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※要注意人物
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教会の入り口から入って、礼拝堂の奥の部屋。
手前が診療所になっていて、壁一面に色々な瓶に分かれて葉っぱが詰まっていた。
診療所では、主に薬を使った治療をしているそうだ。
といっても元の世界みたいにややこしい横文字のオンパレードではなく、色んな種類の草を煎じたりした物。
教会の人が兼業でやっていて、預かってる孤児が薬草集めとかしてるみたい。
魔法をメインに治療する人は医者のポジションで、重症患者専門らしい。
でも薬の調合も担当してるみたいで、今は先生の準備待ち中。
待合室とかはないから、礼拝堂で座っている。
天使とか十字架はなくて、石でできた謎のモニュメントが飾られている。
何が崇められてるのかはよく分かんない。
聞いたところで興味がないので、別に聞かないけどさ。
それより魔法の事が気になる。
「ねぇ、魔法があるならさー、かすり傷も一瞬で治せるんじゃないの?薬いらなくない?」
「あーでたでた、アンリちゃんの知らないふり。魔法を使うための魔力がそう簡単に回復するわけないよね」
…レベル低いからMP少ないんじゃない?
と一瞬思ったけど、ファンタジーな世界であっても別にゲームの世界ってわけじゃないからね。
そういうものなのか。
「でもコレがあれば、そんな問題も解決だよ。迷惑かけるだけじゃくてよかったね」
そう言ってクロードが取りだしたのは、簪。
ってそれ、私が中々頑張って可愛くしたやつじゃん。
でもモンスター寄ってくるみたいだし、もう使えないかー。
「魔力結晶は魔力の塊だからね。モンスターみたいに直接取り込んで回復はできないけど、この魔晶を通して魔法を使うと、魔力を肩代わりしてくれるんだ」
「じゃあ魔法使い放題じゃん」
「この棒だけで一万オルクの価値はあると思うよ、こんな些細なことで使っていいような物じゃないね」
「いやいや、いっぱいあるでしょ。治療院にあげたらいいんじゃないの?世のため人のためじゃん。また草抜けばいいし」
オルクが何か分かんないけど、言い方からしてこの世界の通貨だと推測。
物価も分かんないけどこの言い方だと結構高いんじゃない?一万円ぐらいか…いや3万はいくかも。
治療費3万円とられるぐらいなら、ちょっとの体調不良ぐらい寝て治すしね。
「レトラは国が開発中の対モンスター防壁だから、そう簡単に手に入るものじゃないんだ。元々あそこに住んでた人は開発部の研究員で、これも一応試作品なんだよ。抜いたら、大地から吸い上げた魔力は霧散するはずらしいんだけどこうして魔力結晶として残ってる。貴重なサンプルだから全て城に送らないとね」
「全部…じゃあなんで今持ってるの?」
「怪我したんだから、その分ぐらい補ってもらわないと割に合わないよ」
不正の気配をキャッチ。
まぁ国で管理してるわけじゃないからちょろまかしてもバレないもんね。
監視カメラもない世界はいいねー色々ゆるそうで。
「魔力は、食事や睡眠で少しずつ回復する。ほとんどの人は魔力を体に留めることができないけど、希に魔力を貯めることができる人がいる。それが魔法を使える条件。それでもほとんどの人が一日に一度使えるかどうかだからね、魔法は貴重なんだ。使いどころを間違えると、救える命も救えなくなってしまう」
「一日一回なんだ…そりゃ慎重になるね、もしもの時用にこの石を治療院に常備するようにしたら?もしアレだったら私その研究所のお手伝いするよ」
ただ草抜きするだけで地域貢献できるなら、安いものだし私の生活も安定しそうだし。
軍人として就職する、だとか真面目に考えたわけじゃなくぽろっと思い付きを口にだすと、
「君ってほんと危機感ないよね!」
めっちゃいい笑顔が帰ってきた。
いや、魔石常備していつでも魔法使えるようにって、凄い備えあれば憂いなしで危機感ばっちりじゃない!?
解せぬ!
***
私は両手に荷物を抱えて、背中にも絨毯を背負った状態。
よたよたしながら帰宅した。
クロードは色々買うお金は文句も言わず渋ることなく出してくれたものの、荷物は持ってくれなかったのだ。
いいよ、全部私の物だし!これは幸せの重みだ!
「怪我は?ウェルズさんは魔法を使ってくれたのかい」
「はい、優先してくれました。あれじゃ剣も握れませんからね」
クロードの火傷を見てもらって、欲しい物買い漁って帰宅すると、キースさんは既に帰ってきていた。
「アンリはいっぱい買ってもらったみたいだね」
「うん、おかげで楽しかったよ!」
「明日は部屋の模様替えをしようか、字の勉強はその後にでも。明後日はまたクロードが一緒にいるから、外の用事はその時に頼むよ」
「えーっと…いや、別に一人で大丈夫だけど…。勉強はお願いしたいけど」
今日のお出かけもそうだけど、何か急に構ってくれるようになったな?
「休みの日はちゃんと休まないと駄目じゃん、ゆっくりしててよ。私の事はほっといてくれてていいよ、暇つぶしの色々買ってもらったから当分軟禁我慢できるし」
服の直しに使う、裁縫道具。
時間が有り余ることは分かっているので、刺繍でもしてみようかなーって刺繍糸も買ってもらった。
やったことないけどね、小学校の時に袋に自分の名前やったぐらいだわ。
それから、笛的な楽器。形はオカリナみたいで歪なんだけど、音はめっちゃいい。
爪を削るヤスリっぽいのも買ってもらったし、肌に塗る何らかのクリームも買ってもらった。
当分は引きこもって自分磨きの予定だ。
「それが、そうもいかないんだ。アンリは魔法が効かないだろう?いつだって自由にこの寮を出て行ける」
「あれ、そうなの?…そういえば、何で私が魔法効かないって分かったの」
「メリッサちゃんが来た時、アンリちゃん門まで行ったんだよね。檻の魔法はこの建物にかかってるから、玄関から先には行けないはずなんだよ」
あ、そうだったんだ。
最初に門を通る時に何かしてたから、勝手に門でバリア張られてると思ってた!
「上からの厳命で、目を放さないよう言われている。魔法が効かない貴女はどこにでも侵入できるし、誰も感知できないから…」
いやいや、そんな、勝手に人の家入ったりしないし。
そんな…なんだ、えっと、何だろ、もはや悪いこと思いつかないレベルなんだけどな。
「……えっと…私、そっか、見張られてたんだ?そんな大層な者じゃないんだけどねー、何か手間かけてごめんね?」
そっか。
私と一緒に居てくれてたんじゃなくて、一人にしておけないから見張られてたんだ。
私を買い物に連れて行ってくれたんじゃなくって、怪我を治しに行かなきゃいけないから。
ついでのご機嫌取りだったんだ。
「そっか……いや、仕事増やしたみたいでほんと…申し訳ないわー…」
仲良くなれたかなって思ってた分、ちょっとショック。
「違う違う、そんなんじゃないから。まぁ手持ちがない君はお腹空かして盗みを働いてしまうかも?ってのを事前に阻止する為にここに引き取りはしたけどさ、監視しようと思ってのことじゃないから!キース先輩ももっと言葉選んでよね」
「そ、そうだな、すまない。こちらの都合で、街の安全の為にアンリの自由を奪ってしまって…申し訳ないのはこちらだよ」
「あぁーまた微妙な…」
そっか。まぁしょうがないよね、私普通に不審者だもん。
住所不定、無職。しかも自称記憶喪失のめっちゃ怪しい女だもん。
「明日はさ、部屋に居るから、いいよ。絶対外でないし。何なら靴預かっててよ。…部屋、好きなようにしたいから、ほっといてね」
昨日みたいに3人で晩御飯を食べたけど、なんとなく気まずかった。
今日街であったこと、いっぱい話したかったハズだったんだけどな。
別に悲しむことなんかないのに、泣きそうだったから。
買ってもらった羊みたいなもふもふ抱き枕をぎゅうぎゅうに抱きしめた。
柔らかさに慰められながら、さっさと寝る事にした。
手前が診療所になっていて、壁一面に色々な瓶に分かれて葉っぱが詰まっていた。
診療所では、主に薬を使った治療をしているそうだ。
といっても元の世界みたいにややこしい横文字のオンパレードではなく、色んな種類の草を煎じたりした物。
教会の人が兼業でやっていて、預かってる孤児が薬草集めとかしてるみたい。
魔法をメインに治療する人は医者のポジションで、重症患者専門らしい。
でも薬の調合も担当してるみたいで、今は先生の準備待ち中。
待合室とかはないから、礼拝堂で座っている。
天使とか十字架はなくて、石でできた謎のモニュメントが飾られている。
何が崇められてるのかはよく分かんない。
聞いたところで興味がないので、別に聞かないけどさ。
それより魔法の事が気になる。
「ねぇ、魔法があるならさー、かすり傷も一瞬で治せるんじゃないの?薬いらなくない?」
「あーでたでた、アンリちゃんの知らないふり。魔法を使うための魔力がそう簡単に回復するわけないよね」
…レベル低いからMP少ないんじゃない?
と一瞬思ったけど、ファンタジーな世界であっても別にゲームの世界ってわけじゃないからね。
そういうものなのか。
「でもコレがあれば、そんな問題も解決だよ。迷惑かけるだけじゃくてよかったね」
そう言ってクロードが取りだしたのは、簪。
ってそれ、私が中々頑張って可愛くしたやつじゃん。
でもモンスター寄ってくるみたいだし、もう使えないかー。
「魔力結晶は魔力の塊だからね。モンスターみたいに直接取り込んで回復はできないけど、この魔晶を通して魔法を使うと、魔力を肩代わりしてくれるんだ」
「じゃあ魔法使い放題じゃん」
「この棒だけで一万オルクの価値はあると思うよ、こんな些細なことで使っていいような物じゃないね」
「いやいや、いっぱいあるでしょ。治療院にあげたらいいんじゃないの?世のため人のためじゃん。また草抜けばいいし」
オルクが何か分かんないけど、言い方からしてこの世界の通貨だと推測。
物価も分かんないけどこの言い方だと結構高いんじゃない?一万円ぐらいか…いや3万はいくかも。
治療費3万円とられるぐらいなら、ちょっとの体調不良ぐらい寝て治すしね。
「レトラは国が開発中の対モンスター防壁だから、そう簡単に手に入るものじゃないんだ。元々あそこに住んでた人は開発部の研究員で、これも一応試作品なんだよ。抜いたら、大地から吸い上げた魔力は霧散するはずらしいんだけどこうして魔力結晶として残ってる。貴重なサンプルだから全て城に送らないとね」
「全部…じゃあなんで今持ってるの?」
「怪我したんだから、その分ぐらい補ってもらわないと割に合わないよ」
不正の気配をキャッチ。
まぁ国で管理してるわけじゃないからちょろまかしてもバレないもんね。
監視カメラもない世界はいいねー色々ゆるそうで。
「魔力は、食事や睡眠で少しずつ回復する。ほとんどの人は魔力を体に留めることができないけど、希に魔力を貯めることができる人がいる。それが魔法を使える条件。それでもほとんどの人が一日に一度使えるかどうかだからね、魔法は貴重なんだ。使いどころを間違えると、救える命も救えなくなってしまう」
「一日一回なんだ…そりゃ慎重になるね、もしもの時用にこの石を治療院に常備するようにしたら?もしアレだったら私その研究所のお手伝いするよ」
ただ草抜きするだけで地域貢献できるなら、安いものだし私の生活も安定しそうだし。
軍人として就職する、だとか真面目に考えたわけじゃなくぽろっと思い付きを口にだすと、
「君ってほんと危機感ないよね!」
めっちゃいい笑顔が帰ってきた。
いや、魔石常備していつでも魔法使えるようにって、凄い備えあれば憂いなしで危機感ばっちりじゃない!?
解せぬ!
***
私は両手に荷物を抱えて、背中にも絨毯を背負った状態。
よたよたしながら帰宅した。
クロードは色々買うお金は文句も言わず渋ることなく出してくれたものの、荷物は持ってくれなかったのだ。
いいよ、全部私の物だし!これは幸せの重みだ!
「怪我は?ウェルズさんは魔法を使ってくれたのかい」
「はい、優先してくれました。あれじゃ剣も握れませんからね」
クロードの火傷を見てもらって、欲しい物買い漁って帰宅すると、キースさんは既に帰ってきていた。
「アンリはいっぱい買ってもらったみたいだね」
「うん、おかげで楽しかったよ!」
「明日は部屋の模様替えをしようか、字の勉強はその後にでも。明後日はまたクロードが一緒にいるから、外の用事はその時に頼むよ」
「えーっと…いや、別に一人で大丈夫だけど…。勉強はお願いしたいけど」
今日のお出かけもそうだけど、何か急に構ってくれるようになったな?
「休みの日はちゃんと休まないと駄目じゃん、ゆっくりしててよ。私の事はほっといてくれてていいよ、暇つぶしの色々買ってもらったから当分軟禁我慢できるし」
服の直しに使う、裁縫道具。
時間が有り余ることは分かっているので、刺繍でもしてみようかなーって刺繍糸も買ってもらった。
やったことないけどね、小学校の時に袋に自分の名前やったぐらいだわ。
それから、笛的な楽器。形はオカリナみたいで歪なんだけど、音はめっちゃいい。
爪を削るヤスリっぽいのも買ってもらったし、肌に塗る何らかのクリームも買ってもらった。
当分は引きこもって自分磨きの予定だ。
「それが、そうもいかないんだ。アンリは魔法が効かないだろう?いつだって自由にこの寮を出て行ける」
「あれ、そうなの?…そういえば、何で私が魔法効かないって分かったの」
「メリッサちゃんが来た時、アンリちゃん門まで行ったんだよね。檻の魔法はこの建物にかかってるから、玄関から先には行けないはずなんだよ」
あ、そうだったんだ。
最初に門を通る時に何かしてたから、勝手に門でバリア張られてると思ってた!
「上からの厳命で、目を放さないよう言われている。魔法が効かない貴女はどこにでも侵入できるし、誰も感知できないから…」
いやいや、そんな、勝手に人の家入ったりしないし。
そんな…なんだ、えっと、何だろ、もはや悪いこと思いつかないレベルなんだけどな。
「……えっと…私、そっか、見張られてたんだ?そんな大層な者じゃないんだけどねー、何か手間かけてごめんね?」
そっか。
私と一緒に居てくれてたんじゃなくて、一人にしておけないから見張られてたんだ。
私を買い物に連れて行ってくれたんじゃなくって、怪我を治しに行かなきゃいけないから。
ついでのご機嫌取りだったんだ。
「そっか……いや、仕事増やしたみたいでほんと…申し訳ないわー…」
仲良くなれたかなって思ってた分、ちょっとショック。
「違う違う、そんなんじゃないから。まぁ手持ちがない君はお腹空かして盗みを働いてしまうかも?ってのを事前に阻止する為にここに引き取りはしたけどさ、監視しようと思ってのことじゃないから!キース先輩ももっと言葉選んでよね」
「そ、そうだな、すまない。こちらの都合で、街の安全の為にアンリの自由を奪ってしまって…申し訳ないのはこちらだよ」
「あぁーまた微妙な…」
そっか。まぁしょうがないよね、私普通に不審者だもん。
住所不定、無職。しかも自称記憶喪失のめっちゃ怪しい女だもん。
「明日はさ、部屋に居るから、いいよ。絶対外でないし。何なら靴預かっててよ。…部屋、好きなようにしたいから、ほっといてね」
昨日みたいに3人で晩御飯を食べたけど、なんとなく気まずかった。
今日街であったこと、いっぱい話したかったハズだったんだけどな。
別に悲しむことなんかないのに、泣きそうだったから。
買ってもらった羊みたいなもふもふ抱き枕をぎゅうぎゅうに抱きしめた。
柔らかさに慰められながら、さっさと寝る事にした。
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