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第二章 夢と忘れそうなほど充実の日々
エルフィンの夢見解説
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そして本題、夢見の術についてエルフィン学園長に聞いてみた。
エルフ族がお家芸として使う術のひとつなのは間違いないそうだ。
「エルフ族限定なのは、何か意味があるのですか?」
「というより、術者に千里眼持ちがいないと使いこなせないのよ。せめて魔眼ね。ほら、私たちみたいなネオンカラーの瞳のことよ」
そう言われても今のマーゴットはネオングリーンの瞳は持っていても、魔眼と言い切れるほどの自信はない。
眼球に魔力を流すと魔力鑑定スキルが発動する程度だった。
魔力使いの師匠となるはずだった王弟の父が亡くなってしまったので、弓も魔力の使い方も途中で訓練が止まってしまっていた。
ちなみにエルフ族は全員、ネオンカラーの瞳を持っている。
「それに、夢の中の世界っていうけど本当は無数に存在する並行世界のことでね。自分の目的を達成するのに一番有利な世界をチョイスしていくわけ。更に元の世界と融合させて統合……相当高度な技よ」
その微細な見極めに、千里眼スキル持ちの魔眼が必須なのだそうだ。
「元々、夢見は心の病の治療術のひとつなのよ。現実を操作したり、願いを叶える効果もあるけど、そっちは副次的な効果ね」
古い時代にエルフ族が術として確立してからは、現実の操作術としてはほとんど使われなくなっているという。
「心の病の治療術というのは、具体的にどういうものなのですか?」
グレイシア王女の質問に、エルフィン学園長は少し考えた後、慎重に言葉を選んで解説していった。
「だって夢の中って、人間の無意識がごちゃ混ぜになった世界でしょ? 現実で建前の下に隠したものがみーんな押し込められた場所なのよ。自分の本音も他人の本音もダダ漏れで目の前に出てくるわよ」
「えっ」
ギクリとしたマーゴットを心配そうな、気の毒そうな顔で見つめて、エルフィンは夢の中でのわかりやすい指針をひとつ教えてくれた。
「本音と建前が一致した者ほど、言動が一貫してて強いわよ。逆に本音と建前がズレてる人は何をやらせてもブレブレ」
「………………」
思い当たる節がありすぎる。
「そのブレブレな自分と夢の中で向き合えたとき、ブレブレがカチッと嵌まって、夢から起きたときに現実の自分が癒されるの。心の問題の変化は一瞬よ」
そうして自分への誤魔化しが無くなった人間は強くなる。
本当の意味での人間の成長だ。
ところで、邪や魔について最も詳しいのは国の王をおいて他にいないとエルフィンは言った。
「神殿の強い国限定になるけどね。だって外から入り込もうとする邪や魔を防ぐのは定型の儀式が一番だもの。そしてその国における神殿のトップは誰よ?」
「国王、ですね……」
神殿組織の長は大神官だが、国王は祭祀の代表者だった。
「テオドロス国王陛下でもいいけど、ヴァシレウス先王陛下もまだご健在だから許可が降りればお会いして話を聞いてみるといいわ。年の功でいろいろ教えてくれるわよ~」
というのが、その先王より長生きのハーフエルフ氏のコメントだった。
ここまでの話を聞いて、マーゴットに解ったことはただひとつ。
(現国王の伯父は何かを隠している。魔についても陛下は王として知っていたはずだもの。帰国したら何を犠牲にしてでも問い詰めて白状させなければ)
マーゴットとグレイシア王女が辞した後の学長室で、エルフィンは小さく溜め息をついた。
「アケロニア王国は建国1200年で前王朝が邪悪に堕落、カレイド王国は3000年で魔に入り込まれる、か」
永遠に長持ちする国なんてないものね、とエルフィン学園長は呟いた。
エルフ族がお家芸として使う術のひとつなのは間違いないそうだ。
「エルフ族限定なのは、何か意味があるのですか?」
「というより、術者に千里眼持ちがいないと使いこなせないのよ。せめて魔眼ね。ほら、私たちみたいなネオンカラーの瞳のことよ」
そう言われても今のマーゴットはネオングリーンの瞳は持っていても、魔眼と言い切れるほどの自信はない。
眼球に魔力を流すと魔力鑑定スキルが発動する程度だった。
魔力使いの師匠となるはずだった王弟の父が亡くなってしまったので、弓も魔力の使い方も途中で訓練が止まってしまっていた。
ちなみにエルフ族は全員、ネオンカラーの瞳を持っている。
「それに、夢の中の世界っていうけど本当は無数に存在する並行世界のことでね。自分の目的を達成するのに一番有利な世界をチョイスしていくわけ。更に元の世界と融合させて統合……相当高度な技よ」
その微細な見極めに、千里眼スキル持ちの魔眼が必須なのだそうだ。
「元々、夢見は心の病の治療術のひとつなのよ。現実を操作したり、願いを叶える効果もあるけど、そっちは副次的な効果ね」
古い時代にエルフ族が術として確立してからは、現実の操作術としてはほとんど使われなくなっているという。
「心の病の治療術というのは、具体的にどういうものなのですか?」
グレイシア王女の質問に、エルフィン学園長は少し考えた後、慎重に言葉を選んで解説していった。
「だって夢の中って、人間の無意識がごちゃ混ぜになった世界でしょ? 現実で建前の下に隠したものがみーんな押し込められた場所なのよ。自分の本音も他人の本音もダダ漏れで目の前に出てくるわよ」
「えっ」
ギクリとしたマーゴットを心配そうな、気の毒そうな顔で見つめて、エルフィンは夢の中でのわかりやすい指針をひとつ教えてくれた。
「本音と建前が一致した者ほど、言動が一貫してて強いわよ。逆に本音と建前がズレてる人は何をやらせてもブレブレ」
「………………」
思い当たる節がありすぎる。
「そのブレブレな自分と夢の中で向き合えたとき、ブレブレがカチッと嵌まって、夢から起きたときに現実の自分が癒されるの。心の問題の変化は一瞬よ」
そうして自分への誤魔化しが無くなった人間は強くなる。
本当の意味での人間の成長だ。
ところで、邪や魔について最も詳しいのは国の王をおいて他にいないとエルフィンは言った。
「神殿の強い国限定になるけどね。だって外から入り込もうとする邪や魔を防ぐのは定型の儀式が一番だもの。そしてその国における神殿のトップは誰よ?」
「国王、ですね……」
神殿組織の長は大神官だが、国王は祭祀の代表者だった。
「テオドロス国王陛下でもいいけど、ヴァシレウス先王陛下もまだご健在だから許可が降りればお会いして話を聞いてみるといいわ。年の功でいろいろ教えてくれるわよ~」
というのが、その先王より長生きのハーフエルフ氏のコメントだった。
ここまでの話を聞いて、マーゴットに解ったことはただひとつ。
(現国王の伯父は何かを隠している。魔についても陛下は王として知っていたはずだもの。帰国したら何を犠牲にしてでも問い詰めて白状させなければ)
マーゴットとグレイシア王女が辞した後の学長室で、エルフィンは小さく溜め息をついた。
「アケロニア王国は建国1200年で前王朝が邪悪に堕落、カレイド王国は3000年で魔に入り込まれる、か」
永遠に長持ちする国なんてないものね、とエルフィン学園長は呟いた。
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