64 / 105
妖槍の小太郎異世界道中記③
しおりを挟む
その日は朝から陽当りがよく、小屋の屋根に兎三点セットを∞水袋の水を使って洗い流した(普通の水で洗うより奇麗になる為)あと干した。サンサンと照り付ける太陽が暖かく、小太郎もまた木の上で丸くなった。
昨日冒険者登録をしたからと言って、次の日から仕事などする程困っていなかった小太郎は、住処の周りの散策等をする予定ではいたのだが、余りにも気持ち良かった為抗うのを止めて、本能に従う事にしたのだ。
お昼を過ぎた頃、腹の虫が騒ぎ出した為に起こされた小太郎は、3点セットを確認して重りを載せ替えた後、木から降りて露店を見て廻りながら昼飯にしようと歩いて行った。当然だが脇差しはしている。武装は基本だからね。
中央広場に着くと端から順に見て廻った。
兔肉の串焼きを1本買って食べながら露店を冷やかした。布屋の前で少し止まり、笠用の紐を少し買いたして、下着を数枚購入した。良さ気な布もあったので着物を作るのに少し買った。糸もついでに買って、針は何処で売っているのか聴いた。チップを払ってその場を跡にして、次の店で肉野菜サンドを買った、甘辛いソースが美味しかったので、また買おうと場所と店主の顔を憶えてから立ち去った。
腹は膨れたが、明日も来る事になりそうなので他の店のチェックも怠らない。兔肉以外の肉もあったので、明日買おうとチェックして色々回ったが他には人間用の物が多かった為見るだけにして、針を売ってる店へと向かった。
中央広場を抜けると、鍛冶屋通りがありそこを入った先の真ん中らへんに目指す店があると言うので探したが、何処も入り口が似たような物だったので迷う事になった。
1つ適当な店に入って聞いてみようと、目の前の店に入っていくと、この世界では珍しく片刃の剣(刀)が、置いてあったので暫く見て回っていると中から店主だろうか?
一人の男がコチラをチラリと見てから手招きするのでなんだろう?と、思いながら近付くと、俺が持ってる脇差しが気になったらしく、見せて欲しいと頼んできたので、渡してやった。
鞘に入ったままの状態を確認してからスラリと抜いて刃を確認してると目を見開いて魅入っていた。一通り見てから溜息を吐きチャリと鞘に納めて返してくれた。
「誰が打ったか知らねーが見事なもんだった。とても良い刀だったありがとう」と、御礼を言われた。少し照れながら、「貰い物の一応家宝だ」そう言うと頷いて業物だなぁと呟いていた。
その男に針の売ってる店を聞いたら、良い刀を見せて貰えた礼だと言って、二本ばかり拵えてやると言ってきた、いやいやそこまではと断ろうとしたが、気にするなと笑顔で言われちゃ断るのも失礼かと思い、よろしく頼むと頭を下げた。
少し待っていてくれと言うので店内を見て廻った。暫くすると、ホイと渡された出来たてほやほやの針を見て、中々良い出来だったので、金を払おうとしたら断られた。なので、このままじゃ、貰い過ぎだからと、メイン武器の槍を見せてやった。
持った瞬間分かるのか「妖槍か……うん。持ち主に完全に支配されとるな、これまた業物じゃわい」と、満足そうに頷くと少し手入れをして貰い返してくれた。やっぱり貰い過ぎなので、クナイみたいな投げナイフを数本買って店主に礼を言ってから店を跡にした。
なかなかどうして、良い店もある物だと感心して今日は満足して帰った。
帰る道すがら、路上で良さ気な川魚を童子が売っていたので幾らか聴いたら「銅貨5枚で3匹だよ」
と言うので20匹全部買うと大銀貨一枚を渡した。
「猫ちゃんこれじゃ多いしお釣りないよ?」と、困っていたので、残りはチップだから気にすんな!と頭を撫でてやった(ジャンプして)
したら満面の笑みで「ありがとう!猫ちゃん」と頭を撫でられてスキップしながら帰っていった。
童子と言うものは可愛いもんじゃなぁと、こちらの口角まで上がってしまった。
木に登ると布団も良い感じに乾いており、今日はフカフカで気持ちよく眠れそうだった。鼻歌混じりに布団を小屋に仕舞い、寝床を整えてから扉を閉めて、まだ夕刻だったので、ギルドへ向かった。
ギルドへ着くと適当に掲示板を覗き明日やるクエストやらを確認しといた、俺はまだGランクなので何ができるか見ると
ゴブリン討伐(必要部位両耳)
薬草採取(各種)
角兎狩り(必要部位角)
街中雑用
と、あった。雑用以外は物を持ってくれば良いみたいだな……。兔肉は必要だから適当に狩り取るか。
あとは適当に流す事にしようと決めて、バーへと向かう。
エールと何か、焼いてくれと頼み椅子に座る(乗る)すると、バーの親父がエール片手に
「其処に座ると見えねーからカウンターに座っとけ」というので、それもそうだな、と納得し端っこに陣取った。
暫くエールをチビチビ呑んでると、冒険者達がチラホラと戻ってきた、数組が受付へと並びその仲間なのか数人がこちらへ流れて座りエールを注文していた。俺に気が着くと何故かツマミを奢ってくれたり、エールのオカワリをくれたりと、何か色々貰えてしまった。
店主もなにやらしてやったり顔だな。(こりゃ客寄せにされたな)まぁいっかと流し。
奢って貰った礼にと余興をやる事にした。
真ん中のテーブルへと乗ると何だ何だと人が集まってきた。そこで、銅貨を一枚取り出して周りに見せて触って本物かどうか確認して貰い、それを最後に確認した奴に俺に向かって投げろとお願いした。
その男は頭に?を浮かべながら放ったので、脇差しで居合抜きしてやった。
キキィンッと鳴った銅貨が床に落ちて散らばり拾った奴が4つに切れてる銅貨を廻しながら見ては驚いていた。
ヤンヤヤンヤと拍手喝采、歓声が上がり一つ頭を下げて礼をしたあと、手を上げて「またなー」と言って店を出た。
流石に夜は少し冷えるようで、エールじゃそこまでポカポカにもならず、足早に木へと登り帰って、買っておいた魚を肴にそのまま網で焼いていき、日本酒をチビリやりながら晩酌した。
程よく温まったので、今日も楽しかったとお月さんに手を合わせ、寝る事にした。
昨日冒険者登録をしたからと言って、次の日から仕事などする程困っていなかった小太郎は、住処の周りの散策等をする予定ではいたのだが、余りにも気持ち良かった為抗うのを止めて、本能に従う事にしたのだ。
お昼を過ぎた頃、腹の虫が騒ぎ出した為に起こされた小太郎は、3点セットを確認して重りを載せ替えた後、木から降りて露店を見て廻りながら昼飯にしようと歩いて行った。当然だが脇差しはしている。武装は基本だからね。
中央広場に着くと端から順に見て廻った。
兔肉の串焼きを1本買って食べながら露店を冷やかした。布屋の前で少し止まり、笠用の紐を少し買いたして、下着を数枚購入した。良さ気な布もあったので着物を作るのに少し買った。糸もついでに買って、針は何処で売っているのか聴いた。チップを払ってその場を跡にして、次の店で肉野菜サンドを買った、甘辛いソースが美味しかったので、また買おうと場所と店主の顔を憶えてから立ち去った。
腹は膨れたが、明日も来る事になりそうなので他の店のチェックも怠らない。兔肉以外の肉もあったので、明日買おうとチェックして色々回ったが他には人間用の物が多かった為見るだけにして、針を売ってる店へと向かった。
中央広場を抜けると、鍛冶屋通りがありそこを入った先の真ん中らへんに目指す店があると言うので探したが、何処も入り口が似たような物だったので迷う事になった。
1つ適当な店に入って聞いてみようと、目の前の店に入っていくと、この世界では珍しく片刃の剣(刀)が、置いてあったので暫く見て回っていると中から店主だろうか?
一人の男がコチラをチラリと見てから手招きするのでなんだろう?と、思いながら近付くと、俺が持ってる脇差しが気になったらしく、見せて欲しいと頼んできたので、渡してやった。
鞘に入ったままの状態を確認してからスラリと抜いて刃を確認してると目を見開いて魅入っていた。一通り見てから溜息を吐きチャリと鞘に納めて返してくれた。
「誰が打ったか知らねーが見事なもんだった。とても良い刀だったありがとう」と、御礼を言われた。少し照れながら、「貰い物の一応家宝だ」そう言うと頷いて業物だなぁと呟いていた。
その男に針の売ってる店を聞いたら、良い刀を見せて貰えた礼だと言って、二本ばかり拵えてやると言ってきた、いやいやそこまではと断ろうとしたが、気にするなと笑顔で言われちゃ断るのも失礼かと思い、よろしく頼むと頭を下げた。
少し待っていてくれと言うので店内を見て廻った。暫くすると、ホイと渡された出来たてほやほやの針を見て、中々良い出来だったので、金を払おうとしたら断られた。なので、このままじゃ、貰い過ぎだからと、メイン武器の槍を見せてやった。
持った瞬間分かるのか「妖槍か……うん。持ち主に完全に支配されとるな、これまた業物じゃわい」と、満足そうに頷くと少し手入れをして貰い返してくれた。やっぱり貰い過ぎなので、クナイみたいな投げナイフを数本買って店主に礼を言ってから店を跡にした。
なかなかどうして、良い店もある物だと感心して今日は満足して帰った。
帰る道すがら、路上で良さ気な川魚を童子が売っていたので幾らか聴いたら「銅貨5枚で3匹だよ」
と言うので20匹全部買うと大銀貨一枚を渡した。
「猫ちゃんこれじゃ多いしお釣りないよ?」と、困っていたので、残りはチップだから気にすんな!と頭を撫でてやった(ジャンプして)
したら満面の笑みで「ありがとう!猫ちゃん」と頭を撫でられてスキップしながら帰っていった。
童子と言うものは可愛いもんじゃなぁと、こちらの口角まで上がってしまった。
木に登ると布団も良い感じに乾いており、今日はフカフカで気持ちよく眠れそうだった。鼻歌混じりに布団を小屋に仕舞い、寝床を整えてから扉を閉めて、まだ夕刻だったので、ギルドへ向かった。
ギルドへ着くと適当に掲示板を覗き明日やるクエストやらを確認しといた、俺はまだGランクなので何ができるか見ると
ゴブリン討伐(必要部位両耳)
薬草採取(各種)
角兎狩り(必要部位角)
街中雑用
と、あった。雑用以外は物を持ってくれば良いみたいだな……。兔肉は必要だから適当に狩り取るか。
あとは適当に流す事にしようと決めて、バーへと向かう。
エールと何か、焼いてくれと頼み椅子に座る(乗る)すると、バーの親父がエール片手に
「其処に座ると見えねーからカウンターに座っとけ」というので、それもそうだな、と納得し端っこに陣取った。
暫くエールをチビチビ呑んでると、冒険者達がチラホラと戻ってきた、数組が受付へと並びその仲間なのか数人がこちらへ流れて座りエールを注文していた。俺に気が着くと何故かツマミを奢ってくれたり、エールのオカワリをくれたりと、何か色々貰えてしまった。
店主もなにやらしてやったり顔だな。(こりゃ客寄せにされたな)まぁいっかと流し。
奢って貰った礼にと余興をやる事にした。
真ん中のテーブルへと乗ると何だ何だと人が集まってきた。そこで、銅貨を一枚取り出して周りに見せて触って本物かどうか確認して貰い、それを最後に確認した奴に俺に向かって投げろとお願いした。
その男は頭に?を浮かべながら放ったので、脇差しで居合抜きしてやった。
キキィンッと鳴った銅貨が床に落ちて散らばり拾った奴が4つに切れてる銅貨を廻しながら見ては驚いていた。
ヤンヤヤンヤと拍手喝采、歓声が上がり一つ頭を下げて礼をしたあと、手を上げて「またなー」と言って店を出た。
流石に夜は少し冷えるようで、エールじゃそこまでポカポカにもならず、足早に木へと登り帰って、買っておいた魚を肴にそのまま網で焼いていき、日本酒をチビリやりながら晩酌した。
程よく温まったので、今日も楽しかったとお月さんに手を合わせ、寝る事にした。
0
お気に入りに追加
825
あなたにおすすめの小説
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
断罪された商才令嬢は隣国を満喫中
水空 葵
ファンタジー
伯爵令嬢で王国一の商会の長でもあるルシアナ・アストライアはある日のパーティーで王太子の婚約者──聖女候補を虐めたという冤罪で国外追放を言い渡されてしまう。
そんな王太子と聖女候補はルシアナが絶望感する様子を楽しみにしている様子。
けれども、今いるグレール王国には未来が無いと考えていたルシアナは追放を喜んだ。
「国外追放になって悔しいか?」
「いいえ、感謝していますわ。国外追放に処してくださってありがとうございます!」
悔しがる王太子達とは違って、ルシアナは隣国での商人生活に期待を膨らませていて、隣国を拠点に人々の役に立つ魔道具を作って広めることを決意する。
その一方で、彼女が去った後の王国は破滅へと向かっていて……。
断罪された令嬢が皆から愛され、幸せになるお話。
※他サイトでも連載中です。
毎日18時頃の更新を予定しています。
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
異世界人生を楽しみたい そのためにも赤ん坊から努力する
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は朝霧 雷斗(アサギリ ライト)
前世の記憶を持ったまま僕は別の世界に転生した
生まれてからすぐに両親の持っていた本を読み魔法があることを学ぶ
魔力は筋力と同じ、訓練をすれば上達する
ということで努力していくことにしました
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる