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26 仮面は、外された、、、

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慣れないことはするものじゃないわ•••強いアルコールが入っていたらしく、途中で本当に気分が悪くなる•••顔も青ざめていたのだろう

「殿下、気分がすぐれないようですね。すぐにお部屋にお連れします。」

たくましい腕が、肩を支えてくれるままに任せ、仮面舞踏会が行われている広間の裏口から、私とシルヴィオは抜ける。

一方、シルヴィオは、普段の騎士隊長としての任務とはまた異なる緊張感を抱えていた•••腕の中で、赤い薔薇のような唇を潤わせ、蒸気した頬の王女が無意識の色香を放つ姿に、ついボソッと言葉が漏れる•••

「男性陣には目の毒だな•••」


とてもじゃないが、こんな無防備な姿は、招待客には見せられない•••

ちょうど裏口を出たところで、シルヴィオの足が止まる。


どうしたのかしら?
顔を上げようとすると聞き慣れた声が聞こえてきた

「アーシャ••!!! どうしたんだい? その姿は•••?」

フェンリル•••???

「フェンリルか?殿下の体調がすぐれないので、お部屋にお連れする。」
シルヴィオが、体調のすぐれない私の代わりに答えてくれる。

「こんなに身体を火照らして•••お酒でも飲んだの•••?」

フェンリルがその長くて形の良い指を、私の仮面にかけそっと外してくれる。そして乱れた前髪をゆっくり撫でながら整えてくれた。

「僕は、このままカイルのところに行くから、、•••シルヴィオ、アーシャのことをよろしく頼むよ。部屋に着いたら侍女のミリアに水を準備してもらうといい。•••アーシャ、、寝る前に十分に水分を取るんだよ。」

フェンリルのターコイズブルーの瞳が私を心配そうに見つめている•••私も部屋に戻って休んでいる場合じゃ、、ない•••!!!

「私••は、、大丈夫•••フェンリル•••お願いがあるの•••私もカイルのところに連れて行って•••!!」

一刻も早くカイルのもとへ•••!!! お願い•••!!! とフェンリルを見る。

フェンリルは、仮面を持たない方の手を私の方に伸ばし、額に当てた。近づいた時に、フェンリルの片耳を飾る羽が揺れ、私の頬をかする。

「こんな体調で無理だ、、部屋で休んでいて欲しい、、•••君を今すぐベッドに寝かしつけたい•••と言いたいところだけれど、•••」


ッ•••!!ベッドに寝かしつけたい!って••••フェンリルが言うと別の意味で破壊力がありすぎる•••私のこの熱はお酒のせい•••お酒のせい••••

フゥーと息を吐き、フェンリルがシルヴィオに仮面を預ける。
「カイルが心配なのは僕も同じだ、、•••」

フェンリルがとても優しく笑い、その周りの空気が柔らかくなる。

「•••アーシャ•••君が望むなら•••。シルヴィオ、今すぐ馬車を用意してくれるかい?それと、グラスに水も。」


シルヴィオも、王女に無理をさせたくはないが、カイルの件も自分は知っている今、城内の救護棟に行きたいという彼女を止めることは出来なかった。

「ああ、分かった。すぐに用意しよう。」

よかったっ•••とりあえずカイルのところには行けそうだわ、、••と安心した途端足がふらつく。ふいに足が宙に浮き、暖かいものに包まれた。

「フ、フェンリル•••!!!」

フェンリルは、鍛えた腕で、軽々とそっと私を抱き上げる。

お、お姫様抱っこ•••!!!
ッ•••恥ずかしい•••けど、力の抜けた身体はいうことを聞かない•••コテンと首が傾き、フェンリルの胸に頭が倒れる•••その心地よさに抗えなかった•••

身体が弱い、という昔のイメージのままだったけれど、、•••こうして身体が密着してしまうと、否が応でも!! その腕の引き締まった筋肉や男らしい力強さを感じてしまう•••


フェンリルが、気遣うような優しい声音で囁く。•••

「僕たちもアーシャのわがままを聞くんだから、君もきちんと言うことを聞くように•••カイルのところに着くまでは、せめて少しでも身体を休ませるんだ」
その心地よさにいつの間にか私の意識は途切れ•••
「いつの間に君は、こんなに大人になったの?」と呟くのがうっすらと聞こえた••••
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