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36話

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世界樹から吹き降ろす2つの風は
森を抜け、林を抜け、街を通り過ぎ、村を抜けて
霧森の間を抜けて、橋を渡り、住み馴れた村へと帰ってきた

『『たっだいまー!!!』』と妙なテンションの2つの妖精は絡まりながら昼間っから屋上でダラーッと湯に浸かりながら酒を呑んでた村長の元へとやって来た

その妖精をボーッと眺めながらもジーッと見ていると…

「…お前…内田か…」とようやく気が付いた様でした

それもその筈、内田はエルフを通り越し妖精へと昇華してました
分かるはずがありませんでした

フェーヤという名を世界樹から賜ったそうで…
「フェーヤと呼んでね」だそーだ
覚え辛いからフェーヤ内田って呼ぶ事にしたら

「売れない芸人みたいだなぁ」って嫌がったが
まぁいーやって事で【フェーヤ内田】に成りました!が!村の裏記帳へ書かれました…
表に出せない住人の名前が書かれています
ウンディーネとかノームとかね


フェーヤ内田は川向うの山の麓に店を出して、トマト屋を開くそうだ。
シルフはこっちの役場関係全般を引き続きやるそうだ。
「何だよトマト屋って!」って聴いたら
トマト料理専門店だそーだ
なので、川を渡る橋を作ってくれと俺に依頼した
ホイホイいーよーとその場でさくっと作ってやったら
「流石村長!段々人外化してきたね!」と言われたが、「内田には言われたくない!」っと返しやった
(少年化に妖精化してる内田には絶対に言われたくない!)
だいたい何で行き成り帰って来て即トマト屋なのか聴いてみたら
「実は少し前から戻ってきていて、ルフと一緒にこの辺の山々を飛び廻っていたらさ、トマトの村を発見したんだよね。そこで、魔王に見付かりたくない!黙っていて欲しい!と言われた結果、代わりにトマトを貰う事になって有効な使い方を考えたらトマト料理が思い浮かんで…」という

(…そのトマト俺の畑から脱走した生き残りじゃねーのか?)っと、思ったが言わなかった
絶対トマトのいう魔王て俺だよね?
絶対言わない!

「トマト達がいう魔王の住む村って方角的に此処なんだけど、村長前にトマト作ってたよね?まさか魔王て村長?」と、吹き出しそうにしながら言うシルフ

(ちっバレてたよ…)取り敢えず目は逸しておいた

「ひっそり暮らしたいだけだから、此方に手を出さなきゃ仕返しはしないってさ」
良かったねと笑いながらいうフェーヤ内田

「まぁ、手は出さないよ…内田が敵になりそうだからね」っていうと、「あらバレた」と笑う

「全く…まぁトマト料理は気になるし村に店が出来るのは大歓迎だ、通わせて貰うさ」と、言っといた

「ところで、何あの集会所…温泉付きとか…」入りたいというので
「屋上の温泉は水着着用な!」っと返した

こっち終わったら行くよとーっとトマト屋建築へ戻って行った内田を見送った

さて、それなら酒の準備兼ねて酒造に行くか…

ってなったが中々気乗りしなかった

くらいになった守武だったが、大分なれて仕事もちゃんとやってるし。
そこにくらいになったおやっさんが加わり順調な酒造になったらしい
亮介と俺との関係がギクシャクしたまま半年程過ぎていたが、酒造としては順風満帆で仲良くやってる。そんな中に俺が行くのも気が引けるって事さ

ウンディーネにでも頼むかね…

■□■□■□■□■□■□■□■□■□

昔々ある所にお爺さんとお婆さんが住んでいました

お爺さんは山へ腐葉土拾いに
お婆さんは川へ水汲みへ行きました

川で水汲みをしていると
川上からドンブラコッコドンブラコと大きなトマトが流れてきました

お婆さんは嬉しそうにそれを拾い
お爺さんの帰りを待って一緒に食べようと思いました

やがてお爺さんが背負子にたっぷり腐葉土を持って帰ってきました

「爺様よぅ川から美味しそうなトマトが流れてきたよぅ」と言うと

「おお!それは良い‼では食べるとしよう」
そう言ってナイフで、スパッ!と切ったら
中から女の赤ちゃんが出てきたではありませんか!
びっくりしたお爺さんとお婆さんでしたが
可愛い女の子だったため
二人で育てることにしました
トマトから産まれたのでトマコと名付けてたいそう二人は可愛がったそうです

やがてトマコはスクスクと育ち
村で一番美しいと呼ばれる程に育ちました

そうなると、いろいろな男共が寄ってきました
「俺は村一番の庄屋の倅だ!悪い様にはしないから嫁になれ!」と言われましたがお断りしました

「俺は村一番の強者だ!嫁になれ!」と言われましたがお断りしました

トマコには好きな人が居ました
トママさんです
ですがトママさんは
「私は山で腐葉土を取って暮らしております、ですが貧乏でとても貴女を養えないなので結婚は出来ません」と言われました。
とても悲しかったですが、トマコは諦めきれませんでした。
なので他の方の申込みは全て断っていました

トマコは結婚する気など無いのだと噂になってしまいました

そんなある日、街からやって来たという魔王が言いました「爺さん婆さんも一緒に来ていいから我が城に来ないか?」そう言った魔王に
爺さんと婆さんは中々諦めないトマコを疎んじて
「宜しくお願いします」とついて行ったそうな

魔王の城には屋根も壁も透明な材質でとても良い環境でした
爺さんと婆さんはたいそう喜び
わぁ!と嬉しそうに駆け出して中に入った瞬間
拘束されました
足をパッサパサの土地に埋め込まれ柱に括り付けられました
それを見たトマコは魔王に詰め寄りました

どうか爺さんと婆さんを助けて下さいとお願いしましたが
お前も埋まっていろ!とパッサパサの大地へ埋められました

そして魔王は言います
限界ギリギリまで水はやるな!と
なんて恐ろしい事を言う魔王でしょうか

全て魔王の嘘だったのです

私達は悲しみました
後悔もしました
ですが全ては後の祭りでした
意識も無くなりかけた時でした

一人の勇者がやって来たのです!

その男は…トママでした!
彼は「トマコさん!私が間違っていた!共に暮らしてくれ!」そう叫んでトマコ達を開放しました

そして悪い魔王も打ち砕き山へと戻り
トママと共に幸せに暮らしましたとさ


めでたしめでたし

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「…何この絵本」と村長

「トマト村のトマコっていう絵本作家が書いた伝説を元にした絵本だってさ」と内田

「何故それをここに置くの?」階段下の棚に見慣れない本があったので読んでた村長が不貞腐れて絵本を投げた

それを空中でパシっと掴みフワフワと浮きながらパラパラと捲る内田
「戒めに置いてきて下さいって頼まれたから?」
と、ケラケラと笑う

「ううっ…もうトマト作らないよ…悪かったって伝えておいてよ」と打ち拉がれる村長

「あいよ伝えとく」と笑って本棚に戻し
仕込みがあるから帰るねまたねーっと手を振って飛んだまま帰って行った内田を見送った

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

私達の祖先は草だったらしい

トマトという野菜だったらしい

その前はただの観賞用草だったという

今の私達は妖精に近いと翅妖精達はいう

なぜ私達がこの形になったかは分からなかった

恐怖から根が足になり逃げられたと聞く

いつ襲われるか気が気でなかったとオババがいう

オババはこの村で唯一の草だった姿を残してる生き字引だ

オババは動けないが一番陽のあたる場所で生まれたそうだ

そこには伝説の勇者達の子供が生まれた場所だった

だからオババも伝説の血筋なのだそうだ

オババは私達の姿を羨ましく思うらしい
「私の祖先が其の形だったら生きながらえて居たのに」と涙を流す

オババはいう
「いくら姿形が変わろうと川の向こう側には行っちゃなんね!まだ魔王が生きていて連れ去られちまうかんな!いいか?おめたち!行っちゃなんねーぞ!」

だが私はそれを破ってしまった

空から来たシルフと旦那に触発されて

外の世界が見たくなったからだった

私はテイムしたカブトムシの背中に乗って川向うへとやって来た

これが魔王の城なのかと

至る所に翅妖精が飛んでいた

幾人かとも仲良くなり友達になった

私はフェーヤとシルフが住む家の屋根裏に部屋を借りた

友達の翅妖精もよく部屋に来るようになった

発着場も作ったので、常にカブトムシ飛行部隊が常駐するようになった

最近では村の仲間も此方へ来て暮らすようになった

私の幼馴染のトママも来るようになった

大家に家賃を払いにいく日にトママも共にくると言うので連れて行った

家賃はトマト払いで魔王の世界ではミニトマトと言われる物を提供する事だ

このミニトマト、実は私達の頭だったりする

全部ではないが…私達の頭は美味しいらしい…

複雑だったが仕方が無い

顔の上にあるヘタを掴んで頭を毟りとる

そーすると直ぐにポンっと生えてくるのが私達が頭を提供しても死なない所以らしい

どんどん毟る
ポンポン!っと二人分のミニトマトが出来る

どんどん毟る
ポンポンポンポン!
アッという間にお皿いっぱいにミニトマトという名の頭が転がる

私達から見ればかなりのスプラッタなのだが…

魔王の仲間はコレをプチプチ云わせて食べるらしい…本当に恐ろしいものだ…

皿いっぱいに生首が転がれば今週の家賃は払い終わった事になる

トママを引き連れて部屋へと戻り
カブトムシに乗るべく服装を変える
飛行服を着たら準備オーケーだ
今日は一度地元へ帰ってオババに会う日だった

オババが私に外へ行く許可を出したのは2週に一度、村へ帰って顔を見せる事だった

なので、オババに会いに行くのだ
「トマコ!僕も乗せてってよ!」
そう言ってきたのはトママだった
仕方ないので
「40秒で支度しな!」っと言ったら走って準備しに行った
翅を傍目かせて準備が出来たら順に乗っていく
トママに飛行ベルトを着けたら出発だ!

ババババッと翅を鳴らしてテイクオフ!!

私達は空へと飛び立った


屋根裏から飛び出したカブトムシは
裾野を跨いで山へと入り、そのまま木々の間をスィスィと抜けて頂上から反対側へと行く途中で降下し始めた。幼稚園の運動場くらいの広さがあり、勇者の地を中心に放射状に広かった家々はまるで後光の放射線の様なコントラストでとても美しい村だった。
その村の各角には発着場があり、そこに乗る物を登録して利用出来る。
カブトムシ飛行部隊とは成人したトマト達が初めて乗る車みたいな物で、比較的マイナーな乗り物だった。
自分が乗るカブトムシを登録すると自然にカブトムシ飛行部隊へと配属される。
過去には偶々出逢ったヘラクレスオオカブトに乗った猛者も居たらしい。
少し乗りにくいがクワガタに乗ってコーナーを攻める人も居る。
小回りは効くが扱いに手間取るオオスズメバチ(触覚を掴みハーレーの様に乗る)に乗るツワモノも居たりする。

自転車感覚で乗るなら巡回ミツバチが良いだろう。

優雅に彼女とデートするならアゲハチョウがお勧めだ。

この様に二足歩行が出来る様になったトマト族は色々な生き物の力を借りて逞しく生きていたのだ。
しかし誰一人村を出て暮らそうとは考えなかった…。

そこへ族長の娘で時期村長《むらおさ》になるかもと言われていたトマコが村を出て新天地で暮らす様になるとは誰も考えていなかった為、奇異の目で見る者も少なく無かった。

許可を得たとは言え、伝説の魔王の住処の側へ行くなど正気の沙汰では無い、いずれ村を滅ぼす事に成り兼ねない、即刻辞めさせるべきだ!とする保守派と
いずれ一族を率いる若者が外で暮らす様になるのもまた必然、進化の過程の成行きだと言う先進派もいて、話合いは泥沼へと突入している。

そんな事に成ってるとは、つゆ知らず唯我独尊を貫くトマコに惚れて付いて行く者も多くいた。

やがてトマコの行動は見過ごせない物になっていった。

そんな折、約束の日にトマコが帰ってくると言うので保守派と先進派が同時に迎えに行ったもんだから
発着場ではゴチャゴチャとしていて、とても降りられる状態には無かった。

「どーしたのかなぁ?アレじゃ降りられないよ?どーするのトマコ?」トママがそう聞くと

「一度トママだけ降ろす、オババの屋根へと近付くからすれ違いざまに飛び移れ!」
「やってみます!」とトママは了承した

そして大きく迂回したかと思ったカブトムシを降下させて中心地にあるオババの屋根へと特攻した

どんどん近づく屋根に狙いを付け
「ここだ!」と叫んだトマコの合図で降下から一気に上昇体制へ、重力に逆らって浮き上がろうとする刹那、一瞬だけ無重力みたいになる

そのタイミングを逃さずに上手くトママは屋根へと何の衝撃も無く着地した
それを確認したトマコは、錐揉みする様に上昇し
機体(カブトムシ)を安定させると軽くなったお蔭で扱いやすくなった機体を優雅に操作して
元自分の住処へと軟着陸した
そのまま長い角を紐で幹に繋いで餌の砂糖に疲労回復水(ウンディーネ産)を含ませたスポンジを屋根の隙間に挟んでカブトムシに与え「少しの間待っててね?」とお願いして短い角を撫でた
そのままスルスルと部屋へと降りてオババの家へと巡回ミツバチに乗って向かった


オババの家へと着き、巡回ミツバチにお礼を言って中へと進むと、部屋の手前からトママが現れた
「トマコ!大丈夫だった!?」と息せき切って聞かれた
「なんの話?」と首を傾げると
保守派と先進派で言い争いになってる事と
トマコ派なる者達が暗躍していると聴かされた
トマコは肩を竦めて見せてから、何も語らずにオババの元へと急いだ

「オババ!!!ただいま!!!」と走り掛けながらオババの葉を触る(握手みたいな感覚)
「オババただいまー」とトママも手を振りながら言う

『ふふ‥変わらぬの、お前達は…』と頭に響くような話し方で此方を見てくるオババ

「オババも変わりない?」と朗らかに聴くトマコにオババは少し葉を揺すると
『ワシは時期枯れる…』と語りだした

【確かに普通一般のトマトの生命力以上は生きているオババ。もしこのトマトが一般農家に生えてたら研究所が囲うくらいだと思う】

「何を言うの?オババが死ぬわけ無いでしょ?」
冷や汗が流れていきそうな言葉を否定するトマコ

『この地に我等一族が降りてより1000日…
この地も時期に枯れるだろう…肥沃な大地も同じ作物が育てば枯れるのは必然なのじゃよトマコ』
我らは自然の一部なのだからと笑うオババ

『じゃが、新しく土地を探すのは大変じゃ。昔は必死だったから皆文句も言わなかったが、今は此れだけのコロニーでヌクヌクと平和を謳歌しておる状態では反対する者も多かろう?』

「そうね…今ですら私の行動に文句を言う人が居るものね…」オババから視線を外して俯くトマコ
その顔はよく見えなかったが、少し泣いている様にも見えた

『だがのうトマコや、昔と今とでは違う事もある』
何かわかるか?と問うオババ
「平和ボケ爺以外で?」と答え、うーん?と首をひねるトマコ
『ホホホ翅妖精じゃよトマコ、仲良くなったのだろ?シルフという風妖精から聞いとるよ?』
オババから信じられない言葉が出てきた
「シルフィード様を知ってるの⁉オババ!!!」
『ほほほほ、そりゃ知ってるさね。この地に落ちてからずーっと知っているよ?シルフは風の妖精だからねぇ…この地に吹く風と雨は魔王の支援だという事もね』

驚愕の真実だった



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