月の都の花嫁

図書室

図書室にて

私達は、図書室から足を運ぶ。

アネッタから「奏様、どちらか先に行きますか？」と聞かれた私は「そうね、図書室からにしましょうか」
そう言う。
「かしこまりました」とアネッタ。

廃棄処分工場に行って洋服を汚す前に、それと地図よね。
それからこの国の歴史と法律を確認しないとね。

私達は図書室に入ると、丸メガネをかけたおっとりした妙齢の女性が出迎えてくれた。
「おはよう御座います、初めて見る顔ですね、
私はこちらに勤めています、アン.ドナー.カルステッドと申します
宜しくお願い致します」と微笑む。

何かの決まりがあるのか？ってくらいに
図書室の司書教諭は、丸メガネでおっとり系でちゃかり巨乳の美人、なんだろう
そう言うイメージでもあるんだろうか？
アンさんは、キャラクター説明で司書だけでなく司書教諭も兼ねている。


「この格好ですけれども」と前置きしてから
「初めまして、私は櫻井奏です
どうぞよろしくお願いします」そう言って、簡単にお辞儀をした。

「まぁ！では貴女が花嫁候補生の櫻井様！」
そう驚きつつ、決して声が大きくないにも関わらず
ざわっと一瞬こちらを注目したが、また不躾な視線でこちらを気にしている人達がいる。

そんな視線を感じてませんよ、のニコッと微笑み、態度でいると
「では、こちらが初めて利用してくれる人の為に用意された物です」
そう言うアンさんの手には、閲覧室のカードキーとブックカバーを持っていた。

「ありがとうございます」
私は受け取ろうとせずに説明の続きを待つ。
「こちらは、閲覧室用のカードキーとブックカバーです。
櫻井様は、初めての利用ですから説明させていただきますね」
「はい」
アンさんがこちらを見てゆっくりと口を開く。

「簡単な説明になりますが、まずこちらが
閲覧室用のカードキーになります。
誰でも読む事や借りる事ができるのが、このカードキーの使用です。
このカードキーを使っていただく事で、本の貸し出しが容易になりました。
このカードキーのシステムの導入で、本棚の欄の番号と、分類、本の題名、または作者名、誰が借りているか、本の返却があるか、またはいつ借りて、何時に借りたかが知る事が可能です」

そう言ったアンさんは、「実際の所、やってみたほうが早いので」と、タブレットのようなと言うかタブレットを
いつの間にか手に持っていた。


「まだ櫻井様は、初めてのご利用ですから閲覧制限がかかっていますし、何も貸し出ししていない状態ですよね」と
ピッとタブレット端末の電源を入れている。

その時、空中に半透明の画面が出てきた。
大きい画面で見やすい。

タブレット端末の溝に、カードキーをシュッと差し込み読み取る。
すると、自分の名前の空白欄と貸し出し件数と日付、時刻が表示されていた。
それと本の題名や分類と、本棚の番号まで細かく表記されている。
もちろん貸し出し件数はゼロだ。
「と、このように自分の名前の他、貸し出し件数といつ貸し出した日付と時刻、また本棚の番号と本の題名などが分かるようになっています。」

「ご自分でも確認したい時は、あちらのモニターがあるのでそちらからカードキーを挿入すれば自動で読み取ってくれますので、ピッと音が鳴れば読み取り完了です」

あちらのモニターのところでアンさんは、モニターがある場所を指す。
「分かりました」そう頷く。
私が頷くのを、確認したらまたアンさんの説明は続く。

「このカードキーですが、本棚のドアを開けるのにも使用しますので紛失をしないようお願いします
無くしますと、発行するのに時間がかかりその間の1ヶ月間の使用中止、また貸し出しがある場合の本についての返却が滞る事になる為再購入となりますと、利用者側の一部負担となります」

マ？あーハイハイ。とこの説明は飛ばしていたから聞いてて良かったと、改めて心からほっとした。
危なかったわ……。