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1.1 お互いの目標
5話 魔法が使えない理由
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明日以降の授業について考えていた。シャルロット様が魔法をうまく使えない理由にいくつか心当たりがある。まず1つ目は魔素をうまく吸収できていないこと。魔法を使う際、魔素を体内に取り込むことが必要だがシャルロット様はそれができていないのかもしれない。2つ目は体質の問題。これも先程とは似て非なるもの。魔素を取り込むことはできるが、体内で魔法に変換することを苦手としていること。これも1つ目と同様に日々の努力で解決できる。
最後の可能性は考えたくないが、シャルロット様自身にリミッターがかけられているということ。これは運が必要だ。どれだけ努力しようと、プロセスを習得しない限り魔法をスムーズに使いこなすことができない。そしてプロセスと言うのは個人個人で違うため、シャルロット様がどのような条件になっているかはわからない。
どのようにしてリミッターがかけられるか。それは自分自身の魔力を制御しきれないから無意識に制御をかけてしまっている。だから何かしらのきっかけが必要となる。
(まあ明日すべての可能性を考えて試してみるか...)
するとフィクルさん経由で食事に招待されたので、ダイニングルームへ移動する。中に入るとすでにハイーラ様とシャルロット様が待っていた。
(あれ? 奥様は?)
そう思いながら椅子に座らせてもらう。
「本日は食事の招待ありがとうございます」
「いいよ。それに今日からヘンリーくんも一緒に食事をとってもらう予定だしね」
「え? あ、失礼しました」
「まあ驚くのも仕方がない。なんたって普通は一緒に食事をとるなんてことがないからね」
「はい...」
公爵家で働いていた時は一緒に食事をとったことがなかったから、一緒に食事をとろうと言われた時は何かミスでもしたのかと思ったけど、今の内容的にそうじゃなさそうだしよかった。俺が疑問そうな顔をしているとハイーラ様が答えてくれる。
「どうしてもシャルが一緒に食事をしたいと言ってきてね」
「お父様! 言わない約束じゃないですか!」
「まあまあ。言って損はないじゃないか」
「...」
シャルロット様の顔がみるみる赤くなるのが分かる。そこから少し会話をしながら食事をしていると、ハイーラ様が真剣な顔をしながら尋ねてきた。
「それでだけど、本当によかったのか? はっきり言って私たちの家は落ちこぼれている。それなのに3年と言う長い期間契約をして」
「はい。大丈夫です。それに私が決めたことなので後悔はありません」
こう言っているが、はっきり言ってもっと他の場所で働いてもよかったという気持ちも少しはある。だけどシャルロット様を助けたいと思っているし後悔は無い。
「そうか。なら明日から宜しく頼むよ」
「はい」
食事が終わり風呂場を借りた後、部屋に戻ってすぐさま就寝してしまった。
次の日、部屋の扉が叩かれる音がした。
(何だ?)
そう思いながら扉を開けるとそこにはシャルロット様が待っていた。
「あ、ごめんなさい。早く来すぎてしまいましたね。また少し時間をおいてから来ますね...」
「いえ、すぐ支度をしますので、すこしだけお時間をいただけますか?」
昨日俺が時間を指定しなかったミスだ。それにここまで意欲が高いのに断るなんて教師としてやってはいけない。
「はい。では待っていますね」
部屋を閉じで数分で支度をして、部屋を出て外に行く。
「また外なのですか?」
「まず最初にシャルロット様がなぜ魔法をうまく使えないのか知るためですよ」
すると驚いた顔でこちらを見ながら
「え! そんなことができるのですか?」
「はい。今からやり方を説明しますね」
「お願いします」
楽な態勢をとって魔眼を開眼させる。
(本当は見せたくなかったが、致し方ない)
一般的に魔眼とは魔族が持っているものだから、人間が持っていると嫌われる存在になってしまう。一応は魔法書によれば魔眼はある一定の素質を持っている人物が所持していることになっているから、魔族とは全く無関係ということになっている。
「え? 先生は魔眼を持っていらっしゃるのですか?」
「はい。いや、ですよね...」
「いえ、私のために使っていただいているのは分かります。それなのに拒絶するなんて失礼ですし、私は先生を信じていますので大丈夫です」
信じている...。まだ会って日が浅いのにここまで言ってくれている。それに俺は少し嬉しさを感じる。
「ではなんでもいいので魔法を使ってみてください」
「はい...」
1分ほど待つと片手に小さな火が出てきたのが分かる。
魔法を使ってもらう際、魔素はうまく体内に取り込むことはできていたし、循環もしていた。魔素を吸う際、何も問題はなかったし循環もできていた。
(...)
「わかりましたよ」
「え? そんなに早く分かるものなのですか?」
「はい。体質などの問題はありません。シャルロット様自身に制限をかけてしまっていることが、魔法をうまく使えない理由です」
一番最悪なパターンだ。他の場合なら2週間で確実に使いこなせると思っていたが、やはりリミッターをかけていたか...。
こうなったらやれるだけやってみるしかない...。逆に言えば魔法の才能があるから、ここさえ乗り切ればシャルロット様は俺が知る中で最強の魔法使いになれるかもしれない。
そう思うだけで嬉しくも感じてきた。
(この子は最強になれるかもしれない)
最後の可能性は考えたくないが、シャルロット様自身にリミッターがかけられているということ。これは運が必要だ。どれだけ努力しようと、プロセスを習得しない限り魔法をスムーズに使いこなすことができない。そしてプロセスと言うのは個人個人で違うため、シャルロット様がどのような条件になっているかはわからない。
どのようにしてリミッターがかけられるか。それは自分自身の魔力を制御しきれないから無意識に制御をかけてしまっている。だから何かしらのきっかけが必要となる。
(まあ明日すべての可能性を考えて試してみるか...)
するとフィクルさん経由で食事に招待されたので、ダイニングルームへ移動する。中に入るとすでにハイーラ様とシャルロット様が待っていた。
(あれ? 奥様は?)
そう思いながら椅子に座らせてもらう。
「本日は食事の招待ありがとうございます」
「いいよ。それに今日からヘンリーくんも一緒に食事をとってもらう予定だしね」
「え? あ、失礼しました」
「まあ驚くのも仕方がない。なんたって普通は一緒に食事をとるなんてことがないからね」
「はい...」
公爵家で働いていた時は一緒に食事をとったことがなかったから、一緒に食事をとろうと言われた時は何かミスでもしたのかと思ったけど、今の内容的にそうじゃなさそうだしよかった。俺が疑問そうな顔をしているとハイーラ様が答えてくれる。
「どうしてもシャルが一緒に食事をしたいと言ってきてね」
「お父様! 言わない約束じゃないですか!」
「まあまあ。言って損はないじゃないか」
「...」
シャルロット様の顔がみるみる赤くなるのが分かる。そこから少し会話をしながら食事をしていると、ハイーラ様が真剣な顔をしながら尋ねてきた。
「それでだけど、本当によかったのか? はっきり言って私たちの家は落ちこぼれている。それなのに3年と言う長い期間契約をして」
「はい。大丈夫です。それに私が決めたことなので後悔はありません」
こう言っているが、はっきり言ってもっと他の場所で働いてもよかったという気持ちも少しはある。だけどシャルロット様を助けたいと思っているし後悔は無い。
「そうか。なら明日から宜しく頼むよ」
「はい」
食事が終わり風呂場を借りた後、部屋に戻ってすぐさま就寝してしまった。
次の日、部屋の扉が叩かれる音がした。
(何だ?)
そう思いながら扉を開けるとそこにはシャルロット様が待っていた。
「あ、ごめんなさい。早く来すぎてしまいましたね。また少し時間をおいてから来ますね...」
「いえ、すぐ支度をしますので、すこしだけお時間をいただけますか?」
昨日俺が時間を指定しなかったミスだ。それにここまで意欲が高いのに断るなんて教師としてやってはいけない。
「はい。では待っていますね」
部屋を閉じで数分で支度をして、部屋を出て外に行く。
「また外なのですか?」
「まず最初にシャルロット様がなぜ魔法をうまく使えないのか知るためですよ」
すると驚いた顔でこちらを見ながら
「え! そんなことができるのですか?」
「はい。今からやり方を説明しますね」
「お願いします」
楽な態勢をとって魔眼を開眼させる。
(本当は見せたくなかったが、致し方ない)
一般的に魔眼とは魔族が持っているものだから、人間が持っていると嫌われる存在になってしまう。一応は魔法書によれば魔眼はある一定の素質を持っている人物が所持していることになっているから、魔族とは全く無関係ということになっている。
「え? 先生は魔眼を持っていらっしゃるのですか?」
「はい。いや、ですよね...」
「いえ、私のために使っていただいているのは分かります。それなのに拒絶するなんて失礼ですし、私は先生を信じていますので大丈夫です」
信じている...。まだ会って日が浅いのにここまで言ってくれている。それに俺は少し嬉しさを感じる。
「ではなんでもいいので魔法を使ってみてください」
「はい...」
1分ほど待つと片手に小さな火が出てきたのが分かる。
魔法を使ってもらう際、魔素はうまく体内に取り込むことはできていたし、循環もしていた。魔素を吸う際、何も問題はなかったし循環もできていた。
(...)
「わかりましたよ」
「え? そんなに早く分かるものなのですか?」
「はい。体質などの問題はありません。シャルロット様自身に制限をかけてしまっていることが、魔法をうまく使えない理由です」
一番最悪なパターンだ。他の場合なら2週間で確実に使いこなせると思っていたが、やはりリミッターをかけていたか...。
こうなったらやれるだけやってみるしかない...。逆に言えば魔法の才能があるから、ここさえ乗り切ればシャルロット様は俺が知る中で最強の魔法使いになれるかもしれない。
そう思うだけで嬉しくも感じてきた。
(この子は最強になれるかもしれない)
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