上 下
1 / 1

初配信

しおりを挟む
「すらいむ~ちゃんねるが生配信!?」
「初コメ」
「いつも動画見てます」
「こんすら~」
「こんすら?」


コメントありがとうございます!こんすら~
動画内で宣伝しましたけど、結構いらっしゃいますね。
ありがとうございます。


「初見です」
「ガチスライムASMRの人か」
「いつもムスコがお世話になってます」


初見さんも動画からの人も直接お話するのは初めましてですね。

いつもは自分の体で心地よい音を奏でるASMR動画を投稿している一般スライムです。

ちなみに今日は青くてシャクシャク音がなるプルプルです。初配信なのでおめかししてきました。

皆さん、見えてますか?


「みえてるよー」
「音も大丈夫」
「シャクシャク音好き」



問題なさそうですかね?


それでは、そろそろ始めていきたいと思います。
今日はこちらをやっていきます。

「なにこれ?電子チップ?」
「新作か!よく手に入ったなぁ」
「スライムさん当たったのか!」
「ゲーム?」

モンスター族と人間族とで反応が別れますね。

はい、こちら人間種の間で流行しているVRMMOの2作目です。



人気ゲーム廃信者獣人族でお馴染みのニャム姉さんからベータテスター特典?を頂きました。

というわけで、こちらのVRMMOを配信内で実況していきたいと思います。

いつものASMR系の動画とは違った形にはなりますが、配信楽しんでいってくださいね。


「ニャム姉さんと知り合いなのか」
「スライムの体でVR機器固定できるの?」
「ニャム姉さんそのゲーム配信してないぞ!?」
「配信可能なオープンベータなのに配信してないの流石ゲーム廃人。配慮の獣人」

ニャ厶さんとは知り合いといえば知り合いですかね。
モンスターは大なり小なり繋がっているんですよ。

今までは顔見知り程度だったんですが、この前お会いしたときに、自分が動画投稿してるの知っててくださったみたいで会話が弾んじゃって。
偶々VR機器ごとこのソフトを頂いたんですよね。


「例大祭の時かな」
「例大祭?」
「人間族にもわかるように教えてクレメンス」
「モンスター族が信仰する最大手宗教のいっちゃんデカイ宗教行事。またの名を大宴会」
「大宴会ってどういうこと」
「呑めや唄えやのドンチャン騒ぎができるほど平和なことを神様に知らせることが目的の祭り(諸説あり」
「人間族に伝わる怪談の一つである百鬼夜行はモンスター族の宴会だった可能性が微レ存……?」


気が大きくなって脅かしてたかもしれませんね。
驚きや恐怖が糧になる種族もいますし、ありえない話ではないですね。




よし、取説読み終わりました。
VRハードは禁断の果実でバージョンはマシュマロ以上、ヘッドギア型か全身型と。
頂いたのはヘッドギア型です。


「スライムVRいけんの?」
「スライム 頭の作り方 検索」
「硬化かな?」
「ザクザクASMRでスライムさん硬化してたよ」
「ヘッドギアの人間で言う右耳らへんにソフト差し込んで被ればとりあえずおk」


なるほど、ソフトはここに差し込んで……


「ソフト差し込み型なのノスタルジック」
「鯖管理しやすいようにじゃね」
「ダウンロード版はよ売ってくれ(抽選外れた」


よし、カチッと音がなりましたね

さあお待ちかね頭を作りますよー!


それでは、話題に挙ってました硬化を試していきましょう。
準備しますので少々お待ちください。

「スライムの硬化初めてみる」
「動画勢も硬化していく姿はみたことない」
「生で動くスライム自体初見」

社交的なスライムは少ないですから、スライムを人間社会で見かけることもあまりないでしょう。
モンスター族の中でもかなり引きこもりな方ですからね……

私もスライム社会からは異端児扱いですよ。


「当然だけどスライムにも社会があるんやなぁ」
「モンスター族と人間族が交流してきたとはいえ排他的な種族もあるよね……俺のところもソーナノ」
「スライムは人間に沢山倒されてきた歴史があるから、排他的でもおかしくない」


まあ、私も好き勝手してますからね。

あっ、あった。



それでは、今回はこちらの小瓶の液体を使って硬化していきたいと思います。


「なにこれ?コルク式の小瓶じゃない」
「スライムでも扱いやすい押し出し式小瓶(スライムさん作)魔法で蓋がしてあるので溢れる心配なし」
「綺麗な蓋無し醤油差し」
「醤油差しは草」


まず、こちらの小瓶の中にある金属粉末シルバーラメが入った液体を取り込みます。
金属の粉末はゴーレム金材店で購入しています。いつもありがとうございます。


「いつもの概要欄ダイマが口頭になった」
「家建てるときお世話になったけど手広くやってんだな」
「金材加工で出た削りカスをスライムさんが欲しいって言ったから商品化したらしい(過去動画参照」



体に馴染むまで少し動きますね。


「なんか変な動き始まったんだがw」
「音は癒やされるけど映像面白すぎて余計に笑う」
「gif化不可避」
「ワロタw」


お待たせしました。
青くてきらきら光りシャクシャク音がなるスライム完成です。

「あの癒やし音声の前にいつもこの動きをしていたのか……」
「ここだけみれば綺麗」
「プラネタリウムみたいで素敵」
「スライムって色々取り込めるんやな……」


若いスライムの間ではファッションとして流行ってますよ。
最近は特にジェルビーズが流行ってますね。
まぁ、核が割れるかもって重鎮連中はいい顔しませんけどね。


「ひぇ」
「まさに命がけのオシャレってわけか」
「これそんなにヤバいんか」

いやーどうなんでしょう?
少なくとも私は魔力で核保護していますし、多少は大丈夫ですけど。
まぁ核が割れても自然に帰るだけなので問題ないですよ。


「短命種は割り切りができてる」
「モンスター族特有の価値観で人間の情緒壊すのやめろ」
「はえー」
「長生きするんやで」


それじゃ人間の頭に整形して……
『硬化』

「怖い怖い怖い」
「生 首 ス ラ イ ム」
「不気味の谷渡れない」
「色が青なだけに余計怖いわ」


怖いですか?じゃあ肌色にしますね。
『擬態』

「もどしてぇ!?」
「違うそうじゃない」
「リアルで余計怖いわ!」
「身体全部作ってクレメンス……」


なるほど!今度はそうしますね。
『擬態解除』


それじゃVR機器被っていきます。


「人間の首もどきから細い触手みたいなのが2本出てきた!キモい!」
「生首がVR機器被るのシュール過ぎる」
「VRゲー廃人の成れの果てみたいでちょっと草」
「電源の入れ方わかる?」


よし、いい感じにハマりましたね。
電源は確かソフトを入れたところの下あたり……


「ついた……?」
「ブルスクひえっ」
「え、バグってる?」
「異常開始のエラー出てる。実機は初めて見た」
「残当」


電気信号が全身に命令を下してて思うように体が動きませんね。核避けてなかったらちょっと危なかったかもしれませんね。


「ジョークだよな?な?」
「やってることはジャンク品の改造修理みたいなもんだしなぁ」
「VRゲーム内の行動をリアルと連動しないように抑制する電気信号を送ってるから動けなくなるのか」
「VRのジャンク修理はミスったら洒落にならんからマジでやめとけ……」

でもスライム用のVR機器はないみたいですし、せっかく人間の娯楽貰ったのでやりたいんですよねぇ
人間よりは耐性あるので多分大丈夫ですよ


「モンスター族の死生観ほんと……」
「興味›死」
「スナッフ配信みせられてトラウマ植え付けられる俺らのことも考えて?」

人の頭の形さえがあれば動くと思ったんですけどねー

これからどうしましょ?


「華麗なスルー」
「ゾンビ系アンデットを乗っ取ってみる」
「多分脳がないから駄目なんだと思う」

ゾンビ乗っ取りは法律違反になりますし、ゾンビ化しても自我はあるので肉体から魂を追い出さない限り無理ですかね
VRマシンは脳がないと動かないんですか?


「待って。ゾンビに自我あるの?」
「VRは脳波と電気信号の通信で成り立ってるから」
「はえー」
「本職の方ですか?」

異常な食欲の発現と体が思うように動かなくなって意思疎通できないだけで普通にありますよ、自我。
ゾンビ化の原因は寄生虫による肉体の乗っ取りで、ハリガネムシに寄生されたカマキリの人間版みたいなものですよ。


「じゃあ数年前に全国各地で起きた大量ゾンビ化事件は……」
「なんでスライムさんがそんなこと知ってるの」
「なあ、その寄生虫を殺せばもとに戻るのか?」

戻りますよ?正気でいれるかどうかはわかりませんし、それ相応のケアは必要でしょうけど


「たしか浄化でも駄目だったんだろ」
「浄化は悪意に反応するけど、寄生虫自体に悪意はないから浄化できなかったのか?」

実際には寄生虫を殺す必要はなくて、体から排出できればいいんですよ。なので当時『吸収』がつかえるモンスター族の種族にとある国から要請があったらしいです。
まあ、あの頃は人間族とモンスター族の仲も今ほど良くはなかったそうですし、人間族を助ける栄誉だとかこちらを舐め腐った態度だったらしく、ブラウニー種のような種を存続させるために人間族が必要な者を除いて大多数のモンスター族は無視していたらしいですが。


「なるほと、だから帝国の上流階級はゾンビ化しなかったのか」
「ゾンビ化しなかったんじゃなくて自分たちだけ治してもらってたってことか……」
「あれだけモンスター族を差別しておいて裏では自分たちだけ都合よくモンスター族に助けてもらってたわけか!いつの時代も権力者ってやつはクソだな」
「頼む。妹があの事件でゾンビになったんだ。助けてくれ!謝礼は時間がかかるかもしれないが、いくらでも出す」


別にいりませんよ、『吸収』は難しいことではないので。
多分排出中の苦痛はとても正気ではいられないと思うので、そちらのケアに使ってください。
明日ゴーレム金材店に用があるので、午後に本店前にある喫茶店の待ち合わせでいいですかね?


「え、かるっ」
「あの事件でゾンビ化してコールドスリープで寝かせられてる人は助けられるってことか」
「本当にありがとう!ありがとう!この恩は一生をかけて返す」
「お、ビジネスチャンス?最近は冒険者稼業も暇だったから助かるわ」
「冒険者は拠点移動しておいたほうが利口だな」

それは妹さんが治ってから聞きます。
それより今まで人間族の方がゾンビ化の原因を知らなかったことに驚きなのですが。

もしかして人間族では規制されてる情報でしたか?
チャンネルBANされるかな……


「民間企業なので多分大丈夫だと思います」
「これホントなら各地で暴動が起きるぞ、情報拡散してええか」
「帝国だけが情報抱えてたって知れたら近隣諸国から攻め込まれて消えるかも」

まあ、嘘ではないんですけど荒れそうなのでモンスター族がゾンビ化を治せるって事だけにしてもらえます?
全世界に公開してるし配信録画してる人がいたらアーカイブ削除しても意味ないので今更感ありますが……


「おk把握」
「多分もう遅いと思う……SNS凄いことになってるけど……」
「ごめん」

うん、まあいいや!
そんなことより、VRMMOですよ!
スライムには脳波以前に脳自体ないので手詰まりですかね……






あっ、魔力で代用できませんかね?


「性質似てるしいけそうじゃね」
「似てるの?」
「自分ハーフなんだけど魔力コントロール習得するときにそう教わった」
「魔力を疑似脳波に変換できればってところか、面白そうだ」


そうはいっても、脳波ってどんなものなんでしょう?

「人間族的には無意識の行動でどうやってるって聞かれても難しいな」
「さっきのハーフカモン」
「魔法を発現させるときの命令指揮を負荷を軽くして永遠繰り返す感じ……かな?」
「地獄のフルマラソンじゃん」
「それを無意識でやる人間族ヤバい」
「ハーフならギリギリできるけど純粋なモンスター族には感覚異常すぎて無理だと思う」


…………面白そうですね。
壁は高ければ高いほど燃えるってものですよ!
皆さん次の配信には必ずできるようになりますので、待っててくださいね!おつすら~


「お、おう。おつすら~」
「もしかしてやばい方向に火をつけてしまったのでは……」
「おつすら~スライムさんドM説」
「自分の体を切り刻んで動画公開してるやつがドMじゃないとでも?」





このあと帝国では革命がおきて国家転覆したり、ゾンビ化の治療方法が確立されたり、100日後に脳波を獲得するスライムとして練習動画がSNSでバズってしまい一躍時のスライムになるのは別のお話
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(2件)

penpen
2021.10.07 penpen

時のスライム(*´艸` *)

解除
スパークノークス

おもしろい!
お気に入りに登録しました~

解除

あなたにおすすめの小説

恋人の水着は想像以上に刺激的だった

ヘロディア
恋愛
プールにデートに行くことになった主人公と恋人。 恋人の水着が刺激的すぎた主人公は…

懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。

梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。 あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。 その時までは。 どうか、幸せになってね。 愛しい人。 さようなら。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件

フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。 寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。 プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い? そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない! スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

異世界最弱のニート様 敵は異世界最強の勇者様? 俺 死亡フラグ回避するために棚ぼた勇者めざします!

風まかせ三十郎
ファンタジー
 俺、神能秀一、二十歳。職業ニート。いや、実はね、親が金持ちなのをいいことに、まだ誰も目指したことのない”ニート王”となるべく、毎日ネトゲに勤しんでたんだけど、ある日、息抜きに散歩してたら事故に巻き込まれて、呆気なく昇天しちゃったんだ。でも死者の魂を浄化するという煉獄で女神様と遭遇して……。ニート王としての傍若無人な振る舞いが彼女の怒りを買い、とうとうスキルをひとつも与えられることなく、異世界へ転生させられちゃったんだ。異世界って、けっこう過酷でしょ? さあ、どうする、俺? 親の世話になれない以上、やはり普通に就職するしか手はねえのか? 冗談じゃねえぞ! しょうがねえ、こうなったら園児の頃の憧れの職業、勇者でも目指してみっか!? 

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。