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9話

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「彼女はシノといって隣の集落に住む村長の娘さんだよ」

隣と言ってもちょっと遠くて日帰りでは行けない場所にあるからひょいひょい行けないんだよねー

っと話す俺(嘘は言ってない)

家庭環境が少し複雑で今預かってるだけだよー
っと言って笑っていると

「嫁です‼結婚出来る年になったら嫁になります!!!今14歳です!!!」っと叫びたすKYなシノブさん

ハハハハハッ何爆弾発言してんだこの駄犬め!
むしろ何時からお前を嫁にすると言ったんだ誰が!!!
何⁉爺⁉よーし!ぶっ飛ばす‼何強いの?知るか!!
1発ぶん殴る愛の鞭だあのクソ狼め!!!

っと、シノとワチャワチャやってると

「あんた…犯罪よ?…流石にその年の差は犯罪よ?」
…やぁだ!私コイツの母親なのよ?知ってた?信じらんなーいと孫と義理の兄に喋りだした

あと二年後に16歳になるシノ(獣人)
あと二年後に50歳になる俺(人類)

あー…うん。犯罪だねガチなロリコンさんだね
捕まらないだろーけど、友達も居たら去ってくね…

「いや、この子が勝手に言ってるだけで別に結婚は「します!!!」いや、しねーよ!被せんな!」

甥っ子の方が歳近いぞ!っと勧めるが

「ごめんなさいタイプでは無いので…」
お前タイプなんてあったの?犬の癖に…
「犬じゃないです狼ですよ」
いーかげん覚えてくださいよ!と怒る


それを聞いていた甥っ子は
「え。僕を知らない場所で失恋させないで下さい」
っと甥っ子少し気に入ってたようでダメージを受けている

強く生きほしい

「っていうかその娘14歳でしょ?何で犬呼ばわりしてんの?」っと姉。語尾にキモイんだけどっと付ける

姉という生物は弟という生き物に対して悪劣非道である。決して優しくない

はいそこ!姉に夢見てるところ悪いけど!
マジだから…( ̄ー ̄)ニヤリ

この後、数時間程掛けて言い訳タイム

隣村の爺が血迷って送って寄越したのがこの娘だって事で落ち着いた

まぁ事実だし?嘘は言ってない!

納得いかないのがシノだったというオチ

お前は少し黙ってろ!
何?唸っても駄目!
報・連・相!大事‼
今後親や爺に何か言われたら必ず俺に相談する事!
分かった?

「………分かった………」頬をプクーっと膨らませながら言うシノ
すっげぇ分かりたくない!って顔してる

話は終わりにして、何買って来たのと訪ねれば

良さ気なスポット発見したからキャンプするんだ!と意気込む甥と義理兄
親子の男同士で酒でも呑みながら語りたいんだってよ

所で良さ気なスポットなんてあったの?え?
裏山の頂上?へー…

あ、祠は弄らないようにな?怒らすと祟られるから気を付けて

え?俺?祟られたかって?
犬に噛まれたよ
兎にも噛まれたから
いや、本当に…泉の水は飲めるか?
ああ、飲めるよ大丈夫
皿とかは濯がないでな!

あの水でお風呂とか入れるようにしたから
汚されると困るんだよ

え?いつ?お前らが買い物行ってる間にだよ

そんなに早くできるわけが無い?
ジャー見てみろよ!

っと、勝手口の水瓶や
風呂の脇から五右衛門風呂へと流れる水を見る

来たときは無くったよね!?っと

幽霊でも見たかの様にびっくりしている

最近筋肉増えてさー
っと服を捲って腹筋を見せ付ける俺
密かに自慢だった

「ウワーッ!すごぉーい!」と撫でてくる姉
どーやったか聴いてくる義兄
野良仕事とかしてたら自然に…っと鼻高々に語る俺

筋肉付いたくらいで出来る仕事量じゃないよーな?
と首を傾げる甥っ子


此処で全てを知るものが居た
コウジが何故あんなに筋肉が付いたのか

単純にアルミラージを大量に倒したことで
レベルが上がったのだ

だが、異世界に行っているって感覚のないコウジがそれに気付く事は無い


シノだけが知っている事実である




「ねぇコウジ!他に部屋は無いの?」

晩飯に舌鼓を打ち 当然の様に始まった酒宴
突然家探しを始めた酔ったクソ姉に
隠してた虎の子の蜂蜜酒を見付けられ
飲み尽くされ 半泣きになっている頃
言われたのが冒頭のセリフ

「見たらわかんだろ…グス」

苦労して作った蜂蜜酒
水に拘り過ぎてちょっと原水から湧き始めた部分だけを潜って集めた蜂蜜酒
コッソリ度数を上げる為に黒糖の良い奴を取り寄せて作った逸品だったのに
…あっさり全部呑みやがった…

「何よ、まだ泣いてるの?まだまだ子供なのねー」
と、言い捨てるゴミ姉
血の繋がりが無かったら3秒と側には居ない程嫌い

だが、お義兄さんも甥っ子も物凄く良い人で
血の繋がりだけの姉を足してもお釣りが来るくらいの良い人なので、縁を切れないでいる

「あんたと雑魚寝するの嫌なんだけど…他に部屋無いの?」ほら私って裸族だからっと既に下着姿の姉

裸の姉と寝たいの?変態ねーと言ってくる

俺が嫌だよ!何言ってんの!?
てか、人ん家まで来て服脱いで寝るとか馬鹿なの⁉
ちょっと!お義兄さん!!どーいう教育してんの⁉
っと喚くと

「あー、まぁ…君のねーさんだからねー」
変わってるよねー
アハハハーと何故か目を逸らされる

うちの家族は変わり者が多いらしい
親父を筆頭に…

親父は「冒険家になる!!」と突然宣言してから行方不明に成った
数年単位で絵葉書が数枚、母宛に届くので居場所は推測でしか分からない

兄も居たが20年前にノンフィクションで映画を作りたいとビデオカメラ片手に海外へと飛び
今は親父と一緒に行方不明に成っている

兄からは絵葉書も無いので死亡者扱いで
去年墓に名前が刻まれた

俺は俺でこんな消滅集落に引っ越して
少女と住みだす程の変質者と思われてるらしい
(さっき酔った勢いでお義兄さんから聴いた)

こんな所で血の繋がりを強く感じるなんて…

少し落ち込んでいると
「適当な空き家を見付けて掃除してこい!むしろお前はそこで寝ろ」と姉に俺の家から追い出された

酷い姉だろ?な?姉って皆んなこんな何だぜ?
学生の頃も部屋を探されエロ本ばら撒かれたり(近所に)

社会人になったら成ったで人の社員割引利用して買い物に来たり、その都度俺が上司に嫌味を言われたり…本当に本当に酷いやつなんだ…
それなのになぜか逆らえず…ぅぅ…と昔を思い出しながら…トボトボと暗い集落の中を歩く

すると隣にシノが居た
「落ち込むなー?」と頭を撫でてくる

優しいなーお前は…と抱き締める
僕の隠れ家に来るか?と誘ってくれたが
丁寧に断り裏山の頂上を目指して歩いていく

因みにシノの隠れ家には兎の頭蓋骨が並べられている
前にあげた頭を気に入ったらしく
コレクターを始めたらしい
それが原因で河童モドキに奪われ
腹を刺されたみたいなんだが…懲りてないらしい

そして部屋の回りに飾られてる頭蓋骨は何気に気持ちが悪いんだよ…毛皮付きだったりしててゾンビみたいで…

シノはキモカワだよーっと言うが…
おじさんにその耐性は無いなー…

なので断った。とても寝られたもんじゃ無さそうだし

そして、今目指してるのは裏山だ!

何故祠の周りに泉が湧いたのか不思議だったんだ
それを調べついでに寝ようかと思ってる
シェラフも一応持ってきた
(投げ渡されたとも言う)

その辺はちゃんとしてるんだよね姉は
クソだけど

そーいえば母居なかったな…

母も父の影響からか好奇心は人一倍有る
まぁそのへんに居るだろ…
もしかして風呂か?甥っ子も姿見えなかったし
っと、風呂がある場所に視線が行く
裏山から覗く我が家の裏手側から煙が一筋見える

ああ、やっぱりか

そのままズンズン登っていく

本当に体力がついたんだなぁ♪
全く疲れないし、身も軽い
自分の体重をまるで感じないで登れる

数分後頂上の祠の前に立つ俺を
泉の回りで飛び回っていた翅妖精が見付けて
親を連れてきた

「やぁ、僕妖精王!今日からここに住むからよろしく頼む!」っと爽やかにサムズアップしてきた

姉に飲み尽くされ一滴も呑めなかった
蜂蜜酒を今呑んでます!

何いってんの?ってなりますよねー?

寝床を探して彷徨っていた俺を見付けて
誘ってくれたのが妖精王のウンディーネと
呑み友達のノーム

この二人(?)はたまたま見つけた祠に住み始め
そのままノームが居付いたため
ウンディーネが真下に泉を作って通いやすく改造した所に、俺がやって来たらしい

引っ越しの挨拶がてら近所の俺が来たら呼ぶように
下級精霊に頼んでいたとの事

丁度よいからと呑みに誘われて
美味い酒を呑みながらつい愚痴を……

そしたら、その酒を再現しようって事になって

出来ちゃいました!蜂蜜酒(黒糖仕上げ)
元々水も異世界産の結界水でしたし
蜂蜜もシノに頼んで異世界蜂蜜を70%使用(コストダウン狙い)してるから、再現しやすかったそうな

ただ黒糖は俺の家からの持ち寄りです!

妖精王の力とは凄まじい物で発酵スピードが神がかっておりました!
ノームは土から樽を作り蜂蜜酒を入れて保存してくれる事に‼
これで何時でもここに来たら呑める事になりました!
もう家探しされて見付かることもありません!

「改めてこれからよろしく頼むな!コウジ村長」
っとウンディーネに言われる

ん?村長?俺が?と不思議がっていると

「この集落は君しか住んで無いのだろう?なら、村長は君だろう!移住してきた私とノームの名前を台帳に印しておいてね♪」

って事らしい

まぁ確かにここに住んでたのは俺だけか…

村長か…なんかニヤニヤしちまうなぁと笑う

「ノームも田畑の仕事は任せてくれだそうだ!」
コイツに任せておけば大体問題無く育つからな!
これでドライアドとかも来てくれたら毎年豊作になるんだがな!」無い物ねだりはやめとくか!
っとガハハハと豪快に笑う美人なウンディーネ

そうだ!ノームさん
泉の目立たない所からでいーから
小川にここの水流せないかな?
田んぼに流す水が止まっちゃってさ
っと、相談すると

自分の胸をドンっと叩き
任せておけ!っと言ってくれた

持つべき物は友だなーっと呟くと

そーだろーそーだろー♪と機嫌よくウンディーネが酒を注ぐ

俺もお酌をかって出てウンディーネとノームのグラスに注いでやると

本日何回目かも分からない乾杯が夜空に響く

今宵も月が綺麗な夜だったので
泉の前でノームが作った石の椅子に座り
石で囲んだ竈に沢蟹を焼いて、それを肴に月見酒

明日か明後日に義兄と甥っ子が此処でキャンプをしたいと言っていたのでよろしく頼むなっというと

儂らの姿は俺と銀狼族のシノしか
この村では見えないよ?っと爆弾宣言
「えっ」っと思わず声が出て

なして?と訪ねれば
川向うに行った後なら見える様になるけど?
という

つまり、異世界の空気を吸えば耐性が出来るらしい
なんの耐性だか分からなかったが
異世界耐性ってことにしよう

まぁ詰めた話は明日から考えるとして!

また3人でグラスを傾け 

「「「良い出会いに!」」」っと乾杯して

東の空が明るく成るまで呑み明かした











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