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刺客?
しおりを挟む書状を奪うことに失敗した黒の盗賊団は、梨乃亜姫一行の暗殺計画を立て、西の大国に入る前に殺して、書状を奪うことにしました。
そんな事になってるとは、知らずに呑気に旅を続けています。
「あと、3日くらいで西の大国ね、頑張りましょう」
「あいだす!」
「西の大国…怖いところですか?」
「伊吹はすぐに怖がる…凄く良いところよ」
しばらく、歩いていると道の片隅に足を痛めた女の子とお付きの女性が、休んでました。
「どうしましたか?」
「先ほど、紫お嬢様が足をひねりまして、休んでおりました」
「それは、大変、美代、薬草を塗ってあげて」
「あいだす…これは、効くだすよ」
「いたたっ、何かすうーとします…ありがとうございます」
美代は、特効薬の薬草をこの女の子の足に塗って、布で固定しました。美代の女中奥義のひとつの「お手当て」を使いました。
この2人は、西の大国の海苔問屋のお嬢様「紫」とお付きの女性「加代」で、親戚の家に行った帰り道でした。
「美代、おぶってあげてちょうだい」
「あいだす…」
「すみません…助かります」
「ありがとうございます…」
美代は、ひょいと女の子を軽々とおぶりました。道中は西の大国がどんなところか、いろいろと質問しました。
「西の大国は、どんなところなの?」
「とても、立派なお殿様がいて、碁盤の目のように綺麗に家が並んでいます」
「早く、見てみたいわ」
「あっ、美味しい食べ物はあるだすか?」
「海の近くなので、美味しい魚が食べれます」
「海だすか…食べてみたいだす」
「美代は相変わらずの食いしん坊ね…」
「西の大国は、怖いところですか?」
「怖くないですよ…良いところです」
「良かった…」
「伊吹は、ほんとに…怖がりね…」
そんな話の中で、お礼に今夜は、知ってるところの温泉宿に招待するということになりました。
「今晩は、ぜひ、私達の定宿の温泉宿にお泊まりください」
「温泉! 楽しみね…旅の疲れを取りましょう」
「温泉だすか?美味しい物がありそうだす」
「たくさん、ご馳走がありますので、楽しみになさってください」
「ありがとうございます」
温泉宿に着くとゆっくり温泉につかり、美味しい料理を堪能しました。お腹も一杯になり、寝ることになり、相変わらず、伊吹は縛られうつ伏せに寝かされ、梨乃亜は押し入れで寝ました。
夜中になると大小の2つの影が、梨乃亜達の部屋に息を殺して、近づきました。
「紫、ついてらっしゃい」
「加代、寝てるかな…」
「あれだけのご馳走を食べてたから、お腹一杯でぐっすりよ…」
「さっさと殺っちゃいましょ…」
襖をすーと開けて、中に入ろうとすると先頭の大きい影の者が何かにつまづき倒れ、後ろの小さい影の者が何かを踏みつけました。
伊吹が縛られて寝ていて、寝相が悪く転がって襖の前でうつ伏せで寝ていました。足をひっかけられたり、お尻を踏まれたので、起きてしまいました。でも、お尻を踏まれたので、やる気が解放されました。
「いたたっ、何なんだ! でも何かやる気出てきた…また、侵入者か…」
大きい方が、起き上がると持っていた小刀で、伊吹を攻撃してきました。小さい方も構えて小刀を持って、攻撃してきました。伊吹は縛られてるので、手が使えません。
「伊吹格闘術…鶴の足の構え…」
鶴のように片足立ちになるともう一方の足で、小刀を持つ手に蹴りを繰り出し、小刀を落としました。
その騒ぎで、梨乃亜も押し入れから、顔を出して、姫様奥義の「猫の目」で、暗闇の状況を確認すると美代を起こし、大きい影の方の後ろに回り込むと首を締めて、気絶させました。そして、小さい方を抱き込みました。
「美代、起きて!」
「うーん、ご飯の時間だすか?」
「明かりをつけてちょうだい…」
美代は、寝ぼけながら、行灯に灯をともしました。そこには、昼間に出会ったふたりがいました。
「離せ、殺してやる!」
「まあ、怖い…」
梨乃亜は、手刀で紫の首もとを軽く叩くと気絶してしまいました。
「たぶん、黒の盗賊団の刺客ね」
「そうだすか…」
「あのー、私の縄をほどいてくださいよ…」
「そうね、縄をこっちに使うから、美代ほどいてあげて…」
伊吹を縛ってた縄を加代に使いました。
「たぶん、無理やりでは、黒の盗賊団の本拠地は、しゃべらないと思うわ」
「どうすれば、よいだすか?」
「この女の子を泳がせてみるの…ふふふ」
「何か、梨乃亜様、怖い…」
このふたりの部屋に加代は、縛ったままにし、紫は縛らないで何かを着物の端につけて、放置しました。梨乃亜達は、朝までもうひと眠りしました。
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