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Episode 55. 運命の晩餐会
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「晩餐会かぁ~!あたし、初めて!!どんな料理が出るのかしら?!」
全ての行事を終え、リラックスした様子のローズがマリーに話しかける。
「もう!!王様もいるんだよ!!」
マリーはそう言うが、
「晩餐会は無礼講でいいんですよね?!」
ローズがジークに聞く。
「ははは。無礼講とまではいかないが、マナーや作法は一切、気にしなくていい!!王族から言葉をかけられることもあるかもしれないが、私と話す感じでいいから安心したまえ!!」
「やった!!」
ジークの言葉にローズはルンルンだ。
「王族か...」
マリーが顔を曇らせると、
「あら?マリーはやっぱり緊張しちゃう?大丈夫!!あたしがフォローしてあげるから!!」
そう言ってローズはにっこり笑った。
「...ローズちゃんは冒険が大好きなんだよね?」
マリーが突然、質問を投げかける。
「どうしたの?突然...もちろん、大好きよ!!」
「絶対、やめたりしないよね!!」
マリーはやけに真剣な顔で聞いてくる。
「当たり前じゃない!!たとえ、世界中の人間に止められても冒険者はやめないわ!!」
ローズの言葉に、
「...うん!!安心した!!お料理、楽しもうね!!」
そう言ってマリーはローズに微笑みかけるのだった。
(???どうしたのかしら?マリー...何か気になることがあるんだったら聞いてくれたらいいのに...)
しかし、ローズはその言葉を口にしなかった。
「う~~~む...」
二人の様子を見ていたジークは一人、静かに唸るのだった。
(言葉にしなくても信じられるか...その信頼が悪い方向に出なければいいが...)
☆彡彡彡
<ガヤガヤ...>
晩餐会の会場は賑わっていた。
マリーとローズは隣に座り、その横にはジークもいる。
知らない人ばかりだったが、リラックスした雰囲気だった。
「!!!」
その空気が一瞬にして変わる。
<ガタッ!>
皆は雑談をやめると、一斉に椅子から立ち上がる。
マリーとローズも真似をした。
見ると、3人の立派な服を着た人物が部屋に入ってきた。
一人は中年の男性。
いかつめの威厳のある顔で、なかなか立派な体格をしている。
金髪をやや長めに伸ばし、綺麗に整えていた。
(王様かな?)
マリーは思う。
謁見の席でも見たのだが、距離があったのと派手な衣装や装飾品の為に、はっきりとは分からなかった。
今は、立派な服を着ているとはいえ、儀礼服ではない。
かなり雰囲気が違って見えた。
次に入ってきたのは美しい女性。
おそらく王妃で、国王と年はそれほど離れていないだろうが、そうとは思えないほど、美しく、肌にも張りがある。
この辺りでは珍しい黒髪、黒目で、艶のあるストレートの髪を腰まで伸ばしている。
謁見の席でも見たが、やはり、服装と髪型も違うのでまるで別人のように見えた。
そして、最後に入ってきたのは20才前後の男性。
国王と同じ金髪碧眼だが、美しい顔と華奢な体つきをしており、国王とは対照的だった。
おそらく王子だろう。
「楽にしてよい!!」
国王が立って迎える皆に声をかけるが誰も座らない。
「やれやれ...」
国王は困ったように苦笑いをしたが、そのまま歩いて一番、奥の席に向かう。
王妃と王子もそれに黙ってついていった。
やがて3人が席に着くと、他の皆も席に着いた。
マリーとローズも皆の真似をする。
「今日は新たな英雄を迎えることができて誇りに思う!!礼儀は気にしなくて良いので存分に食事を楽しんでくれ!!」
国王の挨拶が終わると、テーブルに料理が運ばれてきた。
「うわ~~~~!!美味しそう!!」
次々と運ばれてくる料理にローズが一人、はしゃいでいる。
「もう!!ローズちゃん!!恥ずかしいよ!!」
マリーがたしなめるが、
「ほら!このお肉なんか柔らかくて最高よ!!マリーも食べる?」
そう言うと、マリーの口に肉を刺したフォークを突っ込む。
「!!」
(これって...間接キッス...)
頬を染めるマリーを見てローズがにっこり笑う。
「ほら!美味しいでしょ?!マリーも楽しんで!!そっちの方があたしもうれしいわ!!」
「...うん...」
うれしそうなローズを見ていると、自分まで楽しくなってくるマリーだった。
「ふふふ。仲の良いことね!!」
王妃が二人の様子を見て笑う。
「ご、ごめんなさい!!二人で騒いじゃって...」
マリーが急いで謝るが、
「よいよい!!冒険者はそのくらい元気でないとな!!そなたたちと食事をしていると儂まで楽しくなってくる!!ほら!もっと食べなさい!!」
国王はそう言って楽しそうに笑った。
「国王様!ありがとうございます!!」
(思ったより気さくな方ね!!謁見の時は緊張したけど、普段は普通に話せそう...)
ローズがそんな事を考えていると、
「思ったより庶民的だと思っているのかね?」
国王が意地悪そうな顔でローズに聞いてきた。
「そ、そ、そんなことは!!」
ローズが大慌てで釈明するが、
「はっはっは!!冒険者は正直だな!!実は儂ももっと普通に振る舞いたいのだが、大臣が威厳がどうのうるさくてな!!謁見では緊張しただろう!!『もっと簡単でいい』といつも言っておるのに...」
国王が愚痴ると、
「畏れながら陛下!儀式というものは皆にいかに国王というものが偉大であるかを知らしめる為に...」
上座の方に座っている立派な服を着た中年の男性が苦言を呈する。おそらく、あれが大臣なのだろう。
「分かった、分かった!!もう耳にタコができた!!しかし、この席は無礼講でいくぞ!いいな!!」
国王が大臣にそう言う。
「分かっております!あくまで私的な食事会という位置づけなら...」
「はぁ...王というのも面倒なものだな!!」
まだ、形式にこだわる大臣に、国王は溜息を吐くのだった。
「しかし、王様は立派な体格をしてらっしゃいますね!まるで冒険者のような...」
国王の話しぶりに安心したのか、ローズが話しかけるが、
「ローズちゃん!!失礼だよ!!」
その内容を聞いたマリーが、慌ててそれを止める。しかし、
「構わぬ!!無礼講だと言うたであろう!!...それにしてもよく分かったな!!王位に就く前は時々、城を抜け出して冒険者をしていたのだ!!」
国王が驚きの返事をした。
「えっ?!本当に?!...」
ローズが絶句していると、
「そこのジークにも試合を申し込んだことがある!!...ボコボコにされたがな!」
国王はジークを見るとそう言って笑った。
「陛下もお人が悪い...分かっていれば...」
「手抜きをしたのであろう!それを儂が望んでいないのはお前が一番、分かっているだろう?!」
ジークが苦笑いをするが、国王がそれを遮るように言葉を続ける。
「仲がよろしいんですね!」
ローズが国王とジークのやりとりを見て言うと、
「冒険者時代は世話になったからな!!その後も...」
「ゴホン!!」
国王が何か言おうとしたのを、ジークが咳ばらいをして止めた。
「ま、まあ、サクラノを任せたのもジークを信頼しておったからだ!!...結果として新たな英雄を生み出し、国を、世界を救ってくれた!礼を言おう!!」
国王が誤魔化すように話題を変えると、そう言ってジークを労った。
「私は何もしておりません!この二人が自分で強くなったのです!!礼を言うならこの二人に...」
ジークの言葉に、
「そうであったな!!世界を救った新たな英雄、ローズとマリーに今一度、拍手を!!」
国王がそう言うと、その場の全員が二人を拍手で労った。
「そ、そんな!!私なんか...」
マリーは恥ずかしそうに小さくなる。
「マリーがいなかったらあたしは死んでいたわ!!もっと自信を持って!!それに...あたしもちょっと火事場の馬鹿力みたいなところも...」
マリーにそう言ったローズだったが、『無敵の境地』に入れたのがまぐれだという負い目があるのか、謙遜をした。
「何を言う!!冒険者は結果が全てだ!!偶然を含め、全てがそなたたちの実力!!もっと胸を張るがいい!!」
そんなローズを見て、国王は元気づけるように言った。
「そうですよ!!こんなに立派になって...」
「ゴホン!!」
王妃もローズを見て、目を細めたが、国王が咳ばらいをすると、王妃はハッとしたように目を逸らした。
「???」
「・・・」
その様子にローズは不思議そうな、マリーは悲しそうな顔をしていた。
やがて晩餐会も終わりに近づき、紅茶が注がれ、デザートが運ばれてくる。
(...何もなかったみたいだね!良かった!!)
マリーが安心して緊張を解いた時、国王がふと話し出した。
「さて!そなたたち二人はこれから国中を冒険して回ることになるのだろう...」
「はい!!そのつもりです!!」
元気に返事をするローズに、国王は一つ頷くと、
「良い返事だ!!...しかし、そなたにはもう一つの道がある...」
「!!!」
その言葉を聞いた途端、マリーの顔が目に見えて青ざめた...
全ての行事を終え、リラックスした様子のローズがマリーに話しかける。
「もう!!王様もいるんだよ!!」
マリーはそう言うが、
「晩餐会は無礼講でいいんですよね?!」
ローズがジークに聞く。
「ははは。無礼講とまではいかないが、マナーや作法は一切、気にしなくていい!!王族から言葉をかけられることもあるかもしれないが、私と話す感じでいいから安心したまえ!!」
「やった!!」
ジークの言葉にローズはルンルンだ。
「王族か...」
マリーが顔を曇らせると、
「あら?マリーはやっぱり緊張しちゃう?大丈夫!!あたしがフォローしてあげるから!!」
そう言ってローズはにっこり笑った。
「...ローズちゃんは冒険が大好きなんだよね?」
マリーが突然、質問を投げかける。
「どうしたの?突然...もちろん、大好きよ!!」
「絶対、やめたりしないよね!!」
マリーはやけに真剣な顔で聞いてくる。
「当たり前じゃない!!たとえ、世界中の人間に止められても冒険者はやめないわ!!」
ローズの言葉に、
「...うん!!安心した!!お料理、楽しもうね!!」
そう言ってマリーはローズに微笑みかけるのだった。
(???どうしたのかしら?マリー...何か気になることがあるんだったら聞いてくれたらいいのに...)
しかし、ローズはその言葉を口にしなかった。
「う~~~む...」
二人の様子を見ていたジークは一人、静かに唸るのだった。
(言葉にしなくても信じられるか...その信頼が悪い方向に出なければいいが...)
☆彡彡彡
<ガヤガヤ...>
晩餐会の会場は賑わっていた。
マリーとローズは隣に座り、その横にはジークもいる。
知らない人ばかりだったが、リラックスした雰囲気だった。
「!!!」
その空気が一瞬にして変わる。
<ガタッ!>
皆は雑談をやめると、一斉に椅子から立ち上がる。
マリーとローズも真似をした。
見ると、3人の立派な服を着た人物が部屋に入ってきた。
一人は中年の男性。
いかつめの威厳のある顔で、なかなか立派な体格をしている。
金髪をやや長めに伸ばし、綺麗に整えていた。
(王様かな?)
マリーは思う。
謁見の席でも見たのだが、距離があったのと派手な衣装や装飾品の為に、はっきりとは分からなかった。
今は、立派な服を着ているとはいえ、儀礼服ではない。
かなり雰囲気が違って見えた。
次に入ってきたのは美しい女性。
おそらく王妃で、国王と年はそれほど離れていないだろうが、そうとは思えないほど、美しく、肌にも張りがある。
この辺りでは珍しい黒髪、黒目で、艶のあるストレートの髪を腰まで伸ばしている。
謁見の席でも見たが、やはり、服装と髪型も違うのでまるで別人のように見えた。
そして、最後に入ってきたのは20才前後の男性。
国王と同じ金髪碧眼だが、美しい顔と華奢な体つきをしており、国王とは対照的だった。
おそらく王子だろう。
「楽にしてよい!!」
国王が立って迎える皆に声をかけるが誰も座らない。
「やれやれ...」
国王は困ったように苦笑いをしたが、そのまま歩いて一番、奥の席に向かう。
王妃と王子もそれに黙ってついていった。
やがて3人が席に着くと、他の皆も席に着いた。
マリーとローズも皆の真似をする。
「今日は新たな英雄を迎えることができて誇りに思う!!礼儀は気にしなくて良いので存分に食事を楽しんでくれ!!」
国王の挨拶が終わると、テーブルに料理が運ばれてきた。
「うわ~~~~!!美味しそう!!」
次々と運ばれてくる料理にローズが一人、はしゃいでいる。
「もう!!ローズちゃん!!恥ずかしいよ!!」
マリーがたしなめるが、
「ほら!このお肉なんか柔らかくて最高よ!!マリーも食べる?」
そう言うと、マリーの口に肉を刺したフォークを突っ込む。
「!!」
(これって...間接キッス...)
頬を染めるマリーを見てローズがにっこり笑う。
「ほら!美味しいでしょ?!マリーも楽しんで!!そっちの方があたしもうれしいわ!!」
「...うん...」
うれしそうなローズを見ていると、自分まで楽しくなってくるマリーだった。
「ふふふ。仲の良いことね!!」
王妃が二人の様子を見て笑う。
「ご、ごめんなさい!!二人で騒いじゃって...」
マリーが急いで謝るが、
「よいよい!!冒険者はそのくらい元気でないとな!!そなたたちと食事をしていると儂まで楽しくなってくる!!ほら!もっと食べなさい!!」
国王はそう言って楽しそうに笑った。
「国王様!ありがとうございます!!」
(思ったより気さくな方ね!!謁見の時は緊張したけど、普段は普通に話せそう...)
ローズがそんな事を考えていると、
「思ったより庶民的だと思っているのかね?」
国王が意地悪そうな顔でローズに聞いてきた。
「そ、そ、そんなことは!!」
ローズが大慌てで釈明するが、
「はっはっは!!冒険者は正直だな!!実は儂ももっと普通に振る舞いたいのだが、大臣が威厳がどうのうるさくてな!!謁見では緊張しただろう!!『もっと簡単でいい』といつも言っておるのに...」
国王が愚痴ると、
「畏れながら陛下!儀式というものは皆にいかに国王というものが偉大であるかを知らしめる為に...」
上座の方に座っている立派な服を着た中年の男性が苦言を呈する。おそらく、あれが大臣なのだろう。
「分かった、分かった!!もう耳にタコができた!!しかし、この席は無礼講でいくぞ!いいな!!」
国王が大臣にそう言う。
「分かっております!あくまで私的な食事会という位置づけなら...」
「はぁ...王というのも面倒なものだな!!」
まだ、形式にこだわる大臣に、国王は溜息を吐くのだった。
「しかし、王様は立派な体格をしてらっしゃいますね!まるで冒険者のような...」
国王の話しぶりに安心したのか、ローズが話しかけるが、
「ローズちゃん!!失礼だよ!!」
その内容を聞いたマリーが、慌ててそれを止める。しかし、
「構わぬ!!無礼講だと言うたであろう!!...それにしてもよく分かったな!!王位に就く前は時々、城を抜け出して冒険者をしていたのだ!!」
国王が驚きの返事をした。
「えっ?!本当に?!...」
ローズが絶句していると、
「そこのジークにも試合を申し込んだことがある!!...ボコボコにされたがな!」
国王はジークを見るとそう言って笑った。
「陛下もお人が悪い...分かっていれば...」
「手抜きをしたのであろう!それを儂が望んでいないのはお前が一番、分かっているだろう?!」
ジークが苦笑いをするが、国王がそれを遮るように言葉を続ける。
「仲がよろしいんですね!」
ローズが国王とジークのやりとりを見て言うと、
「冒険者時代は世話になったからな!!その後も...」
「ゴホン!!」
国王が何か言おうとしたのを、ジークが咳ばらいをして止めた。
「ま、まあ、サクラノを任せたのもジークを信頼しておったからだ!!...結果として新たな英雄を生み出し、国を、世界を救ってくれた!礼を言おう!!」
国王が誤魔化すように話題を変えると、そう言ってジークを労った。
「私は何もしておりません!この二人が自分で強くなったのです!!礼を言うならこの二人に...」
ジークの言葉に、
「そうであったな!!世界を救った新たな英雄、ローズとマリーに今一度、拍手を!!」
国王がそう言うと、その場の全員が二人を拍手で労った。
「そ、そんな!!私なんか...」
マリーは恥ずかしそうに小さくなる。
「マリーがいなかったらあたしは死んでいたわ!!もっと自信を持って!!それに...あたしもちょっと火事場の馬鹿力みたいなところも...」
マリーにそう言ったローズだったが、『無敵の境地』に入れたのがまぐれだという負い目があるのか、謙遜をした。
「何を言う!!冒険者は結果が全てだ!!偶然を含め、全てがそなたたちの実力!!もっと胸を張るがいい!!」
そんなローズを見て、国王は元気づけるように言った。
「そうですよ!!こんなに立派になって...」
「ゴホン!!」
王妃もローズを見て、目を細めたが、国王が咳ばらいをすると、王妃はハッとしたように目を逸らした。
「???」
「・・・」
その様子にローズは不思議そうな、マリーは悲しそうな顔をしていた。
やがて晩餐会も終わりに近づき、紅茶が注がれ、デザートが運ばれてくる。
(...何もなかったみたいだね!良かった!!)
マリーが安心して緊張を解いた時、国王がふと話し出した。
「さて!そなたたち二人はこれから国中を冒険して回ることになるのだろう...」
「はい!!そのつもりです!!」
元気に返事をするローズに、国王は一つ頷くと、
「良い返事だ!!...しかし、そなたにはもう一つの道がある...」
「!!!」
その言葉を聞いた途端、マリーの顔が目に見えて青ざめた...
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