドッグは極一部。君らがよく使うあのホテルのみ。

ウィンザートは零だ。

商品単価が高くて、富裕層しか回ってない。

石は安定して入って来ている。生産はやや遅れ気味。

石を隠す壁の製作工程で遅れが出ている状況だ」

「まだまだこれからですね」

「うむ。出来ればこちらに没頭したいが、父上の方の引き継ぎもある。

ウィンザートの兄上が上手く奮起してくれれば、少しは楽になるんだが…」

「サルベインさんから見て、シュベインさんってどんな人なんですか?

俺個人はタイミング悪くて会ってないんで」

「まあ、何と言うか堅物だ。こうと思い込んだら突き進んでしまうが、そこまでが長いと言うか。改めて問われると表現が難しいな」

「私は可愛い娘を敵に売ろうとするダメ親父の面しか見てないし。微妙」

「フィーネ嬢は…、あぁ襲撃事件の時か」

「そうなんですよ。変装したシュルツ本人に娘は何処だって脅しちゃうダメな人。シュルツに止められてなきゃ、間違って蹴り殺すとこだった」

そりゃ確かに微妙だな。

「…何とも言えないですが。クインザも居なくなった事でっし。再起に期待しましょう。

ところで中型の冷蔵庫とワインセラーが欲しいんですが、作れそうですか?」

「発案者の君に頼まれれば断る理由はない。
そうだな…四日待って貰えれば作れる。

セラーの方の微調整は君がやってくれ。地下蔵に設置するならそこまで低温にしなくてもいいからな」

「解りました。4日ですね。
こっちに来ればいいですか?」

「こちらに居なければ裏の製作工房に居る。どの道完成品はあちらだ」


少しだけ世間話をしてサル棟を後にした。


本棟に戻る途中で。

「サルベインさんって最初の頃と全然変わったね」

「変わったって言うより…漸く本気になったって印象かな。

ロロシュさんもコマネさんも低評価だったけど。
俺自身は元々そこまで悪い印象は無かった。

フィーネをエロい目で見てた以外はね」

「人を評価するって難しいね」

「第一印象と結果が全てな世界だからねぇ。

それより服どうする?買いに行く?」

「う~ん。人の事を気にしてる場合じゃなかった。
どうしよう」

昨日の夜からずっと悩み中。

「こう言う場合男は楽でいいな。
女の子は大変だ」

「人事だと思ってぇ。やっぱシュルツに相談するか」

俺のお勧めした薄いグレーは気に入らないらしい。

後は白系しかないんだが…。



悩んでいる間にシュルツの自室に到着。

「え?お姉様、まだ決まってなかったのですか?」

「シュルツはどんなの?」

「私はベージュのワンピースです。
と言うか早くしませんと。今回はお食事だけですから装飾品も要らないですが、メイクは最小限…お姉様ならそのままでも行けますが兎に角急ぎましょう」

悩み続けるフィーネを連れ去って行った。

「俺自宅にいるからー」

聞こえてるかは解らないが、手を振っていたので大丈夫だろう。


自宅に戻って早めに着替え。

アローマに作って貰ったサンドイッチを食べながら。

「フィーネ様は意外に服に悩むのですね」

「そうなんだよなぁ。まあシュルツに任せとけば大丈夫でしょ。多分同じ色になると思う」

「私もそう思います」


ダイニングテーブルの上で、ナッツを貪るクワンに聞いてみた。

「クワンも機嫌直せよぉ。今日は荷物持ってけないからここで番してて欲しいんだって」

直ぐに首を反対に向けてしまう。

食事会には連れて行けないと話してから、ずっと不機嫌なままだ。

「クワンの好きな物作るからさぁ」

鋭い眼光。

足をテーブルの上でトントンし出した。

「何?紙?」

ウンウンと頷く。これは衝撃の展開だ。

「マジで紙!?」

大きく頷いた。

大きな白紙とインクを置いてみた…。

そして…爪先を器用に動かし。

「蛤…醤油で…甘く…煮た…奴…
字綺麗だなぁ…じゃねぇよ!!」

「凄いですね。文字まで書けてしまう鳩がこの世に存在するなんて…」

字まで書けてしまった…。


突如開催決定。クワンさんの為のお料理講座。

「えー。突如降って湧いた衝撃展開に動揺が隠せません。
料理人のスターレンです」
「私も動揺で手が震えております。助手のアローマです」

「本日のお客様はクワンティさんです」
「どうやらその様です」
「クワッ!!」

「彼女のご機嫌を取り戻す為。リクエストに応えて行きたいと思います」
「僭越ながら私も一生懸命頑張ります!」

「まず最初は温存していた蛤を豪華に大粒10個」
「冷蔵庫の中の蛤全部ですね」

「この蛤を良く洗い、貝殻の水気を布巾で丁寧に拭き上げます」
「水気が弾かないようにキチンと拭き取ります」

「次に。網焼き台の上に5個並べ、貝が開き掛けるまで弱火。以降は中火で一気に開かせます」
「火力のタイミングが命なんですね」

「全ての貝が開いた所で、弱火に戻し、貴腐白ワインの投入です」
「甘い白ワインの上級品です」

「ここで肝心なのは、中の汁を外に出さない事」
「蛤のエキスを逃がさない。非常に大事です」

「投入したワインがふつふつと沸き出したら一旦火を止めます」
「ここでは酒精を飛ばし切らない。勉強になります」

「飛ぶまで焼いてしまうと折角の身が固くなってしまいますからね。素手は無理なのでトングなどを使い、煮込み用の鍋まで持って行きます」
「こちらにご用意しました」

「鍋に汁を移し、ナイフなどで身を外します。
身の裏にある貝柱を切るだけなので意外に簡単です」
「スターレン様の簡単は庶民には難しいかも知れませんが頑張ります」

………

「さあ計10個の身が鍋に揃いました。
鍋底に均一に配置し、水4分の1カップ、醤油大さじ2、
蜂蜜大さじ1、砂糖小さじ半程度を注いで炊くだけ!」
「あーメモしたい。でもそんなお暇がありません」

「只管弱火で身の柔らかさを保ちつつ。周りのソースを掬いながら満遍なく身に絡ませます」
「地道な作業です。しかしここで焦っては焦げて苦みが出てしまいますので逃げる事は出来ません」

「アローマさんの言う通り。ソースが焦げ始める寸前で火を止め、鍋を流水で冷やします」
「蒸気で豪快な音が出ますが避けては通れません。
急激に冷ます事でソースを固めるのですね」

「最後に口直しの檸檬を半分切った物を添えて完成です。
味の調整は御本人にお任せです!」
「何とか間に合いました!」

皿に盛り付け、ソースを掛けて檸檬は別皿。

「蛤の…佃煮ではないな。甘露煮だな。
正直食べたい」
「クワァッ!!」

「言ってみただけだよ。欲しかったらまた作るし。
ソースの味見だけ」

ソースの端を掬い、小皿2つに取り分け。

1つをアローマに渡し味見。
「美味い!」
「甘塩っぱい優しい感じが堪らないですぅ」

「近い内に絶対作るわこれ」
「必ずお手伝いに参ります。フィーネ様の許可を得て」

皿をダイニングの中央にセットし、蠅避けのボール蓋を被せた。

クワンの手書きの下に。
「蛤の甘露煮。全部クワンティ用」と明記した。

「余熱で味が染み込むから。自分が欲しい時に食えよ」
「クワッ」


その手前でお茶を頂き、クワンの頭を撫でた。
「しっかし文字まで書けるとは…。人生最大の衝撃かも」
「クワァァ」
「驚きましたねぇ」

「後でフィーネとシュルツにも教えてやろう。絶対にビックリするぞ」


本棟に居たソプランが呼びに来た。
「おーい時間だ…何だこのいい匂いは」

「クワン用の夕食だよ。勝手に食ったら頭に穴空くぞ」
「食うかよ。ガキでもあるまいし」

「じゃアローマさん行って来まーす。お腹空いたら冷蔵庫漁っていいから」
「行ってらっしゃいませ~」
「クワァ~」

ご機嫌直って良かった良かった。



地下道通路までの道すがら。

「ホントに来るのか?あいつら」

「襲撃に来るとしたら、今日か打上げ会だよ。
今日だったら勇者が持ってた黒い鞄。
打上げ時だったらフィーネが狙い。
どっちかだと思う。

確率的には俺らがここから居なくなる今日が高いと」

「了解。どうせクワンティが居るし。
出番無さそうだが、死なない程度にボチボチやるわ」

「兎に角こっちは任せました」

「おう、任された。偶にはなんも考えず楽しんで来い」


地下道入口で待つ2人と合流し、ソプランと別れた。

シュルツを真ん中に歩きながら。
どちらも死なないで欲しいと願うのは、俺の我が儘なんだろうか。




---------------

ソプランはアローマとクワンティが居る、スターレン夫妻の自宅へと戻って来た。

何も知らないアローマに話をする為に。

「只今。って俺の自宅じゃねえな」

「あれ?早いですね」

「地下道入口までだからな。俺らより強くなっちまった二人に警護が必要か?あいつらの隣以上に安全な場所はねえよ」

「…それもそうですね」

新たにお茶を淹れよとしていたアローマを制し、リビング席へと座らせた。

「なぁアローマ。お前気付いてたか?」

「何を…ですか?」

「あの二人。アローマ以外の侍女の名前、殆ど記憶してないの」

「それは…人数が多くて省略しているだけではないかと。
一応私は担当主任ですし」

「ここの担当三人の中に、カーネギの相手も入ってるのにあいつらが名前で呼んでた所見た事ないだろ。
特にそのミランダは二人の披露宴で挨拶してるのにだ」

「…」

「以前。メメットの旦那がスターレンを評した時に言ってた言葉でな。

あいつはお嬢以外の人間は誰も信じちゃいない。
商人としての信じないってのは、本当にどうでもいい奴か巻き込みたくないかのどっちかだってよ」

「…商人として」

「でもそうじゃなくて。それを無意識で選別してる場合。
どうでもいい奴で記憶してない人間の中にも、敵は潜んでいるかも知れないって話だ」

「…ここの侍女の中にも。まだ裏切り者が潜んでいると」

「規模の見えない統一教会だ。会員でなくとも信者が居ても何も可笑しくない。

クワンティはアローマ以外の四人に何か感じたか?」

クワンティは首を横に振った。

「一番怖いのは、表に現われた四人よりもそいつらだ。

そしてそいつらが動き出す可能性が高いのが、二人がここに居ない、今日だ」

「待って下さい。ここが戦場になるのですか」

「今夜何も無くても、二日後の祝勝会には必ず襲い掛かって来る。王都内の手勢が一気にな」

「…そんな…」

ソプランは喉の渇きを訴えた。
「あー喋り過ぎで喉が渇いた。偶には俺が茶を淹れる。
まず自分がどうしたいかを考えてくれ。
家族同然の奴らと、戦えるのかを」

「…」

アローマが思案している間に、紅茶を入れ直し彼女に差し向けた。

「まあ一口飲め。ちょっと濃い目だ」
「はい…」

ソプランは立ち上がり、腰を捻り出した。
気になったのは、腰から下の武装。双剣…。

「ソプラン…。武器を…」
アローマが意識を保てたのはそこまで。
「クワァ?」

「ちょっと眠れる薬を混ぜただけだ」
意識を失ったアローマの身体をソファーに寝かせ。

「クワンティ。悪いが外で暴れてくる。あいつらの荷物が狙われる。荷物の序でにこいつも頼むわ。
さっきのミランダと侵入者を排除してくれ。出来れば生かしておいてくれると助かる」

「…クワッ!」

「こいつが起きる頃には終わってくれてると…。そうなるように頑張りますか!」

玄関を駆け出し、外から施錠した。

合鍵は二本。執事の自分と本棟の事務室に一つ。
そいつを狙う奴が少ない事を祈ろう。




---------------

カーネギの持ち場は本棟の入口。

交代の夜勤者が来るまでの間、夕刻の空を見上げながら思い返した。

自分も含め、ソプラン以外が選んだ相手。

顔合わせ会の時。酒が入った途端、小声でスターレンの悪口を言い出した相手だ。

ソプランの組には誰も居なかったらしい。

切っ掛けは四人共に似た様な形。

彼女たちは仲良くなると、次第に化けの皮が剥がれて行った。

最初の頃は只の悪口。夫婦感への嫉妬。
それ位は誰にでもあるだろう。酒が入った気の緩み。

次第にそれはエスカレートして行く。

初めての夜を迎えた時が最悪だった。
「ねぇ。私の為に、スターレンを殺してよ」と。

四人で情報交換をしてみても、似た感じだった。

どうして彼に殺意を抱くのかを考えた時。真っ先に浮かんだのはクインザの派閥の復讐。

しかし王都内で誰に聞いても、クインザを擁護する者は居なかった。

それは本人に聞いても同じ。寧ろ一緒に喜んでいた。

一時的な物なのかどうか判断が付かず、頭を悩ませていた時に入った朗報。ラザーリア王城陥落。

その号外を読んだ時に、ミランダは酷く怯えていた。

怯えの理由を聞いた所で答えは聞けないだろうと。
俺は彼女にこう尋ねた。
「カレーが食べたい。彼に貰ったレシピはどうした」と。

すると。
「あんな気持ちの悪い物。破って燃やしたわ」

これは何かあると確信に変わった。

そして彼らの帰還後に聞いた。統一教会と帝国皇帝の繋がりと存在。

ギルド支部長モヘッド以下四人がここの首謀者。
しかしその四人だけな筈はない。

彼らに敵対する国内の異分子は全て排除された。
フレゼリカもラザーリアで死滅した。

残る可能性はたったの一つ。
ミランダも、統一教会のメンバー。


そして今日を迎えた。
狙われるとしたら、彼らが持ち帰った荷物とフィーネ嬢。

只。お嬢に真っ向勝負で勝てる者などスターレン以外は見付からない。

ならば荷物。それを狙えるのは今日以外にない…。



ソプランが目の前を通り過ぎて行った。
短い視線だけの邂逅。

遂に、その時が来てしまった。

交代の夜勤者が現われ。
「今日は甲羅盾持ってるのか。
何も無いのにご苦労だねぇ。これでも飲んで寝ろよ。
疲れなんて吹き飛ぶぜ」

水色の液体が入った小瓶が差し出された。

「助かる。ありがと」

瓶を受け取り。夜勤者の腹を盾で抉り、彼を跪かせた。

苦しむ顎に手を掛け、口を開かせて瓶の中身を全て注ぎ込んだ。

案の定。苦しみだし、沫を吹いて息絶えた。

「なんだ。地獄で、寝れるのか」

騒ぎ出した周囲を押し退け、中庭を掠めて正門方向へ走った。

右手、東の方角からの飛来物。

盾で弾くと極太の弓矢。
グレード(組立)式のバリスタ。詰りは手持ちで運べる最少の弩弓。

本棟の屋根から見える位置で手旗を東方向へ振った。

振らなくても、高い建物は一つしかないが。




---------------

カーネギの合図を見たトームは思う。

飛んだ馬鹿野郎だったな、エドガント。
東大陸で何があったかは知らないが。

彼は東から帰って来てから人が変わってしまった。
取り立てて何がとは挙げられないが、印象が変わった。

恐らく足の怪我も嘘だろう。

西の森へオークを討伐しに行った時も。
頻りにライラの目を盗もうとしていた。

不自然な態度で。
丸で…俺に気付けと…言わんばかりに…。

「何だよ…。解りづれえなぁ、師匠さんよぉ」


東方向に見えるのは鐘撞き塔の一つだけ。


朱い神弓を手に取り、東に構えた。

弩弓でしか届かない距離でも、この神弓なら届く。
熟練者が使えば飛距離無視の必中の弓。

まだ貰った霞さえ真面に射ってはいないのに。

話を聞けばエドガントが居るからと渡された。


普通の兵士が盾に取られているかも知れないので殲滅は避けるべきだ。

やや上方に射角を取り、的を思い描いた。

「あばよ…、馬鹿師匠…」

一段目は三連射。

一つ目で弩弓の破壊。
二つ目でエドガントの頭部にのみ必中。
三つ目で敵対者の頭部に必中。

三つ目を神弓がどう判断するかは結果を見ないと解らないが、闇市で買ったこの鏃の性能なら大概の兜は楽々貫通してしまう。

二段目に二連射。

一つ目で更に敵対者の頭部に必中。
二つ目で警鐘を鳴らした。


鳴り響く鐘の音。
まさかこの鐘の音を、半年も経たずに再び聞くことになろうとは。

鐘は鳴った。ならば、エドガントにも命中している。
もしもこれで生き残っていたら、今度酒でも奢ってやろう。

そう思い、姿勢を低くしたまま。
下の正門へと目を向け直した。

丁度。ギークが正門を突き破ってカーネギと衝突する寸前の光景が目に飛び込んできた。




---------------

スターレンは大きな溜息を吐いて、美味しい鮑のステーキを口に運んだ。

遠くで聞こえる鐘の音。

口の中の物を飲み下すと。

「陛下。狙いはフィーネだけでなく。勇者から奪った黒い鞄の方でした。この場を利用して申し訳ありません」

「君の想定通りだったのか」

「はい…。とても、残念ながら」

フィーネが心配そうに。
「想定通りなら。トームさんはロロシュ邸内に居るのよね。
トームさんの家は大丈夫なのかしら」

「そっちには隊で一番冷静で頼れる人に行って貰ってるから大丈夫。実力者3名はロロシュ邸かカメノス邸に向かっているので。彼1人で充分さ」

「…ムルシュさん?」

「そう。彼に持たせているのは五月雨の片刃剣。正面にした敵を背後からも追撃出来る優れ物。
元々陛下から頂いた灰色の鞄に入っていた物さ。
あれを避け切るのは俺たちでも難しい」

「良かったぁー。それなら安心」

「ロロシュ卿とサルベインさんはゼファーさんが避難させてて。カメノスさんとメメットさんとセルダさん親子は同じ邸内の1室に隔離。残りのメメット隊メンバーと信用出来る人間で固めてるから、そう簡単には破られない。

ノイツェ殿たちは千人の兵士たちと一緒に移動中だからそこに突っ込んで行く馬鹿は居ない」

「スタンを信じてない訳じゃないけど…。何か抜け漏れはないかな」

「1人だけ気になる人物の所へは。ゴンザさんに行って貰いました。
彼にも馴染み深いお店へ」

ヘルメンが問う。
「今更隠すな。言ってみろ」

「関係者かどうか疑念を持ってるだけです。
今の段階では。

ゴンザさんに向かって貰ったのは。デニスの酒場。
1区内では珍しい高級酒を扱う店です。

彼もまた元上級冒険者の1人。エドガントたちとも面識があります」

「元上級が近場に四人も…。確かにそれは気になるな」


重ねて場の全員に詫びた。

「気にするな。帝国が動くかどうかの瀬戸際だ。
最早他人事ではない」

ミランも。
「お気に為さらず。食事会なら何度でも開けます。
後悔の無い様に戦いましょう」

メルシャンも。
「お刺身は止められてしまいましたが。明後日の祝勝会ではこっそりと頂きますわ。

皆で笑って過ごせる様に。今夜で勝ち切りましょう」

「有り難う御座います。必ず勝利を」

フィーネがならばと。
「なら私たちもそろそろ」

「いや駄目だ。まだ早い。俺たちが動いた時点でモヘッドが逃亡する。ギルド内に居たら手が出せない。
中で暴れては他の一般の職員にも迷惑が掛かる。

ロルーゼと偽って皇帝に情報を流したのは間違い無くあいつだ。あの男を捕らえ切れないと今夜の犠牲が全て無駄になってしまう」

シュルツが手を挙げて。
「その黒い鞄を餌に釣れませんか」

「それは俺も考えた。しかしあの中に目的以外の道具が入っていた場合が問題だ。寧ろその危険性の方が高い。
土壇場で使われたり、持ち逃げされて皇帝の手に渡りでもすればそれこそ帝国を目覚めさせてしまう」

「く…悔しいですね」

フィーネも頭を抱えて。
「丸で心理戦ね…」

得てしてその言葉がピッタリ嵌る。

そしてライザーが手を挙げた。
「誰か一人。その元上級の一人を捕えた時点で、国としてギルドに責任追及をするのはどうだ。
幸いにも、巷では私はすっかり馬鹿王子だ。
多少義憤に駆られて奇抜な行動をしても怪しまれない。

この非常時に城下を駆け回る道化でも演じて見せよう。
モヘッドともそれ程深い面識は無いからな」

「いやそれでは殿下の身が余りにも危険。先日モヘッドを捕縛した際も、奴は至って冷静でした。
自分は弱いなどと卑下してますが、あれはあれで相当な手練れです」

「そのモヘッドの警戒感が薄れるのもこの中では私しか居ない。ここでジッとしているより遙かにマシだ。
当然馬鹿なのだから護衛はふんだんに付けるさ。

どうですか父上」

「…うむ。その線で動け。直下の近衛と城下のメドベドを連れて走り回れ。ギルド前で吠えるまでだがな」

「では父上、母上。その様に準備して参ります。城下で道化を演じてご覧に入れましょう。

城門北内で準備を進める。スターレン殿から捕縛の知らせを受けたら直ぐに動こう」

確かにここで時間を潰すよりは最良だ。

「ご面倒お掛けします」

「何のこれしき。このままではシュルツに離縁されてしまうのでな。偶には活躍させてくれ」

シュルツも渋々。
「…お気を付けて。宜しくお願いします」

ライザーはシュルツの言葉を受けて別室へと走った。


「今回ばかりは2人では飛べない。目立ち過ぎる。
フィーネは残ってここを防衛しててくれ」

「解ったわ。気を付けて」

「最初は一番来る可能性の高いロロシュ邸へ飛んでみる」

そして胸ポケットに忍ばせた義眼を握って飛んだ。




---------------

ロロシュ邸、本棟屋上。

トームが身を伏せる真後ろへ到着。

小声で呼びかけたが。
「ウッ…流石にビビるな、それ」

「すんません。戦況は?」

「鐘撞き塔に居たエドガントは討てたと思う。その後に鐘を叩いたから、少なくとも致命傷は与えてる。

ソプランはここの下に入った。

自宅はクワンティだけだが、あれ以上の守護神は居ないだろ。

で。今、正門前でギークと交戦中のカーネギがあれだ」

カーネギが降り注ぐメイスを大盾で受け流し続けて、短剣でギークを削る姿が見えた。

「元上級と互角以上。流石だ…カーネギさん」

「しかしあれでは援護も出来んし、誰も近付けない」

「俺も入りたいですが、まだ表には出られません。
もう暫くここで監視を続けて下さい。
ギークを国に突き出して本命のモヘッドを引き摺り出す予定です。出来れば生け捕りが望ましいですが…」

「状況次第だな。多分気絶…お前麻酔は」

「あ!?鞄の中だ…。ミスったぁ」

「まあいい。カーネギが昏倒させる事を祈れ。俺はカーネギに襲い掛かる雑魚が居たら問答無用で殺す」

「お願いします。また来ます」




---------------

デニスの酒場。

警鐘が鳴り始め、デニスは閉店準備中だった。

そこで玄関を叩く音。

「警戒中で店仕舞いだ…何だ君か」
「ご無沙汰してます。ちょっと一杯だけ飲ませて下さい」

ゴンザが半ば強引に押し入り、奥の席に腰掛けた。

「まだいいとも言ってはいないが…まぁいい。
一杯だけだぞ。君のボトルは残っているし」

「お願いします」

全ての窓の戸締まりを終え、玄関にも鍵を掛けた。

グラスをテーブルに二つ並べ、半分まで注いだ。

「単刀直入に。デニスさんは、統一教会の関係者ですか」
「直接的だな君は…。まさか今」

「そのまさかです」

後ろから声がして振り返ると、スターレンが立っていた。

「済みませんゴンザさん。あっちはまだ途中ですけど。
どうしてもこっちが気になってしまって」

スターレンはカウンターからグラスを取り、ゴンザの隣に座った。

「俺は話だけして足止めするだけだったからな。寧ろ申し訳ない」


自分のグラスにも注いだスターレンが再び問う。

「現在ロロシュ邸とカメノス邸で元上級3人と交戦中です。全ては統一教会のメンバーを潰す為。
異教徒狩りではないですよ。先に喧嘩を売って来たのは皇帝なんで」

「そこまで掴んでいるなら今更私に聞くまではないだろ。
私は会員でもなければ信者でもない。統一教会とは無関係だ」

「何か情報はないですか?
皇帝が何を求めているだとか。モヘッドから聞きましたが相当な女好きだとか。

でもそんな言葉じゃ納得出来ないんです。
今のこの状況が」

デニスは腕組みして、やがて解き酒を煽った。

「私が知る情報は古い。
あれはもう八年前か。当時は私も現役の冒険者だった。

東大陸のギルド本部への遠征軍の折り返しで、ロルーゼの港に帰港した時に、偶然帝国皇帝の視察団と出会してな。

その時にやられたよ。私以外の殆どの冒険者が。
奴のスキルに」

「スキル?」

「魅了だよ。

私は偶々、東の魔物の毒で目が失明状態だったから回避出来たが。皇帝と目を合わせた者は皆、その魅了スキルに落とされた。

完全な絶対服従ではないが心酔に近い。

擬似的なカリスマだよ。元々の知名度も在るしで。
掛かった者は皇帝が死ぬまで治らんと言う噂だ。

君の持つ呪いの解除道具でも微妙だろう。回復出来なかったら、それこそ皇帝自身を殺さぬ限りはな」

「魅了…」
「厄介だな、それは」

「あの時に居合わせたのが今ギルドに居る四人だ。当時のモヘッドは商人の見習いとして同じ港に居た様に記憶している。

その他の信者がどう言う経緯で入国したかは知らない。

当然皇帝が今何を求めているかなどもだ」

「魅了について何処までご存じですか?」

「噂話レベルだが。

皇帝の顔を思い浮かべるだけで陶酔状態に入り、
各地の指揮者の言う事なら何でも従うらしい。

その時の主従関係すら無視して。

指示があるまでは至って普通。だから誰も気付かない。

今が真にその状況ではないのかね」

「成程…。やはりモヘッドがここの指揮者か…」

「デニスさんの目は今はもう」

「魅了を掛けられた直後は少し記憶が飛ぶらしくてな。

あの港で見事に置いてけぼりを喰らって。

港近くの水竜教の寺院に暫く世話になった。

その寺院に立ち寄った行商が良く効く薬を持っていて何とか左眼は元に戻った。右眼は殆ど何も見えん。

回復してから水竜教に恩義を感じてここへ来た。

当時仲間だった三人の認識の中では、途中ではぐれた間抜けな奴位の物だろう。

以来微妙な関係で親密でも何でもない。

来てからそれなりに苦労して、偶々ギルドに程近いこの店が購入出来ただけだ。

疑われるのは解るが…。正直迷惑だ」

「「済みません…」」

「有り難う御座いました。益々狙いが解らなくなりましたがそれはこちらの問題です。

ゴンザさんは裏口から出て、衛兵を避けながらムルシュさんと合流して下さい」

「了解。デニスさん、裏口借ります」

「順序が逆だが仕方ない。勝手にしろ」

「俺は転移で飛びます。また普通の時に来ますね」

「あ、転移か…。それは大事にしろ。絶対に失うな。
東で生き残るのにどれ程欲したか解らん。気を付けろ」

「そのお話も必ず聞きに来ます。取り敢えず帝国倒して」

「話の規模が桁違いだが、まあ行け。私は何時でもここに居る」

「はい!」




---------------

デニスさんの貴重な話で色々見えて来た。が。

次に飛んだカメノス邸では…ちょっと予想外の展開が待っていた。

別館の宴会場に飛んだ。

そこにメンバーの3人が固まって項垂れていた。
3人共に表情が暗い。

「如何したんですか?戦況は?」

ヒレッツが答えてくれた。
「よぉ…。俺ら女運がねえんだなって…。
丁度その話をしてたとこだ。

多分カーネギの相手も駄目だろう。

ソプランだけが本物の当りを引いた感じだな。
クソ羨ましい…。日頃の行いの報いか…。

兎に角。こっちの三人の女は急に暴れ出してな。
何とか無傷で捕えてカメノスさんの部屋とは別室に拘束して監禁中。

他の伏兵は無し…」

次にケッペラ。
「はぁ…。こっちにはデュルガが現われて。

俺の相手の研究員から流された試作品の強化剤をガブ飲みしたあいつと、モーラスと本館の連中が中庭辺りで交戦中だ。

館前のバリケードが破られるのも時間の問題。

しかし…強化剤であんな風になるとはなぁ…」

メレスも。
「俺の加護付きの剣でも刃が立たない、
だけじゃなかった…」

ヒレッツが加えて。
「俺らのスリングの鉛弾も残り少なくなって、どうやってあの痛々しいデュルガの対処をしようかって悩み中」

「何がどうなったの?」

ケッペラが更に項垂れ。
「そのナニが…。まぁ見りゃ解る。もうあいつを楽にしてやってくれ。バッサリと!」


3人に促され、別館を出て中庭を見ると…。
変わり果てた姿のデュルガが、お花畑の上で1人で腰を振っていた。

容姿に面影を残し、身の丈は1.5倍に膨張。
魔人化に近い…。近いが…。近いんだが!

主に、奴の股間が!


見るに堪えない。女性にも見せられない。

「来い!ソラリマ!」
『むっ…。ちょ…。後でちゃんと洗ってくれ!』

「当然だ!!」


後ろの3人が驚く。中でもメレス。
「それが武装状態か。ここで見れるとはな。
スッパリやってくれ。ゴッズよりは柔らかいだろう」


「道を空けて下さい!!」と叫びながら。


聖属性を纏わせ、刀身を3倍(接近したくないから)にして中距離から跳んで両断した。

直ぐさま中庭の噴水を借りて水洗い。

そこへペルシェさんが駆け寄って来た。
「あれは…股間を除いて貴重なサンプルです。強化剤摂取の知見になります。出来れば軍部には内密で死体は私共で処理させたと」

「解りました!…汚れますが冷凍庫にでも」

「はい!有り難う御座います」

「後ペルシェさん!消毒液下さい」
「はい。直ちに!」

水洗い完了!付着汚れ…無し!
消毒液が届くまで、周りに手を振り返しながら待ち。

ケッペラが。
「凄え威力だな、それ」

「過剰ですけどね。…それより拘束した3人を自殺させないように注意して下さい。まだ元に戻せる可能性見付かるかも知れないので」

「「「マジで!!」」」

「確定ではないんで過度な期待はせずに」


消毒液が届き、殺菌完了!

安心してソラリマを戻し、索敵で3人以外の赤無しを確認してからロロシュ邸へと飛んだ。




---------------

トームの後ろへと到着。

「どうですか?」

「丁度終わったとこ。カーネギの圧勝だ。
一人だけ斬り掛かった奴が居て、それは撃ち殺した」

「それは…女性ですか?」

「ん?いや警備兵の一人だった。死体は警備長が引っ張った…。あぁ、カーネギの相手の心配か。
ミランダなら少なくとも表には出て来てない」

あー確かそんな名前だったな。

「有り難う御座います」

索敵を展開。赤色無し。

自宅の裏手に1人緑色が居るな。
恐らくそれがミランダ。


敵の規模はこんなもんか…。
「デニスさんの情報が正しければ。皇帝と目を合わせられる人間も少ないのでしょうね」
確かに。…よし!


「今からギークの所へ行きます。トームさんは適当な所で降りて下さい」

「了解。この弓は後でお前に返す。目を瞑っても当たる弓なんて弓じゃねえよ。これに慣れちまったら、俺は弓師として終わりだ」

「解りました。ではまた」


カーネギの後方にロープで下りると、丁度ソプランも本棟から出て来ていた。

「ギークの処理は俺がやります。ソプランとカーネギは自宅の裏手に。そこに1人潜んでます。
カーネギのお相手だったら、殺さずに拘束して下さい。
まだ救える望みがあります」

「「解った」」


手足の腱を切られて蹲るギークの前に立ち、思う。

カーネギさん…完璧過ぎる…。
一番敵に回したくない人だ。味方で良かったぁ。

「警備長!こいつを拾わせに国軍に来て貰います。
普通の縄で縛り上げて突き出して下さい」

「了解しました!!」


固定化されるのを見届け、城内へと移動。

待機中のライザーにロロシュ邸での捕縛情報と他は特に問題無しと伝え、後宮に戻った。




---------------

後宮へ戻り、6人へ結果報告。

「予想以上に敵の数が少なくて助かりました。

皇帝の魅了スキルの効果範囲が限定的なのが幸いしましたね。

今回は情報を持っていたデニスさんに感謝です。

仮にモヘッドが逃げても然程の脅威にはなりません。

皇帝に気付かれる前に鞄は明日空けてしまうので」

フィーネが安堵の溜息。
「はぁ…良かったぁ…。一時はどうなる事かと。
でも私たちって…」

メイザーが追従。
「君らは何時も、綱渡りだな。良い意味でだが」

「ホントそれっすねぇ…」

シュルツが。
「安心したらお腹が空きました。ライザー様には申し訳ないですが、早く食べて眠りたいです」

ミラン様も。
「私もです。では温め直せる物を出させましょう」


ヘルメンに向き直り。
「陛下。明日はモヘッドの尋問よりも、一番被害の大きいカメノス邸の片付けを手伝ってから闘技場へ向かいます。
宜しいでしょうか」

「うむ。問題無い。モヘッドが捕えられたら、厳重に梱包して牢にぶち込む。

にしても…。鞄の中身が気になるな」

「ですねぇ。魅了まで持ってるカリスマ皇帝が、いったいそれ以上何を欲しがるのやら…」

怒り顔のフィーネ。
「絶対に碌でも無い物よ」
メルシャン様まで。
「そうに違いありませんわ」




---------------

食事を終えて自宅へ戻ると、ソプランとアローマがリビングで喧嘩中。

「あ!スターレン様、フィーネ様。聞いて下さい。
私も戦うと覚悟を決めたのに、ソプランが勝手に私を薬で眠らせて」

「だから何度も言ってるじゃないか。
身内同士の殺し合いなんてさせたくなかったんだって」

「あーはいはい。痴話喧嘩なら宿舎に戻ってからやって下さい。明日も早いんで、さっさと寝ろ!」

「早く寝たいのは山々だけど。こっちの被害は」

「ったく…。ここの離反者は三人だけだ。
カーネギの相手のミランダと警備兵の内二人。
俺はここの合鍵が狙われるかと本棟に籠ったが、結局誰も来ず、双剣すら抜いてねえよ。

外から来たギークもカーネギが完封。
味方の人的被害は零だ。

格好付けて飛び出したのによぉ…」

「ま、まあ。被害が最小なら良かったじゃない」


そんな遣り取りを見ていたクワンが一鳴きして、ボール蓋を外した。

お皿には5個だけ蛤が残っていた。

「俺たちも食っていいの?」
「クワッ」大きく頷いた。

「何この美味しそうなの」
「フィーネが準備で居なかった間に、クワンがリクエストした蛤の甘露煮。急遽だったからアローマさんに手伝って貰った」

「そっかぁ。クワンティは本当に文字まで書けるんだね。偉いねぇ」
フィーネに撫でられご満悦。

「ならお言葉に甘えて。みんな1個ずつ食べよう。
常温でも美味いから」


全員で1つずつ。パクり。
「「「「ん~~!」」」」

我ながら自分は天才なのではと誤解する程、疲れた心身には最適なデザートだった。

隣のバカップルも直ぐに仲直りして帰って行った。

良かった良かっ
「ふーん。アローマさんと、料理したんだぁ…」
「え…。ちょっと手伝って貰っただけだよ?フィーネだって偶にやってるじゃん」

「ダーメ。明日も忙しいけど…。今夜は寝かせません!」


俺たちも立派な新婚バカップルでした…。
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