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第3章 大狼討伐戦

第38話 一筋の紅

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ベンジャム領、中央部。古城。
嘗ての王都が在った場所だそう。要は乗っ取られた。
人狼たちに。

先日は上空から眺めるだけだった。
地上の丘から見渡すと、かなりの面積。

栄華を極めた街並みも、今では半分以上の建物が瓦解し地に伏していた。

それが風化なのか、僕らの所為なのかは不明。
風化を促進させたのは言うまでもない。

漂って来る臭気はとても犬臭い。オシッコ臭さを発酵増幅させた臭い。

人間種よりも強い。なら彼らは免疫力も強かった。
フルでパワー全開のこの時期。全ステが上昇してても何ら可笑しくなかった。

こちらの接近は早々に気付かれ、数々の狼の遠吠えが鳴動。各所から聞こえる。

これまで敗北を繰り返し、冒険者たちから敬遠され続けてきた理由が良く解る。

広い様でいて通路は狭い。優秀な索敵でも、地中奥深くにハイドした狼は捉え切れない。ノコノコ入って来た餌を取り囲み、360度攻撃では堪えるのは非常に難しいと思われる。

「全隊。散開!回復が欲しいならここに戻れ」
単純明瞭なオート氏の指示。突っ込んでもいいが、回復を考えるなら行き過ぎるな。
その意味を込めた指示だった。

本部陣から、いきり立つ猛者たちがそれぞれのフォーメーションで広く別れ、東部側面より侵入を開始した。

外郭は殆ど崩れ去っているので、意外に見晴しは良好。
乗り込み自体は容易。

城に向かうに連れ、瓦礫が高く死角が増える。

敵はワーウルフだけじゃなかった。
ランブルタイガー。Bの上。人狼の飼い猫。虎種の上位に並び立つ三毛縞。
おー、居たわ。番候補。残すのに成功したら黒竜の森へ連れて行きたいな。
なぜ犬が猫を従えているのかは不明。

「大きな猫?可愛くない…」
幾ら猫好きでも、虎を含めるのは難しい様子。
ホーンタイガーにも特別反応してなかったしな。

可愛い、可哀想とか言われたら対処に困った。

鋭い目付きに牙。湾曲した長い爪。可愛い要素が…。
この認識に男女の差は無いようだ。

とりま、東部中央突破を試みる僕ら。異世界組混成隊。
メンバーは変わらず、離れた後方にセクシー姉さん隊が公約通り付随。更に後方には国軍監査員。

超絶遣り辛い!何かする度に後ろから歓声が上がる。
ただ見てるだけかと言えばそうでもない。
ちゃんと横沸きしたタイガーに対処していた。

気絶や無力化を試すのは、僕らの所に襲い掛かって来る虎だけに留める。どの道今直ぐ運べる手段も無いので。
何割か逃亡してくれると助かります。


一方で僕らも出来ない(見せられない)事が多数有る。
ミストの変身擬態。中身がミストレスとバレたらパニックで全面戦争になるから。看破で見破られないか?
いいえ。ご本人には何も疚しい所は無いので。何方の姿も本物とのこと。
ハイブリットだったの?

大規模魔術。張り切り先行した隊が何処に食い込んでいるのか不確かな状態では、広範囲には撃てません。
得意じゃなくても強制発動が可能な魔道具を、多数所持しているのも披露は避けたい。

スタートを同じにした事を少し後悔。

キュリオの武装展開スキル。超が付くレアスキルだから展開次第では出さずに終わりたい所。勧誘が激化しそう。

ユウコさんの絶対領域。全域完全防御の壁。ある意味最強。これも披露は控えたい。使い処は本人任せ。回復術のセンスも兼ね備える。守備と回復の要。
「キョーヤとミスト以外は考えてなかった」だそうです。
つ、冷たい!氷の女、元斉藤さん。

キョウヤ殿の蟲王は、手広く周知されていて有名。ノーマルフリーで使い放題。今回のメイン、頑張れ。
未だ見ぬ強奪スキルの持ち主でも、蟲王だけは意味不明過ぎて欲しがらないだろうね。
僕の有知有能も然り。

ジェシカの陽炎。対人戦特化で優秀。これも余り広まるとスカウトの嵐。

メイリダさんの巌窟王。頑固者のイメージが強いが、攻守バランスに優れたレアスキル。万能型の魔術剣士。粗が無く格好いい。

ヒオシの闘真。相変わらず友愛の下の位置付け。元ボクサーの経験がこちらの世界に適用変異した物。素早く重い拳は最後の隠し球。打撃と剣と回避に優れる。接近戦、遠距離両方行けちゃう。出来る子。
友愛の適用範囲も今回の見所。端から見ていても、何が起きているかは当事者たちしか解らない謎スキル。
南へ飛んだ時や赤竜戦時は、抜けていた気がする。一定の距離制限が存在する模様。


総合すると、各人分野を絞り力を抑えて強敵を打破せよ。てな感じ。面倒でムズい。

二度とやらない。
フェンリル戦ではギャラリーを無視する。そこで好成績を残せば誰にも何も言わせない。晴れて全員自由の身だ。

自分の尻は自分で拭きましょう。赤ちゃんや老人でもないんだからさ。その先の事まで押し付けられる筋合いは無いし、門藤先生が何してたって関係無い。一々絡むな。

僕らを捨てて置いて、今更教師面されてもねぇ。
会話可能なら事情は聞く。
単なる介入、敵対なら徹底抗戦の構え。

「教授。余裕こいてる場合じゃないぜ」
「あ、ごめん。どうでもいい奴思い出してた」
ヒオシに注意を受け、剣の柄を握り直した。

小石の礫が高速で飛来。安い陽動。
石を剣で払い、もう一本中剣を取出し誰も居ない背後を傘切りに振り下ろした。

頭部が二つ割れた虎が地に伏せる。
「タイガーーー」
あぁ、さっき出来るだけ助けるとか唱えて於きながら、自分でやっちゃ世話無いわ。

「何やってんの?」一匹の鬣を鷲掴みで仕留めたヒオシが僕の反応に驚いていた。僕もだよ!
「いや先生。勢い余ってさ」

友愛が秀逸過ぎる。手加減が激ムズ。
今回は仕方ない。襲い掛かって来る者は叩き潰す。
何処かで生き残ってくれるのを祈ります。

さっさと先に進もう。

戦闘経験の浅いキュリオとユウコさんを中央に、六角形の布陣で移動を開始した。

ユウコさんは重点的に旦那とミストにシールド。マジか!
他のみんなは無視なの?何で来たの?

「ユーコ。いい加減にしろ。そんな我が儘やるなら後ろに戻れ。俺の言う事が聞けないなら離婚だ!」
うっそ、そこまで言わんでも。
「え!?ゴメンなさい。じょ、冗談よ。ちゃんとやるから。まだ他のみんな余裕があるみたいだったから!」
一応配慮はしてたと。

「嘗めるな!ここは戦場だぞ。今はステが上がって身体が軽く感じるが、それは過信だ。離されたらどうなる?孤立したら、分散したら、分断されたら。常に先の展開を想定しろ。ベースのステが一番低いのはお前だぞユーコ。今こそ自分のレベルを上げないでどうする」
言いたい事全部言ってくれた。でも、もう少し優しく。
「解ってますよ!人が気にしてる事をズバズバ偉そうに。無能君!制限無視するけど、いいわよね(怒)」
夫婦喧嘩勃発。こ、怖い。

「どうぞ」

「まったくもう!私だって考えてるのよ。隠せって言われたから縮小してたの!」

「…すまん。言い過ぎた」

「ふん。知らないからね。もう怒ったんだから!」

-スキル【絶対領域】
 並列スキル【展開】【波状】同時発動されました。-

プッツンユウコ氏が、剥き出しの地面に片手を着き。
「無能君。お城までの階段作るから、ここの索敵マップを空に展開して!」
「ら、らじゃ」

地図の魔道具で、地上とは鏡映しの索敵マップを映し出した。敵意剥き出しの魔物は真っ赤。友軍がブルー。

-スキル【絶対領域】
 並列スキル【結合】発動が確認されました。-

頭上の赤から白い線が垂れ、隠れている地上の虎と結ばれた。エンカウント位置が丸解り。超便利。

「私よりも上位。人間も人狼も素通り出来るから気を付けて。でもそれ以外なら押し流せる。雑魚は西側に押し込めるから。みんな、行くよ!よーい…」

押し流す。周囲から敵が居なくなる。道が拓かれる。
それが城までの階段。

「どん!」古風だねぇ。ユウコさんらしい。

余興は充分。他の隊も変化に対応。一斉に城へと動き出した。

布陣は変えず、ミストの背にユウコが負ぶさり僕らも移動開始。術は発動しっ放し絶対領域のフルオープン。



「皆遅れるな!これじゃ得点稼げないわよ」
アイサーと叫ぶ一同。

「こちらも遅れるな。監視の役目。退屈だと思えば、なんのなんの」
イェイサーと叫ぶ兵士たち。

何だか悪い事して追われてる気分。

逃走中で逃避行。密集する入口を避け、手薄な西裏手まで回り込んでから侵入開始。

「入れ込み過ぎよ!」メイリダさんの檄が飛び。
「勢いで倒せる相手ではありません!」ジェシカのお叱りに一端ストップ。

僕とヒオシがそれぞれに叩かれた。

「ここまでは順調だ。一端落着こう」
叩かれてないキョウヤが平然と言った。そりゃそうでしょ。

他の隊も入口傍で停滞モードに入った。
本陣も警戒しながら街へ侵入。勢い任せに突っ込むのはガキのする事。

「さてと」痛む頭を押さえ、暫し熟考。

隊はざっくり五班に分かれている。本陣も入れれば六班。
各隊5~60人。一番少ないのが僕らの隊。

中央塔までの入口は4つ。綺麗に東西南北を指すように城壁が形成。元は人間が造った物なのでその点に違和感は感じない。

凡そ百年前に人狼に奪われてから、人類は敗北の連続。
罠を張ってない訳が無かった。

「一端みんな外へ」と口走った瞬間。

城壁の門が音も無く閉じた。ギーとかガァーとかゴーとかを期待してたのに。

「待ちくたびれたぞ。人間共よ」お待たせ。
城内に響き渡る、ハスキーボイス。念波じゃなくちゃんとした声で聞こえた。

「先生、出番でござる」
「あいよ…。ござる?」

後方部隊が声に気を取られている内に門まで回り込んだ

「一度入れば二度とは出られぬ。この俺様を倒すまで。さぁ思う存分、殺し合おうでは」無いな。

一瞬で門を霧で包み、ヒオシが特大の火柱を打ち込んだ。

ズドンと盛大な爆音と共に、頑丈そうに見えた門が壁毎吹き飛んだ。真西に向かって。

「タイガーーー!!!」
「だから何やってんの?さっきから」

哀れ西側に集められた虎たち。次世代は是非繁栄させてあげるからね。


「な…、何をす」爆破ですが何か?

「さぁ、皆様。外へ出て休憩しよう」
すっきり開けた西側から悠々と歩み出た。

呆然とするセクシー隊と軍兵士たちを掻き分け、6人も続いた。

主にユウコ氏が息切れし出したんで、虎に注視するのも潮時でしょ。

「助かったぁ。少しだけ寝かせて…」
「お、おい。私を寝台に使うな!」
文句を言いながらも降ろさないミスト。習性か優しさか、意外と仲間にはデレてるのかな。

スヤスヤと眠るユウコ氏。彼女が目覚める頃には、こちらも優勢でありたい。そう願うばかり。


「うんじゃ、後は任せたよ。配達に行ってくる」
時間が来てしまった。

「ホントに一人で行っちゃうの?」
キュリオの涙目に心が痛む。
「私たち2人ではタッチーの邪魔になります。何度もお話したではないですか」
「だって…」

「調達と配達してくるだけだからさ。信用ないなぁ」

「時間が無いんだろ?早く」
ヒオシに催促されて手を振り走り出した。

自分で言った事とは言え、あちらには大量の食料が要る。
状況の展開が見えないのは圧倒的に学校。

運搬、仕入れ、納入、状況確認。全てスピード命。
イオラたちの背に乗りのんびりデートをしてる余裕は無い。だから今回は本当に単独のランデブー。

全力全開のイオラなら、学校まで2時間も掛からない。
2人が一緒だと進行が遅れる。


西へと走り出すと、生き残りの虎が牙を剥いた。
本能でもあり呪縛。掛けているのは人狼の。これを解くには討伐を完遂しないと。

町中では飛び立てない。余計な人目が在るのと、あいつらが黙ってない。

西の端に到着寸前。存在すらしなかった外壁が立ち上がった。

「おぉ、来た来た」
予想通り。人狼は侵入した外敵は逃さない。生かして返さない。これが、誰一人として帰らなかった理由の一つ。

だけど僕は人の意表を突くのが大好き。

先程と同じ手で行くかと思わせて。
壁の末端に火の結晶石を数個埋め込み、導火線を引きながら離れた瓦礫の影に入った。

山査子さんが作成した花火からヒントを得た、簡易的なダイナマイト。人狼が予想も出来ない物。まだこちらの世界には存在しない物を。

着火、仕掛けた。仕掛けた所で、僕の手が止まった。


攻撃を防ごうと、虎ではない魔物たちが…。
人狼の若者たちが壁際に並んでいた。
人的見た目、一桁の、少年少女たちが。

「くっそ…」僕が焦ってるのが見抜かれた。

自主的。自発的な行動か、首領の指示か。


悩む。無能は導火線への着火を躊躇った。
誰かの為に、誰かを殺す。
自分が生きる為に、他者を殺す。
人類の敵だから。意志在る魔族を。
年端も行かない、罪さえ疎らな子供たち。

ボロボロ衣服を纏う、痩せ細った人狼の子供。

動揺を誘う為の、人の壁。盾にされた、肉の壁。

無能は導火線に…。導火線を…。手放した。

町中まで戻り叫ぶ。
「イオラ!」

金色の背に跨がった。一番目立つ場所で。


-泣いているのかい?-

「違う。これは、ただの逃げだよ」

放置した事で、ヒオシたちを窮地に追いやるかも知れないのに。予期せぬ誰かが、死ぬかも知れないのに。

手を掛けずに、自分の手を汚さずに。逃げただけ。




「ゲスいねぇ。おれ、久々にブチ切れそうだわ」
「奇遇だなヒオシ。俺も、あれは胸糞悪い。やるか?」
西の前線に残された男2人。拳を握って突き合せた。

-スキル【闘真】
 並列スキル【闘争心】発動が確認されました。-

-スキル【蟲王】
 並列スキル【指示・破綻】発動が確認されました。-

-二対のスキルの凶相を確認。
 シークレットスキル【操蟲・闘争本能】発動しました。-

「貴様ら出て来い!あれの指示者を今直ぐに喰い殺せ!」
金色の平蟲が床の各所から沸き、各方面に散った。

目まぐるしい展開に思考が追い付かない後続部隊の面々。

「俺らに敵意を微塵も見せるなよ。特にそこの、斉藤さんのスキル狙ってるねぇちゃん。あんた、死ぬよ」

介抱する振りをして祐子に手を伸ばし掛けた女の手が、ピタリと止まった。

「い、嫌ねぇ。私、そんな野蛮な事しないわよぉ」
慌てて手を隠す女。その背後に迫るのは。

「手癖の悪い手は、不要でしょうか?」
ジェシカが両腕を後ろ手に絞り上げた。

「姐さん!!」いきり立つ部下たち。

メイリダがキュリオの前に立ち、剣の柄に手を掛ける。
国軍の兵士たちも構えながら距離を離した。

身構える部下に向かって女が叫んだ。
「痛い!私のは強奪じゃないわ。単なる複製よ。皆落着いて!私たちに勝ち目は無い。無駄死には許さないわ」
スキル複製者は割りに存在する。
本物よりは出力は半分以下。出来る事の範囲も限られ、短時間限定の魔術行使も可能。時間は術者の素養に因る物とされる。

「物真似かよ。紛らわしいな。余計な事するなよ。だったら強奪の持ち主知ってるんだな?後で教えろ」
強奪スキル。育て上げたスキルを他人から奪い取れる驚異の異常スキル。奪われた本人がその場で奪い返さないと返還はされない。限りなく不可能に近い。

熟知する人間同士であれば尚更。自分のスキルで殺される。それで全てが確定。

スキルの存在は世間に認知されているが、肝心の所有者が見つからない。是非とも欲しい情報だ。
タッチーは何かを根拠に居ないと言い切った。
そういや聞きそびれたな。

「私の腕取ってるお嬢ちゃんなら、知ってるんじゃ?」
「…確証はありません。彼らが直ぐに動くとも思えない」
ジェシカも何かを知っている。

「御託はいい。時間の無駄だ。先に行くぞ。ミスト、兵隊を呼び出せ。真っ先に狙われるのは、防御スキルを見られたユーコだからな」

「解ってる。キョーヤも王らしくなってきた。それでこそ我が夫」

-スキル【白夜】
 並列スキル【幻夢】【招集】同時発動されました。-

遠くから聞こえ始める複数の羽音。
味方だと解っていなかったら、実に耳障りな音。

來須磨は剣を納め、BOXから新調したグローブを取り出し装着した。

-スキル【闘真】
 シークレットスキル【龍爪】
 常時発動状態となりました。-

前代よりも多量の赤竜鱗を使用。更にインゴットを散らせた強化版。これが何処まで通用するか。試すには持って来いの相手。獣め。

「ジェシカ。そいつ離してやって。俺の火スキルコピーしろよ。で手伝え」

解放された手首を痛そうに擦った。
「いっつぅ。一応味方なんだから優しくなさい。私の複製は日に一度切り。後衛支援としては彼女の防壁が良いと思うのだけれど。攻撃に振っても良いのね?」

「ヒュージさんだっけ?他のとこまで面倒見る筋合いは無いよ。防御はミストが呼び出した兵隊で充分。まだ誰も辿り着いてない内に、でっけぇの玉塔にぶち込んでやる」
「ええ…。了解したわ」

頭上の展開されたマップは今も生きている。

他方の緑は城壁付近を脱してない。既に人狼の一部を交戦中の模様。

魔道具を丸々1つ。火球最大出力。ヒュージの術を上乗せジェシカの風も加えて練り上げる。

「行くぜキョーヤ。悪いな人狼。おれはタッチーと違って、優しくないんだよ」
誰が何が下敷きになっても構わない。

右手の甲に左手を添え、紅蓮の火球を中央塔に向けて解き放った。


異世界組以外の人員、各所の皆は一同に思う。
彼らを敵に回してはいけない。
味方で在らねばならない。
彼ら無しでは、大狼討伐の悲願は叶わぬと。

術式皆無で放たれる紅の刃。それが彼らに与えた衝撃は、希望か絶望か。将又。
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