上 下
103 / 148
第4章 国境の外へ。戦いのはじまり

059 山に棲む魔物1

しおりを挟む
 村を出てすぐに異変が起こった。
 複数の獣の吠え声が聞こえる。最近山に住み着いたという魔物たちだろう。立ち上る幾本もの煙が、森に火がついていること知らせていた。炎系の魔物が多くいるのかもしれない。

「この先にゃ、とンでもねえバケモノがいるぜ……!」

 荷車を引っ張っていたアンゴンが、冷や汗をかきながら立ち止まった。
 アカも何かを感じたようで、丸い体をブルブルさせて興奮状態になっている。

 オレは首元をなでてアカを落ち着かせた。じっさいのところ、山にいる魔物よりアカの方が危険である可能性が高いのだ。アカの魔法が炸裂したら、今起きているボヤなどとは比較にならない災害を引き起こすだろう。

「よしよし、大丈夫じゃぞアカ。──どうしたアンゴン。早く進むがよい」
「姫さん姫さん! オイラの話聞いてたか!?」

 前進の指示に、アンゴンがあわてた様子で詰め寄ってきた。

 ……いや、聞いてたけどさ。戻るって選択肢は最初からない。遠回りしてたらぜったい期日までに帰れないし。

 と、そこで気づいた。アンゴンにすれば、間に合わなくてもいいわけか。ルオフィキシラル領に思い入れは無いし、危険を犯してまで急ぐつもりはないのだろう。他の連中も大同小異だと考えられる。焦っているのは、オレとシグネくらいか。

「怖ければ、わらわを置いて逃げてもよいのじゃぞ?」

 そう言って、配下を見回した。
 この程度のことで逃げ出すなら、今のうちに消えてくれたほうがいい。領地に戻れば十中八九戦争になるのだから。

「進むつもりがないならどきなさい。私がかわりに荷車を引くわ」
「……ディニッサ様が行くなら、ボクはいきますよ」

 シグネとデトナが、すぐに声をあげた。
 続いて、ターヴィティとロリコン姉弟も先に進むことに同意してくれた。

「おいおい、正気なンか……」

 ただアンゴンだけは、前進をしぶっている。意外に慎重派なんだろうか?
 いや、彼がギャンブラーであることを考えると、危機感知能力が高いのだと思ったほうが良さそうだ。異変に気づいたのも一番早かったし。

 となると、この先には相当な強敵が待ち受けていることになる。

「わらわに戻る意志はないのじゃ。ともに進むか、独り帰るか選ぶがよい。帰るとしてもわらわは恨まぬし、契約金を返せとも言わぬ」

「……チッ、雇い主が決めたんじゃしょうがねえや。なあ姫さん、危なくなったら荷物は置いてくからな?」

 しばらく逡巡してから、アンゴンも進むことを決意してくれた。
 しかしオレの方は、荷物を置いていくという彼の言葉に、曖昧にうなずくだけで言質は与えなかった。

 魔物が想定以上に強い場合は、荷物を捨てる必要があるかもしれない。けど、できれば避けたい事態だ。食料や金はともかくとして、荷車は無くしたくない。これがないとアカを運べなくなってしまう。


 * * * * *


 少しスピードを緩めて、警戒しながら森を進んでいく。あたりには木が焦げる匂いと煙が漂っていた。火が燃え広がっているようだ。グズグズしていると山火事に飲み込まれてしまう。

 と、前方から獣が走ってきた。数は4匹。
 先頭を走る獣がペットのツヴァイに見え、一瞬ドキリとする。
 しかしよく見ると、耳の形が似ているだけの違うヘルハウンドだとわかった。

 ついに魔物がお目見えしたわけだが、ヘルハウンドていどなら造作もなく追い払える。戦闘開始の命令を出そうと口を開く。

 ──だが、ちょっと様子がおかしかった。
 ヘルハウンドは、オレたちを見ると戸惑うように立ち止まってしまった。そこに後ろを走っていた3匹の獣が襲いかかったのだ。

 襲いかかった獣は、ヘルハウンドとは少し違う魔物のようだ。大きさは同じくらいだが、顔が違う。狐をそのまま巨大化させたような生き物だ。両者は種族が違うだけでなく、敵対関係にあるらしい。3対1の戦いが始まっている。

 3匹の大狐は、立ち止まったヘルハウンドの体にそれぞれ食いついた。ヘルハウンドも抵抗するが、多勢に無勢でどうしようもない。ヘルハウンドの口から漏れる炎は、大狐ではなく森に小さな火をつけただけだった。

 犬と狐の魔物が縄張り争いでもしているのか?
 ともかく、ターゲットがオレたちじゃないなら、案外楽に通り抜けられるかもしれない。ヘルハウンドを助けてやりたい気持ちも多少はあったが、そんなことをしている場合ではないことはよくわかっている。

 ただ、これからどうするべきか。魔物たちは道のまんなかで死闘を繰り広げている。荷車で移動している都合上、できれば道からそれたくない。細い山道といえ、道を通ったほうが効率が良いのは当然のことだ。

 オレが迷っているうちに、また違う魔物があらわれてしまった。
 頭上から白い影が降ってきて、大狐に攻撃を加えたのだ。1匹を踏み潰し、1匹を前足で吹き飛ばし、最後の1匹に大きな口でかじりつく。

 ヘルハウンドはすでにぐったりしていたが、大狐たちもまたたく間に白い魔物に倒されてしまった。

 乱入した魔物は、子牛ほどもあるヘルハウンドや大狐がミニチュアに見えてしまうほどの巨体だった。長く白い体毛に鋭い牙と爪。その魔物には見覚えがあった。
 それは魔族ですら恐れる、魔狼フェンリルだった。

 ……というか、どう見てもシロだった。
 ルオフィキシラル城にいるはずのアイツが、どうしてここにいるのか。

「フェンリル!」

 オレが呼びかけるより先に、誰かが大声を上げた。横を見ると、すでに声の主はその場におらず、シロにむかって駆け出していた。弟ロリコンのシビッラだ。

 戦う気なのか? 現象から考えるとそうなのだろうが、なぜシビッラがそんな行動に出ているのか理解できない。シロは大狐を攻撃しただけで、まだこちらに襲いかかってはいないというのに。

 大狐を喰っていたシロは、獲物から口を離してシビッラに注意を向けた。

「止まれシビッラ!」

 しかしシビッラは、オレの命令を無視して突撃を続けた。走りながらも石弾を作り出しシロに叩きつける。シロはその石弾を避けようともしなかった。代わりに口を閉じ、グルルルと唸り声をあげる。あ、ヤバイ──

「伏せろ!」

 急いで指示を出したものの、まわりの反応を確認する余裕はなかった。近くにいたデトナを引き倒すだけで精一杯だ。

 ──あたりに爆発音が響いた。

 シロが口から弾丸を打ち出したのだ。
 オレはテパエの鍛冶屋に大砲を作ってもらった。シロはオレの訓練を見て、大砲と似たような魔法を使えるようになっているのだ。

 口の中に弾丸を作り、ソレを飛ばすという荒っぽいものだが、威力は凄まじい。どういう作用で弾を発射しているのかは不明。まさか口の中で爆発を起こしているわけではないだろうが……。

 爆発音のあと──
 瞬時にシビッラの体が吹き飛んだ。シビッラの体を貫通した弾は、そのまま直線上にある荷車に向かって進む。しかし運良く弾は逸れ、近くの木を打ち倒しただけだった。

 シビッラは砲弾の直撃を受けて四散したが、心配はしていない。じっさい、すでに再生が始まっていた。致命傷1回で死ぬほど魔族はやわじゃない。

 それより、どうしてシビッラがあんな早まった真似をしたのかが問題だ。明らかに様子がおかしかった。姉の意見を聞こうとロッセラの方を向く。しかしここでも意外なものを見ることになった。

「いや……! お父さん、お母さん……!」

 ロッセラは自らの肩を抱き震えていたのだ。いつもの余裕ぶった態度からは考えられないようなありさまだ。強い魔物と出くわして怯えている? いや、なにか違うような気がする……。

「ピ、ピッ、ピィ!」

 姉弟についてゆっくりと考察する時間は与えられなかった。
 荷車に乗っているアカがバタバタと暴れだしたのだ。その顔は「久々にキレちまったよ……!」と言っているようで、とにかくヤバイ。戦闘を目撃して相当な興奮状態に陥っているようだ。

「アンゴン、ターヴィティ! シビッラを回収して森に逃げ込め。デトナとシグネはロッセラを連れて避難するのじゃ。急げ!」

 仲間に避難指示を出したが、オレ自身は荷車に飛び乗った。このままアカが暴発したらオレ以外焼死しかねない。そこまでいかなくても、食料や荷物が焼失して荷車もぶっ壊れるだろう。

「落ち着け~、落ち着くのじゃ」
「ピッピっ、ピ……ぴ……」

 頭や首を重点的にワシャワシャなでてやると、だんだんアカが落ち着いてきた。
 さらにぷよぷよした腹をなでると、気持ちよさそうに座り込んでくれた。

 ……よかった。とりあえず暴走の危機は回避できたようだ。

「グルル……?」

 シロはどうしているかというと、不思議そうにオレを見つめていた。

 あの野郎、たった一月離れていただけでオレの事を忘れやがったのか……。
 住処と食料を与えてやっていたのに薄情なヤツだ。

「ぴっぴっぴっ」

 オレを急かすようにアカが鳴いた。シロの態度にいらついて、アカをなでる手が止まっていたようだ。あわてて作業を再開する。アカの機嫌を損ねて、これ以上面倒な状況に陥るのはゴメンだった。

「ウォォォ~!」

 突然、シロが一声吠えた。そしてこちらに向かってくる。
 あの野郎、まさか襲ってくる気か。なんていう恩知らずなヤツだ……!

「ディニッサ様、早く逃げてください!」

 デトナが叫ぶ。しかし逃げろと言われても、シロと追いかけっこをして逃げきれるとは思えない。魔力が十分にあれば、飛んで逃げることもできたのだが……。

 迫りくるシロに、アカもふたたび戦闘態勢に入った。
 短い足で立ち上がり、羽をバタつかせる。

 アカとシロが戦ったら、どっちが勝つだろう。
 ……たぶんシロの方が強い。アカが空を飛ぶ成鳥フェニックスだったらアカに軍配が上がるだろうが、現時点では勝ち目は薄い。

 どうしよう……?
 オレが判断に迷っていると、走るシロの体が消えた。

 より正確に言うと、オレが認識できないほど速度でこちらに突っ込んできたらしい。気づくと、シロの巨体が目の前にきていたのだ。

 まるで瞬間移動でもしたような超加速だったが、種はすぐにわかった。足から土系魔法を発射し、その反動で一気に加速したのだ。……まあ、そんなネタがわかったところで目の前の危機はどうしようもないわけだが。すでにシロは眼前で前足を振りあげていた。

 即座に回避は諦めた。たぶん無理だし、成功しても状況が改善しない。むしろ防御を固めて攻撃を受けることにした。攻撃を食らった時に足を踏ん張らなければ、シロの腕力ではるか遠くまで吹き飛ばされるだろう。ダメージは負うが、距離を取ることはできる。

 両手で頭をガードするオレに、凄まじい風圧が襲いかかる。直後、交通事故が起こったかのようなけたたましい音があたりに響いた。

 白い稲妻のような攻撃は、しかしオレにはなんの被害も与えていなかった。ただし、あくまで「オレには」だ。真横にいたアカは、悲鳴とともに吹き飛ばされていた。丸い体が森の木々を押し倒す。

「ハッ、ハッ、ハッ」

 粗い息づかいでシロがオレにのしかかってきた。
 頑丈なはずの荷車が軋み、壊れそうになる。

 オレはシロの攻撃に意識を集中させた。戦う気はない。今のオレじゃ、勝ち目がない。ただしスキをついて逃げることは、できなくもないだろう。勝負は一瞬。

 ──しかしシロは襲いかかってはこなかった。
 片足でオレの体をおさえ、鼻をひくつかせる。くんくんと臭いを嗅いでから、次に舌で舐めまわしてきた。どうやら、攻撃の意志はないようだ。

「シロ、離れよ。臭いのじゃ」

 口臭がキツイし体も臭い。城にいる時は、体を洗ったり歯磨きをしたり清潔にさせていた。それなのにこの臭いということは、シロが城から出て相当な時間がたっている証拠だ。……この野郎、オレがいなくなってすぐに脱走しやがったな。

 オレが両手で押しとどめると、舐め回すのはやめてくれた。代わりに体をこすりつけてくる。正直、シロの体格だと、じゃれついてくるだけで十分な暴力だといえる。今の体だとけっこうツライ。

 オレはなんとかシロの手から抜けだして、ヤツの背中によじ登った。そして頭をなでてやる。シロのじゃれつき攻撃を浴びているよりは、こちらからモフってやっていたほうが安全だ。

 なでてやると、シロは体を丸めて大人しくなった。気持ちよさそうに、う~う~と鳴く。そして顔を横に向けて、勝ち誇ったように「ウォォォッ」と吠えた。

 その視線の先にはアカがいた。

 それですべてわかった。アカを殴り飛ばしたのは嫉妬のためだ。オレがアカを撫で回していたのが気に入らなかったのだろう。城でも、オレがアインスたちヘルハウンドを可愛がりすぎると、不機嫌になっていた。シロからすれば、オレが誰かを可愛がるならば、まず自分が一番であるべきのだ。

「シロ、貴様どうしてこんなところにおるのじゃ。勝手に城から出ないと、わらわと約束したはずじゃ」
「ウォフ……」

「わふ、ではない。貴様しゃべれるじゃろ。ちゃんと説明せよ」
『……ディニッサ、城、いない。シロも、城、いない?』

 いない? じゃねえ。疑問形で言うな。

 どうも、オレがいなくなったから城から逃げ出したというだけらしい。ここで出会ったのもただの偶然で、オレを探していたなどという殊勝な理由ではなさそうだった。

 あてにならねえなあ。
 シロが大人しくしているのは、オレがそばにいる間だけだという事実が判明してしまった。

「シロ、これからはちゃんとわらわの言うことを聞くのであろうな?」
『きく』

 予想外の出来事だったが、結果は悪くなかったかもしれない。シロとの戦闘は避けられたし、山の魔物をしきっているのはシロなのだろうから、山越えもはかどるだろう。

 ──しかし、まだ事件は終わってなどいなかったのだ。

「ピギャ!」

 アカが短い足でよたよたと歩いてくる。もともと羽は赤いのだが、今はより赤く見える。まるで怒りの炎で燃え上がっているかのように。

 というより、チロチロと小さい火がじっさいにアカの体から立ち上っていた。
 いきなりぶん殴られてるしねえ。そりゃ怒りますよねえ……!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!

よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。 10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。 ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。 同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。 皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。 こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。 そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。 しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。 その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。 そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした! 更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。 これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。 ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。

(完)そんなに妹が大事なの?と彼に言おうとしたら・・・

青空一夏
恋愛
デートのたびに、病弱な妹を優先する彼に文句を言おうとしたけれど・・・

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

私が公爵の本当の娘ではないことを知った婚約者は、騙されたと激怒し婚約破棄を告げました。

Mayoi
恋愛
ウェスリーは婚約者のオリビアの出自を調べ、公爵の実の娘ではないことを知った。 そのようなことは婚約前に伝えられておらず、騙されたと激怒しオリビアに婚約破棄を告げた。 二人の婚約は大公が認めたものであり、一方的に非難し婚約破棄したウェスリーが無事でいられるはずがない。 自分の正しさを信じて疑わないウェスリーは自滅の道を歩む。

自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名
ファンタジー
★2024年9月19日に2巻発売&コミカライズ化決定!(web版とは設定が異なる部分があります) 🔷第16回ファンタジー小説大賞。5/3207位で『特別賞』を受賞しました!!応援ありがとうございます(*^_^*) 💛小説家になろう累計PV1,830万以上達成!! ※感想欄を読まれる方は、申し訳ありませんがネタバレが多いのでご注意下さい<m(__)m>    スーパーの帰り道、突然異世界へ転移させられた、椎名 沙良(しいな さら)48歳。  残された封筒には【詫び状】と書かれており、自分がカルドサリ王国のハンフリー公爵家、リーシャ・ハンフリー、第一令嬢12歳となっているのを知る。  いきなり異世界で他人とし生きる事になったが、現状が非常によろしくない。  リーシャの母親は既に亡くなっており、後妻に虐待され納屋で監禁生活を送っていたからだ。  どうにか家庭環境を改善しようと、与えられた4つの能力(ホーム・アイテムBOX・マッピング・召喚)を使用し、早々に公爵家を出て冒険者となる。  虐待されていたため貧弱な体と体力しかないが、冒険者となり自由を手にし頑張っていく。  F級冒険者となった初日の稼ぎは、肉(角ウサギ)の配達料・鉄貨2枚(200円)。  それでもE級に上がるため200回頑張る。  同じ年頃の子供達に、からかわれたりしながらも着実に依頼をこなす日々。  チートな能力(ホームで自宅に帰れる)を隠しながら、町で路上生活をしている子供達を助けていく事に。  冒険者で稼いだお金で家を購入し、住む所を与え子供達を笑顔にする。  そんな彼女の行いを見守っていた冒険者や町人達は……。  やがて支援は町中から届くようになった。  F級冒険者からC級冒険者へと、地球から勝手に召喚した兄の椎名 賢也(しいな けんや)50歳と共に頑張り続け、4年半後ダンジョンへと進む。  ダンジョンの最終深部。  ダンジョンマスターとして再会した兄の親友(享年45)旭 尚人(あさひ なおと)も加わり、ついに3人で迷宮都市へ。  テイムした仲間のシルバー(シルバーウルフ)・ハニー(ハニービー)・フォレスト(迷宮タイガー)と一緒に楽しくダンジョン攻略中。  どこか気が抜けて心温まる? そんな冒険です。  残念ながら恋愛要素は皆無です。

婚約者の浮気相手が子を授かったので

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。 ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。 アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。 ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。 自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。 しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。 彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。 ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。 まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。 ※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。 ※完結しました

召喚勇者の餌として転生させられました

猫野美羽
ファンタジー
学生時代最後のゴールデンウィークを楽しむため、伊達冬馬(21)は高校生の従弟たち三人とキャンプ場へ向かっていた。 途中の山道で唐突に眩い光に包まれ、運転していた車が制御を失い、そのまま崖の下に転落して、冬馬は死んでしまう。 だが、魂のみの存在となった冬馬は異世界に転生させられることに。 「俺が死んだのはアイツらを勇者召喚した結果の巻き添えだった?」 しかも、冬馬の死を知った従弟や従妹たちが立腹し、勇者として働くことを拒否しているらしい。 「勇者を働かせるための餌として、俺を異世界に転生させるだと? ふざけんな!」 異世界の事情を聞き出して、あまりの不穏さと不便な生活状況を知り、ごねる冬馬に異世界の創造神は様々なスキルや特典を与えてくれた。 日本と同程度は難しいが、努力すれば快適に暮らせるだけのスキルを貰う。 「召喚魔法? いや、これネット通販だろ」 発動条件の等価交換は、大森林の素材をポイントに換えて異世界から物を召喚するーーいや、だからコレはネット通販! 日本製の便利な品物を通販で購入するため、冬馬はせっせと採取や狩猟に励む。 便利な魔法やスキルを駆使して、大森林と呼ばれる魔境暮らしを送ることになった冬馬がゆるいサバイバルありのスローライフを楽しむ、異世界転生ファンタジー。 ※カクヨムにも掲載中です

召喚されたけど要らないと言われたので旅に出ます。探さないでください。

udonlevel2
ファンタジー
修学旅行中に異世界召喚された教師、中園アツシと中園の生徒の姫島カナエと他3名の生徒達。 他の三人には国が欲しがる力があったようだが、中園と姫島のスキルは文字化けして読めなかった。 その為、城を追い出されるように金貨一人50枚を渡され外の世界に放り出されてしまう。 教え子であるカナエを守りながら異世界を生き抜かねばならないが、まずは見た目をこの世界の物に替えて二人は慎重に話し合いをし、冒険者を雇うか、奴隷を買うか悩む。 まずはこの世界を知らねばならないとして、奴隷市場に行き、明日殺処分だった虎獣人のシュウと、妹のナノを購入。 シュウとナノを購入した二人は、国を出て別の国へと移動する事となる。 ★他サイトにも連載中です(カクヨム・なろう・ピクシブ) 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

処理中です...