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村にダンジョンが出来た⑧

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 「本当に困るんですよねぇ、インタビューの金当て込んで装備買い替えたので、今月支払いしないと流石に……いや、別にギャラの前払いを望んでる訳じゃ……はぁ……じゃあ、本当にお願いしますね?では、はい。頑張ってください、はい、ハイ失礼しまーす」

 ハァーっ……今日もまたインタビューは延期された。キャラくれるってんでインタビューの依頼を受けて、その金と今までの稼ぎと足して新しく武器を新調したのに、未だに訓練で疲れちゃってマイクも持てないらしい。携帯は持てるのに……

 そして今月は多分無理だと言われた。こっちも貰える筈のギャラ待ちで支払いを待って貰ってる状況だけに、このままでは最悪返品になってしまい信用と引き換えに色々失う物が多い……

 先にギャラを払いますか?と言われたが、それはそれで何か嫌だった。
 そんなカッコ付けた所で支払いは済まさないといけないのは変わりなく……
 って事で実入りは良いけど相手が弱いって奴を今現在探してるところです。
 そんなクエストあったら誰でも真っ先にやるわ!ってツッコミはいりません。
 そんなん自分が一番分かってます
 でも、俺の実力でソロで狩りに行ける場所といったら精々校庭の5階層から8階層のゾンビエリアか湖畔の5階層のみ。天空は正直キツイ
 この前の6階層アタックでパーティ組んでる奴らは全員未だに入院中だからソロじゃないと儲け的にも即席は出来ない。

 即席でもムーミンが一緒なら稼ぎは良いけど、あの人名称変更されるまで狩りはしないって言い切ったからなぁ……。まぁ、冒険者ギルド来る度に周りから『ムーミン』とか『腹だけ』とか呼ばれて全く誇らしくないと悔しそうに涙流してたからな……初Cクラスなのに……不憫すぎる。

 あ、でもキャバクラでお姉さん達に腹を突かれながら『ぷよぷよ~』とか言われて鼻の下伸ばしてたのは目撃されている。
 隣町とはいえ田舎の街なんか何をしてたって噂が広がるんだから気を付けなきゃ……
 色々隙があるよねあのムーミンって陰口(?)叩かれてた。
 ムーミンが悪口になる日が来るとはムーミンも思ってなかっただろう。
 そんな事より良さげなクエストは……お!コレだ!コレなら……ぁ……依頼主村長だ……

 あ~……これは確かにクエストが余るはずだよ、報酬高いけど。これは俺も嫌だわぁ……でも、金はいーんだよなぁ……どうすっかな……

 その以来内容とは

 内容 村長とお茶会
 報酬 日/金貨五枚
 予定拘束時間 約9時間(休憩あり)15分刻みで残業代支給
 【連日参加の場合報酬金額倍にします!暇な村長の相手をするだけです!一週間やった場合の報酬額にプラスして金貨10枚支給!!】

 かなりの儲けになるんだが……暇な村長の相手っていうのが厄介で、会話とかなら良いんだけど……
 前にこれ受けて三時間で音を上げた学生が居た。
新島さん所の子供だった。
 その日の夜に新島さんがバールもって殴り込みに行ったとか何とか……何やらかしたんだろうなあの人……新島さんは温厚って噂なのに怒らせた上に鉄のバール持って殴り込まれるんだぜ?普通じゃねーよ……
 相手が未成年だったから怒ったのか?っていうのが憶測として流れた噂だったけど……
 本当にナニしたのよ!?クエスト受けたの少年だったんだよなぁ……

 あーどうしよーって考えてたら後ろから

 「あ!それ受けてくれるんですか!?助かります!依頼人からまだかまだかと催促がウザくってぇ!」

 そう言いながらまだ少し触れただけの依頼書を掲示板から勝手に取って受領印を押して俺の名前を書き込んで、ピリッと破き半券を渡してきた。
 依頼終了後半券を合わせて偽造じゃないか確認するために、切り取り線の上から判子を押して割符みたいにするんだよ。

 くそ!嵌められたのか!?めちゃめちゃ手際が良かったけど!?

 こんな時間に一人で掲示版前なんて来るもんじゃなかった……これじゃ反論できない。
 一度受けたのにクエスト未達成は降格対象なのだ

 「痛くないから大丈夫ですよ?」

 イヤイヤイヤ何で痛いとかって表現が出てくるのよ!?え、こわっ!俺何されるの!?ナニされるの!?まだ、婚約したばっかりなのに扉開けちゃうの!?開けられちゃうの!?

 俺が極度にキョドっていると
 「さっき連絡したからもうすぐ迎えに来るそうです、良かったですね♪」という嬉しそうな職員さんの言葉だった

 (イヤイヤイヤ良かったのギルド員だよね!?
塩漬け依頼達成出来て喜んでるの職員だけですよね!?)
 「さ、流石にナニされちゃったら泣きながらお義父さんに言いますからね!?本気でいいつけますからね!?」
 そう受付の机に前のめりになりながら叫んでいたら、不意に誰かに肩を掴まれて後ろに引っ張られた

 誰だよ!?っと思い振り返ると

 「あはははははっ変な事なんてしませんって!誤解だよー」

 そんな風に言いながら満面の笑みの村長が立っていた

 
 
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