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第1章
Vol.02 翻弄
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「今から君をレイプするの。」
由麻子先輩の手がスラックスのベルトを外しても、俺はその言葉が信じられず、聞き間違いだと思おうとしていた。
「ま、待ってください。先輩、冗談ですよね?」
先輩はさっきからずっと無言だ。俯いた顔に髪がかかって、その表情はよく分からない。
「あっ・・・。」
ファスナーを下ろされ、長い指がボクサーパンツの隆起に触れる。ひんやりした指先。
上向きに納めてるそれは敏感な裏側を無防備に晒していて、布の上から軽く撫でられるだけで熱を帯び形を変えてしまう。
いつもすごい早さでキーボードを打つ由麻子先輩の指が、今は俺のモノの形を確かめるように行ったり来たりしているのだ。
優しく、でも、弄ぶようなその動き。
俺は映画でも見てる気持ちでその手の動きをぼんやりと見つめていたが、やがて先輩が本気だということを理解し、慌てて声を出した。
「せ、先輩っ、こんなの、ダメですっ。」
お誘いはうれしいが俺にも彼女がいる。浮気じゃないけど嘘をつくか傷つけることになるだろう。
仮にフリーだったとしても、こんなやり方は嫌だ。フェアじゃない。
俺は腹筋のトレーニングみたいに上体を起こしながら必死に訴えた。先輩は相変わらず俯いたままだ。
「止めてくださいっ。あの、俺、忘れるんでっ。」
やけっぱちで放った言葉だったが、意外にも由麻子先輩の手が止まった。
効果あったか。俺は畳みかけるように続ける。
「ほんとですっ。誰にも言わないですからっ。ほら、俺、一晩寝たら忘れるタイプだし、明日から、あ、来週か、いつも通りに出来ます。ほんとにっ・・・。」
そこまで言って、俺は思い直してくれるのを待った。
仕事が好きでハードワーカーの先輩なら、業務に支障が出ると匂わせれば止めてくれるはずだ。
「そ・・・の・・・いや・・・。」
ボソッと何か呟いた。先輩とは思えない低い声。
「え?あの、すみません。聞こえなかったんで、もう一度・・・。」
俺はまだ説得出来ると思っていた。
ほら、先輩、いつものいたずらみたいに笑って。そしたら無かったことに・・・。
「あっ、ちょ、ちょっとっ。」
ところが、由麻子先輩の指は再び動き始めた。今度はボクサーパンツのウエストに手を伸ばす。
「ダメですって、こんなことっ。」
俺は先輩の手から逃れようと身を縮めたり腰を浮かしたりしていたが、それが却って助けになってしまったらしい。少しずつ下着が下ろされてゆく。
「こんなことっていうのは・・・。」
そう言って、由麻子先輩はボクサーパンツのウエストを掴むと一気に引き下ろした。
「ああっ・・・。」
「ここをこんなにしちゃってること?」
見られてしまった。そして、見てしまった。
中から勢いよく飛び出したのは、天を衝くほど、いや、腹につきそうなほど反り返り、脈打っている俺のモノ。赤く膨らんだ先端は、だらしなくヨダレを滲ませている。これから起こることが待ちきれないかのようだ。
口では拒否していながら、こんなにも自分の体が悦んでいたなんて。
俺は自分の顔が一気に上気するのを感じた。恥ずかしさと興奮。心臓が頭の中にあるかのように鼓動が鳴り響いている。
それから・・・。
由麻子先輩がゆっくりと顔を上げる。
細い鼻梁、白い肌、柔らかそうな半開きの唇。顔にかかっていた髪がさらさらと肩に落ちてゆく。
ずっと伏せられていた長いまつ毛が上を向き、大きいアーモンド型の瞳が俺を捉える。
それは薄い琥珀の中にグレーがかった不思議な色が挿していて、今、獲物をみつけた獣のように爛々と輝いていた。
「せん・・・。」
ヤバい。
目が離せない。
頭の中でサイレンが鳴る。
これ以上はダメだ。早く目を逸らせ。
じゃないと俺は知りたくなってしまう。由麻子先輩がどんな表情を見せるのか、どんな声を上げるのか・・・。
ゴクッと喉が鳴って、自分が唾を飲み込んだことに気付く。
な、何言ってるんだ。俺には沙希がいるし、相手は同じ部署の先輩じゃないか。来週からどんな顔で会えばいいんだよ。ギクシャクするに決まってる。
いや、待てよ、断ったほうが傷つけないか。しかも相手は由麻子先輩。誘われたなんて言ったら絶対皆羨ましがるだろ。
ああ、でも、沙希は何か嗅ぎつけるだろうなぁ。最近残業が多いのも疑ってるし。俺、隠し通せる自信ないなぁ。
だ、だから待てって。いくら拘束されて据え膳だったとしても、今から先輩とするのか?ここで?
そもそも俺を選んだのだって断りきれないだろうと思っただけなんじゃないのか。そんな気まぐれに惑わされていいのか・・・。
そうだ、やっぱりこんなのダメだ。
俺は気を取り直して、もう一度考え直すよう訴えることにした。
最悪の場合、蹴っ飛ばして逃げるくらい可能だろう。
「あ、あのっ。」
「決まった?」
ランチのメニューでも聞くように言う。先輩には俺の心などお見通しらしい。
「せ、先輩はきれいだし、一度してみたいとは思うんですけど・・・。」
「ありがと。でも、それ、セクハラ。」
「どの口が言ってるんですか。」
「それもそうね。それで?」
「先輩との仕事はすげえ楽しいし、これからも一緒にやりたい。だから、やっぱりこういうことは出来ません。すいませんっ。」
由麻子先輩とは勃起したモノを挟んで対峙しているわけで、全くもって説得力が無いってのは俺だってよく分かっている。でも、言った内容に嘘は無いし、思いとどまらせるにはこれ以上の言葉は無いと思った。
その気持ちは伝わったらしい。先輩は目を伏せ、少し黙ってから、
「ありがとう。」
と言った。
よし、これでやっと解放される。俺は残念な気持ちに気付かないふりをして安堵の息をついた。
「合格よ。」
由麻子先輩が顔を上げて言う。
「え?」
「これで心置きなく君のことを滅茶苦茶に出来る。」
今度は意味を問う時間は与えられなかった。
次の瞬間、先輩の手が俺のモノを掴み、上下に大きく動き始めたのだ。
由麻子先輩の手がスラックスのベルトを外しても、俺はその言葉が信じられず、聞き間違いだと思おうとしていた。
「ま、待ってください。先輩、冗談ですよね?」
先輩はさっきからずっと無言だ。俯いた顔に髪がかかって、その表情はよく分からない。
「あっ・・・。」
ファスナーを下ろされ、長い指がボクサーパンツの隆起に触れる。ひんやりした指先。
上向きに納めてるそれは敏感な裏側を無防備に晒していて、布の上から軽く撫でられるだけで熱を帯び形を変えてしまう。
いつもすごい早さでキーボードを打つ由麻子先輩の指が、今は俺のモノの形を確かめるように行ったり来たりしているのだ。
優しく、でも、弄ぶようなその動き。
俺は映画でも見てる気持ちでその手の動きをぼんやりと見つめていたが、やがて先輩が本気だということを理解し、慌てて声を出した。
「せ、先輩っ、こんなの、ダメですっ。」
お誘いはうれしいが俺にも彼女がいる。浮気じゃないけど嘘をつくか傷つけることになるだろう。
仮にフリーだったとしても、こんなやり方は嫌だ。フェアじゃない。
俺は腹筋のトレーニングみたいに上体を起こしながら必死に訴えた。先輩は相変わらず俯いたままだ。
「止めてくださいっ。あの、俺、忘れるんでっ。」
やけっぱちで放った言葉だったが、意外にも由麻子先輩の手が止まった。
効果あったか。俺は畳みかけるように続ける。
「ほんとですっ。誰にも言わないですからっ。ほら、俺、一晩寝たら忘れるタイプだし、明日から、あ、来週か、いつも通りに出来ます。ほんとにっ・・・。」
そこまで言って、俺は思い直してくれるのを待った。
仕事が好きでハードワーカーの先輩なら、業務に支障が出ると匂わせれば止めてくれるはずだ。
「そ・・・の・・・いや・・・。」
ボソッと何か呟いた。先輩とは思えない低い声。
「え?あの、すみません。聞こえなかったんで、もう一度・・・。」
俺はまだ説得出来ると思っていた。
ほら、先輩、いつものいたずらみたいに笑って。そしたら無かったことに・・・。
「あっ、ちょ、ちょっとっ。」
ところが、由麻子先輩の指は再び動き始めた。今度はボクサーパンツのウエストに手を伸ばす。
「ダメですって、こんなことっ。」
俺は先輩の手から逃れようと身を縮めたり腰を浮かしたりしていたが、それが却って助けになってしまったらしい。少しずつ下着が下ろされてゆく。
「こんなことっていうのは・・・。」
そう言って、由麻子先輩はボクサーパンツのウエストを掴むと一気に引き下ろした。
「ああっ・・・。」
「ここをこんなにしちゃってること?」
見られてしまった。そして、見てしまった。
中から勢いよく飛び出したのは、天を衝くほど、いや、腹につきそうなほど反り返り、脈打っている俺のモノ。赤く膨らんだ先端は、だらしなくヨダレを滲ませている。これから起こることが待ちきれないかのようだ。
口では拒否していながら、こんなにも自分の体が悦んでいたなんて。
俺は自分の顔が一気に上気するのを感じた。恥ずかしさと興奮。心臓が頭の中にあるかのように鼓動が鳴り響いている。
それから・・・。
由麻子先輩がゆっくりと顔を上げる。
細い鼻梁、白い肌、柔らかそうな半開きの唇。顔にかかっていた髪がさらさらと肩に落ちてゆく。
ずっと伏せられていた長いまつ毛が上を向き、大きいアーモンド型の瞳が俺を捉える。
それは薄い琥珀の中にグレーがかった不思議な色が挿していて、今、獲物をみつけた獣のように爛々と輝いていた。
「せん・・・。」
ヤバい。
目が離せない。
頭の中でサイレンが鳴る。
これ以上はダメだ。早く目を逸らせ。
じゃないと俺は知りたくなってしまう。由麻子先輩がどんな表情を見せるのか、どんな声を上げるのか・・・。
ゴクッと喉が鳴って、自分が唾を飲み込んだことに気付く。
な、何言ってるんだ。俺には沙希がいるし、相手は同じ部署の先輩じゃないか。来週からどんな顔で会えばいいんだよ。ギクシャクするに決まってる。
いや、待てよ、断ったほうが傷つけないか。しかも相手は由麻子先輩。誘われたなんて言ったら絶対皆羨ましがるだろ。
ああ、でも、沙希は何か嗅ぎつけるだろうなぁ。最近残業が多いのも疑ってるし。俺、隠し通せる自信ないなぁ。
だ、だから待てって。いくら拘束されて据え膳だったとしても、今から先輩とするのか?ここで?
そもそも俺を選んだのだって断りきれないだろうと思っただけなんじゃないのか。そんな気まぐれに惑わされていいのか・・・。
そうだ、やっぱりこんなのダメだ。
俺は気を取り直して、もう一度考え直すよう訴えることにした。
最悪の場合、蹴っ飛ばして逃げるくらい可能だろう。
「あ、あのっ。」
「決まった?」
ランチのメニューでも聞くように言う。先輩には俺の心などお見通しらしい。
「せ、先輩はきれいだし、一度してみたいとは思うんですけど・・・。」
「ありがと。でも、それ、セクハラ。」
「どの口が言ってるんですか。」
「それもそうね。それで?」
「先輩との仕事はすげえ楽しいし、これからも一緒にやりたい。だから、やっぱりこういうことは出来ません。すいませんっ。」
由麻子先輩とは勃起したモノを挟んで対峙しているわけで、全くもって説得力が無いってのは俺だってよく分かっている。でも、言った内容に嘘は無いし、思いとどまらせるにはこれ以上の言葉は無いと思った。
その気持ちは伝わったらしい。先輩は目を伏せ、少し黙ってから、
「ありがとう。」
と言った。
よし、これでやっと解放される。俺は残念な気持ちに気付かないふりをして安堵の息をついた。
「合格よ。」
由麻子先輩が顔を上げて言う。
「え?」
「これで心置きなく君のことを滅茶苦茶に出来る。」
今度は意味を問う時間は与えられなかった。
次の瞬間、先輩の手が俺のモノを掴み、上下に大きく動き始めたのだ。
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