ひかるのヒミツ

世々良木夜風

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Secret25. マテラスとセリシールのデート(観覧車内の乱入者)

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●登場人物
ひかる・ダークライト(ひかる):魔法少女専門グッズ店の店長。
 = マテラス・ダークライト:秘密結社ダーク・ライトの首領。遊園地の試練においてセリシールから秘密を守り通すことに成功した。
小松春こまつはる桜子さくらこ(さくら):元気が取り柄の14才!
 = ラフェド・セリシール:魔法少女。マテラスとの遊園地デートにおいて、マテラスの気持ちを確信。新たなステージは開かれるのか?
・ルメトルド・フラム:レフェドフルールの管理者。マテラスとセリシールの遊園地デートに乱入。波乱の予感が!
志頭蟹しずかに芭羅美ばらみ:さくらの同級生。どういういきさつかは不明だが、フラムとともに現れる。倒錯の予感が!

●前回のお話
私、セリシール。魔法少女で悪の秘密結社ダーク・ライトと戦ってるわ。
でも、いろいろあって、今はその首領のマテラスとデート中。
今日一日、二人で過ごしたけど、マテラスが私を好きなことはもう間違いないわ!
私も心を決めないと!
愛の前には、正義も悪も関係ないわ。
今こそ告白の時!!



「私もマテラスがす...」
セリシールが、何かを言おうとしたその時、フラムと芭羅美が現れた!

「フラムさんと...芭羅美ちゃん?!」
セリシールは状況が飲み込めず、たじろいでいる。
「どうして、あたしの名前を?でも、そんなことはどうでもいい...あなた、何を企んでいる!」
芭羅美からは怒りのオーラがどす黒く吹き出しているかのような錯覚を覚える。
「お前、セリシールだな?これはどういうことだ?説明してもらおうか!」
フラムも怒っているようだ。魔法少女と悪の首領が結託しているとしたら前代未聞の不祥事だ。
「こ、これは...」
セリシールが言葉を濁す。

するとマテラスが立ち上がり、何事もなかったかのように話し始めた。
「フラムだったか。お前は何も聞いていないのか?」
どうやらセリシールとフラムの共同作戦だと思っていたらしい。
次の瞬間、フラムがマテラスに迫る。マテラスは怯み、壁を背にぶつかってしまう。
フラムは構わず、壁に強く手をつき、マテラスに低い声でささやくように凄む。
「お前には聞いていない!!」
すると、
「こ、これはもしや噂に聞いた『壁ドン』!まさか生で見られるなんて!!」
何か聞こえた気がしたが、フラムは無視してマテラスの顎を指で持ち上げ、自分と目を合わせさせる。
すると、
「キャ~~~!『あごクイ』!!当然、この後は...」
芭羅美は目を血走らせながら、フラムとマテラスの様子を覗き込んでいる。あっ、鼻から赤い筋が流れた...
フラムはあまり周りが見えていないようで無視して続ける。
マテラスの耳元に顔を近づけると、
「場合によっては、お前もただではすまんぞ!」
小さくささやいた。
その瞬間、彼女にはどう見えたのだろうか?
「神様、今日も祝福をありがとうございます...」
芭羅美は盛大に鼻から血を吹き出しながら、倒れていくのだった...

「芭羅美ちゃ~~~ん!!」
セリシールが芭羅美に駆け寄る。
「ちっ、まずはこっちが先だな」
そう言うとフラムは芭羅美に治癒魔法をかけ始める。
容体が安定すると、血痕を全て消し去り、空いている席に寝かせた。
「芭羅美ちゃんは?」
セリシールが心配そうに聞く。
「大丈夫だ。治療は完璧だ。今は気を失っているが、目が覚めたら普段通りだろう」
フラムが答える。
「良かった」
セリシールはホッと胸を撫で下ろす。
「しかし、幸せそうな顔してやがる。まるで天使様だ」
フラムが言うと、セリシールが問う。
「前にも、同じような事があったんです。芭羅美ちゃんの体質と関係があるのでしょうか?」
「魔力に敏感な体質なのかもな。あまり俺らの闘いに巻き込まない方がいい」
「はい。そう言っておきます」
「お前の知り合いなのか?」
「はい。ここでは詳しく話せませんが...」
ちらりとマテラスを見てセリシールが言う。
「なるほど。と・こ・ろ・で・だ!」

フラムはマテラスとセリシールを順に見やると、セリシールを問い詰める。
「この状況はどういうことだ!説明してもらおうか!」
セリシールはばつが悪そうに、言い淀みながら、
「あ、あの...何というか...マテラス...どうなのか...試そうと思いまして...」
「何を試したのだ」
フラムが問い詰めると、マテラスが慌てて口を出す。
「セリシールは私がどういう存在なのか疑問を持ったのだ。そしてそれを試すためにこの場を選んだ。変装しているのは一般人に気づかれないためだ。そしてその答えは分かってもらえたはずだ!」
「そうなのか?」
フラムがセリシールに問うと、セリシールは力強く頷いた。
「して、何が分かったのだ」
フラムが再びセリシールに問う。
「マテラスは私が全精力をかけて...すべき存在だということです!」
一部、聞こえない箇所があったが、セリシールははっきりと言い切った。
「そうだ!今は落とせなくとも、成長すればその時が来る。せいぜい頑張ることだ、セリシール!!」
「ありがとうございます!フラムさん!」
ちなみにフラムは「落とす」=「倒す」と解釈している。

(ああ。本当に理解していただいて良かったですわ...)
ひかるは心の中で喜んでいた。今日一日、大変疲れたが、セリシールはマテラスとヒカルが別人だと分かってくれたようだ。
「さて、私はこれで失礼するとしようか...」
ひかるは目的を果たし、帰還することにした。
「えっ、帰っちゃうの?」
セリシールは残念そうだ。
(そういえば、何かわたくしに仰りたいことがあったような...まあ、またの機会がございますわね)
「前にも言ったが、お前との闘いを私は楽しみにしている。また、存分に戦おうぞ!」
そういうとひかるは転移して行くのだった。

「さて、俺も帰るか。なんせ、仕事の途中であの娘に邪魔されたからな」
フラムが面倒くさそうな目で芭羅美を見る。
「では、お元気で。オジャマラムさん」
「フラムだ!名前をいじって皮肉をいうのはよせ!」
「いやいや、最も大事な瞬間を邪魔されたこの恨み、一生忘れませんよぉ...」
セリシールは笑っていたが、その背後からは絶対零度の風が吹いてくる。
フラムは背筋が凍るのを感じた。
(この娘のどこにこんな力が...)
フラムは逃げるように消え去った。

後に残されたセリシールは最後のマテラスの言葉を思い出していた。
「闘いを楽しみにしているかぁ...」
セリシールは不思議な感覚を抱いていた。
本当は今日みたいなデートがしたい、でもマテラスとの闘いを考えるとわくわくする自分がいる。
「マテラスも同じなのかなぁ...」
セリシールは一つ頷くと自分の気持ちを確かめるように声に出した。
「私たちにとって、今、一番大事なのは、やっぱり戦闘だね♡」
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