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  第1章  フォラスの町編

 No.70 今度こそ、フォラスの町を出発

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 衛兵の不手際で、出発出来なかった詫びとして、衛兵詰め所の仮眠室に泊まる事になった。

 馬車を詰め所の厩に預け、中に入ると…

 「ギャッハハハ~(((o(*゚∀゚*)o)))
 リュウジ~、お前 ゲインズに絡まれて出発出来なかったんだってな~❗」

 「何でガンスさんが居るんだよ❗❓」

 「そんなの、呼ばれたからに決まってんだろ。
だいたい、お前が俺を呼べって言ったんだろ?
 お前の事を色々聞かれたぞ」

 幸いにして、フィリスとリリィは今日泊まる仮眠室に居る、俺とガンスさんが居るのは詰め所に入って直ぐの部屋だ。
 フィリスに聞かれ無いので助かる。

 「じゃあ、俺とフィリスが兄妹じゃ無いって知られたわけだ。
 また面倒な事にならなきゃ良いんだが」

 そこにシーナと言う衛兵がやって来た。

 「ガンスに聞かせてもらったわ。
はからずも、ゲインズの決めつけた、あなたたちが兄妹じゃ無いってのは、当たっていたわけね。
 まあそれ以外が検討違いだったわけだけど、冒険者見習いのリュウジ君」

 「リュウジ~、お前 リョウジって名乗ったらしいな。
どう言うことだ?」

 「ああ、ガンスさんは知らないよな。
俺は商業ギルド員になったんだ、その時〈リョウジ〉って名前で登録しただけさ。
 それでシーナさんだったっけ、出発が遅れた詫びだとか言いながら、結局 尋問する時間を作りたかったわけだ」

 「別に尋問じゃ無いわよ。
チョットお話しを聞くだけよ」

 「俺の商業ギルド証は確認しただろ。
もう話す事は何も無いし、話す気も無い」

 そこにフィリスがやって来た。

 「お兄ちゃん。お腹すいた~
ご飯まだ~(# ̄З ̄)」

 「ゴメン、ゴメン🙏💦💦
 そうだな、お腹すいたよな。
おい!シーナさんとやら。この詰め所 料理する場所ぐらい有るんだろな?」

 「廊下の一番右奥よ。
 食堂と炊事場に成ってるわ」

 「これから旅するお前達の食事じゃあ、どうせ干し肉とや焼き締めた黒パンだろうが……
 俺も腹へったんで、俺の分も頼むわ、銅貨 4~5有りゃ足りるだろ」

 (え~、ガンスさんの分もか❕❕
どうするかな? 大角鹿のベーコンはかなり有るが、出したくないな、それにトンコツ野菜スープなんて、値段付けられないし……
 う~ん、どうしよう……まァ、良いか❗❗
 肉はファングボアのベーコンにして、トンコツ野菜スープも付けてやろう)

 炊事場には竈が 4個有ったので、その内の2つを使わせてもらい、スープを温め、ファングボアのベーコンを300㌘程にして次々に焼いた。

 リリィとフィリスに配膳を手伝ってもらうが……

 「あれ❗❓
お兄ちゃん、お肉がいつもと違うよ。
 何で~❓❓ このお肉ファングボアのだよね、いつものお肉より美味しそうには見えないんだけど……
 フィリスいつものお肉が良いな~((( ̄へ ̄井)」

 「………そう言うなフィリス。
今日はガマンしてくれ。ファングボアの肉もそうマズくわ無いはずだから」

 (そうだよ、本来ベーコンは豚肉なんだよ!
だから、マズイくわ無いはずなんだよ)

 皆が席について、ガンスさんにもベーコンステーキ&トンコツスープ&黒パンの載ったトレーを出した。

 「お❕❕ 肉は干し肉じゃ無い上に、スープまで付くのか。
こりゃ~旨そうだ」

 ガンスさんは、さっそくベーコンステーキから食べ始めた。

 「おお❕❕ やたらウマイぞー」

 次にスープを飲んで、叫んだ

 「ウマー❕❕ヽ(♯`Д´)ノナンジャコリャー
こんなウマイ肉とスープは食った事がないぞ❗❗
 おいリュウジ、この肉とスープは何なんだ~❓
キリキリ吐け、何なんだこれは。
 今吐け,直ぐ吐け,とにかく教えろコノヤロ~」

 ガンスさんは席を飛び出し、俺の両肩を掴んでガクガク揺らす。

 ガンスさんの叫びを聞き、シーナと言う衛兵やその他数人の衛兵が食堂に入って来た。

 「いったい、何を騒いでいるの?」

 「おお❕ シーナ達か。
そこのスープと肉、食って見ろ。
 そうすりゃ解るぜ」

 衛兵達はガンスさんの分の肉とスープを皆で食べ……

 「「「いくら出せば、腹一杯食べられる(の)❓❓」」」

 皆さん、目が凄まじい事になっていらっしゃる

 「え~とですね……
肉はファングボアの肉を、特別な方法で加工したものです。
 スープも普通は使わないだろう素材(ファングボアの骨)を、使った物で これからこのスープで商売するかも知れないので、両方とも作りかたは教えられません。
 そして値段なんですが、まだ決めてないんですよ。
 逆に聞きたいんですが、幾ら出しますか?」

 「そう来ましたか!!
そうですね~両方食べ放題で銀貨1枚(1万円)出しましょう」

 「シーナ、いくらなんでも1食で銀貨1枚は高すぎないか?」

 「いえ、このスープがお代わり自由,食べ放題なら決して高くないかと思います」

 「そう言ってくれるのは嬉しいが、肉もスープも量に限りがある。
スープは中くらいの寸胴鍋1個分しかないし、肉もそんなに沢山は無いから、小銀貨5枚で良いよ」

 「よし、決まりね」


 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
   ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
     ・・・・・・・・・・・  

 当然スープは食べ尽くされ、4個有った約5㌔のファングボアのベーコンブロックは残り1つまで食われるし。 
 ベーコンは干し肉程では無いが、実は日保(ひもち)を考えて作った物だと話したら、そのブロックを誰が購入するか?で,もめるし………

 シーナは上司権限を振りかざそうとするし、ガンスさんは決闘を主張するし…… 肉買うために決闘って、バカなの??

 結局、俺が紙が無いから木の板に購入値段を書いて、一斉に出す入札方式を提案して収まったけど……



 色々大変だったが、翌朝 俺達はフォラスの町を旅立った。


 
 

 

 
 
 

 

 
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