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ランチ行脚 トンテキ

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 今回のランチ行脚は、メニューが『トンテキ』ということもあり、わくわくと過去の記憶で、いつもより、特別な気持ちになっていた。

 そんなこともあってか、午前中から何か、そわそわしていたが、いつも通り、仕事をこなした。そして、お昼の時間になり、同じ部署の者がお昼に出かける時に午後から半休を取るので、よろしくと伝えた。

「よし、これで出発が出来るな…」

 乗る電車の時刻も事前に調べており、時間どおりに駅に着いた。電車も時間どおりに来て、空いていたので、余裕で座わって行けた。

 電車の中で、スマホでお店の情報と地図を見て、場所を再確認した。そして、その後に寄りたいコーヒーチェーンの場所も確認した。学生時代に何回も来ていたので、町並みはわかっていた。

 時間どおりに目的の駅に到着して、電車の扉が開き、ホームに降り立つと急に学生時代の記憶の断片を思い出した。

 改札は、駅ビルになっており、まるっきり変わっていたが、駅前に出ると、昔からある洋菓子店や少し汚れたのれんの中華屋、電信柱の看板など所々に、そのままに残っていたところもあり、懐かしく思った。

  少し駅前を散策したかったが、ランチの時間もあり、目的の店に向かった。その店は、裏路地にあり、学生時代には、行かなかった場所にあった。

「ここに、こんな通りがあったのか…」

 駅前から五分くらい歩いて、一本の路地に入ると美味しそうな香りが、漂ってきた。

 その店につくと、立て看板にいくつかのランチメニューが書いてあり、『ミックスフライ』と『ビーフシチュー』が売り切れになっており、『トンテキ』は、書いてあったので、まだあるようだ。

「良かった…トンテキありそうだ…」

 俺は、お店の扉を引くとカランコロンとなって、「いらっしゃいませ」と女の子の声がして、こちらに寄ってきて、すぐに空いてる席に案内してくれた。

 その後、お水とランチのメニューを持ってきてくれて、『ミックスフライ』と『ビーフシチュー』が品切れということを言って、他の席を片付けに行った、。

 俺は、写真付きのランチメニューを見て、トンテキが思っていた物より、大きく見えたが、初志貫徹で、トンテキに決めた。

 注文して、しばらくすると鉄板に肉が乗っかって、ジュージューと音をたてたトンテキが運ばれてきた。

「お待たせいたしました。トンテキになります…」
「ありがとう…」

 やはり、トンテキは、濃厚なたれがかかり、きざみキャベツが添えられていたが、グローブの形をして、思ったよりも大きかった。
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