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第一部 四季姫覚醒の巻

第六章 対石追跡 15

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十五
 慌しい一日が、過ぎていく。
 時は夕刻。榎たちは疲れきった体の力を振り絞り、月麿の庵の前に戻ってきた。
 何とか体は動いても、心は沈みきって、思ったとおりに動いていない気がする。
「今回は、残念でしたわ。せっかく、皆さんのお力になれるかと思って、気合を入れてきましたのに」
 奏は本当に悔しそうだった。一般人ながらに、MVP並みの活躍をしてくれたのに、うまく戦いに活かせなかった。榎は申し訳なく思う。
 更なる新兵器の改良に勤しむため、奏は早々に山を降りていった。
「まあ、宵月夜はんが白神石を持っている、と分かっただけでも、探す手間が省けるどす。宵月夜はんがあの石を持っていて良いのか悪いのか、私にはまだ、判断がつきかねますけど……。石の様子だけは、きちんと観察しておこうと思います」
 周(あまね)は元々、宵月夜のために白神石を探そうとしていた。結果としては、周の希望通りの展開になったわけだが、少し煮え切らない様子だ。
 複雑な返答を残して、周も家へと帰っていった。
「ごめん、麿。白神石、手に入れられなかった……」
 二人が去った後、榎たちは、月麿に謝った。
 いろんな人を巻き込み、大きな口を叩いて協力するといっておきながら、目的を果たせなかった。最大の失態だ。
「約束は、ちゃんと果たすよ。絶対に、取り戻すから」
「焦らずともよい。妖怪たちとて、あの白神石を簡単に始末はできぬ」
 落ち込む榎を、月麿は冷静に宥めた。
 月麿が落ち着いているならば、まだ最悪の事態には陥っていないのだろう。月麿の態度は、榎たちに冷静さを取り戻させてくれた。
「どのみち、四季姫が全員揃わねば、麿たちが持っていても、白神石の封印は解けぬ。先に、お主たちの本来の使命を果たすのじゃ」
 失敗したからといって、焦ってはいけない。
 白神石も大事だが、やはり原点回帰するほうが、先決みたいだ。
 榎は、椿と柊に視線を向けた。
「麿の言う通り、封印を解くために、あたしたちができる最善を尽くそう」
 二人は大きく、頷いた。榎も頷き返し、決意を固める。
「最後の四季姫、秋姫を見つけ出すぞ!」
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