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プロローグ
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とある日の夜、ひとりの小さな子供がリビングで絵本を読んでいた。暖光色の明かりが天井から降り注ぐ。すると、ひとりの女性が暗闇からその子供の目の前に現れた。その子供の母親だ。それと同時に、その子供は読んでいた絵本の最後のページを読み上げた。
「ねえ、ママ。ほかにおもしろいほんはないの?」
「んー、そうだな。本じゃなくて面白い話だったらあるよ」
「え、どんなの?」
すると、その子供は読んでいた本を乱雑に置き、母親のもとへつたない足取りで母親のほうへ向かった。
母親は右手を差し伸べ、その子供はその手を握って両足を安定させた。しかし、その後、母親は何の動作も見せず、子供が「もちあげてくれないの?」と言いたげな顔で見つめていた。
「その話っていうのはね、人じゃなくて鳥人っていうのが主人公の物語なんだ」
「ちょうじん?」
「そう、腕のかわりに翼を生やした人ってこと」
すると、子供は聞いたことのない言葉に目を輝かせ、
「はやく、はやく、教えて」
と母親をせかす。
その時、母親はひとつ深呼吸をし、子供のことを見ずに窓の外を眺めていた。
「ねえ、ママ。ほかにおもしろいほんはないの?」
「んー、そうだな。本じゃなくて面白い話だったらあるよ」
「え、どんなの?」
すると、その子供は読んでいた本を乱雑に置き、母親のもとへつたない足取りで母親のほうへ向かった。
母親は右手を差し伸べ、その子供はその手を握って両足を安定させた。しかし、その後、母親は何の動作も見せず、子供が「もちあげてくれないの?」と言いたげな顔で見つめていた。
「その話っていうのはね、人じゃなくて鳥人っていうのが主人公の物語なんだ」
「ちょうじん?」
「そう、腕のかわりに翼を生やした人ってこと」
すると、子供は聞いたことのない言葉に目を輝かせ、
「はやく、はやく、教えて」
と母親をせかす。
その時、母親はひとつ深呼吸をし、子供のことを見ずに窓の外を眺めていた。
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