彩り

ガタヤマ

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交流

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マスターの一声が店に響いた。


「いらっしゃい!」


「ども」


ヒッキーがいつものペースで

暖簾をくぐってきた。


「ハイボール1つください」


「あいよ。」


自分の向かい合う席に

座ろうとしたが、僕はそれを止めた。


「今日さぁ~、もう1人来ることになったから、ヒッキーは俺の隣で。」


「そうなんだ。わかった」


あっけない返事であった。


「とりあえず座って乾杯しようぜ!」


「おっけー。」


「お待ちどー」


飲み物を早急に持ってきてくれた。

ジョッキを持ちすぐに声を揃えた。


「かんぱーい!」


声をそろえて言った頃

暖簾をくぐった青彩が見えた。


「いらっしゃい!」


「こんばんは。」


「おっ!青彩こっちー」


僕が声をかけると

ヒッキーが少し驚いた表情をしていた。


「こんばんは。いきなりごめんね!」


「大丈夫!こちらはヒッキー!」


「ヒッキー?面白い名前だね。よろしくね!」


「あっ、よろしくです。」


ヒッキーは少し、

おどおどした様子であった。

新たな一面を見たようで面白い。


「青彩は何飲む?」


「やっぱりー、1杯目は生かな!」


「おっけー、マスター!生1つくださーい」


3人揃って改めて乾杯をした。

そこからの時間は2倍速のビデオを

見るような感覚で

あっというに時(とき)が流れた。

僕と青彩の中学生時代の

今だから言える

小っ恥ずかしい話から

田舎ならではのあるある話

田舎の方言で会話など

川が絶えず流れるように

笑いが絶えるときはなかった。


「そろそろ終電だから帰るね」


ヒッキーの言葉を合図に

みんながスマホの時間を確認する。


「私も明日朝からだし、帰ろうかな」


「そっか」


みんなとさよならするのが

何かを一瞬で失うような感覚で

寂しく嫌だった。

でも、

こういうときに本音は言えない。


どうやら、青彩とヒッキーは

帰る電車の方面が

同じらしい。

2人を駅まで見送った。

2人とも自然に意気投合して

手を振りながらあっという間に

姿が見えなくなった。



1人の帰り道はいろんな想いが

込み上げてきた。

頭のなかで意味もわからなく

混ざり合いあっていた。

関わりを持った人たちが

自分を通して

繋がってくれた嬉しさや、

ヒッキーのことを

羨ましく感じる自分。

おそらく、楽しい時(とき)を

過ごした反動だろうと

言い聞かせながら

自宅に着いた。


その日の夜は

寝ようと思ってもすぐには寝られず、

ゆっくりとした時(とき)の流れに

身を委ねていた。
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