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Legend 19. 帰れないゴーレム
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「なんだい?お嬢ちゃんたち」
ハルにいきなり話しかけられ、旅人たちは戸惑う。
そんな旅人にツィアが自己紹介をする。
「いきなり、ごめんなさい!私の名はグラーツィア。大賢者と言った方が分かってもらえるかしら?」
「えっ?!大賢者様?!まさか...」
旅人は信じられないといった顔だ。
「これがその証拠よ!」
ツィアが王家の証を見せると、
「これは...王家の紋章...まさか本当に大賢者様にお会いできるとは!光栄です!」
旅人は途端に低姿勢になる。
「私たちは魔王亡き後、残された魔物の対応にあたっているわ!よければ、さっきのゴーレムの話を詳しく聞きたいんだけど...」
そうツィアが言うと、
「おい!大賢者様がなんとかしてくださるってよ!お前の方が詳しいだろ!説明しろよ!」
「はい...実は...」
旅人から聞いた話は次のようなものだった。
ここから西に3日ほど歩いたところにダンジョンがある。
入口にはゴーレムが門番として立っていたので誰も入れなかったが、魔王が倒されたと聞き、そこに向かった冒険者がいた。
しかし、ゴーレムは依然として存在し、冒険者がダンジョンに入るのを拒んだとのことだった。
「ありがとう。私たちは早速、行ってみるわ!対応は私たちが行うので安心していいと、街の人には伝えといて!」
ツィアの言葉に、
「分かりました!...おい、次の街で衛兵に報告しようぜ!」
「そうだな!...では、大賢者様、お願いいたします!」
そう言って旅人たちは去っていった。
旅人を見送ったツィアにハルが話しかける。
「いいんですか?寄り道になっちゃいますけど...」
申し訳なさそうなハルに、ツィアはにっこりと笑って言った。
「いいのよ!ハルはなんとかしてあげたいんでしょ!私も同じ!」
そんなツィアに、
「...ありがとうございます!そんなツィアさんが私は...」
ハルはそこで口を止めてしまった。
「なに?」
ツィアが続きを急かすと、
「な、なんでもありません!ただ...今まで以上にお世話、頑張りますね!」
ハルはそう言って微笑む。
「変なハル!でも頑張らなくてもハルはよくやってるわ!もっと私を頼っても...」
ツィアがそう口にするが、ハルに遮られる。
「大丈夫です!私、ツィアさんのお世話が大好きですから!...次はお風呂...な、なんでもないです!」
急に真っ赤になって話をやめたハルにツィアは首を傾げる。
(お風呂?何かしら?...お風呂の掃除とかはしなくても常に綺麗だけど...)
しかし、それを口にすることなく、ハルに話しかける。
「じゃあ、急いで行きましょうか!他の人が先に着くとやっかいだわ!」
「はい!」
うれしそうに答えるハル。
二人はゴーレムのいるというダンジョンに向かうのだった。
☆彡彡彡
「ふう...結構、かかったわね!」
「そうですね!歩きにくい地形ですから、人間にはきついと思います!」
ツィアたちは3日かけて、ダンジョンへと辿りついた。
西の方は岩山が連なっており、歩きにくかった。
急いだつもりがもう3日目の夕方になっていた。
「あっ!あれね!」
ツィアが岩山の中腹に空いた大きな空洞を指す。
その前には噂通り、ゴーレムが通せん坊をしていた。
「私が話してみます!」
「お願い!」
ハルの言葉にツィアも同意する。
魔物同士の方が話が早いだろう。
「あの...ゴーレムさん?」
ハルがゴーレムに話しかける。
「オマエハ、ハルノセイレイカ?コンナトコロデドウシタ!」
ゴーレムが答えた。
「魔王様は倒されたのに、どうして魔界に帰らないのですか?」
ハルが聞くと、
「ワタシハ、メイレイドオリニシカ、ウゴケナイ...ココヲマモルノガ、ワタシノシゴト...メイレイガカイジョサレルマデ、ココヲマモル!」
ゴーレムはそう答える。
「その命令をした人がいなくなっても?」
ハルの言葉に、
「ソウダ!マオウサマガ、タオサレタノナラ、ワタシモ、ダレカガワタシヲタオスノヲ、マツダケダ!」
ゴーレムはただそう言うだけだった。
「どうしましょう...」
ハルが困っていると、
「あら、ゴーレムはダンジョンが踏破されると、守る義務から解放されるんじゃなかったかしら?」
後ろからツィアが話しかけた。
「ツィアさん!でも...」
ハルが口を開くと、ゴーレムが後を続けた。
「ニンゲンヨ!ワタシヲタオサネバ、ナカニハハイレヌ!ワタシヲタオスカ?」
その言葉に、
「いいえ!あなたを倒したくはないわ!今日は遅いから明日まで待って!なんとかしてあげる!」
「・・・」
ツィアの話に無言で応えるゴーレムだった。
☆彡彡彡
その日の夜、ツィアは荷物の中から何かを探していた。
「どうするつもりですか?ツィアさん」
ハルがツィアにゴーレムとの約束について聞く。
ゴーレムを倒さなければダンジョンには入れない。
しかし、ツィアはダンジョンを踏破することによってゴーレムを解放すると言う。
矛盾しているように思えた。
「ふふふ!前にゴーレムの守るダンジョンに挑んだことがあるのよ!...あった!これが使えるわ!」
ツィアが何かを取り出す。
「それは!!」
驚いているハルに対し、
「ふふふ!明日は久しぶりにダンジョン探索ね!...魔物が出ないから楽なものだけど!」
ツィアは楽しそうに笑うのだった。
☆彡彡彡
翌朝、
「お待たせ!」
ツィアがゴーレムに笑顔で話しかける。
「ドウスルツモリダ!」
ゴーレムが問うと、
「これ、なんだか分かる?」
そう言ってツィアが取り出したのは、土色の素朴なオカリナだった。
「ソレハ!」
ゴーレムはそのオカリナを知っているようだ。
「そうよ!これは『休息のオカリナ』。ダンジョンを守るゴーレムを眠らせる力があるわ!」
ツィアが説明すると、
「ソレデワタシヲ、ネムラセヨウトイウノカ!」
ゴーレムはツィアの意図を理解する。
「そうよ!その間にダンジョンに入って、攻略してあげるわ!」
そうツィアが言うと、
「ナゼダ!オマエハツヨイ!ワタシニハワカル!...ワタシヲタオセバ、ソンナドリョクハ、ヒツヨウナイハズ!ナゼ!」
ゴーレムは戸惑っている。
「ふふふ!」
そんなゴーレムにハルが笑いかけた。
「ツィアさんは魔物といえど、困っている人がいたら、手を差し伸べずにはいられないんですよ!」
「・・・」
ハルの言葉を聞いたゴーレムは黙っていたが、やがて、
「スマン...ヨロシクタノム!」
そう言って、頭を下げたのだった。
「じゃあ、行くわよ!」
徐にオカリナを吹き出すツィア。しかし、
<ピ~~~~~!プ~~~~~!ス~~~~~!>
まともに吹けていない。ハッキリ言って聞き苦しかった。
「ウトウト...ハッ!...ウトウト...ハッ!」
アイテムの効果で眠りそうになるが、もう少しのところで効果が発揮しない。
やはり、最低限の演奏は必要ということなのだろう。
「な、なんて難しいの!...あの時はサヨコが吹いたんだっけ...簡単そうだったけど...」
ツィアは頑張るがゴ―レムは一向に眠らなかった。
「あの...私が代わりに吹きましょうか?」
見かねたハルが提案する。
「そ、そうね!よろしく!」
ツィアはそう言ってオカリナをハルに渡す。
ハルはそれに口を近づけたが、
(ちょっと待ってください!!これ、ツィアさんが口をつけた...)
吹き口にはツィアの唾液がついていた。
ハルにいきなり話しかけられ、旅人たちは戸惑う。
そんな旅人にツィアが自己紹介をする。
「いきなり、ごめんなさい!私の名はグラーツィア。大賢者と言った方が分かってもらえるかしら?」
「えっ?!大賢者様?!まさか...」
旅人は信じられないといった顔だ。
「これがその証拠よ!」
ツィアが王家の証を見せると、
「これは...王家の紋章...まさか本当に大賢者様にお会いできるとは!光栄です!」
旅人は途端に低姿勢になる。
「私たちは魔王亡き後、残された魔物の対応にあたっているわ!よければ、さっきのゴーレムの話を詳しく聞きたいんだけど...」
そうツィアが言うと、
「おい!大賢者様がなんとかしてくださるってよ!お前の方が詳しいだろ!説明しろよ!」
「はい...実は...」
旅人から聞いた話は次のようなものだった。
ここから西に3日ほど歩いたところにダンジョンがある。
入口にはゴーレムが門番として立っていたので誰も入れなかったが、魔王が倒されたと聞き、そこに向かった冒険者がいた。
しかし、ゴーレムは依然として存在し、冒険者がダンジョンに入るのを拒んだとのことだった。
「ありがとう。私たちは早速、行ってみるわ!対応は私たちが行うので安心していいと、街の人には伝えといて!」
ツィアの言葉に、
「分かりました!...おい、次の街で衛兵に報告しようぜ!」
「そうだな!...では、大賢者様、お願いいたします!」
そう言って旅人たちは去っていった。
旅人を見送ったツィアにハルが話しかける。
「いいんですか?寄り道になっちゃいますけど...」
申し訳なさそうなハルに、ツィアはにっこりと笑って言った。
「いいのよ!ハルはなんとかしてあげたいんでしょ!私も同じ!」
そんなツィアに、
「...ありがとうございます!そんなツィアさんが私は...」
ハルはそこで口を止めてしまった。
「なに?」
ツィアが続きを急かすと、
「な、なんでもありません!ただ...今まで以上にお世話、頑張りますね!」
ハルはそう言って微笑む。
「変なハル!でも頑張らなくてもハルはよくやってるわ!もっと私を頼っても...」
ツィアがそう口にするが、ハルに遮られる。
「大丈夫です!私、ツィアさんのお世話が大好きですから!...次はお風呂...な、なんでもないです!」
急に真っ赤になって話をやめたハルにツィアは首を傾げる。
(お風呂?何かしら?...お風呂の掃除とかはしなくても常に綺麗だけど...)
しかし、それを口にすることなく、ハルに話しかける。
「じゃあ、急いで行きましょうか!他の人が先に着くとやっかいだわ!」
「はい!」
うれしそうに答えるハル。
二人はゴーレムのいるというダンジョンに向かうのだった。
☆彡彡彡
「ふう...結構、かかったわね!」
「そうですね!歩きにくい地形ですから、人間にはきついと思います!」
ツィアたちは3日かけて、ダンジョンへと辿りついた。
西の方は岩山が連なっており、歩きにくかった。
急いだつもりがもう3日目の夕方になっていた。
「あっ!あれね!」
ツィアが岩山の中腹に空いた大きな空洞を指す。
その前には噂通り、ゴーレムが通せん坊をしていた。
「私が話してみます!」
「お願い!」
ハルの言葉にツィアも同意する。
魔物同士の方が話が早いだろう。
「あの...ゴーレムさん?」
ハルがゴーレムに話しかける。
「オマエハ、ハルノセイレイカ?コンナトコロデドウシタ!」
ゴーレムが答えた。
「魔王様は倒されたのに、どうして魔界に帰らないのですか?」
ハルが聞くと、
「ワタシハ、メイレイドオリニシカ、ウゴケナイ...ココヲマモルノガ、ワタシノシゴト...メイレイガカイジョサレルマデ、ココヲマモル!」
ゴーレムはそう答える。
「その命令をした人がいなくなっても?」
ハルの言葉に、
「ソウダ!マオウサマガ、タオサレタノナラ、ワタシモ、ダレカガワタシヲタオスノヲ、マツダケダ!」
ゴーレムはただそう言うだけだった。
「どうしましょう...」
ハルが困っていると、
「あら、ゴーレムはダンジョンが踏破されると、守る義務から解放されるんじゃなかったかしら?」
後ろからツィアが話しかけた。
「ツィアさん!でも...」
ハルが口を開くと、ゴーレムが後を続けた。
「ニンゲンヨ!ワタシヲタオサネバ、ナカニハハイレヌ!ワタシヲタオスカ?」
その言葉に、
「いいえ!あなたを倒したくはないわ!今日は遅いから明日まで待って!なんとかしてあげる!」
「・・・」
ツィアの話に無言で応えるゴーレムだった。
☆彡彡彡
その日の夜、ツィアは荷物の中から何かを探していた。
「どうするつもりですか?ツィアさん」
ハルがツィアにゴーレムとの約束について聞く。
ゴーレムを倒さなければダンジョンには入れない。
しかし、ツィアはダンジョンを踏破することによってゴーレムを解放すると言う。
矛盾しているように思えた。
「ふふふ!前にゴーレムの守るダンジョンに挑んだことがあるのよ!...あった!これが使えるわ!」
ツィアが何かを取り出す。
「それは!!」
驚いているハルに対し、
「ふふふ!明日は久しぶりにダンジョン探索ね!...魔物が出ないから楽なものだけど!」
ツィアは楽しそうに笑うのだった。
☆彡彡彡
翌朝、
「お待たせ!」
ツィアがゴーレムに笑顔で話しかける。
「ドウスルツモリダ!」
ゴーレムが問うと、
「これ、なんだか分かる?」
そう言ってツィアが取り出したのは、土色の素朴なオカリナだった。
「ソレハ!」
ゴーレムはそのオカリナを知っているようだ。
「そうよ!これは『休息のオカリナ』。ダンジョンを守るゴーレムを眠らせる力があるわ!」
ツィアが説明すると、
「ソレデワタシヲ、ネムラセヨウトイウノカ!」
ゴーレムはツィアの意図を理解する。
「そうよ!その間にダンジョンに入って、攻略してあげるわ!」
そうツィアが言うと、
「ナゼダ!オマエハツヨイ!ワタシニハワカル!...ワタシヲタオセバ、ソンナドリョクハ、ヒツヨウナイハズ!ナゼ!」
ゴーレムは戸惑っている。
「ふふふ!」
そんなゴーレムにハルが笑いかけた。
「ツィアさんは魔物といえど、困っている人がいたら、手を差し伸べずにはいられないんですよ!」
「・・・」
ハルの言葉を聞いたゴーレムは黙っていたが、やがて、
「スマン...ヨロシクタノム!」
そう言って、頭を下げたのだった。
「じゃあ、行くわよ!」
徐にオカリナを吹き出すツィア。しかし、
<ピ~~~~~!プ~~~~~!ス~~~~~!>
まともに吹けていない。ハッキリ言って聞き苦しかった。
「ウトウト...ハッ!...ウトウト...ハッ!」
アイテムの効果で眠りそうになるが、もう少しのところで効果が発揮しない。
やはり、最低限の演奏は必要ということなのだろう。
「な、なんて難しいの!...あの時はサヨコが吹いたんだっけ...簡単そうだったけど...」
ツィアは頑張るがゴ―レムは一向に眠らなかった。
「あの...私が代わりに吹きましょうか?」
見かねたハルが提案する。
「そ、そうね!よろしく!」
ツィアはそう言ってオカリナをハルに渡す。
ハルはそれに口を近づけたが、
(ちょっと待ってください!!これ、ツィアさんが口をつけた...)
吹き口にはツィアの唾液がついていた。
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