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妖槍の小太郎異世界道中記⑤

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 朝になり目覚めると、簡易竈で野菜スープと肉を焼いた、モキュモキュと急いで食べた小太郎は、食後になると、小屋の上に兎3点セット布団を干して、下に降りる。

 下草を妖槍を出して振り回しながら草を刈るとその周りの木々も薙ぎ払い斬りでサクサクと刈り倒していった。

 枝を払って杭にすると、先を脇差しで削っていって左右に溝を掘った、小屋のある木から半径10m開けて杭を打ち込んでいく。

 レベルも上がっていた小太郎には、簡単な作業であった、近くに生えてた竹を縦に細く斬るとそれを沢山まとめて置いといて、更に周りの木を切っていき、平たい板に加工していくと均等に切っていった。

 それを杭の横の溝にカンカンカンカンと叩いて嵌め込み2m位の板壁が出来上がる。それを、木を中心に囲んでいって一番上に縦に半分に割った竹を置いていって細くした竹で縛って固定した。

 そのあとから、壁の外側に堀を掘っていき幅1m深さ1mに掘って、中を固めて竹で壁を作り、崩れない様にしたあとで、ウンディーネの水袋から水をコンコンと出しまくった半日もすると面いっぱいとはいかないが、水が溜まっていった。

 取り敢えず、今日はここ迄と夕方の陽射しを受けながら、流れた汗を拭った小太郎。水袋を一旦回収して、堀で汗を流して水をプルプルと振るって落とすと、ササッと木に登り簡易竈でオークの肉を焼きながら、残り少なくなった缶ビールを開けて呑んだ。

 汗を流したあとのビールは目茶苦茶美味くて、思わず一気に飲み干した。もう1缶開けて肉と一緒に食べて呑んでから、干していた布団を小屋にしまった。少し冷えてたが、気にせず中に潜って寝た。

 木に泊まってから3日後の朝、堀を作るなら壁要らなかったんじゃ……と、思い始めたがまぁいっかと気にするのを止めて、更に水を貯めるべくウンディーネの無限水袋から水を出していった。

 堀の外の木々を刈りまくって更に平板に加工すると、それを使って木の周りに階段を作り始めた3m程の高さまで作るとそこを土台にしながら床を作っていく。

 床を作ったら柱を作っていき2階建ての家にすると、屋根を作ったり、窓を作ったり、段々ツリーハウス……から少し遠のいた家が完成した。

 少しやらかした気もしたが、村長よりはマシと思い直して気にせず作ると小屋を合羽に仕舞って、二階部分に移動して新しく兎皮を使って布団と毛布と枕を作り、木で作ったベッドに乗せて寝床を作った。

 下に降りて地面を堀り、砂を一階部分に運び砂場を作ると、囲炉裏を作っていく。竹で編んだ火棚の真ん中に穴を開け天井に吊るしたあと、真ん中に竹の支柱(自在鉤)を突っ込んで吊るし、横木を魚の形に削って完成した。

 火かき棒等も作って……鉄鍋がない事に気付く。鉄瓶もない……
「むむ……。買ってくるか……」
まだ昼過ぎくらいだったので、水袋を回収して旅支度を整えると深森から飛び出して街に向かって走っていった。

 街に着くと、鍛冶屋に向かい鉄瓶と鉄鍋を注文した。そのまま、ギルドへと向かいゴブリンの耳とオークの耳と兎の角をそれぞれ提出した

「……あ、あの小太郎様」
「何でやすか?受付さん」
「量が多いので後日精算で宜しいですか?」
「む……それだと金がないのだ……では、そこのオークの耳だけでも精算出来ないであろうか?」
そう頼むと、オークの耳の束を見た受付は固まり

「は、半分なら……」

 それで頼むとお願いした。
そのオークの耳の中にはジェネラル級のも混ざっており、査定の結果大金貨五枚を渡された

 しかし、小太郎は金の価値がいまいち分かってなかった為に適当に懐に収め
「忝ない!」と一言いうと去ってしまった
受付では、査定による昇級を伝えられず仕方ない次に来たら伝えましょう……と、溜息を吐いた

 小太郎のランクはGだったが、オークジェネラルを単独で倒せる事が発覚したために、Dランクまで、格上げされたそうだ。が、年内に小太郎がギルドに現れる事は無かった。

 金を鍛冶屋に払い、残った金で野菜の種などを買い、注文の品が出来るまで滞在した小太郎は偶々飛んでいた翅妖精を捕まえて、酒の注文をした。
それを受けて、シルフに連絡して次の日には拠点の小屋に届けられた。

 偶々飛んでた翅妖精は、小屋の周りの掘りに住み着き、酒が無くなれば注文できる様になった。対価として兎肉と解体したオーク肉を売る事になった。

 品が完成したと一報を受けた小太郎は、品物を受け取り、森へと向けて走り去った。その時門兵は言伝があったので、話し掛けようと振り向いた時には背中しか見えなかったと言い、ギルドには森へ消えたと伝えた。

 森へと帰った小太郎は目標地点に何かがいる事を察知した。脇差しに手を掛け、何時でも抜ける体制に成りながら近付くと……。

 「あ、ここの住人さんですか?」
と、声をかけられた。
その方を見るに、身形が良さそうではあるし、何か近寄りがたい気品の様な物が感じられた。そして、彼の周辺から姿は見えないが数人の手練が潜んでる事も分かった。
(これは、ハルト殿から伝え聞いた貴族という生き物かの?)と、更に警戒した小太郎だった
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