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  第1章  フォラスの町編

 No.64 旅の準備 二度目のギルド長との商談

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 俺達はギルド長室を出て、倉庫の空き部屋にやって来た。

 「この部屋なら壁は厚いし、隣の部屋で聞き耳たてても聞こえないだろ。
 変なマジックアイテムもないし……」

 (索敵魔法と魔力感知で人が近づけば分かるしな)

 立ち話もなんなので、マジックバックからテッドのアジトから失敬してきたテーブルと椅子を出した。

 「さて、今朝から俺達をつけ回す人間が2人程居るんだか、ギルド長さんよ、大角鹿の取り引きを誰に話した。
 たぶん、その金を狙う盗賊の類(たぐ)いだと思うんだが、お前サンはどう思うね。
 まったくよ、商業ギルドで取り引きすると、取り引き内容が盗賊に直ぐ知られるんじゃ商業ギルドで高額取り引きするには、毎回 魔法誓約で取り引き内容は一切他人に漏らさない契約をしなきゃ、安心して取り引き出来ないぜ」

 (な❗なんですって❗❓
リュウジ…いえリョウジ君を付け回す2人組が居るですって❗
 ま、不味いですね。
 リョウジ君の事です、簡単に私を信用しないでしょうし
 さて、どうしますか?
ここで下手な誤魔化しをすれば、完全に信用を失いますね……
 正直に話すしか無いでしょう)

 「確かに話しましたが、冒険者ギルドのサブマスターと武器防具屋のベインの二人だけですよ」

 「どうして、あの二人に俺が大角鹿の素材を売ったことを話す必用が有った?」

 「そ…  それは………」

 「言えないか?
まあ、予想はつくがな。 
 取り引き情報を冒険者ギルドに流す代わりに、俺を良く知るベインを紹介してもらい俺の個人情報を得たんだろ……
 どうりてベインの奴、バカッ高い魔道具になってるローブを勧める訳だわ、俺の懐(ふところ)事情を知ってたんだからな……
 そして、俺の取り引き情報と個人情報を合わせて盗賊に流して、俺を襲わせ、取り引きで得た金が入っているだろうマジックバックを奪わせる。 そのあと警備隊に情報を流し盗賊を逮捕させ、マジックバックは商業ギルドが所有権を主張する。
 そんな所か?」
 
 「違います、それは違います❗
私は盗賊には情報を流していません。
 それだけは信じて下さい」

 「自分を信じろね~
お前 バカなのか❓
 取り引き情報をぺらぺら他人に話す奴をどうやって信じろと?
 それにわざわざベインに会って俺の情報を仕入れたのは、個人的な興味じゃあるまい?
 誰かに報告するためだよな。
 自分で言ったよな《盗賊▶には◀流して無い》ってよ
 それは別に流した奴が居るって事だよな~
 あのときの魔法契約が有るから、自分は情報を流す事は出来ない なんて言い出すなよ。
 有るんだろ、抜け道が色々と」

 「お兄ちゃん、付けて来てる2人組は、人拐いじゃなかったの?」

 「フィリスちゃん、まだ人拐いか盗賊か分からないわよ」

 「そうです、そうです!
私は盗賊になど情報を流してませんから、町でたまたまお嬢さん方を見た人拐いの線が濃厚でしょう」

 (ん~、情報漏洩の件はこれくらいにしておくか…
 この世界にはスパイ防止法はもちろん、個人情報保護法など無いのだ。
 情報を流されたからと言って、法律的に罰する事など出来ないのだから。
 まあこれで、これからの商談を優位に進められるかな?
 商売のプロを相手に精神的な優位を作らないと、いいようにヤられるからな) 

 「まあ、今回はそう言う事にしておいてやろう。
 ………商談も有るしな。

 さて、売りたいのは大角鹿の肉 300㎏だ
 さていくらで買うね?」

 「……確か、キーン兄さんに1㎏  80ギロンで売ってましたね。
倍の 160ギロンでどうですか?」

 (あ! そうだった。 こいつ良く覚えてたな……
㌔500ギロンで売りたかったが、この世界は肉の相場が地球より安いのかな?
 まあ畜産してテマヒマかける訳じゃないから そうなるか。
 え~と、確かキーンの奴は 160ギロンは冒険者ギルドの買い付け値段だと言ってたな。 
 しかも冒険者ギルドの買い取り値は、血ねきも解体もされて無い最低の値段のはず……)

 「なめてんのか、その値段は血抜きも解体もされて無い大角鹿を、冒険者ギルドが買い取る最低の値段じゃねえか。
 狩って直ぐ血抜きしたし、解体スキルを持ってる俺がキチンと解体してるんだ。
 商業ギルドが冒険者ギルドから買い取る値は 300ギロンくらいになるはずだ。
 さらに大角鹿の希少性を考えれば 500ギロンになってもおかしく無いだろう。
 安く買って高く売るのは、商人の基本かも知れないが、商業ギルドが自分の所のギルド員の商品を買い叩こうとするのは、不味いんじゃないか?
 そんな事だから商業ギルドは一般の人からはもちろん、商人からも信頼されないんじゃないか?」

 「こ、これは手厳しい」

 「ついでに言うと、商業ギルドの受け付け嬢達は、やたらと商売のキモの話しを聞きたがるが、あんなんで話す奴居るのか?
 商業ギルド員は情報秘匿の魔法誓約を行って居ると、やたらと言って来るが、俺みないな新入りが信じ無いんだ、海千山千の商人達が信じるはずか無いと思うがな。
 これだけ信用が出来ない組織なんだ、商業ギルドの取り引き量はずっと下落し続けてないか」

 「ホント~に、痛い所を突いて来ますね」


 そこから、ローグは商業ギルドの現状を語り始めた…

 
 

 

 


   











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