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迷惑な解釈

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詰め所から帰ってきても、まだ明るかったからもう半分の畑も綺麗にした。
八つ当たり気味に、がつがつレトラ魔草を抜くとスッキリした。

ドンドンドンドン

お腹が空いてきたけど、フライパンが届くという話だったので先に汗を流すことにしたのは失敗だったかも。
このドンドンドンは、多分そのお待ちかねのフライパンが届いたよーって合図だとは思うのだけど、タイミングがマジないわ。
はいってまーす!

ドンドンドンドンドン

っつーか、朝のデジャブ。
気を使ってタオル巻いて出て行ったら怒られるんですかね?理不尽。
頭は洗ったけど体がまだだ。入りなおすのも面倒だしほっとこう。

と、居留守を使ったわけじゃないけど、無視してまったりシャワータイムを満喫した私は

「なんて格好してるんだい!?」
「はぁーっ!?何で中に居るんですか!?」

結局、文句を言われた。

キースさんとクロードさんが、居間でお茶を飲んでくつろいでいた。めっちゃびっくりした。
いやもうクロードさんは呼び捨てでいいな、年下だし。
よかった素っ裸じゃなくて…朝と同じく、シャツ一枚姿だ。

「あ、これ着なよ。キースさんの服大きいよね?おれのがまだサイズ近いと思うからもってきたんだ」
「ありがと、借りるね」

仕方がないからズボンをはく。
濡れた髪をタオルで拭きながら、色々と運び込まれている机に近づく。
この家に備え付けであった家具は詰め所と似たようなシンプルな机と椅子がふたつ。
2人に椅子を占拠されているので、しょうがないので立ち話だ。

「フライパ~ン。包丁、鍋。スープが飲める!助かります」
「……ところで、外のアレはどうしたんだい?」

物資が届いてうきうきの私と対照的に、キースさんは暗い。クロードさんも、浮かない顔をしている。
ゲンドウポーズで、渋い顔をしているキースさんが唸るように声を出す。
アレってなんだと一瞬思ったけど、畑のこと意外にないよね。
帰ってきてからやった分は、蔓が絡んだまま引っこ抜いて、そのまま山積みに放置してる。

「明日綺麗にしますよ、とりあえず引っこ抜いただけです。あの黒いのどうしたらいいんですか?」
「……」
「そうそう、仕事終わりましたけどまだここに居ていいですよね?どうせまだ次の人来ないですし」
「…アンリさん」
「な、んでしょーか…」

何でそんな、睨んでくるんでしょーか!?
どうした優男!お前にゃふぬけた笑顔が似合うぜ…!
口説くわけじゃないけど、君には笑顔が似合うよと伝えたい。
意外と真顔になると迫力あるわ…。

「一体、どうやって一日で全部抜いたんだい。魔法を使ったとしか思えない」
「あぁごめんなさい、面倒だったんで蔓を外さないで普通に引っこ抜きました」

見てない所でのズルでも、結果を出しすぎてバレてるわ。
ちゃんと指示通りの作業をしなかったから怒ってるのかな…
ん?違う違う、

「いやいやいや、何この空気。シリアスすぎる。何でそっちが怒ってるんですか?蔓を外さないと抜けないって、嘘ついて無駄な労働を強いろうとしたでしょ!怒ってるのは私の方なんですけど!めっちゃ肩凝ったんですけど!」

危うく雰囲気に流されて反省しちゃいそうだったけど、いや、ちょっと負けたけど、悪いのはキースさんだ。
これは正当なキレであって、逆ギレではない。

「君は…おかしい」
「え、喧嘩うってます?」
「クロードはどう思う、これは何かの魔法だろうか」

私との睨みあいを早々に放棄すると、大人しくしていたクロードに話を振った。
さっきから、魔法みたいって言ってるけど、もしかしてキースさんも普通に抜けるって知らなかった感じ?

「私魔法なんか使えませんよ」
「そうですね、魔草に対抗しうる魔力は感知できませんが…何らかの魔法でも使わなければ、このような芸当説明がつきません。消えずに結晶化している点も気になります」
「敬語っ!」
「やはり、彼女はリアリーテ様で間違いないだろう。年頃も髪の色も同じだし」

スルー。
しかも誰だそれ。

「私が攫われたお嬢様で、ショックで記憶がないって説ですか?言っときますけど、お嬢様は草抜きなんてしませんからねきっと。多分。知りませんけど」
「それは無いかと。先輩はリアリーテ嬢が失踪したという噂をお聞きになったのですね?あれは嘘です。実際は失恋が元で太ってしまい、人目に触れぬよう引籠もっているだけです」
「それも噂もの一つだろう。それに、もし人違いだとしても魔法が使えるのであれば、貴族だ。アンリ嬢をこのまま連れて帰りたいと思う」
「すいません置いていってください荷が重いです」

連れて帰るってことは、今より生活水準は上がりそうだけど。
家出娘と思われるぐらいならまだしも、個人名が出てきてるから向こうの家の人にも連絡とかされて迷惑かけそうだし。
人違いの成りすましはさすがにマズイ。

「鍵もかけない無用心で無防備な貴女を、一人にはできません」
「あのさ、今ここに鍵をかけてたのに入ってきてる人が2人もいるじゃないですか?」
「ご安心下さい、寮には鍵とは別に特定の者しか出入りが出来ないよう魔法がかかっていますので」
「ちょっとクロード、キースさんどうしたの?ぐいぐいくるんだけど」

よく分かんないけど、誰かコイツの暴走を止めてくれ!
と思ってクロードを見ると、既に私が借りた物は全て荷造りされていた。
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