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村にダンジョンが出来た③

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 「おはよー……ざいます」


 やけにテンション低めの中村くんが待ち合わせの時間から20分遅れてやって来た。
 よく見なくても分かるくらいボロボロだった。
使い古されていたがしっかり油も塗ってあった革鎧は、強烈な一撃でも貰ったのか所々が千切れかけていたし、殴打された跡も生々しく残っていた。

 そして極めつけは顔だ、昨日の1.5倍強の割合で膨らんでいた。
 ポーションを呑んで回復魔法も掛けてもらってこれなのだそうだ。

 「いやー……遅れてしまってすまない、6階層の壁は厚かったよ。パーティーは全滅、強制帰還システムが作動してこと切れる直前で回復してもらって命が助かったけど、武器は6階層で落とし防具は見ての通りさ」

 手を広げてクルッと1回転した中村くん
 篭手もスネやヒザのサポート防具も、無くなっているか千切れかけていて、とてもダンジョンアタックはこの先出来ないだろうと予測できた。

 ダンジョンは3つあるが、それぞれ5階層までは新人からいっぱしまで無難に狩れる場所だった。
 まぁ流石に5階層は味噌っカスではパーティー必須にはなっているが、まぁまぁ概ね全滅にはなり得ない階層が5階層までだった。
 どの階層でも6階からはレベチと言われていた。
それでも挑むの者が跡を絶たない。それは、Cランクに成りやすいと言われていたから(村長が翅妖精使って遠回しに流した噂)なのと、素材の買い取りが大きい物だと桁が一つ、二つ違ったりしたからだった。

 だが、一本成りたての中村くんとその仲間たちでは挑戦するのは早かったようだ。

 「また金を貯めて武器を買い替えて、もっと強くなってから挑み直すよ」

 包帯だらけの躰で胸を張り、ミイラと見間違う程グルグル巻きの顔でニッカリと笑った中村くん。
 笑った瞬間痛みが走ったのか少し笑顔が歪んだが、それでも歯を見せて笑う。そんな顔した男を笑えるはずもなく、インタビューのギャラを少し弾む事で応援した。

 「おおっ!助かる!有難う!」

 そう喜んで次の質問に答えてくれる中村くん
 
 「じゃあ、5階層までの各ダンジョンの説明をしていくな!」

 そう言ってパラパラとノートを開き始めた中村くん。彼は、小間目にメモを取ってたらしく説明するページを探している。

 私はダンジョンを見付けた男のその後の話を思い出していた……村長が

 「秘密にしてね?」っと珍しく真面目な顔をしながら教えてくれた裏話……

 ~最初のダンジョン~

 初めてこの村のダンジョンを発見した男

 名前は○ク・ホンギョK国籍の不法入国者で、旅行ビザが切れたあともこの国から出国しないで窃盗を繰り返し、追われて逃げて遂に山奥のこの村へやって来た。

 最初は家屋に侵入しようとしたのだが、家妖精にどつき回され「アイゴー!?」と、泣き叫びながらあえなく断念。そして、川を渡って学校付近にやって来た。

 学校の備品でも盗もうかと小学校に忍び込もうとしたが、校舎の素材でもある世界樹の枝に阻止される。

 顔面を強打されて「アイゴー!」と本日2度目の悲鳴を吐いて校庭へと逃げてきたら、太陽が登ってきてしまった。
 まずい!このまま捕まってしまったらHell朝鮮へ帰る事になってしまうニダ!どこが隠れる場所はないかと、校庭をキョロキョロしていたら、地下への入り口みたいに朝礼台の下に扉があった、そこへ忍び込もうとカラカラと扉を開けると、其処には無人の販売店が店を開いたまま置いてあった。

 「ヒャッハー!らっきーニダァ♪」とニンマリ口角を上げて喜んだ○ク・ホンギョは、先に飯にしようと干し肉を貪り、ジュースで流し込んではまた干し肉を齧る。

 粗方食い散らかしたあと置いてあった鞄に食い物と飲み物と色々詰め込んで、記念撮影を始めた。

 売店を背景にピースサインで写メを撮ったり
 売店で盗んだ物を入れた鞄を撮ったり
 ありとあらゆる角度から写メを撮ってSNSに上げていった。

 だがその写メには必ずシルフの笑っていない顔が写っていて、リスナーに指摘されるまで気付かなかった。

 その後彼はシルフに捕まり、天空庭園の地下にある無限牢獄へと送られ、今の今まで拷問を受けていたらしい。
 死んでも生き返らせて拷問
 意識が壊れてもすぐ治して拷問
 まるで、人権何それ美味しいの?状態でボッコボコに拷問されていった。
 手の指と足の指は全てもぎ取られ、その指には1枚残らず爪が剥がされていた。

 そして、それも治されてまた最初の爪からゆっくりと剝がされていく。そんな拷問が10ヶ月は続けられた、その後国から民間へダンジョンが解放されて異世界へと移送され、とあるゴブリンの集落へ女装をさせ、雌のホルモンも尻を中心に注入されてから捨てられた。
 その後彼を見た者は居ない。

 SNSの映像だけは独り歩きして良い方向へ流れたが、盗みはご法度であったので仕方ない処分方法だった。
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