翼も持たず生まれたから

 中学三年生になったばかりの久保田奈緒は、塾帰りのある夜、古びた歩道橋の上で登校拒否児童で十一歳の白木星志に出会う。歩道橋の上から星空を眺めるのが好きだという実年齢より少し大人びた彼に惹かれた奈緒は、毎晩彼に会うために塾の帰りに歩道橋に立ち寄るようになった。
 奈緒は誰にも言えなかった悩みを星志に打ち明け、更に彼と過す時間を大事にするようになったが、星志には奈緒にも打ち明けられない秘密があった。

 お互いの孤独はお互いでしか埋められない二人。
 大人には分かってもらえない、二人の心が辿り着ける場所は果たしてあるのか。

 誰もが通る思春期の屈折の道に迷いながら進む彼らの透き通った魂をご覧ください。
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