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封印術師を求めて②

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 日本を脱出した内田とシルフは太平洋を南下してパプアニューギニアに来ていた。この国にシャーマンを探しに来たのだ。

 太平洋は寒かった!海の上は寒かったのだ。なので、気を利かせたシルフが海の精霊に頼みワカメを乾燥させて纏めて内田に着せたのが悪かったのか

 偶々パプアニューギニアにトゥブアンが伝わっていたのが悪いのか、お祭り前に海から飛来する海藻お化けに誰も恐怖を煽られず、何故か歓声を持って迎えられた

 朝の5時か6時くらいに飛来した内田を皆が歓声で迎えます。「トゥブアン!」「トゥブアン!」と口々に叫び倉庫から埃を被った太鼓を持ち出して
ドンドンシャンシャンと囃し立てました

 なぜ自分が迎え入れられてるのかわからない内田は少し怖くなったのか、被っている海藻をさらにしっかり結び直してあっちへヒラヒラこっちへわっさわっさと海藻を揺らして飛び回り行く先々で歓迎されました

 祭りでもないので皆さんマスクを持っておらず、仕方ないからと顔に色を塗りたくり、マスクの様にすると、内田の周りを練り歩きました

 まさか自分が封印されるのではと勘違いした内田は怖くなり、何かの汁を噴き出しながら飛び廻ったのですが、聖水と勘違いされ

 その雫を浴びる為に更に集まってきていました
内田にしてみれば恐怖です。飛んでる自分に怖がりもせず、洩らした小水を体に顔に浴びる為に、追いかけてくるんです。

 「うわわわわわわわーっ!?」と遂に叫び出して逃げ惑う内田を「うわわわわわわわー!!」と復唱しながら追いかけ回す民衆

 いつしか町中まで入り、建物の影に隠れた内田を探せ探せー!と、歓喜しながら、奇声をあげながら探す民衆と「トゥブアン!」と叫びながら顔に色んな色で化粧をした人々が街を麻痺させました

 阿鼻叫喚と大歓声と奇声を発する人々で街が覆われ、建物の影から更に出られなくなった内田は

 カタカタと震え出しズーッと永遠と謝ってました
「ゴメンナサイゴメンナサイ封印しようとしてゴメンナサイゴメンナサイ封印しようとしてゴメンナサイゴメンナサイ魔王様!お許しを~~~っ!」

 しかし、パプアニューギニアの人々に日本語は通じませんでしたので、トゥブアンの声として復唱されました

 もはや街はトゥブアンという精霊の言葉として認識され呪文の如く人々の声が重なり、大合唱の様に
「ゴメンナサーイ!ゴメンナサーイ」
「オーユルーシオー!」
「マォーサーマ!」
「トゥブアン!」

 その後に続いて「もー許してー!」
と内田が叫べば民衆の大合唱で
「モーユルシテー!」と続いて復唱される始末

 更に滝のように色んな液体を流しながら建物から飛び出した海藻まみれの内田は空を飛び回り、色んな液体を飛び散らかせながら町中を飛び回り

 異変に気付いたシルフが駆け寄り乾燥した海藻が湿ってへニョへニョになって内田に纏わり付くのを吹き飛ばして剥がすと、遙か上空へと一緒に逃げました

 しかしその姿を目撃した民衆はトゥブアンがもたらした幸運のアイテムとして内田の液体でへニョった海藻を奪い合いそれはもうゴッチャゴッチャと群がり大変な事に……

 その姿を上空からシルフと観ていた内田は恐怖し
魔王の呪いだとか言いながらシルフに抱きつきそのまま偏西風に乗って飛ばされ消えていきました

 その後シルフに手紙を渡す為に両面テープに妖精を貼り付けて、ちゃんと届くのか心配になった魔王と貼り付けられた手紙をガサゴソとしながらどうにか飛んでいる妖精が偏西風に捕まって流された時に偶然発見するまで内田は憔悴しながらシルフと飛んでいたそうです

 その後の内田は人が変わったかのように魔王に付き従い、従順な下僕となったそうです

 戦わずして勝つ魔王が更に畏怖されて、村長という肩書で大人しくしてもらおうと麹村で決定されましたとさ

 めでたしめでたし
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