異世界団地

あるちゃいる

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38話

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 簀巻にしたサブマスを衛兵に渡したあと、ギルマスに頭を下げられた。

 そして別に領主に会いに行く必要も無いそうだ、ただ有難うというお礼だけ伝えるように言われ、金貨が詰まった小袋を2つ渡してくれと言われ預かっていたそうだ。

 ランクアップは本当だったようで、帰りにでも上げていけと言われた。

 バーテンやってるのは素行の悪い冒険者を監視兼新人を守るためなんだそうだが、デブにゃん曰く趣味だそうだ。

 受付嬢はギルマスの妹で普段はお淑やかだが、怒ると怖いから気を付けろと言われた。まぁ普通にしてれば問題ないそうだが……ギルマスでも抑えられないから、本気で気をつけろよ?と、言われた

 女を泣かすとかしたらここに帰らないで遠い他の街へいけと言われた。何故、俺にだけ言うのか気になり聞いてみたら、モテそうだから……だそうだが、なぜ泣かす前提なんだろーか?

 ランクアップして貰ってEランクに楓と成った
冒険者になってから初めてのランクアップだし、肴買って家で呑むかと話してたらデブにゃんが喜んだが、デブにゃんはデブだから無いよ?って言ったらいじけ始めた。

 今は倉庫の角に頭を着けて偶にチラッと見てるので放っとこうと思ったのだが、楓が「サブマスの部屋で危なかった所を助けられたので、お礼って事にしてあげて?」っというので、仕方なく渡した。

 まさか泣きながら呑むとは思わなかったが……どんだけ不味いんだ?異世界エール……

 少し飲んでみたくなったので、飲みに行ってみた。

冒険者ギルドに入って奥に行くとバーカウンターがあり、飯や酒が呑める。値段も手頃で新人でも腹いっぱい食えるだろうし、味を捨てれば腹を空かせる事は無い。小金が入れば飯屋へ行けば美味いものが食える、美味い酒もあるらしい。

 俺はカウンターに腰掛けると「エール」と一言言って少し待つ、すると木造りのエールが出てきた。
色はコーラを少し薄くした様な色だった、匂いは……うん、酸っぱい系だね。あちらの世界にも酸っぱいビールは存在するランビックや其処にサクランボを混ぜたクリークがそれになる、酸っぱさに拘った酸っぱいビール、酸っぱ過ぎて爽快になるらしい……

 俺は飲めなかったが。未だに作られてるって事は、きっと美味いのだろう。

 異世界は意外と軟水の街もあるので、一概には言えないがこの黒いエールを見る限り水は硬水、麦を焦がすやり方なのだとわかる、施設がないから、ラガー何かは出来ないはずだ、下から取れればまぁ違うが、こんなギルドみたいなところでは、上面発酵だろう。上から順にコップに注ぐのでエールなのだろう。

 麦以外の物も入れてるらしく少し酸味が出る様だが、これはこれで……悪く無い。

 コクも苦味もあるからちゃんと熟成されてるようだし、意外と丁寧な仕事をしてるし……これは、猫の舌が贅沢過ぎるのが、原因か日本のビールに馴れたのが原因かは分からないが、ただ単にキンキンに冷えたビールが好きなだけか……俺には分からないが、まぁまぁ良いエールというのは分かった。

 満足したので帰ろうとしたら、あの四人組に捕まった。彼らは無謀にも森の奥に入って余計な猪を連れて街まで戻った事からお咎めを受け、冒険者ランク外つまり良くて見習い悪くて使い走りとして、ギルド預かりって事になった。街の外に出るにはギルマスの許可がいるし、武器も持つ必要が無いので没収された。薬草採取まで出来無いから、街の仕事をやるんだが半端者には半端者の扱いがあるらしく、スラムで暮らすよりは楽かなぁ?って、くらいの扱いなんだとか。他のパーティに荷物持ちとして出ても良い事には成ってるが、Bランク以上でないと許可は降りない。なので、俺と同じくらいの年齢では遊ぶ事も出来無いので……「おいっ!お前あの時の野郎だよな?お前らがPTさえ断らなきゃこんな暮らしなんてしなかったものを!コンチクショウが!優雅に朝っぱらから酒なんて飲みやがって!何様だ!」

と、言い掛かりを付け始めた。
因みにコチラから手を出すと、俺が処罰を受ける
最弱な物に暴力を行うというのは卑怯者と蔑まれる。武器を持ち、力もそれなりに有る者が弱い物を虐げるのは、どこの世界でも最低の事だからだ。

が、関わるのも面倒なので帰るか。寄生獣くんの面倒はギルドに任せよう。そう思ったので、目の前で悪態を付く少年には反応せずに居ない者としてスルーした。目も合わせずに通り過ぎたのに
「何無視してんだ⁉この野郎!」と、手が伸びてきたので、後ろを向いたまま避けたら、コケた(相手が)それは受付のお姉さんも見ていた。

転けた拍子に机の角に頭をぶつけたらしく、血が溢れたと思ったら、「いってぇ!やりやがったな!この野郎!」と、喚き始めた。その時は流石に
「は?」とか言いながら振り返った。コケたのが俺の攻撃になるとは……異世界半端ねーな。



 

 
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