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第16話 搾取

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形の無い素案や草案は、他人にうっかり話してしまうとパクられるのが世の常。

これまでカメノスに話した原案は、全て自分でやる積もりが無い物。歯磨き粉や傷薬の改良がそれ。
案を聞いて貰い、開発も製造も販売も任せ、内の歯ブラシも抱き合わせでカメノスの販売網に乗っかった。

自分で造り出すよりも効率と安定した利を取った。

カメノスの追加証文には、原案共同開発者としての利回りが明記されていた。普通は全パクり。1円足とも返って来ない物。キッチリしてるよなぁ。

コマネンティが手を拱いている間に、製造販売ルートを確保拡充し、大量仕入れと大量生産ラインを構築。カメノスに乗っかる事で、それら全てが整った。

歯ブラシの原価と人件費が下がれば、単価も下げられ庶民の皆様も手が届く様になる。
初期契約上で利潤が半分としても、長期的に見れば馬鹿みたいな利益を生み出せる。

今回の品種改良でバリエーションを増やし、柄のサイズや材質まで数を増やし、歯磨き剤の味や薬効でも種類と価格帯を分ければ…。答えは明らか。

カメノスは俺との会話の中で、これらを瞬時に見出した。

止めにはまだ伝えていない口腔鏡の案。
口腔鏡から医療転用と来れば、そう歯医者の開業。
オマケに競合皆無と来れば。

もう何もしなくても案出しだけで巨万の富が得られる。

マヨ?グルメ無双?もうそんなの要らねえぜ。

カメノスの言葉を借りるなら、妄想だけで昇天してしまいそう。
その妄想を現実に成功させる第一歩目が、今回の移設と品種改良。

気を引き締めて参りましょう。


翌日にカメノス隊にお引き取り願う。
「俺たちの隊は別件で所用が在るので、暫くマッサラに留まります。夕刻までには王都へ戻る予定です」
怪訝な顔をしながらも。
「気を付けてな。君は我々の今後を左右する大事な身。くれぐれも散らす事の無い様に頼むぞ」
と言ってくれた。

過剰な隊列を連れ去るカメノスを見送り、一旦宿へと引き返した。
その途中でメレスに呼び止められ、彼は銀貨を1枚投げて寄越した。
「いやー昨日は久々に楽しませて貰った。釣りは返す」
銀貨か…。この町内で当たりを引くとは。

銀貨なら当たり。銅貨なら外れ。

「舟の具合はどうでした?」
「楽しかったぜ。また乗りてぇなぁ」
何かの指示が在ったと。探りの段階だな。
「それは良かった。また乗れるといいですね」
取り敢えず乗って下さいと伝えた。

内状を深く知るメメット隊のメンバーとは、予め隠語と合図を決めてある。当たり外れと状況を、簡易的に伝えられる様にした。今の銀貨受け渡しと、会話がそう。
勝手な予想だとソプラン辺りだと考えていた。

ソプランが小さく舌打ちした。バレちゃうから止めて。

自分で餌に成ります宣言しておきながら、何だか緊張して来たな。

状況次第でメレスは離脱する。
残るはゴンザ、ムルシュ、ヒレッツ、カーネギ、ソプランの5名。勝敗は相手の人数次第で決する。

僅かな緊張感を抱えつつも。
「少し購入した荒野を見に行きます」
南の湿地帯の方が、身を隠せる場所が多い。
敵が潜伏するなら断然南。

連れて行かれるなら、北側の方が馴染みが在る。
東街道を抜け切ればロルーゼ方面にも出られる。南東のウィンザート方面へ拉致られるよりは。

北には小高い山。麓には深そうな樹海。
あっちにも隠れられそうな場所が満載。

荒野は荒野と呼ばれるだけあって、地面は皹割れカラカラに乾いていた。
町から少し離れるだけで、ここまで変化するもんかね。
しかしサボテンには理想的な環境だ。

メレスが背後から近付いて来る。
いよいよ始まります。命懸けの茶番劇。

「悪く思うな!」
「な、何を!メレスさん?」
首筋に短剣の刃が当てられる。
「お、お前!」ゴンザは演技が下手くそだなぁ。

「動くなよ。やっと俺にも女運が巡って来たんでな。目の前でイチャイチャしやがってよ。前から気に入らなかったんだ」これは本音っぽい。…サーセン。
「女の子なら、ちゃんと紹介しますから!」
「黙れ!ガキの癖に偉そうに」
いよっ、千両役者。
メレス演技めちゃめちゃ上手い…本心?

じわりじわりとゴンザたちから距離を離され、北側の外れまで引き摺られて行く。
「何処へ連れて行く気だ!」ムルシュ合格。
「北の外れまで連れて来いって言われただけなんでな。俺が知るか」
「こ、こんな事をして只で済むと」ゴンザ不合格。
「金より女かよ。しけてんなぁ」ソプラン合格。
ヒレッツはアドリブの台詞探しで戸惑っている。
カーネギは盾を構えてオドオド。盾はまだ要らんでしょ。

メメット学芸団から完全に離れた。
北の外れの丘隆地帯まで辿り着くと、黒頭巾で顔を隠した野盗の集団。数は10。2台の馬車。

メレスに解放された後、背中を蹴られて丘の上から集団が居る所に落とされた。
「うわっ!」為す術無く、転がり落ちる。
「約束の品だ、ミレイユ」罠を張った女だな。
「上出来。こうも上手く行くとはねえ」
「前から潮時だと思ってたんでな。まんまとこっちに寄ってくれて運が良かったぜ。俺は戻ってあいつらを足止めしてくる。お前もあの約束守れよ」
「解ってるわよ。心配性ねぇ」

起き上がる頃にはメレスの姿は無く、10人に取り囲まれていた。
「あんたも運が悪いわねぇ」どう致しまして。
抵抗の意思は無いと、両腕を高くホールドアップ。
「ど、どうする気だ。俺にこんな事をして」
「随分と潔いじゃない。仮面女が居なけりゃ只のお子ちゃまだってのは本当だったみたいだねぇ。坊や」
年上?如何せん顔が見えないので何とも。

フィーネが護衛だってのは知れ渡っているんだな。何処まで広がっているかは別途調べよう。

猿轡を嵌められ、後ろ手に縄で縛られた。
緊縛プレイも自分が受けるのは初めて。別の意味でドキドキする。

その緊張感が伝わったのか、気絶させられる事無く別の人間に担がれ、馬車の荷台に投げ込まれた。
俺に触れたのは3人。

名前:ギョザ
特徴:盗賊の一味

名前:シュマイン
特徴:盗賊の一味

名前:ニックマン
特徴:盗賊の一味

点心シリーズかよ!で、情報少なくない?
「私に言われましても」ですよねー。
蒸し料理もいいな。…お腹空いてきた。

新たな事業展開として、調理器具類の開発でもするか。
竹細工なら、あの職人さんに依頼出来そうだ。

追加構想を膨らませつつ。俺は馬車に揺られてドナドナされて行った。
荷馬車はゆ~れ~る~♪

頼みましたよ、ゴンザさん。




---------------

部が悪いと、大人しく投降したメレスを連行。
兵舎までの道すがらで内状を聞く。
「行き先は」
「北森奥に向かった。それ以上は聞いてない。姿を見せたのは昨日の女含め十人。アジトにはそれなりだろうな」

「解った。勧誘者はどうする。最悪の場合は…」
「…お前に任せる」
一瞬だけ目を合わせ、確認を終えた。

兵舎の門番にメレスを引き渡した。
「どうした?窃盗犯か何かか?」
「主を奪われた。こいつは行き先を知る重要な証言者。俺たちが探索から戻るまで預かって欲しい」
「お前たちは…。カメノス様の縁者の護衛たちだな。了解した。加勢は必要か」

「敵の規模が未知数。探索結果次第で救援を求めるやも知れない。準備と共に、こいつには拷問は無しで頼む」
「詳細が知れるまでは手は出さない。カメノス様に書を飛ばす。その奪われた主の名は」
「ストアレンだ。後、馬を三頭借りたい」
「解った、用意しよう」

メレスはこちらを一瞥すると、一頻り天を仰いで引かれて行った。

カメノス隊が引き返して来ると、メレスの身が危険だ。
短時間勝負になる。

スターレンの予測が外れ、強力な敵が居れば詰み。
「行くぞ。最短で片付ける」
無言で装備品を確認する隊員。覚悟の程は上々。

久々の集団戦闘。今度は誰の援助も受けられない。
救出に失敗すれば全てが水の泡。若い二人の未来も。
俺たちの未来も。
「取り戻すぞ!」

馬の腹を蹴り上げ、北へと走らせた。




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天幕は下ろされ外の景色は見えない。
体感で2時間。2頭立ての馬車で休み無し。
大凡で100km圏内。

車輪音からすると最速で走らせているのに、伝わる衝撃が少ない。ある程度整備された道を進んでいる。

車内の見張りは点心3人。表情は見えない。

横振りのGも感じたのは数回。直進か、緩やかな蛇行。
衝撃が大きくなった所で、馬車は停止した。

「こっからは徒歩だ。歩け」

馬車を手荒く下ろされ、背中を蹴られた。
「止めてよ!お家に帰してよ!」とモゴモゴ言ってみた。

「黙って前の奴に付いて行け」また蹴られた。
仕込み鎧のお陰で全く痛くないぜ。
相手は汚らしい男なので、これ以上蹴られたくない。
フィーネになら適度に踏まれたい。
「…見損ないました」冗談ですってば。

開けた場所から、密林の奥へ奥へ。
前の男は蛇行しながら進んでいた。

どう?強いのは居そう?
「特には見当たりませんが、油断は出来ません」
ロイドにも見通せない敵か、それとも隠れているか。

生い茂る木々が邪魔だな。

暫く進むと、水が流れる音が聞こえて来た。
やがて眼下に見えた光景。

そこは宛ら渓谷を利用した収容所。
自然の岩場を加工した檻が幾つも見える。
一番下側は太い渓流に、数隻の小舟。
こいつら…。

あれに乗せられて運ばれたらアウトだ。
漂う糞尿の臭い。即日出発は無さそう。

「お前はここだ」
縄と猿轡を外され、中層の空の房に押し込まれた。

見えた見張りは対岸も合わせ20人。森にも伏兵が居るとして大体40前後。居て50か。

不味いな…。メメット隊だけでは手が足りない。
全滅させるのは難しい。適当に逃亡してもいいが、檻の何処かにロロシュの関係者が居るなら助けたい。

暫しの逡巡。
だがしかし…。否しかし…。
どうして、剣を、取り上げない!
こいつらは揃ってアホの子か。
弱いと油断するにも程ってもんが。


フィーネを暴走させない手は一つ。
俺自身が無事に帰る事。仮想人質には悪いが、自分が生き残るのを最優先に変更。

何故人は誰かの為に、誰かを殺す。
己で問うた疑問の一つ。
言ってしまえば、今は自分が生き残る為。
いっそ善悪で割り切れたら、楽なのにな。
「…」

最良の武器と防具は手にしている。これで生き残れないならこの先も、次の人生も暗闇。

檻の奥で逃走経路をイメージしながら、剣の柄を掴んでステータス確認。

体力:103+300
腕力:95+300(+鉄の剣:220)
防御力:54+300(+鋼鉄の鱗状鎧:230)
俊敏性:110+300(装備負荷:0)
魔力:133+300
対魔力:133+300
知能:133
特技:工芸品彫刻、商業運営、剣術初級、時間操作小

現状でこれ以上を望むのは無謀。
女神の加護は終盤戦で受けるべき物。こんな所で受け取っていい代物じゃない。

これでは只の、殺人鬼…。
胸が痛くて息苦しい。この痛みが、欺瞞の罪悪感である事を決して忘れていけない。胸の奥に刻むんだ。
こんなに苦しい事を、俺は平気で。リリーナに遣らせ、フィーネにまでさせた。屑が。


目を閉じて、深呼吸を繰り返す。

使える切り札。
時間操作:前1、後1、延長
前1は自分の立ち位置を1秒前の位置まで戻す。
後1は自分の能力値内の移動量で1秒後の位置に進む。
人や建物などの遮蔽物は貫通出来ない。人が居たら全力体当たり。それは壁でも同様。
空中での使用は不可。地面に降ろされるか、元の位置まで戻される。宙では縦移動も横移動も無理と言う事。

延長は特殊。
発動後の1秒間を、残存魔力分継続的に引き延ばせる。
コストは2。詰りは1秒が2秒に倍化する。
最大433なら最長216秒分延長可能。
充分なチートだと思われるかも知れないがそうじゃない。
自分自身を含めた全ての時間が延長されるだけだ。
少し考える時間が欲しい時にしか使えない。
しかも延長中に補正付きの剣を手放した時、141秒を過ぎていると死亡確定。

ロイドちゃん。もしも使ったら、カウント2分で止めて。
「解りました。ご武運を」

これから行う行為に、正義は無い。
これから行う所業に、大義は無い。
これは、故意の…。

「人殺しだ!!」
訳の解らない奇声を上げながら、抜刀。俺は檻を壊して外へ飛び出した。

ここが、閉ざされた洞窟であったなら。どんなに楽だっただろう。

出て直ぐの所を歩いていた人間を頭巾の上から斬り捨てた。斬られた者が渓流へと転がり落ちる。

ここが、何かの建物の中だったなら。全く別の手段も沢山在ったに違いない。

最下層の岸壁まで降り、寄せられていた全ての舟を破壊して回った。

「な!何だあいつは!檻から出て来たぞ」
上層が一気に騒がしくなった。

こんな大人数を用意した奴が悪い。
こんな逃走経路を用意した奴が悪い。

岸壁から、対岸で弓を構えた者の所まで跳んだ。
「うっ!」嘘じゃない。これは夢でもない。
怯んだ男の両腕毎、胴元から斬り上げた。

隣に降り立った者の首を横薙ぎに刎ねた。
言葉無く、崩れ去る物体を足場にもう一人。

「なんだい、ありゃ…」
上からミレイユと呼ばれていた女の声が聞こえた。
「うぉぉぉ」一人が剣を上段に構えて突進して来る。
「邪魔だ!」時間操作:後1

その人の目には、俺が一瞬消えたに違いない。
体当たりと同時に胴の真ん中を貫いた。

「あれを出しな!!死んでも報酬は半分貰えるよ」
「正気ですかい、お頭。あれを閉じ込めるのにどんだけの兵隊が…」
「知った事かい!」
何の話をしてる…。さっさと逃げればいいものを。

あの女だけは生け捕りだ。

反対岸まで戻り、石段を駆け上がった。
邪魔な人垣を斬り伏せながら、ミレイユの真下に迫る。

「化けもんは、仮面だけじゃなかったのかい…」
「フィーネは化物じゃない!」
謝れ。時間操作:後1

女の首根を左手で掴み上げ、最上層の地面に押さえ付けた。
「無駄な抵抗すんな。諦めて墜ちろ」
「グッ…」睨み返したミレイユの意識が墜ちた。

森から飛んで来た矢を剣で払う。
この女がどうなろうと構わない。仲間に殺されるならそれでもいい。
どうせ敵は向こうからやって来る。

森には目をくれず、谷底まで引き返した。

最下層の檻の一つに群がる人混み。
「どうして、逃げてくれないんだ…」

不意にロイドが叫んだ。
「逃げて下さい!あれは危険です!」
何だってんだ。

一瞬の問答の間に、開け放たれた檻から何かが飛び出した。檻を開けた盗賊たちを踏み躙って。

唯一逃れた盗賊も、足を掴まれ河岸の岩場に叩き付けられた。
一撃で粉砕された身体。
千切られた片足を持ちながら、その化物が雄叫びを上げた。鼓膜が破れんばかりの咆哮。

オークとは違う、異形な形。人型の様で在りながら、身の丈は優に3mはある。

何だあれは。
「戦うのであれば、覚悟して臨んで下さい」

身体中の筋肉が膨れ上がり、所々腐敗が見られる。
目線が合った瞬間。全身が震えた。

恐怖。これは恐怖。
精神力と同義の対魔力が上がった、今の状態で感じる恐怖感。これは紛れもない死への恐怖。

しかし違和感がある。どうして俺が。
心理とは無関係の本能?
もしかしたら、この化物に殺されると…。


その場で暴れる化物とは反対の岸の平場まで跳ぶと、化物はもう一度雄叫びを上げて4足で突進して来た。

桟橋の一つを破壊し、化物は河の深みを飛び越えた。
目前の敵を殲滅する。その異常性の中にも知能の存在が垣間見えた。

渓谷内の盗賊はもう誰も居ない。標的は俺一人。
逃げる事は出来ない。

こんな物を生かして置いては何処にも行けない。

小刻みに震える足を踏み据え直し、待つ。
時間操作:後1
衝突寸前でより広い場所に横転。

自分の居た場所の地面が抉れ、化物の片腕が突き刺さっていた。
腕を引き抜こうとする化物に接近を試みた。
時間操作:前1
化物の片足が空を切った。

着地と同時に、胸が軋み血反吐を吐き出した。
「無茶をしてはいけません!」
これは攻撃を喰らったのではなく、クールタイムを無視した連発への反動。成程、こうなるのか…。

腕を引き抜いた化物との距離を取る為に、中層の岩場まで上がる。次までの1分を稼ぐ。

途中の幾つかの檻の奥に人影が見えた。
今だけは居て欲しくなかった人影が。

下流も上流も展開出来るスペースは無い。
檻を犠牲に逃げ回るか、背陣を帰して戦うかの何方か。

足場が足りない化物は、代わりに大岩を掴んで投げ付ける。何よりも長い1分間。
「再使用可能!」

時間操作:延長

考えろ。考えるんだ。
急所は首で間違い無い。他では分厚い筋肉に阻まれる。
ここまでの投撃での檻への被害は無し。
化物の全注意がこちらに向いている。陽動は不可能。
スローで流れる時の中でも、絶え間なく続く攻撃。
ほんの一瞬でいい。奴の注意を逸らせる何かが欲しい。
「間も無く2分!」

延長を解除した瞬間。上から人の声がした。
「スターレン!!」
「何だ…ありゃ…」

瞬間。化物の注意が逸れた。
今しか無いと化物の前面に降りた。
踏み出しと同時に。時間操作:後1

懐深くまで飛び込み、跳ね上がりの全力の一振り。

化物の首は、皮一枚の所で崩れて落ちた。


化物の死体を前に両膝を地に着けた。
絶命していると言うのに、まだ半身は痙攣している。
物凄い生命力だ。
「おい、無事なのか」
「無事です!まだ来ないで下さい!」
完全に息絶えるまで、剣を鞘に戻さずに待った。

これは生きたいと言う願い。
それは例え、化物であっても。

数分の後に、化物は完全に停止した。
動かなくなった化物の大きな肩に手を添える。

名前:壊れた聖騎士(初期型)
種族:合成人間
特徴:死亡

「…」
俺は知っていた。ラザーリア王城の地下深くで何らかの実験が行われていた事を。
俺は掴み掛けていた。王妃が直接、何かの武器を帝国と取引していた事を。
正解ルートは。王都ラザーリア内で、あの女と戦い続けるルートだったんだ。それを俺は…。

「何が…」
「おい、スターレン。本当に大丈夫なのか?」
「何が、聖騎士だ!クソッたれぇぇぇ!!!」

天に向かい激しい慟哭を吐き散らすスターレンの傍らで、遅れて来た5人はただ、見守る事しか出来なかった。


切断した化物。元人間の遺体を河へ沈め、下流へと流れて行く姿を暫く、見えなくなるまで見送った。
「ありゃいったい、何だったんだ」ソプランが問う。
「あれが王妃フレゼリカが製造させてる。
帝国向けの本当の武器の姿。元人間。何らかの魔物の欠片を埋め込まれた、元聖騎士の成れの果てです」
「…」言葉を失う5人。

「それは兎も角」
「兎も角じゃないだろ!しっかりしろ!」
ゴンザに肩を揺さ振られたが、どう返していいのかが解らない。
「ちょっと考えたい事が一杯で。暫くここで1人にして貰えますか。閉じられた檻に、まだ生存者が居るみたいなんで助けてあげて下さい」
「そうか、解った。…何処にも行くな。そこに居ろよ」

ゴンザたちの救出作業を河岸で眺めながら考えた。
これで漸く、女神様が俺に何を期待しているのかが見えてきた。
なぁ、ロイド。どうして俺なんだ?
どうして、この世界とは無関係の俺なんだ?
「…無関係、だからこそ。ですよ」
どうやって止めりゃいんだよ。あんな化物。
「貴方がもし断っても。あの哀しい化物たちを使って、人類は次の魔王を倒すでしょう。聖剣も勇者も居ない。その後の未来がどうなるのか。解らぬ貴方ではない筈です」
答えになってないな…。
答えが無いんだもんな。

この問いには答えが無いんだ。それは人類が選ぶ道。
成否は神様が決める物じゃない。
「その通りです。智哉」
取り敢えず。あの女を倒す。正面から倒す。
それで何処まで修正されるか解らないけど。

立ち上がって尻に付いた砂を払った。
一つだけ決意を改めた。フィーネだけは何が何でも狂った教会には渡さない。
どんな汚い手を使ってでも。

女神様の意向を外れた、女神教団の名を借りた一部の組織を炙り出さなければならない。
それはきっと教団分裂を引き起こす。
その手段が全く今は見えないが。


「もう大丈夫です。俺もあんな化物と対峙して混乱してたみたいです」
「そうか。ならいいが」
助け出されたのは、おじさん1人。少女と少年の2人。
3人共昏睡状態だった。あの化物を見なかっただけでも幸せだろう。

3人の衣服と汚れ切った下を河の水で洗い流した。
少女にはとても申し訳なかったが、仕方がない事として割り切った。

「上に転がしといた女はどうなりました?」
「簀巻きにして大木に固く縛っておいた。あれもお前がやったのか?」
「ここの野盗のリーダーぽかったんで、あいつだけ生かしました。あいつの服を剥いで女の子を着替えさせましょう。まだ眠っている隙に」
「それは名案だ。だが男を運ぶのが厄介だな」

「その人は俺が運びます。昨日闇市で買ったこの鎧。どうやら身体強化の呪いが掛かってるみたいで。これが無かったら、今頃この場で死んでましたよ」
「うわー。闇市ってそんなもんまで在るのかよ。俺も欲しいぜ。また今度連れてってくれよ」
「いいですよ。お金バリバリ稼いで、みんなで覗きに行きましょう。何事も運次第、ですがね」
俺は覗き魔だからな。

おじさんを軽々と肩に担ぎ、石段を駆け上がった。

「少し急ごう。功労者のメレスが、カメノスに首を切り落とされる前に」
「戻しちゃったんですか?」
「仕方なくだ」

大急ぎでミレイユを拾い、現場を後にした。



マッサラの町まで戻った頃には、すっかり日も暮れ、停留所には今朝方見送ったカメノス隊の護衛集団が居た。

兵舎に急ぐと門の前を右往左往する、お怒りモードのカメノスが護衛や門番を困らせていた。
タイミング最悪。

俺の姿を見付けるや否や。
「全く君と言う男は!どうして捕まる様な無茶をするんだ。お陰で今日の約束が全て御破算だぞ。この貸しは大きい。心せよ」
「ご心配掛けて済みません。ちょっと釣りに出掛けてみたら誘拐の目に遭いまして」

門の前ではゴンザが半裸のミレイユを転がして。
「こいつが真犯人だった。預けた仲間は全くの誤解だ。申し訳ないが、これと入替えて欲しい」
「そ、そうなのか。もう少しで危なかった所だぞ…」
門番がカメノスに目線を送っていた。
マジ危なかったわぁ。


救出した3人を、兵舎内の救護室に運び入れる時。
「いや待て。その娘は…」
「その子は現場に監禁されていた子供です。お知り合いでしたか?」
「うーむ。私の記憶違いかも知れないが。その娘は、ろ」
慌ててカメノスの口を塞いだ。
見事に当たった。俺たちは運が良い。
女神様、有り難う!

「それ以上は控えて下さい。彼の御仁に密書を送りたいんですが」
「密書だと…。その話、詳しく聞かせて貰うぞ」
「必ずや。それよりも彼女をもっと安全な場所に移したいので、是非ご協力を。それと他の2人はご存じですか?」
「それは構わぬが。…後の2人は知らぬ顔だ」
「そうでしたか」
誰なんだろう、この2人。


別室でヒソヒソとカメノスに内状を説明し終え。

「雛は奪還した。親鳥の来訪を待つ。スターレン」
書面を起し、カメノス経由の直通便で飛ばして貰った。
鷹鳩凄ぇ。夜でも関係無しで飛ぶんだ。
俺もいつか専用の鷹鳩が欲しい。頭囓らない奴で。




---------------

王都パージェント。第3区内の高級住宅密集地。
そこに一際大きな豪邸が在った。

老人の域に差し掛かった、潤沢な白髭を携えるその豪邸の主は。
深夜にカメノスから直通便で届けられた密書を開き、震える手で書を閉じた。
広いリビングに向い、奥手に据え置かれた、小さな水竜の石像の前で深い祈りを捧げた。

感謝の念を心で述べると共に、言い知れぬ贖罪の想いを連ねた。

商売敵の小僧。成人を迎えて間も無い青年。
異国の没落分家の餓鬼だと罵った事を猛省した。

一切の言葉も交わさぬまま、彼はこの僅かな意図を正しく理解した上で、あの恐ろしき魔人の手中から孫娘を取り戻してくれた。

認めよう。私は彼に負けたのだ。戦う以前に。
こんな清々しい敗北はいつ振りになろうか。

会いたい。会って話がしてみたい。
そう思うと同時に、胸の奥から激しい怒りが湧いて出た。

人質を取られ。魔人の脅威に踊らされ。
多くの犠牲を払いその上、大切な娘まで失うに至った。
この私を手駒に使いおった隣国の雌豚め。
敵対しているのなら、青年にも喜んで手を貸そう…。
否、共に戦おう。


老人は力の限り叫んだ。
「シュベイン!サルベイン!今直ぐにここへ呼んで参れ!」

直近で待機していた警護兵が慌てた様子で駆け付けた。
「お呼びは朝に致しましょうか」
「二度は言わぬ。今、直ぐにだ!」
「わ、解りました。直ちに伝えを送ります」
老人の怒りの形相にたじろぐ兵士は、リビングを出ると長い渡り廊下を駆け抜けて行った。


程なくして呼ばれた二人が、老人の前で膝を折る。
シュベインは、泣き腫らした赤目を擦り、サルベインは浅い眠りの邪魔をされた、不機嫌な顔を浮べる。

老人はカメノスからの密書を開き、二人に見せた。
「これは、大恩だ。解るな」
シュベインは目を一杯に見開き、諦めていた希望の書を震えながら掴み取った。

そして老人は二人に向かって、こう告げた。
「このロロシュ・アル・ミラージュの名を以て命ずる。只の今より、反撃の狼煙を上げよ!」

歓喜涙したのはシュベイン。逆に食い下がったのはサルベイン。
「しかしながら!あの、魔人の件は」
「案ずるな。策は在る。何より、あの魔人を屠れた若い商人がこちら側に居るのだ。恐れる事なぞ何も無い」
「いやしかし父上…」
「諄いぞサルベイン。臆するなら家族を連れて、南にでも下れ。私はやるぞ」

ロロシュは猛る。
「吹けば飛ぶこの命。最後の灯火はここで燃やし尽くす。隣国の雌豚を、地獄の果てまで道連れてくれるわ!」
次にはロロシュは笑みを浮べた。
「先ずはこの大恩。この命で購えるのかどうか。明日にでも聞きに行こうぞ」
「是非とも。私もお供に」
「父上がそこまで仰るのでしたら。私も」

「シュベインが動くのはまだ早い。一刻も早く雛に会いたいであろうが。これ以上の後手は踏めぬ。胸を痛める母鳥と共に、吉報を待っておれ」
「解りました。…早い知らせを。心より」

「サルベイン。コマネはまだ動かすな。これ以上場を乱す様なら。お前の首諸共、狩り尽くしてやるぞ」
「…心得ました」
答えを聞き届けると、ロロシュはシュベインから書を引き受け、暖炉の火に焼べた。


久しく見なかったロロシュの気迫に押し切られた二人は、退出後に少ない言葉を交した。
「諦めていた命が戻って来る。裏切ってくれるなよ、サルベイン」
「人聞きの悪い。私は実益主義なだけです。しかし雛には無償で手を差し伸べましょう。私に取っても可愛い姪ですから」
「有り難う。感謝する。不服が在るなら、私が継ぐ事業の全てを譲ってもいい」
「滅相もない。あれではまだまだ父上は死にませんとも」
「確かに」
二人は互いの肩を叩き、笑い合った。
それはとても懐かしく。これから訪れるであろう隣国との商戦に胸に思いを馳せて。




---------------

メレスは凝った首を回しながら、兵舎内を歩いた。

「いやー首凝ったぁ。待ってるだけでもヒヤヒヤしたぜ」
ついさっきまで自分が入っていた簡易牢の前に、悪態を吐きながら立ち止まる。

牢の中で、毛布に包まる女性が半身を起こした。
「何さ。どうせ私は死刑でしょ。それでなくとも、あいつらに殺されるよ」
「どうせ殺されるってなら。知ってる事全部吐いちまえ。お前の尋問、任されてんでな」
「犯されたって口は割らないよ」

柵を背にメレスは腰を下ろした。
「言うとは思ったが、言われると傷付くねぇ。俺、そんな奴に見えてたのか」
牢の鍵を横手に見せた。
「私を、逃がしてくれんのかい」
「逃すか馬鹿。全部吐けって。拷問も、無理矢理押し倒すのも好みじゃねえの」
「私にどうしろってのさ」

一息吐き下し。
「ならお前の本名教えてくれ」
「…ミレイユよ」
「は?」
「だからミレイユだって」
「お前…。本名源氏名に使ってたのかよ」
「悪い?どうせ利用したらあんたを殺そうと思ってたし」

「おっかないねぇ」
「伊達で盗賊の頭目なんざやらないさ」
「人生色々だわな。女の過去なんか興味は無いが。
俺もゴンザたちに出会ってなきゃ、そっち側だったかも知れねえしよ」
「私も男の昔話なんか興味無いさ」

「だったらこれからの話をしようぜ」
「これから?私は死ぬのにかい」
「正直に話せば。ストアレンが助けてくれるって」
「そんな美味い話が在るもんかい」

看守も通らない個別室で、静かに時が流れる。
「なぁ、ミレイユ。お前、俺の女に成らねえか?」
「は?あんた何言ってんの」
「夫婦になりゃ無罪放免って訳でもねえが。ストアレンは家族を大切に考える男だ。悪いようには絶対ならねえ」
「あんた馬鹿なの?」
「言うねえ。牢屋にぶち込まれてる女が」
「あんたも。あのストアレンってガキも。信用出来ない」
「まぁ商人だからな。口が上手いのは確かだ」
「あいつは…。本当に商人なの?」

「歴とした商人だぜ。でもって強い。変な話だよなぁ。
ついこないだまで女の子に護られてる様な、貧素ながきんちょだったのによ」
「あいつの動きは…。今まで見た冒険者の誰よりも異常だった。突然目の前から消えたし」
無意識に首の痣を撫でる。
「あぁ、あの技か。ありゃ確かに初見だとビビるよな。それにあれだ。谷に居た化物?あいつ一人で狩っちまったらしいぜ」
「…嘘でしょ…」

「嘘言ってどうするよ。無傷で、他の生存者連れて帰って来たぞ。堅物のゴンザが、駆け付けた時には終わってたって言ってたしよ」
「あの化物を。たった一人で…」

「信じられねえよな。でもあいつは実際凄え奴だよ。誰よりも何よりも。常にこの世界全体を見てる」
「世界、全体?」
「商売にしろ、冒険者にしろ。どっちも同じ様に考えてる。あいつの話を聞く度に、自分の小ささを実感する」
「確かにあんた、小さかったもんねぇ。昨日の夜なんて途中で果ててたしさ」
「そっちの話じゃねえよ!あん時は体調が悪かったんだ。そこでたっぷり寝た今なら問題ねえ」

「だったらもう一度、私と勝負しないかい?どうせ死ぬ身なら、今更守っても仕方ないさね。最後に、馬鹿な話をする男に抱かれて死ぬのも悪くない。…でも、もしも私が勝ったら。減刑、掛け合ってくれない?」
「面白え。俺に勝てたら考えてやる。俺が勝ったら洗い浚い吐け。いいな」
「望む所よ。負ける気がしないし」

「言ったな。後で泣いて謝っても許してやらねえぞ」
「やれるもんならやってみなさいよ」

施錠を外し、牢の中へ入ってから締め直した。
「ここは飽きるまで使っていいって言われてる。どの道お前に吐かせるまで俺はこの町に居残りだ」

胸のポケットから、ヒレッツに渡された小瓶を取り出した。
「何よ、それ」
「ああ、これか?闇市で買ったって言う薬だとよ。三日三晩寝れなくなるって書いてあるな」
グイッと瓶毎飲み干した。ニガッ!
「こ、この卑怯者!」

メレスはミレイユの叫びを無視して、上半身の服を脱ぎ捨て施錠の鍵を外に投げ捨てた。
「あー寒い寒い。早く暖まろうぜ」
「あんたさっき、無理矢理は好きじゃないって…」
「これは勝負なんだろ?男と女の。おぉー、早速燃えて来たぜ」
「ちょっ」

ミレイユが身体に巻き付ける毛布の中に、半ば強引に割り込むメレスであった。

メレス。訳在って、メメット隊を一時離脱。
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