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第三部 四季姫革命の巻

第二十一章 平安彷徨 1

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 一
 みぞおちを一撃されて、気を失った榎は、夢か現実か、よく分からない光景を脳裏で見ていた。
 倒れた榎を、夏姫が背に担いで、どこかに運んでいく。「女子おなごにしては大きいな」と呟く夏姫の声が、すぐ耳元で聞こえた。
 榎は遠ざかっていく小さな集落の景色を、ぼんやりと眺めていた。
 ふと、さっきまでいた広場に、誰かが立っている。
 十二単を身に纏った、少女だった。歳は榎と同じくらいだろうか。小柄で、可愛らしいお雛様みたいな女の子だ。
 何か言いたそうな表情で、じっと夏姫の背を見つめている。
 ――紬姫?
 一瞬、そう思ったが、次第に違うと気付く。背丈は小柄でよく似ているが、髪は真っ黒だし、何より雰囲気が異なる。
 あの少女は、誰だろう。何を、訴えかけようとしているのだろう。
 榎は手を伸ばそうと試みるが、双方の距離はどんどん広がり、やがて少女の姿は、消えて見えなくなった。
 まるで幻みたいに、煙となって消えた気もしたが、はっきり確認する余裕もなく、榎の意識は深い闇に落ちていった。
 次に目を覚ました時、榎は畳の上に寝かされていた。御簾で囲まれた、狭い部屋だ。体の上には、着物がかけられている。
「ここは……」
 体を起こして、呆然とする。腹を殴られた痛みはもうないが、触れると何となく違和感がある。
「目が覚めたか? 手荒な真似をして、済まなかったな」
 御簾を捲って、中に人が入ってきた。
 その姿を見ると共に、榎の目も一気に醒める。
 榎によく似た風貌の女性。
 夢じゃなかった。
 榎の前世の姿――夏姫。
「ここは、琵琶湖の側にある、私の知人の屋敷だ。人は払ってあるから、誰もいない。陰陽師の屋敷故、少々怪しい道具も転がっているが、我慢してくれ」
 御簾の外に這い出ると、広い和室になっていた。部屋のあちこちに巻物が散乱し、地球儀みたいな丸い物体や、石や棒、梵字の呪文が書き記された板など、様々なもので溢れかえっていた。
 以前、椿に借りた漫画で読んで、何となく知っている。陰陽師が術を研究したり、天体の様子を調べる時に使う道具だ。
 陰陽師の屋敷に出入りする、夏姫の術を使う、榎そっくりの人物――。
 間違いないと確信はしていたが、本人の口からちゃんと聞きたい。
 榎は再度、問い質した。
「あなたは、やっぱり夏姫なんですよね!?」
 夏姫は困ったっ表情で、眉を顰めた。
「やはり、私を知っているのか。聞き間違いでは、なかったようだな。妖気は感じぬし、ただの村娘にしか見えぬのだが……。前に、屋敷に出入りしておった者か?」
 素性を尋ねられると、今度は榎が困る。
「いや、あたしは、何て言ったらいいか……。説明が、難しいんですけれど」
 まさか、時を渡って未来から来た、なんて説明しても、理解してもらえるかどうか。
 夏姫も陰陽師だし、時渡りの術については知っているかもしれない。だが、何の証拠もない以上、榎の話だけで信じてもらえる自信はなかった。
 せめて、夏姫に変身できればよかったのに。どうして急に、力が使えなくなったのだろう。
 無理な力を使って、時間の流れを捻じ曲げた反動だろうか。
「まあ、誰でも構わぬよ。其方から、敵意は感じない」
 悩んで黙り込んでいると、夏姫は軽く息を吐き、鼻で笑った。
 榎が何者なのか、怪しんではいるが、警戒はしていない様子だ。敵意を向けられているわけではないので、その辺りは安心できた。
「私は、京中のあらゆる者共から追われる身でね。役人、陰陽師、妖怪――。連中ときたら、私と関わった者は見境なく皆殺しだ。其方がどこかで私と会った、などと話でもすれば、首を切り落とされかねんよ」
 夏姫の話を聞き、榎はふと、違和感に気付いた。
 命を狙われて逃げ回っているのは、夏姫のはずなのに。当の夏姫は遠回しに、榎の身を案じてくれている。
「もしかして、あたしの命が危ないから、助けてくださったんですか?」
「放っておくわけにも、いかないだろう。私のせいで死なれては、後味が悪い」
 ばつが悪そうに、夏姫は苦笑いした。
 榎は、胸の奥から込み上げてくる、温かな感情に涙が滲んだ。
 偶然遭遇した、どこの誰とも分からない榎を、妖怪たちだけでなく、あらゆる敵から助けてくれている。
 榎から見ても、夏姫に悪意は感じ取れない。直感的に、とても優しい人なのだと思えた。
「本当に、ありがとうございます」
 素直にお礼を伝えると、夏姫は照れ臭そうに、微笑んで見せた。
「この屋敷にいれば、誰にも襲われずに済む。しばらく、身を隠していなさい」
 お言葉に甘えたいところではあるが、榎には時間がない。
 相手が夏姫なら、榎が平安時代にやってきた目的を果たすために、何か力になってくれるかもしれないし、有益な情報が得られるかもしれない。
 榎は夏姫に詰め寄り、一番気懸りな内容を尋ねた。
「あの! 紬姫は、無事ですか?」
 夏姫はまた、少し表情を強張らせたが、もう榎が何を知っていても驚かん、と言わんばかりに、いちいち問い質してはこなかった。
「さあ。もう、随分と会っていない」
「他の、四季姫たちは? あなたと同じで、伝師の人たちに追われているんじゃ」
「ああ。だが、別々に逃げたからな。そう易々と死ぬ連中ではないだろうが、息災かと訊かれると、何ともいえないね」
 どこで誰がどんな状態であるのか、何も分からない。
 だったら尚更、椿たちが心配だ。この時代の四季姫たちと間違えられたり、榎と同じく四季姫について詳しく知っている人間として、殺されてしまうかもしれない。
 紬姫だって、もたもたしているうちに、かたりに――。
「どうしよう。早く、助けに行かなくちゃいけないのに……」
 榎は焦る。だが、どこに行けばいいのかも、分からない。夏姫の力が使えなくなっているせいか、みんなの気配すら、感じ取れなくなっていた。
「紬姫に関して言えば、別に誰かから命を狙われる、といった危惧はなかろう。あれは、我らの命を狙う側の人間なのだから」
 夏姫は目を細め、少し苛立った様子で語った。
「四季姫は伝師をたばかった。そのため、伝師の怒りを買って反逆者とされた。挙句の果てには、みかどの身をも脅かそうとした賊として濡れ衣を着せられ、京の全ての者から追われる身となった。――我々を亡き者としようとしている首謀者こそが、紬姫なのだ」
「その話は、聞いて知っています。あなたたちは、本当は平安京を、この世界の平和を、紬姫の命を守るために、鬼閻を封印したんでしょう?」
 自嘲する夏姫に、榎は四季姫たちの行動の正しさを説いた。榎としては、夏姫たちの行いを肯定して、理解しているのだと分かって貰いたかっただけなのだが、その考えは通じなかった。
 突然、夏姫の纏う空気が豹変した。榎が驚いて竦んでいる間に剣を抜き、榎の首筋に切っ先を触れさせてきた。
「お前は、本当に何者だ? ただの村娘にしては、多くを知り過ぎてはおらぬか?」
 冷たい刃の感触。榎の心臓が跳ね上がる。全身から汗が吹き出し、瞬きもできなかった。
 すぐ眼前に迫る夏姫の顔は怒りに歪み、殺意に満ちていた。邪気さえも纏っているのではないかと思えるほどの、恐ろしさだった。
 情報を表に出し過ぎた。四季姫や伝師について詳しすぎる榎は、夏姫の中で得体の知れない危険な人物として映ったのだろう。榎の持つ知識は、夏姫が笑って聞いていられる許容範囲を、超えてしまったらしい。
「答えろ。返答次第では、生かして帰すわけにいかぬ」
 ここまで警戒されては、適当にはぐらかしたり、嘘を言っても、通用しない。
 一か八か、本気で真実を話してみよう。
 榎は、夏姫の本来の親切心と誠実さに賭けた。
「言っても、信じてもらえるか分からないけれど、あたしは、あなたの生まれ変わりです」
 榎は必死で、喉の奥から声を絞り出す。夏姫の表情から、少し殺気が消えた。
「あなたは、この時代で命を落とし、千年後に再び、夏姫として蘇った。その姿が、あたしです。あたしは、未来の夏姫なんです!」
 何とか、最後まで言いきれた。息を切らせて反応を待っていると、夏姫は突然、吹き出した。
「何を言い出すかと思えば! もっと、ましな命乞いの言葉くらい、いくらでもあるだろうに」
 夏姫は大声で笑う。剣を榎から引き下げ、腹を抱えて爆笑していた。
 よほど、榎の話が滑稽だったのだろう。だが、榎にとってみれば、そんな態度で済まされては困る。
「笑い話じゃなくて、本当なんです。麿……月麿を知っていますか! あの人が時を渡って、千年後にやって来たんです。そして、あたしと出会って、夏姫の力を覚醒させて……」
「あの肉団子の名まで出してくるか。法螺話にしては、よくできているな」
 更に話を広げるが、ますます笑い話としか取り合ってもらえない。今、この場所に月麿がいてくれれば、もっと早くケリがついただろうか。
 いや、夏姫の物言いから考えると、月麿でさえ、何を言っても信じなさそうにも思えた。
 ひとしきり笑った後、真面目な顔を崩さずにいた榎を見て、夏姫も表情を引き締め直した。
「――ならば、力で示せ。其方が夏姫だと申すなら、夏の季節の力を以て、あらゆる神通力を使いこなせるはず」
 痛いところを突かれた。それができるなら、初めから苦労はしていない。
「それが、この時代に来てから、急に力が使えなくなって」
 小さな声で返すと、夏姫は退屈そうな息を吐いた。
「法螺話も尽きたか。もう少し、楽しませてくれるかと思ったが」
 もう、法螺話でも構わない。夏姫が信じてくれないなら、それでもいい。
 とにかく聞けるだけの情報を得ようと、榎は再度、夏姫に詰め寄った。
「お願いです、紬姫がどこにいるのか、教えてください。あたしはどうしても、紬姫に会って、伝えたい話があるんです」
「奴は既に、悪鬼の化身だ。会ったところで、誰の言葉にも耳を貸さぬ」
「違う! 紬姫は人間だ、ちゃんと血の通った、人を思いやれる人だ!」
 榎は声を荒げた。
 確かに、紬姫の数々の行いは非道であり、残酷で自己中心的だ。榎だって、下手をすれば紬姫の行動によって殺されていたかもしれない。
 だが、榎は実際に未来の紬姫に会っている。この目で実際に見て会話を交わして、榎自身が感じた印象は、決して悪ではなかった。
 ただ、我が子を助けたいと必死に運命と戦う、弱くも強い、立派な母親だった。
「急いで助けないと、紬姫が死んでしまうんです!」
「奴が死ぬなら、どうだと言うのだ? 我々にとっては、命を狙う敵がいなくなるのだから、喜ばしい話だ」
「紬姫が、四季姫の命を狙う厄介な存在だということは、知っています。あなたたちにとっては迷惑な話かもしれないけれど、あたしは絶対に、紬姫を助けなくちゃいけない。そうしなくちゃ、この時代にやってきた意味がないんです!」
「なぜ、其方はそこまで必死に、紬姫を守ろうとする?」
「――大切な人たちを、助けるため。未来を、あたしたちの暮らす時代を、守るため」
 脳裏に、たくさんの人たちの姿が浮かぶ。名古屋の両親、兄弟。京都に来てからお世話になった人たち。四季姫のみんな、了封寺の人々。朝や宵、深く関わった妖怪、悪鬼たち。奏。そして――綴。
 榎が生きてきた環境を形成する、全てを守りたい。今まで築き上げてきたものを、流れてきた時間の続きを、失いたくない。
 気付けば、榎の頬を涙が伝っていた。
 震える榎の肩を、夏姫は優しく撫でた。涙を指で拭い、榎の顔を覗き込んできた。
「守る者のある人間の瞳は、かように美しいものであったのだな。久しく忘れていた、笑って済まなかったな」
 夏姫は、優しく穏やかな笑みを浮かべていた。
 榎の必死の思いが通じた。もう、敵意も嘲りも、夏姫の態度からは見られなかった。
 夏姫に見つめられると、不思議と顔が熱くなり、心臓の鼓動が早くなる。
 相手は女の人なのに、妙に緊張してしまう。
 綴と出会ったばかりの頃の感じに、よく似ている。不思議な類似だ。
 夏姫の瞳も、強い闘志に満ちて輝いていた。
 榎と同じ。まだ、誰かを助けたいと、守りたいと思っている輝きではないのだろうか。
 そう思ったが、そんな眼光とは裏腹に、夏姫の表情は疲れが濃く、諦めの雰囲気を漂わせていた。
「其方の力になってやりたいところだが、紬姫に会うことは叶わぬのだよ。さっきも言ったが、ここは近江。平安の京の外だ。私は紬姫の手を逃れるために、命からがら、京から抜け出してきたばかりなのだ」
 この屋敷のある場所は、琵琶湖のほとりだと言っていた。近江というと、滋賀県だ。京都中心部には、山を越えるか、海沿いの街道を迂回して南下しなければ辿り着けない。かなり不便な場所に飛ばされてきたらしい。
 当然ながら電車が走っている訳もなし、道だって整備されていないから、相当の日数をかけなければ辿り着けないだろう。いや、途中で力尽き、辿り着けない可能性だってある。
「仮に京に戻ったとて、関所の門は既に閉ざされ、お尋ね者である私には、京に戻る術がない。其方とて、容易には入れぬよ。皆、殺気立っているから、外から来る者への警戒も強い」
「平安京に行けない。中に、入れない……」
 榎の体から、力が抜けた。
 呟くと、夏姫は控えめに頷いた。
「其方も、己の命を無駄にはするな。守りたいものがいる気持ちは分かるが、まずは一人でも生き残れたことを、幸いと思うしかないよ」
 力なく告げて、夏姫は部屋を出て行った。
 残された榎は途方に暮れた。
「どうしよう。せっかく平安時代に来れても、変身できないし、京にも入れないんじゃ……!」
 こんな場所で暇を持て余していても、時間の無駄だ。
 最悪の事態に榎は苛立ち、畳を拳で殴りつけた。
 その反動で巻物の山が崩れる。下敷きになった榎は、中から抜け出して後片付けをするために、更に無駄な時間を費やす羽目になった。
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