75 / 101
調査
調査②
しおりを挟む
ハイネが戦地から戻って来てから二週間程経ち、ジルはマリク伯領の不作について調査するため、マルゴットやクライネルト家の使用人一人、国の研究機関の研究者二人、ハイネに護衛としてつけられた近衛四名の計九名という、そこそこの人数でマリク伯領フリュセンに向かっている。
今後、国境がより南になりそうであるものの、この村は数か月前までは隣国のハーターシュタイン公国との国境に面していため、帝国側の戦争の拠点とされていた。今回の調査地は、このフリュセンの隣の村だが、ハイネが戦時中に借り上げていた名士の家がそれなりに環境が良いという事だったので、使わせてもらう事になった。以前マルゴットから聞いた話にもあったように、マリク領では旅人が行方不明になるという事件が相次いでいるらしく、安全面を考えて、未だに兵士達が駐在しているフリュセンを宿泊場所とする事になったのだ。
ちなみにハイネは公国に署名させる降伏文書の作成や公国側で開く降伏式の準備等に手一杯らしく、今回の調査に同行は出来なかったらしい。
だが、帝都を出発する前までは三日に一度のペースでクライネルト家に来て、一緒にお茶や食事をして交流を続けていた。彼が戦地から帰還した直後は衝突したものの、仲直りしてからは、以前よりも彼との間に壁を感じられなくなり、本音で話せるようになったかもしれない。
新居での生活の中にユックリとハイネの存在が溶け込んでいくのが不思議なほど嬉しい。
忙しい中でも過ごす時間を作っている事に感謝し、ジルは帝都の方向を見て微笑んだ。
「ジル様、楽しそうですね」
馬車の中で、向かい側に座るマルゴットに不思議そうに声をかけられ、ハッとする。
彼女に視線を移すと、相変わらずのボンヤリ顔でジルを見つめていた。
「最近、凄く充実してるなって思っていたのよ。いつまでもこんな毎日が続けばいいな」
「ジル様は変化がお嫌いなんです……?」
「嫌いじゃないわ。でも今みたいに大切な人達に囲まれながらの生活を手放したくないの」
ジルの言葉に、マルゴットはこくりと頷いた。
「私も……今の生活が好きです。肩身が狭い思いをする事もなくジル様と暮らせる日がくるなんて思いもしませんでした。それに、野ばらの会でも、貴重な体験をさせてもらってばかりで……。この前は惨殺された人の墓を掘り起こして、腐乱死体をじっくり観察するなんていう珍しい機会を得ましたし」
「お墓……」
フワフワした気分から一転、グロい話題になったため、笑顔のまま固まる。
「その死体、皇太子殿下の侍従のうち、赤毛の方のいとこなんです。赤毛が野ばらの会に殺人事件の犯人捜しを頼んできたんで、私も時々協力してるフリをしてます」
ハイネの侍従を全員把握しているわけではないが、ジル達が付き合いを持てているのはバシリーとオイゲンだけなので、マルゴットが言うのは赤毛のバシリーの事だろう。
殺人事件の解決は普通警察が担当するものだ。何故バシリーが野ばらの会に依頼したのか微妙に気になる。しかし、マルゴットから以前聞いた話によれば、野ばらの会の活動は多岐にわたるらしいので、それについてはスルーする事にする。
それよりも知人であるバシリーが殺人事件の解決を望む理由の方を聞いてみたい。
「バシリーさんの身内に不幸があったという事なのかしら?」
「はい……。どうやら、あの人のいとこが殺されちゃったみたいです……。警察は早々に捜査を諦めてしまったらしくて、ウチに相談しに来たんです」
「バシリーさん、皇族の侍従をやってるくらいだから、家柄も良さそうだし、そのいとこも恐らく似た様な身分よね? 警察がそんなに早く捜査を放棄するものかしら?」
「どうやら警察はその殺人事件には化け物が関わっていると判断したらしくて、野ばらの会をバシリー氏に紹介したみたいです……」
警察では手に負えない事件だったため、未解決のまま迷宮入りして責任を問われるよりはと、他の組織に丸投げする事を選択をしたのだろう。込み入った方法で殺されてしまった人の親族は大変だなと、ジルは顔も知らない人達に同情した。
「なぜ化物の仕業だと思ったのかしら?」
「殺され方の残虐さと、殺害された人の所持品に『ファフニール』と被害者自ら書いた物があったらしいんですよ」
ファフニールとは、この大陸北部に伝わる伝説に登場するドラゴンだったはずだ。
そんな不確かな存在にバシリーのいとこは葬られたとでも言うのだろうか?
「正直なところ、野ばらの会の中でも混乱してます。組織の記録では、ファフニールは現存してない事になってますので……。掘り出した死体は確かに食いちぎられた様な……、大きな口を持つ人外の仕業っぽかったので、上の人達は皆テンションが上がりまくってます」
人の死体を見て喜ぶ人達の精神状態は深く考えないでおく。それよりも、ジルはマルゴットの話の中に違和感を感じる部分があった。
「バシリーさんの従兄さん、所持品にファフニールと書いていたと言っていたわね。でも、事前に殺される事が分かっていない限り、そんな事は書けないんじゃないかしら? だって、普通、襲いかかられながらのんびりと犯人の名前は書けない気がするもの。化物が現れたらまず逃げるわよね?」
ダイイングメッセージという線も考えてみたが、残虐な殺され方をされたくらいなので、傷を負ってから文字を書く余裕はなさそうな気がする。
「うーん……。私は書けますが、普通の人は無理なのかもしれません……」
この子なら、出来るかもしれないと思い、ジルは半眼になる。彼女と話していると、野ばらの会で捜査が難航する理由を察せる。彼等は出来る事の範囲が広すぎてこの手の事件を解決しようとすると、議論を交わしても、変な方向に飛びがちになるのだろう。
「殺害された場所ってどこなのかしら? 巨大な生き物でも容易く入り込める場所?」
「いえ、従兄氏が泊まった宿で殺されちゃったみたいです。死体があった所に大量の血液が流れてたそうなので、そこで死んだ事に間違いはないらしいです。でもその宿というか、街でも、巨大な化け物の目撃情報や、足跡とかはないみたいですね。第一発見者さんは叫び声を聞いてから、部屋に入ったみたいですが、化物どころか、人の姿すら、無かったと言ってたらしいです」
「うーん……」
「ちなみに今日も野ばらの会の上層部の人達はキャッキャしながらドラゴン探しに行ってると思います」
何ともいえずおかしな話である。化け物は宿という多数の人間がいる中で、バシリーの従兄のみを狙い、食料とするわけではなく、ただ殺して霧の様に消えたのだろうか? 化物の思考や能力というのが良く分からないのだが、バシリーの従兄が何かに殺されるだけの事はしたんじゃないかという気がしてくる。
「化物を探しだそうとするより、もっとバシリーさんの従兄さんの身辺を丁寧に調べてみた方が解決に近付きそうな気がするのだけど……」
「なるほど……。野ばらの会は取り敢えずドラゴンに会ってみたい人達が多いので、そこまで気が回ってないかもしれないですね。一般人を調べるなんて私達にとってはあまり面白くないですから」
「解決よりも、幻の生き物と会う事に目的がすり替わってそうよね……」
「はい……。ほんと変態揃いで……」
何となくブーメランを思い浮かべたジルだったが、それは言わないでおいた。
(この調子だと犯人は永遠に見つからない気がするわね。バシリーさん、お気の毒に……)
二人で話しているうちに馬車が停まる。窓をチラリと覗くと、看板には『フリュセン』と書いてある。
漸く宿泊予定の村に到着したのだ。
看板付近に立っていた兵士達が近づいて来て、御者台の近衛と会話を交わす。もう直ぐ国境がより南に位置する事になるとはいえ、長らく公国との境界に位置した村だけあって、警備が厳重なのだろう。
あまり不審に思われる行動をすべきではないだろうからと、馬車の中で話が終わるのを待つ事にした。
今後、国境がより南になりそうであるものの、この村は数か月前までは隣国のハーターシュタイン公国との国境に面していため、帝国側の戦争の拠点とされていた。今回の調査地は、このフリュセンの隣の村だが、ハイネが戦時中に借り上げていた名士の家がそれなりに環境が良いという事だったので、使わせてもらう事になった。以前マルゴットから聞いた話にもあったように、マリク領では旅人が行方不明になるという事件が相次いでいるらしく、安全面を考えて、未だに兵士達が駐在しているフリュセンを宿泊場所とする事になったのだ。
ちなみにハイネは公国に署名させる降伏文書の作成や公国側で開く降伏式の準備等に手一杯らしく、今回の調査に同行は出来なかったらしい。
だが、帝都を出発する前までは三日に一度のペースでクライネルト家に来て、一緒にお茶や食事をして交流を続けていた。彼が戦地から帰還した直後は衝突したものの、仲直りしてからは、以前よりも彼との間に壁を感じられなくなり、本音で話せるようになったかもしれない。
新居での生活の中にユックリとハイネの存在が溶け込んでいくのが不思議なほど嬉しい。
忙しい中でも過ごす時間を作っている事に感謝し、ジルは帝都の方向を見て微笑んだ。
「ジル様、楽しそうですね」
馬車の中で、向かい側に座るマルゴットに不思議そうに声をかけられ、ハッとする。
彼女に視線を移すと、相変わらずのボンヤリ顔でジルを見つめていた。
「最近、凄く充実してるなって思っていたのよ。いつまでもこんな毎日が続けばいいな」
「ジル様は変化がお嫌いなんです……?」
「嫌いじゃないわ。でも今みたいに大切な人達に囲まれながらの生活を手放したくないの」
ジルの言葉に、マルゴットはこくりと頷いた。
「私も……今の生活が好きです。肩身が狭い思いをする事もなくジル様と暮らせる日がくるなんて思いもしませんでした。それに、野ばらの会でも、貴重な体験をさせてもらってばかりで……。この前は惨殺された人の墓を掘り起こして、腐乱死体をじっくり観察するなんていう珍しい機会を得ましたし」
「お墓……」
フワフワした気分から一転、グロい話題になったため、笑顔のまま固まる。
「その死体、皇太子殿下の侍従のうち、赤毛の方のいとこなんです。赤毛が野ばらの会に殺人事件の犯人捜しを頼んできたんで、私も時々協力してるフリをしてます」
ハイネの侍従を全員把握しているわけではないが、ジル達が付き合いを持てているのはバシリーとオイゲンだけなので、マルゴットが言うのは赤毛のバシリーの事だろう。
殺人事件の解決は普通警察が担当するものだ。何故バシリーが野ばらの会に依頼したのか微妙に気になる。しかし、マルゴットから以前聞いた話によれば、野ばらの会の活動は多岐にわたるらしいので、それについてはスルーする事にする。
それよりも知人であるバシリーが殺人事件の解決を望む理由の方を聞いてみたい。
「バシリーさんの身内に不幸があったという事なのかしら?」
「はい……。どうやら、あの人のいとこが殺されちゃったみたいです……。警察は早々に捜査を諦めてしまったらしくて、ウチに相談しに来たんです」
「バシリーさん、皇族の侍従をやってるくらいだから、家柄も良さそうだし、そのいとこも恐らく似た様な身分よね? 警察がそんなに早く捜査を放棄するものかしら?」
「どうやら警察はその殺人事件には化け物が関わっていると判断したらしくて、野ばらの会をバシリー氏に紹介したみたいです……」
警察では手に負えない事件だったため、未解決のまま迷宮入りして責任を問われるよりはと、他の組織に丸投げする事を選択をしたのだろう。込み入った方法で殺されてしまった人の親族は大変だなと、ジルは顔も知らない人達に同情した。
「なぜ化物の仕業だと思ったのかしら?」
「殺され方の残虐さと、殺害された人の所持品に『ファフニール』と被害者自ら書いた物があったらしいんですよ」
ファフニールとは、この大陸北部に伝わる伝説に登場するドラゴンだったはずだ。
そんな不確かな存在にバシリーのいとこは葬られたとでも言うのだろうか?
「正直なところ、野ばらの会の中でも混乱してます。組織の記録では、ファフニールは現存してない事になってますので……。掘り出した死体は確かに食いちぎられた様な……、大きな口を持つ人外の仕業っぽかったので、上の人達は皆テンションが上がりまくってます」
人の死体を見て喜ぶ人達の精神状態は深く考えないでおく。それよりも、ジルはマルゴットの話の中に違和感を感じる部分があった。
「バシリーさんの従兄さん、所持品にファフニールと書いていたと言っていたわね。でも、事前に殺される事が分かっていない限り、そんな事は書けないんじゃないかしら? だって、普通、襲いかかられながらのんびりと犯人の名前は書けない気がするもの。化物が現れたらまず逃げるわよね?」
ダイイングメッセージという線も考えてみたが、残虐な殺され方をされたくらいなので、傷を負ってから文字を書く余裕はなさそうな気がする。
「うーん……。私は書けますが、普通の人は無理なのかもしれません……」
この子なら、出来るかもしれないと思い、ジルは半眼になる。彼女と話していると、野ばらの会で捜査が難航する理由を察せる。彼等は出来る事の範囲が広すぎてこの手の事件を解決しようとすると、議論を交わしても、変な方向に飛びがちになるのだろう。
「殺害された場所ってどこなのかしら? 巨大な生き物でも容易く入り込める場所?」
「いえ、従兄氏が泊まった宿で殺されちゃったみたいです。死体があった所に大量の血液が流れてたそうなので、そこで死んだ事に間違いはないらしいです。でもその宿というか、街でも、巨大な化け物の目撃情報や、足跡とかはないみたいですね。第一発見者さんは叫び声を聞いてから、部屋に入ったみたいですが、化物どころか、人の姿すら、無かったと言ってたらしいです」
「うーん……」
「ちなみに今日も野ばらの会の上層部の人達はキャッキャしながらドラゴン探しに行ってると思います」
何ともいえずおかしな話である。化け物は宿という多数の人間がいる中で、バシリーの従兄のみを狙い、食料とするわけではなく、ただ殺して霧の様に消えたのだろうか? 化物の思考や能力というのが良く分からないのだが、バシリーの従兄が何かに殺されるだけの事はしたんじゃないかという気がしてくる。
「化物を探しだそうとするより、もっとバシリーさんの従兄さんの身辺を丁寧に調べてみた方が解決に近付きそうな気がするのだけど……」
「なるほど……。野ばらの会は取り敢えずドラゴンに会ってみたい人達が多いので、そこまで気が回ってないかもしれないですね。一般人を調べるなんて私達にとってはあまり面白くないですから」
「解決よりも、幻の生き物と会う事に目的がすり替わってそうよね……」
「はい……。ほんと変態揃いで……」
何となくブーメランを思い浮かべたジルだったが、それは言わないでおいた。
(この調子だと犯人は永遠に見つからない気がするわね。バシリーさん、お気の毒に……)
二人で話しているうちに馬車が停まる。窓をチラリと覗くと、看板には『フリュセン』と書いてある。
漸く宿泊予定の村に到着したのだ。
看板付近に立っていた兵士達が近づいて来て、御者台の近衛と会話を交わす。もう直ぐ国境がより南に位置する事になるとはいえ、長らく公国との境界に位置した村だけあって、警備が厳重なのだろう。
あまり不審に思われる行動をすべきではないだろうからと、馬車の中で話が終わるのを待つ事にした。
0
お気に入りに追加
1,034
あなたにおすすめの小説
明日のために、昨日にサヨナラ(goodbye,hello)
松丹子
恋愛
スパダリな父、優しい長兄、愛想のいい次兄、チャラい従兄に囲まれて、男に抱く理想が高くなってしまった女子高生、橘礼奈。
平凡な自分に見合うフツーな高校生活をエンジョイしようと…思っているはずなのに、幼い頃から抱いていた淡い想いを自覚せざるを得なくなり……
恋愛、家族愛、友情、部活に進路……
緩やかでほんのり甘い青春模様。
*関連作品は下記の通りです。単体でお読みいただけるようにしているつもりです(が、ひたすらキャラクターが多いのであまりオススメできません…)
★展開の都合上、礼奈の誕生日は親世代の作品と齟齬があります。一種のパラレルワールドとしてご了承いただければ幸いです。
*関連作品
『神崎くんは残念なイケメン』(香子視点)
『モテ男とデキ女の奥手な恋』(政人視点)
上記二作を読めばキャラクターは押さえられると思います。
(以降、時系列順『物狂ほしや色と情』、『期待ハズレな吉田さん、自由人な前田くん』、『さくやこの』、『爆走織姫はやさぐれ彦星と結ばれたい』、『色ハくれなゐ 情ハ愛』、『初恋旅行に出かけます』)
うたた寝している間に運命が変わりました。
gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。
悪役令嬢のビフォーアフター
すけさん
恋愛
婚約者に断罪され修道院に行く途中に山賊に襲われた悪役令嬢だが、何故か死ぬことはなく、気がつくと断罪から3年前の自分に逆行していた。
腹黒ヒロインと戦う逆行の転生悪役令嬢カナ!
とりあえずダイエットしなきゃ!
そんな中、
あれ?婚約者も何か昔と態度が違う気がするんだけど・・・
そんな私に新たに出会いが!!
婚約者さん何気に嫉妬してない?
【完結】毒殺疑惑で断罪されるのはゴメンですが婚約破棄は即決でOKです
早奈恵
恋愛
ざまぁも有ります。
クラウン王太子から突然婚約破棄を言い渡されたグレイシア侯爵令嬢。
理由は殿下の恋人ルーザリアに『チャボット毒殺事件』の濡れ衣を着せたという身に覚えの無いこと。
詳細を聞くうちに重大な勘違いを発見し、幼なじみの公爵令息ヴィクターを味方として召喚。
二人で冤罪を晴らし婚約破棄の取り消しを阻止して自由を手に入れようとするお話。
最強の私と最弱のあなた。
束原ミヤコ
恋愛
シャーロット・ロストワンは美しいけれど傲慢で恐ろしいと評判の公爵令嬢だった。
十六歳の誕生日、シャーロットは婚約者であるセルジュ・ローゼン王太子殿下から、性格が悪いことを理由に婚約破棄を言い渡される。
「私の価値が分からない男なんてこちらから願い下げ」だとセルジュに言い放ち、王宮から公爵家に戻るシャーロット。
その途中で馬車が悪漢たちに襲われて、シャーロットは侍従たちを守り、刃を受けて死んでしまった。
死んでしまったシャーロットに、天使は言った。
「君は傲慢だが、最後にひとつ良いことをした。だから一度だけチャンスをあげよう。君の助けを求めている者がいる」
そうしてシャーロットは、今まで自分がいた世界とは違う全く別の世界の、『女学生、白沢果林』として生きることになった。
それは仕方ないとして、シャーロットにはどうしても許せない問題があった。
白沢果林とはちょっぴりふとましい少女なのである。
シャーロットは決意する。まずは、痩せるしかないと。
森に捨てられた令嬢、本当の幸せを見つけました。
玖保ひかる
恋愛
[完結]
北の大国ナバランドの貴族、ヴァンダーウォール伯爵家の令嬢アリステルは、継母に冷遇され一人別棟で生活していた。
ある日、継母から仲直りをしたいとお茶会に誘われ、勧められたお茶を口にしたところ意識を失ってしまう。
アリステルが目を覚ましたのは、魔の森と人々が恐れる深い森の中。
森に捨てられてしまったのだ。
南の隣国を目指して歩き出したアリステル。腕利きの冒険者レオンと出会い、新天地での新しい人生を始めるのだが…。
苦難を乗り越えて、愛する人と本当の幸せを見つける物語。
※小説家になろうで公開した作品を改編した物です。
※完結しました。
果たされなかった約束
家紋武範
恋愛
子爵家の次男と伯爵の妾の娘の恋。貴族の血筋と言えども不遇な二人は将来を誓い合う。
しかし、ヒロインの妹は伯爵の正妻の子であり、伯爵のご令嗣さま。その妹は優しき主人公に密かに心奪われており、結婚したいと思っていた。
このままでは結婚させられてしまうと主人公はヒロインに他領に逃げようと言うのだが、ヒロインは妹を裏切れないから妹と結婚して欲しいと身を引く。
怒った主人公は、この姉妹に復讐を誓うのであった。
※サディスティックな内容が含まれます。苦手なかたはご注意ください。
はじめまして、期間限定のお飾り妻です
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【あの……お仕事の延長ってありますか?】
貧しい男爵家のイレーネ・シエラは唯一の肉親である祖父を亡くし、住む場所も失う寸前だった。そこで住み込みの仕事を探していたときに、好条件の求人広告を見つける。けれど、はイレーネは知らなかった。この求人、実はルシアンの執事が募集していた契約結婚の求人であることを。そして一方、結婚相手となるルシアンはその事実を一切知らされてはいなかった。呑気なイレーネと、気難しいルシアンとの期間限定の契約結婚が始まるのだが……?
*他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる