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そして終わりのご案内

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どもです、篠宮です。
お読み下さり、ありがとうございました^^
また想像していた以上の皆様にお目を通して頂けたこと、とても嬉しく心より感謝申し上げます。

で。

ね? BLっぽい箇所って、ほんの少し、風味だけ! でしたでしょ??
BLをほんの少しでも楽しみにされた方にとっては、大分肩透かしな感じだったかなと思います。
肩を透かされてしまった皆様、ごめんなさいm--m
えぇ、自分なら確実肩透かしと思って……がふんげふん

小心者なので、一応のタグでした^^;


そして……
これって、ハッピーエンドになるのでしょうかね(笑
私の中では、ハッピーエンドです。
流された感満載ですが、本音のところでは二人ともお互いを想って未来を見ておりますので、うん。
あぁぁ、でもなんだろう。この、胸を張って堂々とハッピーエンドだよ!といえないもやもや感(笑



それでは皆様、ここまでお付き合いくださりありがとうございました^^
下記は、ここまでお読みくださいました皆様へ、おまけのお話です。

では!




**********************************************


「桜子、蓮にお仕置きを受ける……はずが、されたのは???」





 すっごい居づらいんだけど、何この雰囲気、ていうか私いなくていいよね?
 帰っていい? もしくは、一昨日から自分の部屋になったらしい洋室に逃げていい?


 そんな事を脳内でリピートしながら、それでも口に出せないこの雰囲気。


 だってめちゃくちゃ怖いんだけど、すんごいいたたまれないんだけど。


 さて。
 一昨日のテンプレ使って、ご説明してみましょう!

 
 皆様、左手をご覧ください。
 めっちゃくちゃ近くにいるので顔ごとは向けないように。
 視線だけ。
 はい。昨日より(結婚の約束しちゃったのは、日をまたいでからだったらしくて、十四日ではなく十五日。てーかあの状況で、なんでそんなのちゃんと確認してるわけ? ……変態?)めでたく? 婚約者と相成った、古藤 蓮がにこやかな笑みを浮かべてなっがい足を優雅に組んでソファに座っております。

 ……考えてみたら、ここって、加藤さんに連が押し倒されていたところじゃなかったっけ……。
 ま、そこは忘却の彼方に流し去りましょう。



 皆様、目の前をご覧ください。
 向かいの一人掛けのソファに、これまた無邪気な笑顔の桜子さんがゆったりとしたふわふわワンピースを広げて足をそろえてお座りになっております。

 ……そしてそのまま、目線を左下へとお動かし下さい。

「あの、本当に古藤先生にはご迷惑を……」
 がくがくぶるぶる震えるくまさん……じゃなかった、加藤さんが正座をして肩を落として項垂れています。


 はい。
 私の手には、めちゃくちゃお高いカップエーンドソーサー! がありますが、香り高いお紅茶とか今楽しめる奴がいたら、お目に掛かりたいわ!


 以上、脳内雄叫び実況生中継でした☆

 なーんて言って、フェイドアウトできたらいいのにね……。



 本日加藤さんと桜子さんがここに来たのは、お仕事の打ち合わせが三割、先日の謝罪が七割。
 本格的な引っ越しを昨日の夜で終えやがった司と古藤四兄弟のせいで、その場に私まで居合わせることになってしまった。


「で、桜子さん。もう少し、しおらしく謝ることは無理なお願いなのかな?」
「えー、桜子ってばー、すんごい反省してるんですけどぉっ。葉月さぁん、古藤先生が許してくれないですぅ」


 ……やめてよして私を巻き込まないで。


 脳内で叫んで、そのまま顔も上げずにカップの中で小刻みに揺れる水面をひたすら見つめる。

 ……私ってば、すんごく震えてるのね。びっくり。


「葉月も許せないって」
「えぇ~? 駄目なんですかぁ?」


 ……駄目です。と言えればいいな。

 とりあえず、加藤さんは許したい……けど許したら私に矛先が向きそうだから、すべて何も聞いていないふりを徹底しようと思います!
 我が身が一番かわいい!!


「とりあえず、ペナルティな」
「えぇ~、ペナちゃんやだぁ」


 ……ペナちゃん……?
 ペナルティがペナちゃん……?


 自分と違いすぎる価値観をお持ちの桜子さん。
 ごめん、会話聞いているだけで蓮とは違う悶えに支配されそうなんですけど!

「加藤さん、あなたにも」
「え! 俺……私にですか?」

 おっと、言い直しはぎりぎりセーフかな!?
 
「あなたが一番の原因なんですから、当たり前でしょう」
「え、私が一番の原因ですか? 当然、私も謝罪させて頂く立場ですが……」
 本心から意味が分からないという表情を浮かべた加藤さんに、蓮は眉を顰めた後、桜子さんを見た。

「……説明してないのかよ」

 桜子さんは、蓮の睨みなんてどこ吹く風。
 あらぁ何の事? と、可愛らしく首を傾げている。

 蓮は、ふぅん……と呟くと、がっくり項垂れている加藤さんを見た。


「そう」



 ……なんか、おもちゃ見つけたようなすんごい腹黒い顔してるのは……気のせいだよね???


 桜子、ペナルティ決めた。あと、その口調いい加減やめろ。気持ち悪い」
「えー? ま、いっか。で、なんだよペナルティって」

 ……は?

「勿体つけてないで、さっさといえよ。ったく目的は達成できないわ、ペナルティ負うわ、最悪だわ」


 ……誰、この男言葉がめちゃくちゃ似合わない天使みたいな見てくれの女の子は。


「桜子先生! 素が出すぎです!」
「うっさいよ、祐介。いっそのこと、BLのあの仕事のモデル、祐介の顔そのまま描いてやろうか」


 ……桜子先生は、これが素らしいです。


 蓮は言い合いする二人を目を細めて見遣りながら、ちょいちょいと桜子さんだけを呼んだ。
「耳かせ、桜子」
「?」
 うさん臭そうな表情を浮かべた桜子さんが、中腰で近寄る。


「……お前の目的達成しろ。それがペナルティ。いい条件だろ?」
 は? という声を遮る様に、蓮が後ろの加藤さんを見た。
「加藤さん。あなたへのペナルティは、桜子のお願いを聞く。それでいいよ」
「お願い、ですか?」
 仕事の事でのペナルティだと思っていただろう加藤さんが、情けない顔のまま、それでも少しホッとしたような表情でぎこちなく頷いた。



 ……桜子さんの目的を知っている私としては、なんかホッとしてる場合じゃないとか思うんだけど……


 あ、でも据え膳? 加藤さん、喜ぶ?

 そんな事を考えていたら、桜子さんが納得できないような表情を浮かべた。
「それ、ペナルティでもなんでもなくね?」
「いや? その目的が達成できたら、過程から結果まで報告よろしく」


 ……


 何言ってるの、蓮。


 呆気にとられている私の前で、桜子さんは理解し終えたらしい。可愛らしいお顔で、真っ黒な笑みを浮かべる。


「挿絵はもちろん、私だよな?」
「あぁ、当たり前だろ?」


 それだけで、話は通じたらしい。
 桜子さんはくるりと加藤さんに向き直ると、両手を掴んで立ち上がらせた。

「そしたらぁ、私のお願いきいてくれるぅ~?」

 ……変わり身早いよ!


 加藤さんも戸惑ったらしく、私達と桜子さんの間で視線をせわしなく移動させている。
「……お願い、とは?」
 桜子さんはその問いに何も答えず、加藤さんを引っ張って部屋から退場していった。

 まずわぁ、祐介の家に行くのぉ~、という言葉を残して。




「ねぇ、蓮」
 静かになった部屋に、私の声が響く。
「なぁに? 葉月」
 とても楽しそうな声音。
「何する気?」
 すると蓮は、ゆっくりとソファから立ち上がった。

「……俺は、物書きだよ?」

 仕事を進めておかないとね、という意味深な言葉を残して、蓮も仕事部屋へと去っていたった。







 後日。
 強気な絵描きとへたれな担当編集者が主人公の小説が、加藤さんの勤める出版社から発売されました。
 もちろん、蓮が書いて桜子さんが描いたもの。

 あぁその主人公二人が、なんか童顔美少女と大柄くまさんにみえるのは、目の錯覚だと思ってあげたい……





 ――加藤さん、ファイト!





---------------------


 加藤は自分の知らない間に、自分じゃない編集者が古藤の小説の担当をしたことに気が付いて、ゲラを取り寄せて真っ青になった。
 主人公は、強気な絵描きとヘタレな大柄編集者。
 その設定だけでも思い当たる節がありすぎるのに、その内容までも……といったら勘違い思い違いで済まされるどころじゃない。
 しかも挿絵を描いたのが、桜子で。

「いやー、びっくりしたぞ? 単発とはいえ古藤先生の担当が俺に回ってきたのもそうだけど、設定どころか挿絵もお前とお前の担当している桜子先生とそっくりでさ!」


 そう。
 見た目、おもいっきり自分と桜子なのだ。


 固まる加藤の肩を、この本の担当となった同僚がバンバン叩く。

「桜子先生に聞いたら、ちょうどいい所にモデルがいたのでって言ってたけど。一瞬、お前たちの事かと思ったよ」

 ……

「ダメだぜー、桜子先生に手出しちゃ。あの先生人気あるんだから、スキャンダルスキャンダル」

 ……

「まぁ、もしそうならこんな本にはしないよな。古藤先生だって、鬼畜じゃあるまいし」

 ……

「担当降りたくなったらすぐ言ってくれよな。古藤先生、感じはいいし仕事は早いしめちゃくちゃいい人じゃん。俺が担当したいよ」

 そしてそのまま同僚は、固まる加藤を置いて自分の席へと戻っていった。


 ……

って、固まってる場合じゃない!


慌てて外階段に駆け出しながら、携帯で古藤先生に電話を入れた。



「はい」

 数コール後にでた古藤先生に、加藤は思いっきり、けれど小声で叫んだ。


「古藤先生! もう、何でもしますから! 何でもしますから、お願いですからあの本だけは! あの本だけは出さないで下さいぃぃっ!」

 一気に叫び倒せば、一瞬の静けさの後、端的かつ無情な言葉が返ってきた。

「無理。桜子には了承取ってるし」

 そりゃそうでしょうとも、挿絵描いてんだから!!

「お願いします! お願いします!」

 蓮、どうしたの~と、のんびりな声が後ろから聞こえてくる。
 あぁぁ、葉月さん! お願いです、先生を止め……


「……ごたごた言うと、十八禁にするぞ」


ものすっごく低い声で、そう言いうとあっさりと通話をきられた。



「……」



 ……古藤先生だけは怒らせまいと心に誓った、加藤祐介、冬の事であった。




-------------------------------------------


ありがとうございました^^

             篠宮 楓
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