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2章 出会いって空から降ってくるもんだろ?
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俺と中秋は馬車でも通りそうなこの無駄に広い廊下を並んで歩いていた。聞けば相棒届けという書類も生徒会から貰うらしい。そんなもの担任にでも預けて一斉に配ればいいのに。面倒臭いシステムだ。
それにしても俺の相棒はどんどん前へ進んでいくがこいつ道ちゃんと分かってんのか?
俺はこいつが方向音痴ということを忘れてないからな。しかもさっきまではまだ生徒が沢山いたのにこの廊下になってから人っ子一人いないし。絶対場所違うだろ。
すると彼は急に立ち止まった。
「葉月」
「言うな」
「迷ったかもしれない」
「薄々だろうなって思ってた」
予想通りの言葉にむしろ安心すら覚える。
中秋の手にはスマホが握られていて液晶画面にはこの学園内の地図が映し出されている。でも悲しいかな。方向音痴と地図の相性は最悪だ。ソースは俺。
「そういえば何で生徒会に会いに行くって言った時あんなに嫌がったんだ?」
俺も彼のスマホと睨めっこしていたら唐突に彼にしては珍しい不思議がる声が聞こえた。
「いやだって……姉貴から貰った漫画大抵生徒会とゴタゴタがあったからさぁ」
例えばマリモみたいな新入生が俺様生徒会長に食堂で無理矢理キスされるーとか。腹黒副会長とかわんこ書記とかチャラい会計とか双子の庶務とか。そして極めつけにはそのマリモが実はえらいイケメンで色んな人から告られるという、俺としては生徒会の人を女性に置き換えて楽しんでいた漫画だ。
そんな漫画を読まされたからか、少しいや、かなり生徒会には苦手意識がある。
「あー王道ってやつか」
「あれ? 知ってた?」
「そりゃあ、知識はあるに越したことはないし。というか俺は葉月が知ってることに驚いたけど」
「いやだって、そんなんファンタジーだと思ってたから。でも今朝中秋と話した時ワンチャンあんじゃね?って思って」
そう俺は姉貴から英才教育(笑)を受けたおかげで一応こういうことには詳しい。でも創作と現実は別物がお約束だろ?
朝食パンを加えた美少女な転校生とぶつかってラッキースケベするーとか、その後偶然同じ学校で同じクラスで隣の席にされるーとか。
実際にあったって話聞いたことねぇもん。
だから俺もいくら男子校でしかも寮付きとはいえそれは創作の中の話だと信じて疑わなかったんだ。でも、俺の見通しが甘かったよ姉貴。
「まぁ俺も一生使いたくなかった知識これから使いそうだしな」
「え、何それ聞きたい!」
「自分より体格が大きい男のあばら骨を折る方法だけど聞く?」
「え……」
「あとあれを再起不能にする方法とか」
「いいです。結構です。遠慮しときますぅ」
「丁度いい所に俺より体格がでかい男がいるなー」
「中秋パイセン勘弁してくだせぇ」
こいつなら本気でやりかねない。
そっと俺が距離をとった時、笑い声が廊下中に響き渡った。
それにしても俺の相棒はどんどん前へ進んでいくがこいつ道ちゃんと分かってんのか?
俺はこいつが方向音痴ということを忘れてないからな。しかもさっきまではまだ生徒が沢山いたのにこの廊下になってから人っ子一人いないし。絶対場所違うだろ。
すると彼は急に立ち止まった。
「葉月」
「言うな」
「迷ったかもしれない」
「薄々だろうなって思ってた」
予想通りの言葉にむしろ安心すら覚える。
中秋の手にはスマホが握られていて液晶画面にはこの学園内の地図が映し出されている。でも悲しいかな。方向音痴と地図の相性は最悪だ。ソースは俺。
「そういえば何で生徒会に会いに行くって言った時あんなに嫌がったんだ?」
俺も彼のスマホと睨めっこしていたら唐突に彼にしては珍しい不思議がる声が聞こえた。
「いやだって……姉貴から貰った漫画大抵生徒会とゴタゴタがあったからさぁ」
例えばマリモみたいな新入生が俺様生徒会長に食堂で無理矢理キスされるーとか。腹黒副会長とかわんこ書記とかチャラい会計とか双子の庶務とか。そして極めつけにはそのマリモが実はえらいイケメンで色んな人から告られるという、俺としては生徒会の人を女性に置き換えて楽しんでいた漫画だ。
そんな漫画を読まされたからか、少しいや、かなり生徒会には苦手意識がある。
「あー王道ってやつか」
「あれ? 知ってた?」
「そりゃあ、知識はあるに越したことはないし。というか俺は葉月が知ってることに驚いたけど」
「いやだって、そんなんファンタジーだと思ってたから。でも今朝中秋と話した時ワンチャンあんじゃね?って思って」
そう俺は姉貴から英才教育(笑)を受けたおかげで一応こういうことには詳しい。でも創作と現実は別物がお約束だろ?
朝食パンを加えた美少女な転校生とぶつかってラッキースケベするーとか、その後偶然同じ学校で同じクラスで隣の席にされるーとか。
実際にあったって話聞いたことねぇもん。
だから俺もいくら男子校でしかも寮付きとはいえそれは創作の中の話だと信じて疑わなかったんだ。でも、俺の見通しが甘かったよ姉貴。
「まぁ俺も一生使いたくなかった知識これから使いそうだしな」
「え、何それ聞きたい!」
「自分より体格が大きい男のあばら骨を折る方法だけど聞く?」
「え……」
「あとあれを再起不能にする方法とか」
「いいです。結構です。遠慮しときますぅ」
「丁度いい所に俺より体格がでかい男がいるなー」
「中秋パイセン勘弁してくだせぇ」
こいつなら本気でやりかねない。
そっと俺が距離をとった時、笑い声が廊下中に響き渡った。
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