94 / 112
SS番外集
――本当に滑稽で、馬鹿らしくて可笑しくて。 辻。
しおりを挟む
なんだか書いてたら、ななしの頭の~の二話が、この話の前振りの様になりました(笑
あれー?
----------------------------------------
「今帰り?」
目当ての後姿を見つけて、ゆっくりと近づく。
クラスの違う彼女を教室外で見つけるのは、タイミングが必要。周囲を見渡せば、放課後だというのに人気のない廊下。これなら逃げられることはないと判断をして、声を掛けた。
びくりと震える肩、そして止めた足。
その態度に、思わず内心独りごちる。
僕は犯罪者か何かか。
いや、彼女が怯える気持ちもわからなくはないけれど。
殊更ゆっくりと足を進めて、彼女から少し距離を置いた場所に立った。
「岸田さん?」
名前を呼べば、小さく息を吐き出す音。そしてぎゅっと手を握りしめながら、彼女……岸田さんは振り向いた。
「辻、くん」
変な所できられる言葉に、岸田さんの緊張が伝わってくる。
僕は彼女を宥める様に柔らかい笑みを意識的に表情にのせて、もう一歩近づいた。
「そんなに怖がらないでよ。何もしないよ?」
今は。
そんな言葉を内心呟きながら降参する様に両手を上げれば、岸田さんは口ごもりながら小さく首をふった。
「そうじゃなくて……怖がってるわけじゃ、ないけど。でも、その……」
「あぁ、迫られるとでも思って警戒してる?」
そう言った途端、岸田さんの顔が真っ赤になった。
……可愛いなぁ
今まで原田を目で追ってる岸田さんを見続けてきたせいか、怯えだろうが羞恥だろうが自分に向けられる感情が嬉しくてたまらない。困っている表情でもいい、見ていたいと思う自分は高校生としてどうなんだろうと思うけれど、まぁどうでもいい。
「あ、えっと、その。辻くん相手に、自意識過剰だとは思うんだけどっ」
恥ずかしいのか俯いたまま焦ったように言葉を連ねる岸田さんは、困った表情だけれど悲しそうな色はない。原田を見ていた岸田さんは、幸せそうな時よりも切ない表情の方が多かった。
だから……
音を立てずにもう一歩彼女に近づいて、手を伸ばす。
「自意識過剰なんかじゃないよ。岸田さんが警戒するの、僕は懸命だと思うな」
「え」
言い終わるか言い終わらないかのうちにその頬を手で触れた途端、岸田さんがずささっと音が聞こえそうなほどの素早さで後ろに下がった。
信じられないものを見たかのようなその表情と態度に、思わず笑みが零れる。
「ね? 警戒は重要」
「な……っ」
言葉になってない声を零す、その口も可愛い。
真っ赤になって、僕を見上げるその目も可愛い。
よーするに、全部が可愛い。
うん、僕自身、僕がやばい人間に思えるよね。やばいやばい。
でもさ。
原田っていうストッパーがなくなった途端、今まで長い時間抑え込んできたものが膨れ上がるのって仕方ないと思わない?
あぁ、思わないって?
そう。まぁ、別に誰に許可を得るものではないからいいんだけど。
「つ、辻くん、ホントに高校生?!」
「高校生のつもりだけど」
もーすぐ十八歳かな。
真っ赤な顔のまま僕を見る岸田さんは可愛いけど、苛めすぎたかな……と苦笑して肩を竦めた。
「この位にしないと嫌われちゃいそうだから、そろそろ行こうかな」
くるりと踵を返す。
そして一・二歩歩き出した時に聞こえてきた息を吐き出す声に、徐に足を止めた。
振り向けば、ホッとしていただろ岸田さんの表情がこわばる。
「早く、僕のとこにおいで?」
「……!!」
じゃないと……口八丁手八丁、息つく暇もなく口説き落とすから覚悟しておいた方がいいよ。さすがにその言葉は口の中で留めて、にっこりと笑みを浮かべる。
岸田さんに、何を考えているのか分からないと言われた笑顔。
君の事を考えてるんだけどね。
……そう思ったのは、いつのことか。
僕は、名残惜しさを押さえつけてその場から歩き去った。
岸田さんと僕の関係は、あの合宿の日から変わっていない。
一応告白というものもしてみたけれど、分からない・考えられないと一蹴されてしまった。
まぁ、それはそうだろうと思う。彼女にしてみれば、長い片想いが終わってしまったばかり。しかも振られたわけではなく、諦めようとしている状態。
そこで僕から何か言われたとしても、心が変わるわけじゃない事くらい理解してる。
でも。
そこまで考えた時、ポケットに入れていた携帯が音をたてて揺れた。
それはメールの着信で。
内容を確認して、笑みが深まる。
「へぇ?」
思わず呟いた声は、いつもより低くて。
携帯をポケットに滑り落として、教室へ向かっていた足を部室へと変えた。
「井上と佐々木は、部活に顔出してるはずだよな」
確か、原田は委員会に出ていて今日は来ないはず。
夏をもって引退した三年だけど、たまに時間が出来ると練習に付き合うために顔を出す様にしていた。こっちの息抜きにもなるから、と。
あぁ、なんてまぁ都合のいい。
僕のこの状況を考えたらさ。
原田に八つ当たりしても、許されると思うんだ。
え? 許されない?
そ。別に、僕がしたいだけだからいいんじゃないかな。
部室に入ると、案の定佐々木と井上が、二年の部長である柿崎と何か話し合っていた。ドアを開けた僕に驚くように顔を上げた三人が、不思議そうな表情を浮かべる。
「どうした、辻。お前、今日部活来ないんじゃなかったっけ?」
「んー? 面白いこと聞いたからさ」
「面白い事?」
興味を惹かれた様に目を瞬かせる佐々木に、ニコリと笑いかけて携帯のメール受信画面を見せた。覗き込むようにして内容を確認した佐々木は、にやりと笑って頬杖をつく。
「へー、ふーん。いいよねぇ、彼女持ちは」
「なんすか、彼女持ちって」
柿崎が、佐々木の話に喰い付く。
僕はそれを目を細めて見ながら、井上の呆れたような視線を一切合財無視した。
そしてもう一度、携帯画面に視線を落とす。
――久しぶり、辻くん。
多分うちの弟は隠し通すだろうから、言っとくね!
明日、アオちゃんってば要さんちに行くんだって。
留守番要員で。もちろん、うちの弟と会うって言ってたけど。
残念ながら、私はいけないのよねぇ。
報告、楽しみにしてるよ!――
身内からOK出てるから、いいでしょ。
携帯をポケットに戻して、楽しそうに話す佐々木の言葉に耳を傾けた。
佐々木に遊ばれて原田が逃げるようにアオさんちに向った後、少し時間をおいて僕たちも向った。
最初っから行ったら、つまらないしね。
あれだけ佐々木に煽られた原田が、どんな行動に出るかも楽しみだし。
アオさんちについて、庭に自転車を止めて部屋の中を見る。
居間に姿がないという事は、他の部屋か台所にいるのか。
首を傾げた佐々木が、大きな声で呼びかけた。
「なーなしー! アオさん襲ってないだろーなー!」
ストレートだなー、佐々木。
僕には出来ない。
少し間があって。
顔を出したのは、原田。その顔は、真っ赤に染まってる。
「お前ら、来たのかよ!」
「ずっこいじゃんか、お前ひとり。ねー、アオさん!」
ななしの後ろから顔をのぞかせたアオさんに、佐々木が嬉しそうに笑いかける。アオさんは、うんうんと頷いて口端をあげた。
「ひさしぶりだねぇ。今、お茶いれるからね」
そう言って、台所へと踵を返す。
……うん、あやしい。
特に、原田の真っ赤な顔とか。
嫌なものを視るかのような表情を浮かべる原田に向けて、僕はにっこり笑ってみた。
「原田。ついてるよ、口」
「……!」
途端、手の甲で口元を拭う原田。
その姿に、佐々木がにんまりと笑った。
「へー。なにが?」
その言葉で、原田は鎌をかけられたのに気付いたのだろう。真っ赤になって佐々木に詰め寄る原田の姿は、とても滑稽で楽しそうだ。
そこで僕に来ない所が、ある意味適材適所佐々木ポジション。
言い争いを始めた二人に驚いて、アオさんが台所から顔を覗かせた。そこでアオさんまで佐々木に遊ばれて、それを見た原田がまた怒鳴って。
滑稽。
本当に滑稽だ。
「……」
――本当に滑稽で、馬鹿らしくて可笑しくて……幸せそうで悔しくなる。
「アオさん」
真っ赤な顔をして、おろおろと佐々木と原田を見遣っているアオさんに声を掛ける。困惑した表情のままこちらを見たアオさんに、にっこりと安堵させるような笑みを向けた。
少しほっとした様に僕を見返すのは、この状況を収集してもらえると思ったからだろう。
うん、ごめんねアオさん。
期待に応えられなくて。
「生真面目な男ほど、箍が外れると大変ですから。気を付けてくださいね?」
「……!!」
途端、もっと真っ赤になる原田とアオ。その態度と表情に、佐々木がぽつりとつぶやいた。
「あー。もうはずしちゃってた?」
原田の怒鳴り声と、佐々木の笑い声と。恥ずかしそうに縮こまる、アオさんと。そして呆れたように傍観する、井上。
それを眺める僕が一番、阿呆らしいんだろうな。
八つ当たりしたつもりが、あてられてるだけじゃないか。
小さく息を吐くと、僕はポケットに入れっぱなしだった携帯を手に取った。
副部長とマネージャーというつながりで手に入れた、彼女のアドレス。それを表示させて、ただ短く、一言送信した。
送信を終えた画面が戻るのを見て、口端を上げる。
きっと、彼女の頭の中は僕でいっぱいになるだろう。
携帯をポケットに戻しながら、焦る彼女を思い浮かべて目を細めた。
あれー?
----------------------------------------
「今帰り?」
目当ての後姿を見つけて、ゆっくりと近づく。
クラスの違う彼女を教室外で見つけるのは、タイミングが必要。周囲を見渡せば、放課後だというのに人気のない廊下。これなら逃げられることはないと判断をして、声を掛けた。
びくりと震える肩、そして止めた足。
その態度に、思わず内心独りごちる。
僕は犯罪者か何かか。
いや、彼女が怯える気持ちもわからなくはないけれど。
殊更ゆっくりと足を進めて、彼女から少し距離を置いた場所に立った。
「岸田さん?」
名前を呼べば、小さく息を吐き出す音。そしてぎゅっと手を握りしめながら、彼女……岸田さんは振り向いた。
「辻、くん」
変な所できられる言葉に、岸田さんの緊張が伝わってくる。
僕は彼女を宥める様に柔らかい笑みを意識的に表情にのせて、もう一歩近づいた。
「そんなに怖がらないでよ。何もしないよ?」
今は。
そんな言葉を内心呟きながら降参する様に両手を上げれば、岸田さんは口ごもりながら小さく首をふった。
「そうじゃなくて……怖がってるわけじゃ、ないけど。でも、その……」
「あぁ、迫られるとでも思って警戒してる?」
そう言った途端、岸田さんの顔が真っ赤になった。
……可愛いなぁ
今まで原田を目で追ってる岸田さんを見続けてきたせいか、怯えだろうが羞恥だろうが自分に向けられる感情が嬉しくてたまらない。困っている表情でもいい、見ていたいと思う自分は高校生としてどうなんだろうと思うけれど、まぁどうでもいい。
「あ、えっと、その。辻くん相手に、自意識過剰だとは思うんだけどっ」
恥ずかしいのか俯いたまま焦ったように言葉を連ねる岸田さんは、困った表情だけれど悲しそうな色はない。原田を見ていた岸田さんは、幸せそうな時よりも切ない表情の方が多かった。
だから……
音を立てずにもう一歩彼女に近づいて、手を伸ばす。
「自意識過剰なんかじゃないよ。岸田さんが警戒するの、僕は懸命だと思うな」
「え」
言い終わるか言い終わらないかのうちにその頬を手で触れた途端、岸田さんがずささっと音が聞こえそうなほどの素早さで後ろに下がった。
信じられないものを見たかのようなその表情と態度に、思わず笑みが零れる。
「ね? 警戒は重要」
「な……っ」
言葉になってない声を零す、その口も可愛い。
真っ赤になって、僕を見上げるその目も可愛い。
よーするに、全部が可愛い。
うん、僕自身、僕がやばい人間に思えるよね。やばいやばい。
でもさ。
原田っていうストッパーがなくなった途端、今まで長い時間抑え込んできたものが膨れ上がるのって仕方ないと思わない?
あぁ、思わないって?
そう。まぁ、別に誰に許可を得るものではないからいいんだけど。
「つ、辻くん、ホントに高校生?!」
「高校生のつもりだけど」
もーすぐ十八歳かな。
真っ赤な顔のまま僕を見る岸田さんは可愛いけど、苛めすぎたかな……と苦笑して肩を竦めた。
「この位にしないと嫌われちゃいそうだから、そろそろ行こうかな」
くるりと踵を返す。
そして一・二歩歩き出した時に聞こえてきた息を吐き出す声に、徐に足を止めた。
振り向けば、ホッとしていただろ岸田さんの表情がこわばる。
「早く、僕のとこにおいで?」
「……!!」
じゃないと……口八丁手八丁、息つく暇もなく口説き落とすから覚悟しておいた方がいいよ。さすがにその言葉は口の中で留めて、にっこりと笑みを浮かべる。
岸田さんに、何を考えているのか分からないと言われた笑顔。
君の事を考えてるんだけどね。
……そう思ったのは、いつのことか。
僕は、名残惜しさを押さえつけてその場から歩き去った。
岸田さんと僕の関係は、あの合宿の日から変わっていない。
一応告白というものもしてみたけれど、分からない・考えられないと一蹴されてしまった。
まぁ、それはそうだろうと思う。彼女にしてみれば、長い片想いが終わってしまったばかり。しかも振られたわけではなく、諦めようとしている状態。
そこで僕から何か言われたとしても、心が変わるわけじゃない事くらい理解してる。
でも。
そこまで考えた時、ポケットに入れていた携帯が音をたてて揺れた。
それはメールの着信で。
内容を確認して、笑みが深まる。
「へぇ?」
思わず呟いた声は、いつもより低くて。
携帯をポケットに滑り落として、教室へ向かっていた足を部室へと変えた。
「井上と佐々木は、部活に顔出してるはずだよな」
確か、原田は委員会に出ていて今日は来ないはず。
夏をもって引退した三年だけど、たまに時間が出来ると練習に付き合うために顔を出す様にしていた。こっちの息抜きにもなるから、と。
あぁ、なんてまぁ都合のいい。
僕のこの状況を考えたらさ。
原田に八つ当たりしても、許されると思うんだ。
え? 許されない?
そ。別に、僕がしたいだけだからいいんじゃないかな。
部室に入ると、案の定佐々木と井上が、二年の部長である柿崎と何か話し合っていた。ドアを開けた僕に驚くように顔を上げた三人が、不思議そうな表情を浮かべる。
「どうした、辻。お前、今日部活来ないんじゃなかったっけ?」
「んー? 面白いこと聞いたからさ」
「面白い事?」
興味を惹かれた様に目を瞬かせる佐々木に、ニコリと笑いかけて携帯のメール受信画面を見せた。覗き込むようにして内容を確認した佐々木は、にやりと笑って頬杖をつく。
「へー、ふーん。いいよねぇ、彼女持ちは」
「なんすか、彼女持ちって」
柿崎が、佐々木の話に喰い付く。
僕はそれを目を細めて見ながら、井上の呆れたような視線を一切合財無視した。
そしてもう一度、携帯画面に視線を落とす。
――久しぶり、辻くん。
多分うちの弟は隠し通すだろうから、言っとくね!
明日、アオちゃんってば要さんちに行くんだって。
留守番要員で。もちろん、うちの弟と会うって言ってたけど。
残念ながら、私はいけないのよねぇ。
報告、楽しみにしてるよ!――
身内からOK出てるから、いいでしょ。
携帯をポケットに戻して、楽しそうに話す佐々木の言葉に耳を傾けた。
佐々木に遊ばれて原田が逃げるようにアオさんちに向った後、少し時間をおいて僕たちも向った。
最初っから行ったら、つまらないしね。
あれだけ佐々木に煽られた原田が、どんな行動に出るかも楽しみだし。
アオさんちについて、庭に自転車を止めて部屋の中を見る。
居間に姿がないという事は、他の部屋か台所にいるのか。
首を傾げた佐々木が、大きな声で呼びかけた。
「なーなしー! アオさん襲ってないだろーなー!」
ストレートだなー、佐々木。
僕には出来ない。
少し間があって。
顔を出したのは、原田。その顔は、真っ赤に染まってる。
「お前ら、来たのかよ!」
「ずっこいじゃんか、お前ひとり。ねー、アオさん!」
ななしの後ろから顔をのぞかせたアオさんに、佐々木が嬉しそうに笑いかける。アオさんは、うんうんと頷いて口端をあげた。
「ひさしぶりだねぇ。今、お茶いれるからね」
そう言って、台所へと踵を返す。
……うん、あやしい。
特に、原田の真っ赤な顔とか。
嫌なものを視るかのような表情を浮かべる原田に向けて、僕はにっこり笑ってみた。
「原田。ついてるよ、口」
「……!」
途端、手の甲で口元を拭う原田。
その姿に、佐々木がにんまりと笑った。
「へー。なにが?」
その言葉で、原田は鎌をかけられたのに気付いたのだろう。真っ赤になって佐々木に詰め寄る原田の姿は、とても滑稽で楽しそうだ。
そこで僕に来ない所が、ある意味適材適所佐々木ポジション。
言い争いを始めた二人に驚いて、アオさんが台所から顔を覗かせた。そこでアオさんまで佐々木に遊ばれて、それを見た原田がまた怒鳴って。
滑稽。
本当に滑稽だ。
「……」
――本当に滑稽で、馬鹿らしくて可笑しくて……幸せそうで悔しくなる。
「アオさん」
真っ赤な顔をして、おろおろと佐々木と原田を見遣っているアオさんに声を掛ける。困惑した表情のままこちらを見たアオさんに、にっこりと安堵させるような笑みを向けた。
少しほっとした様に僕を見返すのは、この状況を収集してもらえると思ったからだろう。
うん、ごめんねアオさん。
期待に応えられなくて。
「生真面目な男ほど、箍が外れると大変ですから。気を付けてくださいね?」
「……!!」
途端、もっと真っ赤になる原田とアオ。その態度と表情に、佐々木がぽつりとつぶやいた。
「あー。もうはずしちゃってた?」
原田の怒鳴り声と、佐々木の笑い声と。恥ずかしそうに縮こまる、アオさんと。そして呆れたように傍観する、井上。
それを眺める僕が一番、阿呆らしいんだろうな。
八つ当たりしたつもりが、あてられてるだけじゃないか。
小さく息を吐くと、僕はポケットに入れっぱなしだった携帯を手に取った。
副部長とマネージャーというつながりで手に入れた、彼女のアドレス。それを表示させて、ただ短く、一言送信した。
送信を終えた画面が戻るのを見て、口端を上げる。
きっと、彼女の頭の中は僕でいっぱいになるだろう。
携帯をポケットに戻しながら、焦る彼女を思い浮かべて目を細めた。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
私を振ったあの子をレズ風俗で指名してみた。
楠富 つかさ
恋愛
女子大生、長谷部希は同級生の中原愛海に振られ、そのショックをサークルの先輩に打ち明けると、その先輩からレズ風俗に行くことを勧められる。
希は先輩に言われるがまま愛海の特徴を伝えると、先輩はこの嬢がいいのではと見せてきたその画面にいのは……中原愛海その人だった。
同級生二人がキャストとゲストとして過ごす時間……。
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
堕ちていく私 陵辱女子大生日記
月乃綺羅
恋愛
あらすじ
地方の中高一貫女子校を卒業し、東京の大学に進学した恭子。垢抜けなさはあるものの、整った顔立ちと男好きのする少しふっくらとした体型もあり、言いよる男も少なくなかったが、地元に残した彼氏に義理立てをして、断り続けていた。
しかし、遠距離恋愛の壁によって破局。ちょうど彼との関係について相談に乗ってくれていた同級生、直樹と付き合うことに。元彼とはプラトニックな関係を貫いていた恭子だったが、直樹とは一線を越える。
いつも優しく、大人っぽい落ち着きのある直樹だったが、会うたびに過激化していく直樹とのセックスに不安を覚える恭子だった。
この作品はpixiv、ノクターンノベルスにも投稿しています。
完堕ち女子大生~愛と哀しみのナポリタン~
ミロ
恋愛
うぶだったが故に騙され
奥手だったが故に堕とされる
父親よりも年上のセックスモンスターに
十九歳のしなやかな肉体は
なす術なく開発されていく
快楽の底なし沼に引きずり込まれていく
暴走する歪んだ愛に翻弄される女子大生が
辿り着いた先にあるのは絶望か
それともーー
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる