【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙

文字の大きさ

大中小

50 / 64

朝が来　ない

しおりを挟む

　いつも通どおり陽ひは暮くれて夜よるはやってきた。ゆえに私わたしは眠ねむりにつく。しばらくして起床きしょうした時とき、私わたしはその異変いへんに気きづいた。

　真まっ暗くらだ。

　まだ夜よるだったのだろう。

（はて？　どうしたんだ？）

　寝ねぼけているだけだと、私わたしは再ふたたび眠ねむりにつく。
　そうしてしばらく眠ねむり続つづけて、それは気きのせいではないのだと気きづいた。

　なにやら騒々そうぞうしい。

　車くるまの音おと、人ひとの話はなす時ときにでる音おと。耳みみに入はいってくる街まちの音おとは夜よるのそれではない。
　どうしたのだ？　まだ暗くらいのに。みんな夜よるに何なにをしているんだ？

　―― 何なにも見みえない。

（電気でんきをつけよう。見みえなくてはどうしようもない。）

　私わたしはなにも見みえぬ部屋へやで手てを振ふる。やっと見みつけた電気でんきのスイッチを押おす。押おした。もう一度いちど押おした。それなのに――。

　依然いぜんとしてまだ部屋へやは暗くらい。暗くらい……いや、暗くらすぎる！

「え？　ちょっと待まって……うそ……そんな……！」

　その時とき、やっと私わたしは真実しんじつに気きづいた。そう―― 夜よるはとうに終おわっていたのだと。

【解説＆ヒントは↓をスクロール】
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓

　〈ヒント「すべてにルビが振ってありますがこれは一体どういうことでしょう？（タイトルもヒントです。今回の話はかなりずるいオチです。）」〉

　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓
　↓

【解説】

　今回の小説のオチは、いつもより意地悪です。

　さて、何かいつもと違うことに気づかれたでしょうか？文章が変な言い回しをしているところもそうですが、それは全ての漢字にルビが振られていることです。

　タイトルがネタバレというかヒントでして、実はこの小説には「あ、さ、か、こ」の文字が一度も登場していません。（朝が来ない＝「あさかこ」無い）

　いわゆるリポグラムと呼ばれる作品で、特定の文字を一度も使わずに書かれた文章のことをそう呼びます。

　そして実は上にあげた四つ以外にも、もう一つだけ使われていない文字があります。それは「め」です。

　というわけで今回のお話は、『主人公は「目め」を失っていたため光を感じなかった』というオチでした。

　※上記の五文字以外はすべて登場しています。ぜひ探してみてね。

しおりを挟む