【三章完結】異世界転移!?~俺だけかと思ったら廃村寸前の俺の田舎の村ごとだったやつ

真義あさひ

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第一章 異世界転移、村ごと!

その頃、日本では~side元カノ1-1 ※ざまぁフラグ

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 私は野口穂波、二十五歳。東京の銀座近くに本社のある総合商社の庶務課にお勤めしてるOLよ。
 自慢じゃないけど自分でも可愛い女の子だと思ってるし、男の人にもよくモテている。
 最近、付き合って二年の彼氏と別れて、別の素敵な人とお付き合いを始めた。

 元カレの御米田ユウキ君は黒髪黒目の端正な顔立ちのなかなかの好男子。
 学生時代ずっとスポーツをやってて背も高かったし、新卒で入社式の会場係だった彼が彼女いないと知ってアプローチしたのは私のほうからだった。

 付き合っていた二年間、私はとても大切にしてもらっていたと思う。
 一緒にお出かけすると私のバッグや買い物のショッパーを必ず持ってくれたし、お茶やお食事の代金だって私には絶対に払わせなかった。
 一人暮らしを心配してマンションにだって毎回送ってくれていたし。
 私のわがままも結構聞いてくれるほうで、誕生日や付き合い始めた記念日なんかをよく覚えていて、サプライズでプレゼントをくれることもよくあったわ。

 彼は私の三つ年上の二十八歳。去年の秋頃から時々、結婚を匂わせる発言が出始めた。
 嬉しかった。本気で私との未来を考えてくれてるんだなって。

 でもハッと自分がまだ二十五歳なことを思い出したの。結婚の安心感には女として憧れてるわ。ユウキ君は社内の出世頭だったし将来性も充分ある。
 だけど本当にこの人と結婚していいの? 後悔しない?
 そう自問自答して私はユウキ君をそれまで以上によく見てみることにした。

 具体的には加点減点方式で、まずユウキ君に100点を設定する。
 良いところを見つけたら+10点。
 悪いところを見つけたら一10点。

 たとえばこんな感じ。


 仕事に熱心。+10点。

 ダーク系のスーツ姿が格好いい。でも私服はダサい。プラマイ0点。

 会社の人たちと仲が良い。特に目上の人によく可愛がられている。+10点。

 お昼に会社の近くの牛丼チェーンばかり通ってる。一10点。

 何事も挑戦的で勇気がある。名前もユウキだし。+10点。

 集中力はすごいけどデート中、スマホに集中しすぎて私を放置することがある。一10点。

 毎日ストレッチやエクササイズで身体を鍛えている。+10点。

 プライベートと仕事の境界が曖昧で、デートの約束があってもキャンセルして会社に行ってしまうことがある。一10点。


 ユウキ君にプラスやマイナスをつけ始めて観察するようになってから、少し私の気持ちは冷め始めていた。
 彼のアパートや私のマンションのお泊まりも回数を減らして、今後どうするのかを本気で考えるようになったのだ。

 更にしばらく経った四月初め頃。
 結局、ユウキ君の点数は増えたり減ったりしつつも100点前後で収まっていた。この人、いわゆるバランス型のオールラウンダーで全方向に優秀なのよね。

 ところがユウキ君も参加する社内コンペの一週間ほど前。彼のライバルでもある八十神先輩と社内の廊下ですれ違ったとき、あることを教えてもらったの。

「穂波ちゃん。御米田のやつ、駅ビルで指輪見てたよ」
「え? 指輪ですか?」

 そろそろプロポーズがくる! と内心喜んだ私は、八十神先輩の次の言葉に天から地の底まで落とされた。

「ほら、若い子に人気のお店だったかな? 店員に何買うか相談してたよ」
「そう、ですか……」

 そのジュエリーショップの名前を聞いて私は落ち込んだ。私が憧れていたブランドよりランクが落ちる店だったからだ。
 見るからに沈んだ雰囲気になった私に先輩は心配そうな顔になった。

「大丈夫? あんまり嬉しそうじゃないけど」
「い、いえ。平気です」
「そう? でもさ、あいつあの指輪で多分君にプロポーズするつもりだよ。うちの会社からすぐ近くなんだし、銀座の高級店ぐらい行けよなってほんと」
「そ、そうですよね!」

 食いぎみに同意した。やっぱりそう思いますよね!?
 すると八十神先輩は意味ありげな目になって、そのまま私に緩く壁ドンをした。

「せ、先輩?」
「穂波ちゃん。あいつやめて僕にしない? 君が入社してからずっと好きだったんだ」
「わ、私を? 先輩がですか!?」

 嘘、嘘。先輩が私のことを好き!?
 ……正直なところ、ユウキ君と八十神先輩となら先輩のほうが顔がいい。それにいつも髪も決まっててスーツの着こなしもずっと洗練されててお洒落だった。
 それにこのラグジュアリーなメンズ香水の香り……
 私はもうすっかり彼に参ってしまった。

「あ、あの。嬉しいです。でも、その。……ユウキ君とちゃんとお別れしてからお返事させてください」

 ここだけは譲れなかった。先輩とお付き合いするならきちんとけじめをつけてからじゃなきゃ。

「わかった。でも今はほら、社内コンペの準備で俺も御米田も大変だから。別れ話を切り出すのはコンペの後にしてやってくれる?」
「あっ、そうですね。わかりました」

 ユウキ君と別れるのはコンペ当日、プレゼンが終わって退社した後に決めた。


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