魔法少女チナツ

あるちゃいる

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魔法少女1

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 「こんにちはー宅急便でぇす!」

 俺は急いで玄関へと走り細長い段ボールを受け取った。

 部屋へと戻り直ぐに箱を開ける。

 中には細長いキラキラしたピンク色のステッキ
 先端には、これまたキラキラした金色のハートをかたどった物が付いていた。

 よく魔法少女が持ってる魔法の杖だ。

 箱の中には説明書と黒いカードが入っていた。

 説明書を読むとステッキの使い方が書いてある。
 乾電池は必要ないようだ。
 手を握る場所にはボタンが付いていて、其処を押すと
 ”シャコッ”
 と底が開いた。
 どうやら其処にカードを刺すらしい。

 カードを刺すと勝手に蓋が閉まりハートがボンヤリと光り始めた。

 ずっと隠して生きていたが、俺は大の変身少女好きだった。
 元ヤンだった事もあり、あまりアキバとかにも行っていないが大好きだった。

 そんな俺が今この手に魔法の杖を持っている。

 俺の心臓はバクバクと音が聴こえるほど興奮していた。

 そして一言

 「へーんしん♡」

 と、唱えた。
 唱えずにはいられなかった。
 48歳の厳ついおっさんが鏡の前で変身ごっこをしている絵面は酷いものだった。

 だがこの部屋には俺しか居ない!
 なので、決めポーズをしながら唱えたのだ。

 それで虚しく終わるはずだったのに
 なんとハートが光り始めた。
 その光は俺を包み込んだ
 光がおさまると其処には……

 12歳くらいの少女が鏡の前に立っていた。

 スカートは膝上あたりで短かった。

 少し前屈みになったらパンツが見えてしまうかもしれない。
 胸は申し訳程度だったが膨らんでいた。
 2ミリの坊主頭は無くなり肩まであるボブで少し茶髪。
 服の生地はピンク色と白とを合わせた様な可愛いロリっぽい服だった。

 キラキラと輝くステッキを持ったまま、鏡の前で1時間程固まったまま動けなかったのは、仕方ないと思う。
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