26 / 45
26 仮面は、外された、、、
しおりを挟む
慣れないことはするものじゃないわ•••強いアルコールが入っていたらしく、途中で本当に気分が悪くなる•••顔も青ざめていたのだろう
「殿下、気分がすぐれないようですね。すぐにお部屋にお連れします。」
たくましい腕が、肩を支えてくれるままに任せ、仮面舞踏会が行われている広間の裏口から、私とシルヴィオは抜ける。
一方、シルヴィオは、普段の騎士隊長としての任務とはまた異なる緊張感を抱えていた•••腕の中で、赤い薔薇のような唇を潤わせ、蒸気した頬の王女が無意識の色香を放つ姿に、ついボソッと言葉が漏れる•••
「男性陣には目の毒だな•••」
とてもじゃないが、こんな無防備な姿は、招待客には見せられない•••
ちょうど裏口を出たところで、シルヴィオの足が止まる。
どうしたのかしら?
顔を上げようとすると聞き慣れた声が聞こえてきた
「アーシャ••!!! どうしたんだい? その姿は•••?」
フェンリル•••???
「フェンリルか?殿下の体調がすぐれないので、お部屋にお連れする。」
シルヴィオが、体調のすぐれない私の代わりに答えてくれる。
「こんなに身体を火照らして•••お酒でも飲んだの•••?」
フェンリルがその長くて形の良い指を、私の仮面にかけそっと外してくれる。そして乱れた前髪をゆっくり撫でながら整えてくれた。
「僕は、このままカイルのところに行くから、、•••シルヴィオ、アーシャのことをよろしく頼むよ。部屋に着いたら侍女のミリアに水を準備してもらうといい。•••アーシャ、、寝る前に十分に水分を取るんだよ。」
フェンリルのターコイズブルーの瞳が私を心配そうに見つめている•••私も部屋に戻って休んでいる場合じゃ、、ない•••!!!
「私••は、、大丈夫•••フェンリル•••お願いがあるの•••私もカイルのところに連れて行って•••!!」
一刻も早くカイルのもとへ•••!!! お願い•••!!! とフェンリルを見る。
フェンリルは、仮面を持たない方の手を私の方に伸ばし、額に当てた。近づいた時に、フェンリルの片耳を飾る羽が揺れ、私の頬をかする。
「こんな体調で無理だ、、部屋で休んでいて欲しい、、•••君を今すぐベッドに寝かしつけたい•••と言いたいところだけれど、•••」
ッ•••!!ベッドに寝かしつけたい!って••••フェンリルが言うと別の意味で破壊力がありすぎる•••私のこの熱はお酒のせい•••お酒のせい••••
フゥーと息を吐き、フェンリルがシルヴィオに仮面を預ける。
「カイルが心配なのは僕も同じだ、、•••」
フェンリルがとても優しく笑い、その周りの空気が柔らかくなる。
「•••アーシャ•••君が望むなら•••。シルヴィオ、今すぐ馬車を用意してくれるかい?それと、グラスに水も。」
シルヴィオも、王女に無理をさせたくはないが、カイルの件も自分は知っている今、城内の救護棟に行きたいという彼女を止めることは出来なかった。
「ああ、分かった。すぐに用意しよう。」
よかったっ•••とりあえずカイルのところには行けそうだわ、、••と安心した途端足がふらつく。ふいに足が宙に浮き、暖かいものに包まれた。
「フ、フェンリル•••!!!」
フェンリルは、鍛えた腕で、軽々とそっと私を抱き上げる。
お、お姫様抱っこ•••!!!
ッ•••恥ずかしい•••けど、力の抜けた身体はいうことを聞かない•••コテンと首が傾き、フェンリルの胸に頭が倒れる•••その心地よさに抗えなかった•••
身体が弱い、という昔のイメージのままだったけれど、、•••こうして身体が密着してしまうと、否が応でも!! その腕の引き締まった筋肉や男らしい力強さを感じてしまう•••
フェンリルが、気遣うような優しい声音で囁く。•••
「僕たちもアーシャのわがままを聞くんだから、君もきちんと言うことを聞くように•••カイルのところに着くまでは、せめて少しでも身体を休ませるんだ」
その心地よさにいつの間にか私の意識は途切れ•••
「いつの間に君は、こんなに大人になったの?」と呟くのがうっすらと聞こえた••••
「殿下、気分がすぐれないようですね。すぐにお部屋にお連れします。」
たくましい腕が、肩を支えてくれるままに任せ、仮面舞踏会が行われている広間の裏口から、私とシルヴィオは抜ける。
一方、シルヴィオは、普段の騎士隊長としての任務とはまた異なる緊張感を抱えていた•••腕の中で、赤い薔薇のような唇を潤わせ、蒸気した頬の王女が無意識の色香を放つ姿に、ついボソッと言葉が漏れる•••
「男性陣には目の毒だな•••」
とてもじゃないが、こんな無防備な姿は、招待客には見せられない•••
ちょうど裏口を出たところで、シルヴィオの足が止まる。
どうしたのかしら?
顔を上げようとすると聞き慣れた声が聞こえてきた
「アーシャ••!!! どうしたんだい? その姿は•••?」
フェンリル•••???
「フェンリルか?殿下の体調がすぐれないので、お部屋にお連れする。」
シルヴィオが、体調のすぐれない私の代わりに答えてくれる。
「こんなに身体を火照らして•••お酒でも飲んだの•••?」
フェンリルがその長くて形の良い指を、私の仮面にかけそっと外してくれる。そして乱れた前髪をゆっくり撫でながら整えてくれた。
「僕は、このままカイルのところに行くから、、•••シルヴィオ、アーシャのことをよろしく頼むよ。部屋に着いたら侍女のミリアに水を準備してもらうといい。•••アーシャ、、寝る前に十分に水分を取るんだよ。」
フェンリルのターコイズブルーの瞳が私を心配そうに見つめている•••私も部屋に戻って休んでいる場合じゃ、、ない•••!!!
「私••は、、大丈夫•••フェンリル•••お願いがあるの•••私もカイルのところに連れて行って•••!!」
一刻も早くカイルのもとへ•••!!! お願い•••!!! とフェンリルを見る。
フェンリルは、仮面を持たない方の手を私の方に伸ばし、額に当てた。近づいた時に、フェンリルの片耳を飾る羽が揺れ、私の頬をかする。
「こんな体調で無理だ、、部屋で休んでいて欲しい、、•••君を今すぐベッドに寝かしつけたい•••と言いたいところだけれど、•••」
ッ•••!!ベッドに寝かしつけたい!って••••フェンリルが言うと別の意味で破壊力がありすぎる•••私のこの熱はお酒のせい•••お酒のせい••••
フゥーと息を吐き、フェンリルがシルヴィオに仮面を預ける。
「カイルが心配なのは僕も同じだ、、•••」
フェンリルがとても優しく笑い、その周りの空気が柔らかくなる。
「•••アーシャ•••君が望むなら•••。シルヴィオ、今すぐ馬車を用意してくれるかい?それと、グラスに水も。」
シルヴィオも、王女に無理をさせたくはないが、カイルの件も自分は知っている今、城内の救護棟に行きたいという彼女を止めることは出来なかった。
「ああ、分かった。すぐに用意しよう。」
よかったっ•••とりあえずカイルのところには行けそうだわ、、••と安心した途端足がふらつく。ふいに足が宙に浮き、暖かいものに包まれた。
「フ、フェンリル•••!!!」
フェンリルは、鍛えた腕で、軽々とそっと私を抱き上げる。
お、お姫様抱っこ•••!!!
ッ•••恥ずかしい•••けど、力の抜けた身体はいうことを聞かない•••コテンと首が傾き、フェンリルの胸に頭が倒れる•••その心地よさに抗えなかった•••
身体が弱い、という昔のイメージのままだったけれど、、•••こうして身体が密着してしまうと、否が応でも!! その腕の引き締まった筋肉や男らしい力強さを感じてしまう•••
フェンリルが、気遣うような優しい声音で囁く。•••
「僕たちもアーシャのわがままを聞くんだから、君もきちんと言うことを聞くように•••カイルのところに着くまでは、せめて少しでも身体を休ませるんだ」
その心地よさにいつの間にか私の意識は途切れ•••
「いつの間に君は、こんなに大人になったの?」と呟くのがうっすらと聞こえた••••
0
お気に入りに追加
81
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は婚約破棄したいのに王子から溺愛されています。
白雪みなと
恋愛
この世界は乙女ゲームであると気づいた悪役令嬢ポジションのクリスタル・フェアリィ。
筋書き通りにやらないとどうなるか分かったもんじゃない。それに、貴族社会で生きていける気もしない。
ということで、悪役令嬢として候補に嫌われ、国外追放されるよう頑張るのだったが……。
王子さま、なぜ私を溺愛してらっしゃるのですか?
【完結】悪役令嬢のトゥルーロマンスは断罪から☆
白雨 音
恋愛
『生まれ変る順番を待つか、断罪直前の悪役令嬢の人生を代わって生きるか』
女神に選択を迫られた時、迷わずに悪役令嬢の人生を選んだ。
それは、その世界が、前世のお気に入り乙女ゲームの世界観にあり、
愛すべき推し…ヒロインの義兄、イレールが居たからだ!
彼に会いたい一心で、途中転生させて貰った人生、あなたへの愛に生きます!
異世界に途中転生した悪役令嬢ヴィオレットがハッピーエンドを目指します☆
《完結しました》
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
不機嫌な悪役令嬢〜王子は最強の悪役令嬢を溺愛する?〜
晴行
恋愛
乙女ゲームの貴族令嬢リリアーナに転生したわたしは、大きな屋敷の小さな部屋の中で窓のそばに腰掛けてため息ばかり。
見目麗しく深窓の令嬢なんて噂されるほどには容姿が優れているらしいけど、わたしは知っている。
これは主人公であるアリシアの物語。
わたしはその当て馬にされるだけの、悪役令嬢リリアーナでしかない。
窓の外を眺めて、次の転生は鳥になりたいと真剣に考えているの。
「つまらないわ」
わたしはいつも不機嫌。
どんなに努力しても運命が変えられないのなら、わたしがこの世界に転生した意味がない。
あーあ、もうやめた。
なにか他のことをしよう。お料理とか、お裁縫とか、魔法がある世界だからそれを勉強してもいいわ。
このお屋敷にはなんでも揃っていますし、わたしには才能がありますもの。
仕方がないので、ゲームのストーリーが始まるまで悪役令嬢らしく不機嫌に日々を過ごしましょう。
__それもカイル王子に裏切られて婚約を破棄され、大きな屋敷も貴族の称号もすべてを失い終わりなのだけど。
頑張ったことが全部無駄になるなんて、ほんとうにつまらないわ。
の、はずだったのだけれど。
アリシアが現れても、王子は彼女に興味がない様子。
ストーリーがなかなか始まらない。
これじゃ二人の仲を引き裂く悪役令嬢になれないわ。
カイル王子、間違ってます。わたしはアリシアではないですよ。いつもツンとしている?
それは当たり前です。貴方こそなぜわたしの家にやってくるのですか?
わたしの料理が食べたい? そんなのアリシアに作らせればいいでしょう?
毎日つくれ? ふざけるな。
……カイル王子、そろそろ帰ってくれません?
【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
扇 レンナ
恋愛
スパダリ系執着王太子×愛を知らない純情令嬢――婚約破棄から始まる、極上の恋
伯爵令嬢テレジアは小さな頃から両親に《次期公爵閣下の婚約者》という価値しか見出してもらえなかった。
それでもその利用価値に縋っていたテレジアだが、努力も虚しく婚約破棄を突きつけられる。
途方に暮れるテレジアを助けたのは、留学中だったはずの王太子ラインヴァルト。彼は何故かテレジアに「好きだ」と告げて、熱烈に愛してくれる。
その真意が、テレジアにはわからなくて……。
*hotランキング 最高68位ありがとうございます♡
▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス
モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~
咲桜りおな
恋愛
前世で大好きだった乙女ゲームの世界にモブキャラとして転生した伯爵令嬢のアスチルゼフィラ・ピスケリー。
ヒロインでも悪役令嬢でもないモブキャラだからこそ、推しキャラ達の恋物語を遠くから鑑賞出来る! と楽しみにしていたら、関わりたくないのに何故か悪役令嬢の兄である騎士見習いがやたらと絡んでくる……。
いやいや、物語の当事者になんてなりたくないんです! お願いだから近付かないでぇ!
そんな思いも虚しく愛しの推しは全力でわたしを口説いてくる。おまけにキラキラ王子まで絡んで来て……逃げ場を塞がれてしまったようです。
結構、ところどころでイチャラブしております。
◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆
前作「完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい」のスピンオフ作品。
この作品だけでもちゃんと楽しんで頂けます。
番外編集もUPしましたので、宜しければご覧下さい。
「小説家になろう」でも公開しています。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる