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まなびと朝
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朝、起きたまなびはすぐには動くことができない。
「うぅ……学校行きたくない……」
改めて本音を呟くが、やがて諦めたように朝の支度を始める。
歯を磨いて、顔を洗い、櫛で髪をとく。全てが終わり、嫌でも眠気が吹き飛ぶとお母さんが用意してくれた朝食を前に手を合わせる。
「いただきます」
本日の朝食はトーストにスクランブルエッグだ。
仕事で忙しい時もまなびのために朝食を用意し、時間があればお弁当だって作ってくれるお母さんのためにもこれを食べないわけにはいかない。だいたい、朝ごはんを食べること自体はまなびにとって楽しくないわけではないのだ。サクサクのトーストとふわふわのスクランブルエッグを交互に味わいながら、まなびは朝のニュース番組に目を向ける。
「まなび、今日は早く帰れるから夕飯はお母さんが作るよ。何が食べたい?」
お母さんの問いかけに、今いち低テンションだったまなびはすぐ笑顔を見せる。
「何でもいいよ。私も今日は、早めに帰るから」
「そう? だったら今日は、ハンバーグにしようか」
その言葉に、まなびは思わず「ホント!?」と上ずった声を上げた。
休日に、お母さんと一緒に行ったスーパーで買い置きしておいた冷凍ハンバーグ。
フライパンで焼けばジューシーで、柔らかだが一人で食べるには焼いた後の油の始末や皿洗いが面倒くさい。だけどお母さんと二人で、一緒に食べるのなら話は別だ。微笑むお母さんに、ウキウキと返事をしたまなびはさっさと皿を下げる。
学校は行きたくないが、学校に行った後に何か楽しみがあるのならそれを目指して頑張ることができる。
重い気持ちを振り払い、制服に袖を通したまなびはカバンを手に持つ。それから「いってきます」と言って、玄関を出て学校へと向かうのだった。
「うぅ……学校行きたくない……」
改めて本音を呟くが、やがて諦めたように朝の支度を始める。
歯を磨いて、顔を洗い、櫛で髪をとく。全てが終わり、嫌でも眠気が吹き飛ぶとお母さんが用意してくれた朝食を前に手を合わせる。
「いただきます」
本日の朝食はトーストにスクランブルエッグだ。
仕事で忙しい時もまなびのために朝食を用意し、時間があればお弁当だって作ってくれるお母さんのためにもこれを食べないわけにはいかない。だいたい、朝ごはんを食べること自体はまなびにとって楽しくないわけではないのだ。サクサクのトーストとふわふわのスクランブルエッグを交互に味わいながら、まなびは朝のニュース番組に目を向ける。
「まなび、今日は早く帰れるから夕飯はお母さんが作るよ。何が食べたい?」
お母さんの問いかけに、今いち低テンションだったまなびはすぐ笑顔を見せる。
「何でもいいよ。私も今日は、早めに帰るから」
「そう? だったら今日は、ハンバーグにしようか」
その言葉に、まなびは思わず「ホント!?」と上ずった声を上げた。
休日に、お母さんと一緒に行ったスーパーで買い置きしておいた冷凍ハンバーグ。
フライパンで焼けばジューシーで、柔らかだが一人で食べるには焼いた後の油の始末や皿洗いが面倒くさい。だけどお母さんと二人で、一緒に食べるのなら話は別だ。微笑むお母さんに、ウキウキと返事をしたまなびはさっさと皿を下げる。
学校は行きたくないが、学校に行った後に何か楽しみがあるのならそれを目指して頑張ることができる。
重い気持ちを振り払い、制服に袖を通したまなびはカバンを手に持つ。それから「いってきます」と言って、玄関を出て学校へと向かうのだった。
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